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#1791 レイドダンジョン!次10層に刻まれた数字は3!




「それでゼフィルス、一旦〈超幸運の世界樹薬〉のことは置いとくことにして、先程の守護型ボスについて話し合いましょう」


「そうだな! それが優先だ!」


「単に世界樹薬の方は今考えるだけ無駄とも言うな」


 シエラが話を変えてきた。

 メルトの言う通り、世界樹薬の方はあまり考えても仕方ないだろう。

 きっと偉い人が何とかするさ! がんばってください学園長!


「今分かっているのは、階層門、そしてボスのアイコンに今まで見たことの無い数字が入っていたこと、2パーティ以外、ボスのパーソナルフィールドには入れなかったこと、ボスがハンディにならなかったことね」


「それを俺たちは階層門とアイコンに書かれていた数字をパーティの推奨数と判断した。そしてボスはハンディにならなかったのではなく、最初からハンディ付きだった可能性が高いとみている、と」


「まだ仮説の段階だが、ゼフィルスが言うのだ。確度は高いだろうな」


「いやぁ、それほどでもあるぜ」


「…………」


 メルトが褒めてくれた。嬉しいなぁ。さらにシエラからもジト目プレゼントが! 嬉しすぎる!


「はぁ、仮説を前提に話を進めましょう。こんな仕様、見たこと無いわ。おそらく最上級ダンジョンオリジナルの仕様と考えていいわね」


「困ることと言えば、ボス戦中は推奨パーティ以外パーソナルフィールドに阻まれて進めないところだな。階層門が閉じているのだからどのみち進めないが、ショートカット転移陣の使用にも制限が掛かりそうだ」


「なるほど。それも確かめなければな」


 色々検証を行なう必要があるだろう。なにせパーソナルフィールドに侵入できないという未知の出来事だ。それによって攻略にどのような支障が出るのかは確かめておかなければならない。


 俺たちは早速10層へ向かうことにした。


 10層の守護型ボスの名は〈成樹ウルフ・時々・成樹クマ〉だ。

 上級上位(ジョウジョウ)のランク1、〈幻迷(げんめい)ダン〉以来の〈時々〉系だな! お察しの通り、狼とクマがコロコロ入れ替わるボスだ。

 狼! と見せかけて実はクマだった。とかやってくるぞ。なんて危険なボスなんだ。楽勝のウルフと激ムズのクマ(?)を入れ替えるなんて!


 今度は俺、メルト、シエラは傍観者組となり、ボスの仕様を探ることにした。


「階層門の数字は――3なのです!」


「3、だと? 2ハンディか?」


「ということは、仮説通りなら3パーティが入れるな。3班、4班、5班、入ってみてくれ。全員が入ったら6班が触れてみるんだ。十分気をつけてな!」


「承知しました! 私に任せてくださいましゼフィルスさん!」


 6班はカタリナのパーティだ。

 ラナたちの3班を中心に4班と5班も横並びし、15人が並ぶと「せーの」の掛け声でパーソナルフィールドに進入する。


「6班、進め! 壁があるかもだからそのつもりでな!」


「承知です――あ痛!?」


「カタリナ全然承知してないし!」


「大丈夫ですかカタリナ。思いっきりゴチンとおでこをぶつけていましたが」


「な、なんのこれしきです!」


 3班、4班、5班は無事素通りしたが6班が通ろうとしたらゴッチンこ。

 カタリナがおでこをぶつけていた。慌てて側に駆け寄る。


「だ、大丈夫かカタリナ?」


「ゼフィルスさん、痛いですわ~」


「ちょーっと変わり身早すぎじゃないの!?」


「ゼフィルスさんの前だけいつものカタリナでした。弱々しい演技でゼフィルスさんの気を引く気満々ですよ」


 駆け寄ったらカタリナがしなだれかかってくるので受け止める。

 なぜかフラーミナとロゼッタがコソコソ喋っていたが俺の耳には届かなかったんだ。


 うむ、おでこが少しだけ赤くなっているな。HPが仕事をするまでもないくらいの衝撃でぶつけたようだ。

 カタリナには悪いことをしてしまった。


「ゼフィルス君が見事に騙されてるんだよ」


「ゼフィルスさんってそういうところありますよね。シエラさんたちに言わせるとそこがいいらしいですが……。そろそろカタリナを回収しますか。シエラさんの目が凄いことになっていますし」


 んおお!? なんだか鋭いジト目の気配が背中に! こ、これはシエラのジト目の気配!? ふ、振り返ってもいいのかな?


「はいはーい、カタリナはその辺で私たちが回収――じゃなくて手当しておくね!」


「カタリナ、こっちに来てください」


「ロゼ、もうちょっと、あと1時間だけ。いえ、痛みが引くまででいいんです」


「とっくに痛みなんかないでしょうが」


「ああ!?」


 俺がシエラのジト目の気配に内心震えて(歓喜して)いると、フラーミナとロゼッタがカタリナを引き取ってくれた。

 カタリナも仲の良い女子の方が安心だろう。任せることにする。


「ふう。だがカタリナの尊い犠牲のおかげで色んなことが分かってきたな。あれ? メルトは?」


「メルトなら淡々とやるべきことをしているわ」


「シ、シエラ?」


 振り返ればジト目のシエラが俺の目の前にいた。

 仮説通り、4パーティ以上の人は中には入れない。

 さらに、パーティの入れ替えはできるのか、参加している3パーティのうち、1パーティがパーソナルフィールドの外に出た場合、入れ替えで別のパーティが参加できるのかなどを探ったのだが、これはダメだったということが分かった。メルトのおかげで。


 シエラが俺をじーっと見る脇で、メルトが顔をこちらに一切向けずに淡々と指示を出して色々検証してくれているんだぜ。


「ゼフィルス」


「な、なんでしょう?」


「ちょっとボスを倒してきなさい」


「分かりました!」


 なぜだろう? 監督側に立っていたら追い出された予感。そんなことないよね?


 新たな発見で、途中でパーティを入れ替えることは出来ないが、パーティを総取っ替え、つまり全パーティがパーソナルフィールドから出れば、新たにパーティを送り直すことが出来ると判明した。その場合、もちろんボスのHPは全回復してリセットだ。

 また一度全員が外に出た場合、さっきと全く同じ人物の3パーティが攻撃しても、リセットが起きることが判明する。


 最初3班、4班、5班で戦ってもらったのが、もう一度入り直すとリセットが起こったのだ。一度入ったら、勝つまで出てはならない仕様だな。


 最終的に一度全員出てもらい、1班、3班、7班がボス戦をこなし、リセットが間に入るも無事撃破したのだった。

 直後にパーソナルフィールドが消えることも確認。


「ボスを倒せばパーソナルフィールドの進入不可は解除されたところを見ると、やっぱりその日誰かがボスを倒せば進入不可は解除されると見ていいわね」


「解除されていない状態で出入り出来るのは、ボス戦中とみなされている人だけだな。守護型が守っている扉もボスの撃破と同時に開く仕様は上級の時と変わらない様子だ」


「それと、途中スキルや魔法、ユニークスキルを使って遠距離から攻撃できないか試してみたが、これは中からも外からも不可能だった。完全に何もかも遮断されていると見ていいだろう」


 シエラと俺とメルトで今分かったことを話し合う。

 推奨人数が参加した時点で結界が張られるというのが結論。中からも外からも完全に攻撃を通さないスペシャル仕様だ。まあ、中の攻撃が観客まで伸びたら危ないからね。なお、中の人はこの結界を行き来だけはできる。全員が出たら解除。

 そうやって外の人からポーションを受け取って戦線に復帰することは可能だった。


 マジか、最後のそれはゲームでも気が付かなかった。ゲームでは一度外に出て回復もらうと中に再び入れなくなる仕様だったが、ポーションの譲り渡しは別らしい。ゲームではポーションは譲るまでもなく、共有して使えたからな。

 やっぱりリアルで検証するとゲームでは分からなかったことが分かって大変良き。


 また、個人が出入りするとヘイトをもの凄く稼いでしまうことが判明した。

 ヒーラーが狙われたらパーソナルフィールドの外へ逃げる、という最終手段を使ったが最後、もうそのヒーラーをパーソナルフィールドへ戻すことはできない。タンクを無視してヒーラーが狙われてしまうからな。


 ちなみに10層守護型ボスの宝箱は〈銀箱〉だった。

 しかもタイムリーに〈装備強化玉〉が入ってたよ。150個も。

 ふっふっふ、強化する日が近づいているな。とても楽しみだ!

 とりあえず検証は一旦終了。


「これまで分かったことだが、仮説通り、やはりボスはハンディの影響を受けている。最初からパワーアップしている個体だ。複数のパーティで倒す事がほぼ必然となっていると見ていいだろう」


「だな。結論から言うと、最上級ダンジョンは―――レイドダンジョンだ」


 結論――レイドダンジョン。

 上級ダンジョン以降、俺たちは自発的にレイドを組んで探索を進めてきたが。

 ここからはレイドを組まないと先へ進めない、本格的にレイドが前提となっているダンジョンだ。




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― 新着の感想 ―
多PT前提だしタンクも複数居るだろうからタゲ取ってないタンクも出入りすれば…ってかタンクが出入りしておいたらヘイト気にせずに火力撃ち放題なのでは?
ハンディパーティー以上のメンバーが混ぜこぜ状態で同時に進入したら……どうなるんだろう? 全員弾かれる?
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