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#1776 卒業式の朝。卒業生たちを見送りに行こう!




「ゼフィルスく~ん、そろそろ起きないとだよ~?」


「んあ? ハンナ?」


 楽しかった〈SSランクギルドカップ〉と後夜祭が終わり、翌朝。

 俺はとっても癒されるハンナボイスによって眠りから浮上していた。


「おはようゼフィルス君」


「おはようハンナ」


 起きたら横にハンナ。

 ベッドの隅に腰掛け、優しい声で起こしてくれる姿はマジ幼馴染みの鑑!

 このハンナボイスがあるから俺は安心して寝過ごせるんだ。なんちゃって。


 ハンナに挨拶しながら身体を起こして時計を見れば、結構ギリギリの時間だった。


「ってうお!? もうこんな時間!?」


「う、うん。ゼフィルス君、気持ちよさそうに寝てたからギリギリまで起こすのもなんかなと思って。昨日のあれでお疲れみたいだったし」


 さすがはハンナ、俺を気遣ってくれたらしい。

 今日は卒業式。寝過ごすわけにはいかなかったからマジ助かった。ギリセーフ。


 いつもならハンナが部屋に来ればなんとなく目が覚めていたのに、今日は眠り続けていたようだ。やはり昨日大はしゃぎしたのが効いているのだろう。

〈SSランクギルドカップ〉とその後の後夜祭は楽しかったぁ。

 なんだか、思いっきり楽しんでしまったようだ。ハンナがいなければ寝過ごしていたかもしれないと思うとマジハンナに感謝。


 急いで朝の仕度をしてハンナ特製の朝食をいただく。

 うん。今日も美味しい!


 しかし、少しだけ心配なことがあった。


「ハンナ、元気が無いが大丈夫か?」


「え? う、うん。大丈夫だよ。ちょっとね、寂しさと緊張が」


「ああ。今日はミリアス先輩も卒業だしなぁ。とはいえ学園都市には残るんだろ? お弁当屋さんをやりたいって言ってたし」


「うん。会おうと思えば会えるのは嬉しいなぁ。またお料理も注文できるしね」


「ああ。それは俺もありがたいぜ。正直六段階目ツリーを開放した【調理師】系ってミリアス先輩だけだし」


 ハンナの元気が微妙に無い。卒業式だもん。知り合い、友達、先輩が卒業して会えなくなるのはとても寂しいだろうな。

 だが、ハンナの一番の友達の1人であるミリアス先輩は、学園都市の一角でお弁当屋さんをするらしいので、会おうと思えばいつでも会える。なんなら〈エデン〉の料理アイテムの仕入れの時にハンナを向かわせるのも良い。

 ミリアス先輩と〈エデン〉の契約はまだ続いているからな。


「うん。そっちもそうなんだけど、在校生からの言葉も……」


「ああ、卒業式によくあるやつな。というか、もしかしてハンナが?」


「うん。代表になっちゃった」


 ()もありなん。

 だってハンナ、〈生徒会〉の生産隊長だし。

 卒業生を送り出す在校生の言葉、それを贈る在校生代表の座を見事に勝ち取ってしまったらしい。その時の状況が見えるようだ。


「うう~、ゼフィルス君~」


「おお、ここでいっぱい吐きだしていけ。そして卒業生の前ではキリッとした生産隊長として送り出してやるんだ」


「うん~」


 ちなみに卒業生が多すぎるため、ハンナがするのは〈ダンジョン生産専攻〉でのお言葉だな。

 また、〈ダンジョン攻略専攻〉ではラナが選ばれていたりする。さすがは王女。

 

「ゆっくりハンナを癒してあげていたいが、そろそろ時間だな」


「うっ、寝顔を振りきってもうちょっと早く起こすべきだったよ~」


「?」


 ハンナがなにかに後悔していたが、時間も押しているので、さっさと準備して出発だ。

 いつも通り、鍵はハンナに閉めてもらい、寮部屋を出る。

 なんだか日常を感じる光景だが、これもあと1年か。


 そのままいつもの分かれ道までハンナを勇気づけながら歩いて、別れる。


「それじゃあハンナ、がんばれよ!」


「うん、頑張る! ゼフィルス君も、あまり羽目を外さないようにね~!」


「ははは!」


「笑って誤魔化すのも禁止ー!」


 さすがはハンナ。

 今日は卒業式、なにもないわけもなく……。

 というかこの後ドデカいイベントが待っているのだ。

 うん、テンションが天元突破しないように頑張ろう。




「ゼフィルスおはよう~!」


「おはようラナ、今日も早いな!」


「ゼフィルスが遅すぎるのよ! もう先生も来るわよ!」


「ははははは! もちろん冗談だ!」


「は~い、みなさんおはようございま~す!」


 教室に入ると、ラナたちと挨拶。

 だが、それもすぐにフィリス先生が入ってきて席に着いた。

 マジギリギリだったな。


「みなさん、今日は最上級生の卒業式です。このあと学園長先生からのお言葉が放送で流れますので、その後は〈戦闘5号館〉に向かいますよ。それと、参列者に企業の方々もご出席されますので、みなさんいい子にしていてくださいね~」


 去年とほぼ同じ流れ、いや少し違うようだ。

 企業の方々が参列というのは、昨日の〈SSランクギルドカップ〉の影響かな。


 また、後夜祭では例の就活が大成功を収めたと連絡が来ていた。

 大きなイベントを開催した甲斐があったな。無事笑顔の先輩方を送り出してあげられそうである。


 しばらくすると学園長からの放送が学園全体に鳴り響き、ありがた~いお言葉を頂戴した。


『わしは無事この日を迎えられたことを嬉しく、とてもうれし~く思うておる――』


 うん、俺も嬉しい!

 でも声の感じから、結構お疲れ気味な感じ? この後さらに大きなイベントがあるけど大丈夫だろうか?


「はい。学園長先生、ありがとうございました。それではみなさん、〈戦闘5号館〉に移動しますよ」


 放送も無事(?)終わり、〈戦闘5号館〉へ向かう。

 俺たちが〈戦闘4号館〉で授業を受けているように、3年生は〈戦闘5号館〉の新館で授業を受けてきたため、移動だ。


 今頃3年生たちは巨大体育館で色々な先生方からありがたいお言葉を頂戴していることだろう。


「ラナ殿下はこちらへ来ていただけますでしょうか?」


「苦しゅうないわ!」


「ラナ、在校生代表、がんばれよ!」


「任せなさいよ!」


 到着するとラナと従者3人が3年生の先生に連れられて体育館へと向かい、俺たちは表の校庭で待機。


 学園の校舎は、表に校庭、裏には練習場と体育館がある作りをしているため、3年生は体育館から出ると、一度校舎を経由して表の校庭から退出する進路を執る。


 俺たちは出待ち要員だな。

 盛大なフラワーシャワーで祝ってあげるのだ。でも明らかに1万人を超えて1万5千人くらいいるんだよなぁ。校庭が人だらけだった。

 こんな規模でフラワーシャワーなんかしたら卒業生が花で溺れちゃうんじゃね?

 そんなことを考えていると、いよいよ出番が来る。


「お、出てきたぞ!」


「先頭は――インサー先輩だ!」


「右腕のオサムス先輩もいるぞ!」


「ホシ先輩だ!」


「リンカ先輩もだ!」


「カンナ総隊長!!」


 校庭にまずやってきたのは――〈戦闘課3年1組〉の面々。

 その中でもSランクギルドや〈秩序風紀委員会〉の総隊長など、輝かしい実績を持つ面々たちが先頭となり、校庭の地面を踏みしめながら歩いてくる。


「ああ! アンジェ先輩! 行かないでください!?」


「アンジェ先輩ー! 好きだー!!」


「うおおお! アンジェ先輩が居なくなったら、俺は何を支えにして生きていけばーー!」


「お、俺はマナエラ先輩の方が……」


〈ミーティア〉の人気っぷり、否、アンジェ先輩の人気っぷりは相変わらず凄いな。マナエラ先輩の隠れファンもいるようだが。


「うおおお! パネェの姉御、いかねぇでくだせぇ!」


「うおおおパネェさん~!」


「誰がパネェだい! サテンさんと呼びな!」


 さらに奥では〈獣王ガルタイガ〉の面々が目に汁を流しながらギルドマスターたちを見送っているな。いや、フラワーシャワーを撒けし。


「うお!? ロデン先輩とガロウザス先輩が肩を組んで歩いてくるぞ!」


「すごい迫力だわ」


「あれ? カイエン先輩はどこだ?」


「何言ってんのよ、あの人は〈支援課〉よ?」


「なんですと!?」


 中には目的の人物がいなくてハラハラする者も。

 うん。確かにあのメンツ(〈戦闘課3年1組〉)の中にカイエン先輩がいないって、なんか変な感じがするもんな。


「シャッハー! みんな、見送りさんきゅうううううう!!!!」


「アイアムソードマン!!」


「愛アムソードマン!!」


「ソードマンさーーーーーん!!」


「ソードマン! ソードマン!」


「おめでとう! おめでとう!」


「うおおお、3年生のみなみなさま、今までありがどうございまじだーーー!」


 次々と3年生の学生が現れる度、在校生は涙を流す。


「俺、本当はあそこに混ざっていたはずなんだぜ」


「お、おう。そうだな。俺もなんだ」


「元同級生たちが卒業するのに残されるのは、すげぇ複雑な気分なんだけど!?」


 なお、中には〈転職制度〉を受けたのだろう。

 元同級生たちの卒業に、ものすごく複雑そうな顔をしている面々もいる様子だ。なぜだろうね?


「ではこれより、卒業パーティを執り行なう! 皆よ、存分に語り合い、そして卒業生を笑顔で送るのじゃ!」


 卒業パーティ、通称:卒パ。

 今年は各校舎の校庭が昨日の後夜祭のようにパーティ会場となり、各自移動しては最後に卒業生の方々と楽しむ場が作られた。

 俺も挨拶回りに行こう。お世話になった方々に挨拶し、卒業を祝うんだ。





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元同級生たちが卒業するのに残されるのは複雑な気分 > 気分はもう留年組!
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