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#1800 〈竜笛〉早速使っちゃえ!回復もしちゃえ!




〈レイドボス呼ぶ竜笛(りゅうぶえ)〉、通称〈竜笛(りゅうぶえ)〉。

 回数は4回までなので3回までは使える。

 レイドボスを呼び出す笛だ。


 レイドボスは本来守護型ボスが登場しているはずの30層で代わりに登場していたことからも分かるように、1日1体リポップだ。

 いやいや、あんなものが毎日リポップとかマジパナイ。

 さすがは最上級ダンジョン。


 そんなボスを、この〈竜笛〉は――さらに呼び出すことが出来るのだ。

 この特殊な30.5層という、通称〈レイドボス部屋〉と呼ばれる場所限定でな!


「よーし、余韻のあるうちに早速もう1回レイドボスやろうぜ!!」


「いったいどういうことなのかね勇者君!?」


「余韻ってそういうときに使う言葉だったっけ!?」


「いいえ、『記憶が鮮明なうちに』などが適当ね」


「シエラが鋭い指摘を!」


 早速ゲットした〈竜笛〉を使おうぜと提案してみたら、ニーコとカイリが中々のツッコミをくれたんだ。シエラは、きっとフォローしてくれたのだろう。


「ということで、記憶が鮮明なうちにもう1回レイドボスやろうぜ!」


「言い直しちゃったよ!?」


 ニーコがシエラの方へ振り向いて何かを訴えていたが、シエラはそっと反対方向へと顔を向けるだけだったんだ。

 もう俺を止められる者は居ない。


「いいわね! なんとなく戦い方が分かってきたところだったのよ!」


「は、はい! 今度はもっと上手くやれると思うのです!」


「それは同意なんだよ! 今度はあの幹部級、もっと効率よく捕まえちゃうんだから!」


 ラナ、マシロ、トモヨを始め肯定的な意見も出始める。

 なにせ、今まで眷属を率いたボスというのは数多く登場していたが、レイドボスは色々と違ったのだ。

 1体1体が眷属などにはない連携力を発揮し、個は群、群は個とでも言うような、軍隊とも言える動きで戦いを挑んできた。こんなことするボスは初めてで、みんなも結構戸惑いなんかもあったと思う。エリサの〈良い夢をごちそう様〉戦法も効かない。


 俺たちは〈エデン〉だ。

 たった1回勝っただけで終わるなんてことはしない。ちゃんと慣れるまでアタックするまでさ!


「俺としては、このレイドボス・連型はこの先も絶対に他にもあるだろうから、今のうちから慣れておくべきだと思うんだ!」


「確かに、こんなボスがこの先登場しないということは、まずあり得ませんわね」


 レイドボス再戦は、連型の練習や報酬面から見てもやるべきだ。絶対に今後もレイドボス・連型との戦いはあるはずだからな。

 俺の意見が通り、再び〈フェアリークイーン〉戦に挑むことが決まる。


「〈竜笛〉は私に任せてちょうだい! 私が吹くわ!」


「おう。それじゃあ任せるぜ!」


「みんな、準備はいいわね!」


 我らが笛吹き名人(?)のラナが立候補。

 ゲットしたのはマシロだが、マシロは「ラナ殿下が見本を見せてくれるって言うんです!」と言って師匠に渡してたんだ。弟子が素直すぎるよ! ここではサティナさんもいないので、すんなりラナに決定する。


 リーナやシエラ、メルトにセレスタンも集まって作戦会議。

 より効率的な作戦や、注意すべき点などを軽く話し合う。あとは実践の中で微調整していけばいいだろう。


「よしラナ、笛吹いていいぞ!」


「いくわよ!」


 準備が出来たのでラナが〈竜笛〉を吹く。

 心地の良い音色が〈レイドボス部屋〉中に響き渡ると、ザワリと部屋が震え、光の渦が発生する。


「おお、あのエフェクトは、ボスポップのエフェクトか!」


「たはは~、ということは、成功だね!」


 光の正体は――ボスポップのエフェクトだ。

 大成功だな。まあ〈竜笛〉は他の笛と違って成功率100%なんだけど。

 さすがは〈竜〉の名の付く笛だ。


 十全に待ち構えていると、エフェクトの中から300体のフェアリーがポップした。

 さあ、戦闘開始だな。


 ◇


 レイドボス再戦は、やはり初見の時よりもスムーズに進んだ。

 リーナの指揮も1回目よりもだいぶ良いものだし、他のメンバーの動きも良くなっていた。


 最後の第三形態ではトモヨが宣言通り幹部級を半数以上捕まえてサンドラッシュして撃破していた。やるなぁ。

 クイーンは強すぎるが、他にも一般フェアリーをたくさん相手にしないといけないので少数精鋭で相手をしつつ、周囲の味方が援護に駆けつけられるくらい余裕が出るまで時間稼ぎに徹する戦法を試し、最後は14人のメンバーで当たってクイーンも撃破した。連型のクイーンならこのくらいの数でも撃破は可能だと知れたのは収穫だな!


〈金箱〉は3箱。レジェンドレシピが2枚も来た! ふはは!


〈竜笛〉もあと2回使えるのでこのまま連戦だ。


 先程とはちょっと戦法を変えたり修正を入れたりしながら、自分たちにとってやりやすい形を作っていく。

 4戦目ともなれば、ほぼやり方は分かってきた。


「今回も〈金箱〉3箱だわ!」


「もしかして、レイドボスしゃんは〈金箱〉を必ず3箱落とすのかな?」


「それはとってもすっごい発見なのです!」


 ふ、ついに〈金箱〉の謎に気付いてしまったか。

 その通り、レイドボスは〈金箱〉3箱以上確定なのだ! ふはは!


 なお、アリスがレイドボスをさん付けし、かつ噛み噛みの「しゃん」付けしたことで近くでシェリアが悶えているが気にしない。

 俺もちょっと心にきたもん。


「合計12箱中、レジェンドレシピが10枚、現物は〈竜笛〉が1つと――」


「〈竜激の七つ道具〉ですね」


「こいつはモナたちが喜びそうだな」


 4戦目でドロップした〈竜激の七つ道具〉は――採集や鍵開け、罠解除など、7つの技能がこれ1つで出来る万能道具だった。

 採集ならば〈竜激シリーズ〉と同等の能力で『採取』、『発掘』、『伐採』、『釣り』が可能。

『開錠』ならば〈万能鍵(金)〉と同等の働きをすると言えばこれがどれほどとんでもない道具か分かるだろう。さすがは最上級の道具。


 ちなみに残り2つは『罠解除』と『罠仕掛け』だ。

 最上級の罠もお土産にすると喜ばれるので、あとでサティナさんに渡してたくさん採集しておいてもらおう。


「さて、問題は〈竜笛〉の回復だな」


「レンカ先輩に頼めばいいんじゃないの? マリアが引き込んだんでしょ?」


「ああ。だが現場でこそ道具の回復は輝くって言って、レンカ先輩はマリアに連れて行かれちゃったからなぁ」


 アイテム、〈笛〉系の回復と言えばレンカ先輩。

 レンカ先輩は元〈私と一緒に爆師しよう〉のギルドマスターだ。俺たちが運んでくる素材の加工なども引き受けてもらっていたためにそのLVはなんと60を超え、六段階目ツリーを開放している貴重な生産職の1人だ。

 最上級アイテムの〈竜笛〉の回復にはもちろん六段階目ツリーのスキルが必要。

 この世界でこれができるのはレンカ先輩だけだ。


 しかし、そのレンカ先輩も先日卒業を迎えてしまった――はずだった。

 だが、レンカ先輩の能力を手放すなんてとんでもない。俺が行動するよりも早くマリアが手を回し、なんと自分の〈ダンジョン商委員会〉に引き込んでしまったのだ。現在レンカ先輩は〈ダンジョン商委員会〉のメンバーである。


 問題なのは、マリアが「レンカ先輩は現場でこそ輝くと思うの!」と言ってどこかのダンジョンの最奥に連れて行ってしまったことだな。

 まあ、回数付きの爆弾売って、それも即回復します、なんて店が最奥ボスのボス部屋前にあったらね、そりゃ使うよみんな!

 その爆弾、上級上位(ジョウジョウ)級の威力だし。なお、近々もしかしたら最上級の威力になるなんてことも……。


 まあそれは置いておき、レンカ先輩がそう簡単に捕まえられないので、さあどうしたものかと思案中。


「マリアちゃんなら今、〈岩ダン〉に居るってー。レンカ先輩も一緒みたいだよ。〈テレポ〉あるんだからひとっ飛びだよ!」


「あ、そうか。もはやダンジョンも1つのお店と考えればいいのか」


「そこ上級下位ダンジョンじゃなかったっけ……?」


 トモヨの言葉で、ダンジョンに行っているなら帰ってくるまで待たないと、という考えから、こっちから会いに行けばいいんだとすり替わる。

 どうやら固定観念に囚われすぎていたようだ。ダンジョンもお店。もはや気軽にいける場所なのだ! クイナダが目を点にしている気がしたが、その気になっていた俺は華麗にスルーする。


 ということで今日は30層で解散。

 俺はそのままの足で上級下位(ジョーカー)ランク6の〈岩ダン〉へ1人で向かい〈テレポ〉を発動。


 うん。ダンジョンに入るなら5人揃えないといけないとか、そういう固定観念を全て踏み倒し、一瞬で最奥に転移した。1人で気軽に、その辺のお店に行くように。


「へ――勇者さん……っす?」


 突然転移してきた俺に、ここで攻略中の2年生っぽい人が固まっていた。

 お、あったあった。マリアの〈マッシュンエデン店〉を発見。

 なんか、大繁盛してるなぁ。というか攻略者多っ!


「お、おいあれ」


「へ? 勇者さん?」


「勇者さんがいるーーーー!? え、なんで!?」


「他の方々はいないぞ!? まさか、1人で〈岩ダン〉を走破してきたのか!?」


「え、えええええええええええええ!?!?!?」


 おっと注目を集めてしまったな。最奥の救済場所(セーフティエリア)に居る人たち全員から視線を感じる。いやぁ参っちゃうぜ。(全然参ってない)


「へ? ゼフィルスさん? なんでここに居るんです?」


「ようマリア。忙しいところ悪いな。実はレンカ先輩にこの〈竜笛〉を回復してほしくてさ」


「あ、そういうことですね! ――レンカさーん!」


「はいはーい、ってゼフィルス君が居るし!? なんで居るの!?」


「そりゃあ、この〈竜笛〉を回復してもらいに来たんだよ」


「いやいや、私が言っているのはなんでここに居るのかってことで――ってなんじゃこりゃーー!? 何この笛!? 『解析LV9』付きのアイテムでも観られないんだけど!?!?」


 ちなみにLV9で『解析』できるのは、上級上位ダンジョン産までだ。つまり、これはそれ以上の物という意味。


「ふっふっふ。それはさっき最上級ダンジョンでドロップしたやつだからな!!」


「最上級ダンジョン!?!?」


 ヤバっ、レンカ先輩のリアクションが思った以上に良かったものだから、俺も盛大にドヤッてしまった。

 みんなが見ているのに、いやぁ参っちゃうぜ。(全然参ってない)


「最上級? 今最上級ダンジョンって言った??」


「僕も聞いたっす! 最上級でドロップした笛だって言ってたっす!」


「最上級ダンジョンでドロップした笛!? 〈エデン〉はいったい何をしてんだ!?」


「笛ってあれだろ!? レアボスとかエリアボスとか、なんか呼び出しちゃうやつ!」


「そうだよ! それの最上級版だぞ!?」


「しかも残り回数が、1になってるーーーーー!?!?」


「いったい何を呼び出しちゃったのーーーー!?!?!?」


 いやぁ、参っちゃうなぁ~。(全然参ってない)


「あっとゼフィルス君中に入って! 鍵も閉めて! 立ち入り禁止!! ここじゃ人目に付くから、会話まる聞こえだから!!」


「おじゃましま~す。ここ〈エデン〉の店だけど」


「なんでそんなに冷静なの!?」


 盛大に慌てふためき良いリアクションをするレンカ先輩に案内され、俺は〈マッシュンエデン店〉の中に通された。

 その中でもバッチリ慌てまくるレンカ先輩を目の保養にしていると、なんとか〈竜笛〉の回数を回復してくれたんだ。


「ぜぇぜぇ。なんかすっごい疲れた。私、明日からこの〈解るクン〉、『解析LV10』にする~」


「お疲れ様レンカ先輩! 助かったぜありがとう! 明日も頼むな!」


「明日も来る気なの!?」


「おう。それじゃあ、商売がんばってな~」


「あ、ちょっとゼフィルス君ー!?」


 こうして無事〈竜笛〉も回復完了。

 さあ、最上級ダンジョンの攻略はここからが本番だ!

 明日は31層、中層へ突入するぞ!




あとがき失礼いたします。お知らせ!


小説第14巻の発売日が決定いたしました!


〈ダン活〉小説第14巻は――2025年12月15日発売です!


挿絵(By みてみん)

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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
打てば響くトップ入り有力候補レンカ先輩(ゼフィルスのおもちゃとも言う)
ファストトラベルアイテムって便利!
レンカ先輩の慌てっぷりが可愛いぜ!
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