表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2064/2074

#1801 中層進出! 60層まで爆進爆走大爆発!




 最上級ダンジョンのランク1は90層から成り立っている。

 1層から30層までが浅層エリア、31層から60層までが中層エリア、61層から90までが深層エリアに分類されていた。

 今日からはその中層を攻略しようと思う。


 最上級ダンジョン〈樹界ダン〉攻略3日目、俺たちはまず30層に転移すると、昨日は無かったはずの31層の階層門が増えていた。

 30.5層を攻略した者が進める31層への直通門だな。

 しかしそこをスルーして、30.5層で〈フェアリークイーン〉を倒してから31層に突入したんだ。


「わぁ! おっきな泉ね!」


「なんだか、ガラッと感じが変わりましたわ」


「ここから中層、ということなのかもしれないわね」


 ボス部屋から出ると、俺たちは気を引き締めた。

 なんと湖でも通じそうな大きな泉が目の前に広がっていたんだ。

 ファンタジー、という感想を抱かせるほど幻想的なその光景。木々が生い茂っていた空間にオアシスが現れたような不思議な感覚。まさに秘境とも呼べる美しい光景が広がっていたのだ。

 ここ、木の上のはずなのに湖とはこれ如何に?


 みんなそれぞれこの幻想的な光景に盛り上がる。端的に言えばキャッキャした。

 また。


「うおおおお!? 釣り場発見だーーーー!!」


「タイチ君ーーー!?」


〈採集無双〉の1人、タイチがようやく見つけた釣り場に目の色を変えてダッシュするというハプニングもあったが、大事には至らず問題無し。

 ここまでせっかくの最上級ダンジョンだというのに自分の活躍の場が無かったタイチが、ついに爆発した形だな。


 早速タイチは釣り針を垂らし。


「今伝説のーーー! フィーーーーーーッシューーーー!!」


 まるで投網でもしたかのような量の魚を釣り上げていた。


「最上級の魚が大量だーーーー!!」


「いいぞタイチーー!!」


〈採集無双〉は大盛り上がりだな。なぜ泉、しかも木の上のこんなところで大量の魚が釣れるのかはさておき、魚の中にもレアな鱗をドロップする種類もあるので俺も確認する。


「おお! 〈幻想フィッシュ〉だってよ! こっちは〈七色黄金魚〉! 七色なのか黄金なのか分かんねーー!!」


〈幼若竜〉で魚を『解析』しまくった。

 高級のさらに上、最上級素材が大量だ! 笑いが止まらん! はははははははは!!

 ミリアス先輩へのお土産も出来たな! これで最上級の魚料理が食べられるぞ! 今から楽しみ過ぎる!


 だが、その時リーナから緊急通信が舞い込んできた。


「『ゼフィルスさん、現在2階でエリアボスのフィールドに酷似した妙な空間が発生しましたわ! 7班と8班が囚われました!』」


「! すぐに戻る!」


 端的に言って31層の入り口(セーフティエリア)まで戻ると、〈竜の箱庭〉の前にリーナたちがいた。

〈竜の箱庭〉には、確かに道中〈フルート〉で呼び出したときにエリアボスが形成するようなフィールドが張られているのが確認出来たんだ。


「リーナ、状況は?」


「あ、ゼフィルスさん! さっき通信でお伝えした通りです。7班と8班の合同探索メンバーが2階を探索中、突如このエリアボスフィールドに飲まれたのですわ!」


「今さっき私が『エリアボス探知』を使ったよ! 間違い無くエリアボスだった! アイコンは2だったよ!」


 状況を端的に分かりやすく説明してもらう。

 まず俺たちが居るのは1階、浅層と同じくここも5階に分かれている。

 俺たちが泉の調査をしている他で、ギルドメンバーも分かれて探索していた。

 その最中に探索班の7班8班が2階を探索中、突如エリアボスのフィールドが広がりエンカウントしたというのが真相のようだ。


 リーナが第一報を通信してきたときはカイリは側におらず、いきなりの出来事だったためにまず俺に連絡をくれたみたいだな。

 謎の現象がエリアボスとのエンカウントと判明したことでリーナは落ち着いたようだった。さっきの通信の焦った感じが無くなっていたからな。


「7班と8班は〈フルート〉を吹いてないよ。吹くときはエリアボスの動向を私が確認することになってたし、エリアボスはさっきまで下に居たもん」


 そう、アホ毛をビンっと立てながらカイリが説明する。

 俺はそれに「うむ」と1つ頷いてから答えを教えてあげるんだ。


「30層までのエリアボスはノンアクティブだったが、31層からは中層。中層からはアクティブ化するのかもしれないな」


「ゼフィルスさんの言う通り、アイコン数に応じて合同探索させていて良かったですわ。見えるアイコンは2、つまり2パーティ推奨ボスですもの。サチさんたちならきっと倒してくれますわ」


 浅層の時から、エリアボスがもし突然襲ってきたら、という想定はしていた。

〈樹界ダン〉のエリアボスは最初、俺たちが向かう事の出来ない樹の内部にいる。だが〈超ボス探知アンテナ〉のおかげでカイリが探知できるようになったため、そのアイコン数も確認できていた。

 エリアボスは大抵が2、たまに3だ。

 つまり2パーティ推奨、または3パーティ推奨ボスということ。


 もし単パーティで行動中に襲われたら危険なため、探索班はエリアボスのアイコンの数と同じパーティ数で合同パーティを組んでいた。

 浅層30層まで攻略して一度も襲ってこなかったエリアボス。

 だが、深く進めば進むほどダンジョンの難易度は上がるもの。絶対にエリアボスから襲われる時は来ると備えていたのが功を奏したな。


「『ギルドコネクト』! ――シエラさん、そちらの状況はいかがですの?」


 リーナが2班のシエラ班に連絡を取る。増援の2班と3班のパーティがエリアボスの作ったフィールドの前に到着したのだ。すぐに状況を教えてもらう。


「やはり推奨パーティ以上は入れないパーソナルフィールドが形成されておりますのね。サチさんたちも誰も欠けること無く優勢の様子のようですわ」


 リーナの言葉にとりあえずは安堵だな。


 そう、31層からはエリアボスがアクティブ化する。


 今まで浅層エリアでは大人しかったというか、〈フルート〉を吹かないと出現すらしなかったエリアボスが、奇襲で出てくるようになるのが31層、つまり中層からだ。

 これを知っていたので俺は探索パーティの合同攻略を推奨していた。

 問題無さそうで良かったよ。


 しかし、思いのほか早かったな。

 釣りが一段落すれば今度は俺たちが餌になってフィッシュしようと思っていたのに、31層のエリアボスはそれを待たずにエリサたちのいる8班、エフィのいる7班に食いついたらしい。こればっかりは運が絡むので致し方なし。


 エリアボス、いきなり襲ってくるからね。中層からは。

 特にアイコンの数。今回のエリアボスなら2なので、2パーティ以下でうろうろしているとたまに食いついてくるんだ。これは食いついてこない場合もある。

 全く困ったボスだ。


「このまま終わればいいね」


 おいカイリ!? それはフラグじゃないか!?


「あ、サチさんたちがエリアボスを撃破しましたわ!」


「って撃破したのかよ! 全然フラグじゃなかったよ! みんなで迎えに行こうぜ!」


「はい!」


 万全で構えていたので無事7班と8班はエリアボスを撃破した。

 フラグなんかに負けない! これが〈エデン〉の力だ!

 探索を開始したばかりだったのでここから近く、みんなで迎えに行く。


「みんな、無事だったか!」


「ご主人様ー! エリサ怖かったわ――げふん!?」


「教官」


「って、ああー! なにフィナちゃんだけ抱きついてんの!?」


 駆けつけると、ヒシッと抱きついてくるフィナが可愛い。途中で姉を押しのけたように見えたのはきっと気のせい、ということにしておこう。


「お兄ちゃん~アリスもくっつく!」


「お、おいおいやめとけってアリス、シエラ先輩とラナ殿下とリーナ先輩がマジこっち見てるから!」


 なお、7班のアリスもてててて~と駆けてきたのだが、途中でゼルレカが保護していた。セーフ?


「みんな無事だよゼフィルス君!」


「最初はビックリしたけど、エリアボスとたくさん戦ってきたしね!」


「予習は万全だったし、戦闘不能も無しだよ」


「完全勝利か!」


 サチ、エミ、ユウカからの報告を聞いて一安心。

 1人の戦闘不能者も無く、無事にエリアボスを撃破出来たらしい。

 みんなでイエーイとハイタッチする。

 ここまでの道中でエリアボスは何度も〈フルート〉を使って戦ってきたし、突然フィールドがエリアボスフィールドになっても慌てた人は少なかったのも完全勝利の理由らしい。


 今までやってきたことが上手く嵌まったようだな。


 泉の出現と、エリアボスのアクティブ化。中層で、大きな出来事はそのくらいだろう。

 これもしっかりみんなに通達すると、俺たちはどんどん階層を更新していった。

 エリアボスは襲ってくる時と、襲ってこない時があった。

 早めに襲ってきてもらえると逆に助かるんだけどという意見が出始めたので、ここで調整。


 むしろ最初に〈フルート〉を吹いて、戦う相手をこっちで指定しちゃった方が良いという結論に至ったのだ。そう誘導した部分もある。

 相手が来るのを待つのではなく、こっちから呼び出せばいいじゃない、ってやつだな。


 これなら不意打ちでランダムにパーティが選ばれるということも回避できる訳だ。

 まあ、回数回復代は掛かるが、必要経費。安全には変えられないからな。


 また35層の守護型ボスはアイコンが2になってた。1体だったので5層の時と同じだ。ついでに言うと40層は3と、45層は4だった。これは30層ごとにリセットされるからだ。

 これもなんだかんだ理由をこねくりだして予想を周知済み。これも65層には確信が持てるだろう。


 こうして3日目は45層まで攻略、もちろん最後は30.5層に出向いて〈竜笛〉を使って〈フェアリークイーン〉戦を楽しんださ。3回な!

 しかし〈竜笛〉2個目のドロップはならず、残念。


 その日もレンカ先輩に〈竜笛〉と〈フルート〉を回復してもらい、お客さんである学生たちをざわめかせながら帰還した。


 4日目は60層まで攻略。非常に順調だ。

 だが、今日の〈竜笛〉は〈フェアリークイーン〉では使わない。

 60層にも、いや、60.5層にもレイドボスが登場するからだ。


「〈幼若竜〉、相手の正体を見破りなさい――『看破』です!」


 たどり着いた60.5層。

 そこでエステルがなんかかっこいい決めゼリフでボスのステータスを看破する。


「出ました、相手は〈レイドボス・大型〉――〈邪悪寄生花(じゃあくきせいばな)・ネネネネネルジュガン〉です!」


〈ネ〉が5つで通称〈ネファイブ〉と呼ばれていた、超寄生植物レイドボスがそこで待っていたんだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
5ネルジュカン······ごねる樹冠?
ネが5個…ネコ?
ネは根かなあ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ