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#1804 〈金箱〉回!レジェンドレシピは誰の手に!?





「シエラー! やったわよー!」


「ええ、お疲れ様ラナ殿下、みんなもね」


〈ネファイブ〉が消えた後、〈戦艦・スターライト〉でゆっくり降下する俺たち。

 その甲板からラナがシエラに手を振っていた。

 下にはシエラたちタンクメンバーが集まっていたからな。

 またヴァンの第二拠点からは後衛メンバー、ヒーラーなどが出てくる。


 みんなが集まれば、わいわいイエイイエイと盛り上がる。


「シエラ。よくやってくれた」


「ゼフィルスもね」


 パチンとシエラとハイタッチ。

 マジで下のタンクが居たからこそ俺たちも上に集中できた。

 植物系っていうのは飛行系に対して容赦がない。もしタンクがやられていれば矛先は〈戦艦・スターライト〉に向き、蔓や根っこのオンパレードが襲ってきたことだろう。エステルがやられてしまうと、俺たちは空に投げ出されてしまう。

 急所エステル。それだけが〈戦艦・スターライト〉の弱点だ。


 見れば下で攻撃を引きつけてくれていたタンクも欠けはなし。

 しっかり全員で攻撃を分担して受けきったようだ。

 レイドボスは複数のタンク推奨ボス。タンク全員が生き残っているのが、みんなで連携した証拠だな。


「ゼフィルスお兄様! そろそろ〈金箱〉のお時間なのです!」


「お兄ちゃん! 金色が3つあったよ~」


「おっとそうだったな! ――みんな! お楽しみの時間だ!」


「「「おおー!」」」


 ルルとアリスのおててに引かれ、〈ネファイブ〉が消えた跡地、そこに置かれた3つの〈金箱〉へと案内される。

 今回の〈金箱〉も3つだ!

 なかなかビューティフォーになりませんね~。


「今回は当てるわよ~!」


「なんの、ルルも負けないのです!」


「アリスも負けないよ~」


「あの、クジ引きですよね? 勝ち負けあるんですか?」


「そっとしておこうぜキキョウ。アリスが楽しそうならいいじゃん?」


「確かに」


 ラナが燃えれば、なぜか幼女組も燃える。

 キキョウがハテナしていたがゼルレカが落ち着かせていたよ。

 うむうむ。こういうのは楽しんだもの勝ちなのだ。


〈フェアリークイーン〉戦で最近慣れているため、すぐにクジの準備が整う。

 クジ引きセット取り出すだけだからな! セレスタンが。


「ゼフィルス様、こちらを」


「ご苦労セレスタン。―――待たせたなみんな! クジを引いていってくれ!」


 俺がそう言って49本のクジを前に出せば次々と取られていくクジたち。


「むむむ、これよ! 私の勘に狂いはないわ!!」


「ルルはこれなのです! ルルの勘にも狂いは無いのです!」


「ないの~!」


 ラナ、ルル、アリスもクジを引く。その先端は――真っ白。ハズレだ。

 狂いだらけだったようだ。


「あ、当たった! 当たってしまったよ勇者君! ぼくが赤だ!」


「1人目はニーコが当たったぞ~!」


「おめでたいですわ~!」


 からーんからーんとノーアが〈聖なるヒヒイロ鐘〉を鳴らす。ベルの代わりだ。

 うむうむ。素晴らしい鐘の音なんだぜ。とてもモンスターの挑発効果のある音とは思えない。

 その横でニーコが「うっひょー、すごいの当ててやるんだ!」と大はしゃぎしているな。ニーコならば本当に凄いのを引き当ててくれると信じてる。信じてるぞ?


「うひ!? な、なんだい? 今悪寒が――」


 なぜかニーコが悪寒を感じ取っていたが、俺の念ではないだろう。俺の念は純粋なのだ。〈幸猫様〉にも届くんだぞ?


「お、おお? 赤色!? 赤色が来たよ!」


「2人目はシャロンか! 2本目の大当たりが出たぞ~」


「からーんですわ~!」


 2人目の大当たりはシャロン。その横でヴァンが煤けたように色あせていたけれど、そういうこともあるさ。


 さあ、残りは1つ。

 次々みんながクジを引いていくが未だに当たりは引かない。

 残り5本。最後の1本は俺なので、残り4本がハズレならば俺が〈金箱〉を開けられる! さあ、こいこいこい!!(邪念)


「来ましたわー! 私が大当たりですわー!」


「ノーアが当てたー!?」


 最後の当たりはまさかのノーア。当たりクジを掲げてセルフからーんしながらお祝いしてるだと!?

 くぅ! もうちょっとだったのに! おめでとうノーア!


「今回の厳正なるクジの結果! 当たりを引いたのは、ニーコ、シャロン、そしてノーアだーーー!!」


「「「おめでとう~!」」」


 みんなでお祝いの拍手を贈る。俺もたっぷり贈った。次こそは……!

 こうして〈ネファイブ〉最初の〈金箱〉を開けるのはニーコたちに決まり、早速3人とも配置に付く。


「まずはぼくから行くよ! さあ〈幸猫様〉〈仔猫様〉〈愛猫様〉、ぼくが猛烈に喜ぶものをくださいませ!! ――いざ!」


 ニーコめ、なんて贅沢なお願いを!

 しかし〈幸猫様〉は懐の広い御方だ。きっと良いものをくださるに違いない!


 そうしてパカリと開けられて出てきたのは、一本の苗木。


「こ、これは! 苗木じゃないか!? きっと凄いものを実らせる苗木に違いないよ! エステル君、早速解析を!」


「お任せください――『解析』! これは――〈エルドワ神樹〉と言うそうです」


「し、神樹!? 神樹ってなんだい!?」


「えっと、ギルド設置アイテムみたいです。復活系の薬を作るための木の実が毎日実るみたいですよ」


「〈成樹〉の上位アイテムっぽいじゃないか!」


「ぽい」というか、まさに上位アイテムだ。


 ――〈精霊樹の成樹〉、通称〈成樹〉。

 以前〈エデン〉に復活アイテムとかいらない、という理由で〈救護委員会〉に渡した、復活系アイテムの素材、〈精霊の果実〉が採取できるギルド設置型アイテムのことだな。

 この〈精霊の果実〉を材料にあれこれそれそれすると〈復活の秘薬〉が手に入る。


 そして〈エルドワ神樹〉、通称〈神樹〉はこの〈成樹〉の上位アイテム。

 最上級の復活アイテムを生産するのに必須のギルド設置型アイテムだ。


 ちなみにエルドワってなんじゃと思うかもしれないが、おそらくエルフドワーフの略だと言われている。真偽は不明だ。


「ふおおおおおおおおおおおお!! これだよ! ぼくはこういうのが欲しかったんだーーーーー! 大切に育てるから、ぼくが育てるから! 経過観察しながらね!」


 ニーコ大興奮。苗木を抱きしめてクルクル回りかねないテンションだ。いや、実際ちょっとした。だが、そこで待ったを掛けた者が居た。というか苗木がひょいっとニーコの腕の中から消えたんだ。


「そこまでですニーコ先輩」


「あれ!? ぼくの苗木がない!? って、シュミネ君!?」


 そう、保母さんのシュミネだ。

 しかもシェリアまで寄ってきた。


「これ、精霊がすごいいっぱいいますね」


「です。こんな貴重な物をそんな振り回してはいけません」


 エルフは精霊が見える。

 そのシェリアたちから言わせると、〈エルドワ神樹〉には凄い数の精霊が宿っているらしい。そりゃクルクルも止められてしまうか。ニーコ残念。


「これは私たちで管理します。ニーコ先輩はお触り禁止です」


「そ、そんな!?」


 ニーコ撃沈。まあ、その後なんやかんや交渉して、研究の一環としてシュミネたちの監視の下、少しだけ触ってもいいよう交渉は成立したのは別の話だ。


「じゃあ、シャロンいってみようか」


「オッケー。それじゃあ開けるよ?」


 シャロンに促してお祈りをし、いざオープン。

 中に入っていたのは――安定のレシピ。

 8割くらいの確率で入っているからなレシピ。

 もちろんレイドボスからドロップしたため、そのレシピはレジェンド色に輝いていた。


 即でエステルが『解読』を掛けると、みんなで寄って内容を見る。


「えっと、〈神樹弓(しんじゅゆみ)〉のレシピみたい?」


「〈神樹弓〉!?」


「あと、〈神樹ボーガン〉も書いてあるよ」


「〈神樹ボーガン〉!?」


「〈神〉付きの武器レシピですわね!」


 シャロンの〈金箱〉は武器のレシピだった。

 しかも〈弓〉〈ボーガン〉系だな。神樹で作る武器。

 なぜそんな物が邪悪な花からドロップするのかは定かではない。

 だが、それも少しだけ判明する。


「ねえ見て、周りが」


「あ、いつの間にか緑が戻って来てる!」


「枯れ果てたフィールドだったのに、キレイ……」


 サチ、エミ、ユウカの言う通り、辺りを見渡せば、いつの間にか〈ネファイブ〉に吸収され尽くして枯れ果てた部屋は、緑と活力を取り戻し、自然に溢れた光景が広がっていったんだ。

 それはそれは幻想的な光景。


 邪悪なものは撃破され、後には活力が戻った樹界が残った。

 だからか分からないが、〈ネファイブ〉からは〈神樹〉系がよくドロップする。

 植物系のレイドボスは〈ネファイブ〉だけだからかもしれないけど。


「それじゃあ〈神樹弓〉はユウカちゃんのだね。〈神樹ボーガン〉はカイリちゃんかな?」


「だな! 落ち着いたら依頼を掛けてみよう!」


〈エデン〉の〈弓〉使いと言えばユウカ、〈ボーガン〉使いと言えばカイリだ。

 シャロンの言葉に頷き、レシピは俺が預かった。


「いいなぁユウカちゃん。新しい神武器ゲットしてー」


「本当だよ! 次は私がいい!」


「いやぁ、あはは」


 サチ、エミ、ユウカは〈神〉系統の武器を持たないと力が発揮できない。

 最上級クラスの〈神〉武器のレシピをゲットしたことでサチとエミが羨ましがってるな。だが、それもここまで。

 次はノーアの番。


「私の当てたレシピは――〈神杖本(かみつえーぼん)〉のレシピでしたわー!」


「「「「〈神杖本(かみつえーぼん)〉ってなにー!?」」」」


 最後にノーアが当てたのは、〈神杖本(かみつえーぼん)〉のレジェンドレシピ。

 これ、杖なのか本なのかよく分からないが、〈本〉系のレシピだ。武器レシピだな。

 みんな、すごくいいツッコミに俺は思わずニヤけてしまったよ。シエラがジト目で俺の方を見ている気がするけれど、ごまかせたはずだ。


「こほん、これは〈本〉のレシピみたいだな。〈神〉カテゴリーのある〈本〉武器のレシピのようだ」


「あ、ごめんねサチっち」


「エミちゃん!? この裏切り者ー!?」


〈本〉武器と言えば使用者はエミ、ルキア、キキョウだ。

 キキョウは〈羨望取消書〉が固定なので、実質2人かな?

 ユウカに続き、エミまで〈神〉武器になると知ってサチが嘆いていた。

 ドンマイだサチ。だが、そのうち良い神剣もゲットできるだろう。楽しみにしていてくれよ!


 こうしてアリーナ以外で戦った、初のレイドボス・大型戦も無事終了。

 俺たちはほくほく顔で――ばっちり周回して帰還したのだった。





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固定装備はこういう時には寂しいな。
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