#1761 ゼフィルスVSアンジェ!【嫉妬】の特効防御!
「最初から全力で行くわよ! 『シューティングスター・アトランティス』!」
「「「「「『アルティメット・アイスピラー』!」」」」」
「アンジェ先輩はいきなりユニークスキルかよ!」
待ち受ける〈エデン〉に対し、〈ミーティア〉がしてきたのは初手ギルドマスターのユニークスキルと各メンバーの一斉攻撃。
一斉攻撃で防御スキルなどを使わせ、使用直後の硬直を狙って最後に島落としで大ダメージを与える、なかなかに考えられた戦法だ。だが。
「リカ、ラクリッテ、キキョウ、ナキキ――受けて立て!」
「承った――『制空権・神閃域』!」
「ポン! 今こそ現れるは最強無敵の盾狸王――『幻獣霊最強・狸王様完全盾』!」
「こんな防御はどうでしょう―――『ジェラシーフィールド』!」
「私もタンクだってところを見せるっす! ――『シールドオブセット』!」
〈エデン〉も六段階目ツリーで応戦。
リカの凄まじい神速の斬撃が魔法を弾き飛ばし、30メートル級の超巨大な狸が攻撃を防ぐ。
キキョウの周りに展開された『ジェラシーフィールド』はプレッシャーを放つ防御スキル。あまりの嫉妬の渦により相手の攻撃は威力が下がり、半端な攻撃ならフィールドに入っただけで消失してしまう罪深い魔法だ。
これにより一斉攻撃の威力は弱まり、ナキキのシールドを合わせ3人の防御スキルで14人の一斉攻撃を受けきった。
だが、むしろここからが本番。一斉攻撃はアンジェ先輩のユニークスキルを当てるための囮に過ぎない。
今の〈エデン〉のタンクが全員受けに徹してしまったため、命中するかと思われたが。
「ノエル、アリスへ!」
「さあテンション上げちゃうよ! 『ハイテンションエール』! をアリスちゃんに!」
「アリス最強の雷をお届けしちゃうの――『神の雷』!」
ここで発動するのはアリスのユニークスキル。
なお、ノエルの『ハイテンションエール』で威力3倍中のとんでもヤバユニークスキルだ。
アリスのINTは3600を超える。そこに威力3倍ユニークスキルの発動だ。これだけでもヤバいが、アリスのユニークスキルは雷属性魔法の中でも全体攻撃で最強と名高い『神の雷』。
その効果は『耐性無効』『無効突破』『バフを無視』だ。
つまり『雷属性耐性』だろうが、〈雷属性ダメージ◯%カット〉だろうが、バフだろうが、全て無視して相手に直撃する。
防御スキルやブレイクなどで防がないととんでもない被害を受ける――とんでもユニークスキルなのだ。
「とうーー!」
ルルの真似してアリスが杖を掲げると空から特大の雷が杖に向かって降ってくる、雷はアンジェ先輩の島と激突し―――破壊した!
「え、ええええええええ!? 私のユニークスキルが!?」
だがこれでは終わらない。
相殺ではない。破壊だ。つまり――まだ『神の雷』は生きている。
神の雷はアリスの杖に無事着弾し、アリスの杖をこれでもかと神々しく輝かせた。そして、
「くらうの~!」
特大の神の雷がアリスの杖から放たれる。
「げ、迎撃よ!」
アンジェ先輩も最初は自分のユニークスキルが粉砕されたことを信じられないと叫ぶが、さすがは準決勝まで勝ち進んだ強者。すぐに持ち直して指示を出した。
「「「「「『アルティメット・アイシクルジャベリン』!」」」」」
〈ミーティア〉は即座に対応、こんなとんでも攻撃が迫ってきていてもしっかり六段階目ツリーで迎撃してくる。
アンジェ先輩が攻撃しようとしたところに一寸の隙もなく攻撃してくる正確性。まさに見事と言うほかない。だが、だからこそそこが弱点になってしまうんだ。
「キキョウ、タイミングを計るぞ」
「はい!」
いつの間にか前に出ていたのは俺、そして【嫉妬】のキキョウ。
そう【嫉妬】だ。
【嫉妬】と言えば〈百鬼夜行〉のホシ先輩。アンジェ先輩はあのホシ先輩と真正面から戦い打ち破った。だが、俺から言わせれば【嫉妬】があんな簡単に打ち破られるはずがないのだ。あれはただのスキル選択ミス。一斉攻撃を得意とする〈ミーティア〉にぶっ刺さるのは――このスキルだ。
「2――1――」
「『痛いの痛いの飛んでいけ』!!」
「!?」
それはダメージ返し。LV10の時、発動して3秒以内に味方が受けたダメージを無効化し、受けるはずだったダメージを相手に与えるとんでもスキル。
まだスキルLVが低いので返せる時間は僅か0.8秒間だけだが、同時着弾攻撃を得意とする〈ミーティア〉を相手にする場合、むしろ安心安全。
タイミングを計って、着弾の瞬間、キキョウはスキルを使った。
そしてダメージが跳ね返った。
「「「「きゃああ!?」」」」
キキョウに命中したはずなのになぜか自分がダメージを受けていたミステリー。
結果、キキョウが受けたダメージは――ゼロ。
一斉攻撃が得意な〈ミーティア〉の戦法が仇になったな。
これが【嫉妬】の本当の力だ!
ホシ先輩は、まだまだ【嫉妬】の力を生かし切れていない。
『痛いの痛いの飛んでいけ』でガツンとダメージを喰らった〈ミーティア〉に『神の雷』が直撃した。
――――よし、攻勢に出る!
「総攻撃ーーー! いくぜ――『ゴッドドラゴン・カンナカムイ』!」
「猫まみれで猫津波――『エージェント・レイド・クロネコ』!」
「行くぞオリヒメ!」
「はい、レグラム様!」
「――『天海の雷神』!」「――『天海の津波』!」
「最強ビッグクマン降臨――『ビッグクマン・グロリアスクローベアード』!」
「ここでぶった切るよ! 『必殺・大閃刹那落とし』!」
「いっくよークロちゃん! 『大魔王降臨』!」
「私はあまり強くはないですけど――『フォトンノヴァ』!」
俺、カルア、レグラム、オリヒメさん、ミジュ、クイナダ、シヅキ、マシロで総攻撃。
「『シューティングスター・アステリズム』! 間に合ってーーー!」
使えるのはアンジェ先輩のみ、使用したのはレイン系の『シューティングスター・アステリズム』。これが次々〈ミーティア〉の周りに降り注ぎ、相手の攻撃を叩き落とすカーテンとなる。――しかし、たった1つの魔法で防ぎ切れるものではなく。
「「「「「きゃあああああああああ!?」」」」」
結果、ドドドドドドドドドドドカーーーーーーンととんでもない音を出しながら〈ミーティア〉を直撃した。しかし、浅い。もう一手いる!
「クイナダ!」
「うん!」
「突っ込むぞ! 『英勇転移』!」
「た、立て直して! 〈エデン〉が来るわ! 弾幕を張るのよ!」
「「「ア、『アルティメット・ライトニング』!」」」
「――残念、中央だ!」
「な!」
〈ミーティア〉は〈エデン〉の追撃を封じるために、なんとか立ち直った3人が六段階目ツリーの『アルティメット・ライトニング』を周囲全方向に放って弾幕を張った。素晴らしい対応力。
だが残念、俺はそれも見越し、〈ミーティア〉の集団のど真ん中に転移していた。
普通ならこんな敵地のど真ん中に転移されるなんてとても思わないだろう。そこが狙い。
そして俺は、即でしゃがむと、凄まじい横薙ぎの波動が周囲を薙ぎ払った。
「『必殺・横薙ぎの大山顎』!」
「「「きゃあああああああ!?」」」
クイナダの〈五ツリ〉の範囲攻撃だ。
『英勇転移』は1人まで一緒に転移出来る、その相手に選んだのはクイナダだった。
クイナダは〈エデン〉の物理アタッカーで1、2を争うSTR3200超えの持ち主。
その範囲攻撃の直撃は、紙装甲の魔法使いたちにとって致命的だ。
よし崩した。ここで一気に決める!
「『インフィニティ・バニッシュセイバー』!」
「『狼王剣』!」
立ち上がって俺もスキルを発動。今の俺の最強全体攻撃技だ。
さらにクイナダも大技を使い、一気に6人を退場させてしまう。
「『シューティングスター』! 『ホールドメテオアストロ』!」
だが、ただでは負けないアンジェ先輩。
例の星落としに加え、隕石の数珠で俺を〈拘束〉状態にしてきたんだ。
おいおい、俺って装備スキルで『拘束耐性LV10』と『状態異常耐性LV10』を持っているんだが? こりゃ『状態異常耐性貫通』か何かを持ってるな。
だが、勇者にそんなものは効かない。
「ゼフィルス!?」
「安心しろクイナダ。勇者にこんなものは効かん! ――『立ち上がれ救世の勇者』よ!」
「なあ!?」
瞬間、俺の周りに数珠つなぎしていた隕石が弾け飛び、〈拘束〉状態解除。
『立ち上がれ救世の勇者』は自己バフ、超リカバリースキル。
ダウン復帰。状態異常は完全回復。加えて〈気絶〉や〈眠り〉、ダウン時など本来発動出来ない場合は自動発動し、状態異常を回復していたら特大バフを付与するというとんでもない効果を持つ。
やられても復活して戻ってくる勇者をイメージして作られたスキルらしく、その見た目も凄い。天から淡い光が降り注ぎ、まさに勇者が復活した奇跡を体現していた。
いや、これ凄い。なんか一瞬、観客席の音が消えた気がするもん。
ゲームでは知っていたが、リアルだとこんなに神々しいエフェクトと見栄えになるんだ。
こりゃ、最後は張り切らないとな!
迫り来るは『シューティングスター』の一撃。
今の特大バフされた俺ならば――ぶった切れる!
「『天光勇者聖剣』!」
一瞬で超巨大な光の聖剣を生成し――上段に向けると、瞬間『シューティングスター』がそこに降ってきて直撃し――破壊。
そのままアンジェ先輩に特大の勇者聖剣を振り下ろす。
「アンジェ先輩、覚悟ーーー!!」
「―――――!?」
―――――わああああああああああ!!!!
この日一番の大歓声が響き、ギルドマスター同士の勝負が決着した。(試合開始から6分くらい)




