#1758 〈ミーティア〉戦のメンバーを選出するぞ!
準決勝戦、それは学園でも最上位の4ギルドが争う、頂点たちの戦いの場。
この〈迷宮学園・本校〉には5つの頂点があるのだ。
Sランクギルド。うち1つは生産ギルド〈青空と女神〉なため、すなわち学園では戦闘ギルドの頂点は4つだと認識されている。
準決勝戦に勝ち進むのは、まさに学園の戦闘ギルドの頂点たちなのだ。
〈エデン〉
〈ミーティア〉
〈ギルバドヨッシャー〉
〈千剣フラカル〉
Sランクギルド〈百鬼夜行〉が負けるというどんでん返しはあったものの、今、学園の頂点はこの4つのギルドに決まった。
だが、SSランク戦は――むしろここからが本番。
学園の真の頂上を決めるのがSSランク戦だ。故に、トーナメントが組まれ、さらなる戦いが起ころうとしていた。
それこそが準決勝戦。
学園の関係者でも未だ誰も見たことの無い戦いが始まろうとしている。
「さあいよいよ始まります、準決勝戦! 準決勝戦は計2試合、その両方がここ、第一アリーナで行なわれます」
「盛り上がってきたよーーーーーー!! 私たちも頂上決戦を全部実況できるなんてびっくりだーーー!」
「組み合わせも結構びっくりなのだけど、〈エデン〉と〈ミーティア〉、〈ギルバドヨッシャー〉と〈千剣フラカル〉が当たるなんてね。この組み合わせはほとんど戦ったことが無かったはずよ」
「おっと情報通のユミキさん、その辺詳しく教えてちょうだいーー!」
「〈エデン〉対〈ミーティア〉はありませんでしたか? たしか実況したような」
「それは〈拠点落とし〉ね。〈城取り〉でのこの組み合わせは初めてなのよ」
「なるほど! あと〈ギルバドヨッシャー〉! ここは最近あまりギルドバトルをしてこなかったギルドとして有名! ユミキさん情報プリーズ!」
「〈ギルバドヨッシャー〉はむしろしたくてたまらなかったけど、受けてくれるギルドがどこも居なかったのよね。強すぎたのよ。〈千剣フラカル〉も何度も対戦したのだけど、結果は〈ギルバドヨッシャー〉の全勝だったわ」
「これは意外です。〈千剣フラカル〉ならば一度は勝ったことがありそうなものですが、なかったのですか?」
「それが無かったのよね。おかげで当時の〈ギルバドヨッシャー〉がちょっとはしゃぎすぎちゃったのよ。なにせ〈キングアブソリュート〉と――」
「なんだかその辺にしておいた方がいい予感!!??」
「こほん、そのようですね。僕的に一番楽しみにしているのは〈エデン〉と〈ミーティア〉戦です。〈エデン〉にはホシ選手と同じ【嫉妬】がいますが、〈ミーティア〉は【嫉妬】相手には慣れたもの。果たしてどんな戦いを見せてくれるのか」
「私は断然〈ギルバドヨッシャー〉と〈千剣フラカル〉だーーー! というか〈ギルバドヨッシャー〉の今までの戦い、筋肉戦以外はほとんど対人戦をせずに勝利しているのがヤバすぎ! もっと見たい!」
「〈ギルバドヨッシャー〉は徹底的に仕上げてきているわね。内部に送り込んだスパイからの情報だと、対〈エデン〉用にじっくり作戦を練ってきたらしいわ。〈ギルバドヨッシャー〉の目的は、決勝戦で〈エデン〉と当たることね」
「今聞き間違えかな!? スパイって聞こえたよ!? ユミキさんそんなのSランクギルドに送り込んでるの!?」
「気のせいよ。口が滑っただけだわ」
「気のせいなのか口が滑ったのかハッキリしてーーーー!?」
「こほんこほん! では〈千剣フラカル〉に注目したいと思います。ここは先の戦いで〈獣王ガルタイガ〉を倒し、進出してきました」
「それ! あの〈獣王ガルタイガ〉を下すとか〈千剣フラカル〉強すぎ!? いったいどんな作戦を使ったの!? 第二アリーナのこと知っているユミキさんプリーズ!」
「ガチの対決だったわ。以前〈学園出世大戦〉でぶつかった時、〈獣王ガルタイガ〉が譲る形で〈千剣フラカル〉はSランクギルドとなったのだけど、今回はランクアップの心配が無い分、〈獣王ガルタイガ〉も本気だったのよ。正直、どちらが勝ってもおかしくない戦いだったわ」
「ガチの対決!! ということは普通にぶつかり合った!?」
「ええ。多少〈獣王ガルタイガ〉が罠に長けていたけれど、〈千剣フラカル〉は多くの貴族の子女がいるギルド。その力は伊達ではなく、全てを正面から打ち破り、〈獣王ガルタイガ〉に勝利していたわ。あちらも手に汗握る戦いだったわよ」
「うがー! それは見たかったー!」
「そんな〈千剣フラカル〉が戦うのは、長くSランクギルドに在籍し、〈エデン〉が台頭してくるまで敵無しと言われていた〈ギルバドヨッシャー〉です。果たして、どちらに軍配が上がるのでしょうか。こちらも気になるところです」
「おっとここでフィールドの選定が始まったーーー!! 準決勝の舞台はいったいどこになるのかーーーー!!」
「このドラムロールの音がワクワクするのよね」
「き、決まったーーーー! 準決勝戦の試合が行なわれるのはここ、〈八角形〉フィールドだーーーーーー!!」
「これはまた、厄介なフィールドになったわね」
「まさかまさかです。この前Sランク戦が行なわれた〈九角形〉フィールドも記憶に新しい中、まさかの〈八角形〉フィールド。凄まじい戦いが繰り広げられることは、間違い無いでしょう」
「ここは〈九角形〉と同じく、争うことがコンセプトのフィールドだものね。八角形に区切られたフィールド、端から中央に向けて観客席が8・8・1と配置され、1の回りには8つの巨城が密集しているシンメトリー。準決勝にふさわしいフィールドだわ」
「なんか私が言わなくちゃいけないことを全部ユミキさんに言われたんだけどーー!?」
「さきほどの〈ドーナツクロス〉フィールドでも4つずつ巨城が、南北に分かれて配置されていましたが、今回のこれは、なんと全ての巨城が中央に集中しているとんでもないフィールドです! 合計8城。〈救済巨城〉と呼ばれている巨城すら無い、学園の頂点にいるギルドたちはいったいどんなギルドバトルを見せてくれるでしょうか!」
「スティーブン君もなに普通に応えてるのさーーーー!」
「ここは、〈ミーティア〉にとって悪く無いフィールドね。試合がとても盛り上がりそうだわ」
組み合わせ、フィールドがそれぞれ決定。
準決勝戦の舞台は――〈八角形〉フィールド。
第1試合は――〈エデン〉対〈ミーティア〉に決定した。
◇
「〈八角形〉フィールドか!」
「ゼフィルス、どうするの?」
「さぁてどうしたものか。相手は〈ミーティア〉だしな。きっと本拠地の防壁へアタックを仕掛けてくるぞ。ラナやリーナが遠距離攻撃をしても、きっと魔法をばらまきながら突撃してくるに違いない」
「迎撃が必要よね。魔法系メンバーが必要だわ!」
「だな。よーし、今回の準決勝戦のメンバーを決めよう!」
俺たちは今〈エデン〉の控え室に集まっていた。
フィールドの選定が決まると、すぐにメンバー選定を開始する。
48人のメンバーの内、13人を除いた35人の出場選手を決めるのだ。
振り返れば、47人のメンバーの視線が全て俺へと注がれていた。
「まず初めに言っておく、ここで出場しなかった13人は、決勝のメンバーだ。勝ち上がってくるのは〈ギルバドヨッシャー〉か〈千剣フラカル〉。その相手を務めることが決定すると考えてくれ」
そう、準決勝の35人を選定すると同時に、決勝戦に出場する13人の選手を選ぶのが――このメンバー決め。
非常に重要なのが分かるだろう。
「まずは確定枠。俺、シエラ、ラナ、カルア、リーナ、シャロンの6人に加え、準々決勝で出場しなかったリカ、セレスタン、ルル、シェリア、アイギス、フィナ、エリサ、トモヨ、アルテ、ナキキ、ミジュ、マシロ、シヅキ、は確定。残り16人を決めると共に決勝戦出場決定の13人を選定する」
俺の言葉に緊張が走ったのが見えた気がした。ここでもし選ばれなくても安心。それは決勝戦の切符だ。故に、選ばれても選ばれなくても問題は無い。まあ決勝に必ず出たいのならここで選ばれない選択もありだな。
「まずは、レグラムとオリヒメさん」
この2人はもはや確定枠に近い。スピードで言えばカルアに唯一付いてこられるレグラムは外せないのだ。そしてレグラムと強力なコンボを実現できるオリヒメさんもまた外せない。
「相手は強力な一斉攻撃をしてくる。故に火力が勝負だ。サチ、エミ、ユウカ、それと突破口を開くためにクイナダも入ってくれ」
「わ!」
「やったね!」
「全力で頑張るよ!」
「ありがとう、たとえ魔法職でも負けないよ!」
うちの〈エデン〉でも最大の火力。この仲良し3人娘は外せない。
そして突破担当のクイナダだ。〈ミーティア〉を崩す策は、すでに考えている。
「同じ理由で魔法職、サーシャ、アリス、エフィ、カタリナ、ルキア、それとバフ担当でノエル」
――――わぁ!!
これで、残り4人。
あと〈ミーティア〉戦で必要なのは、やはりこれだ。
「最後に――タンクが欲しい。〈ミーティア〉からの一斉攻撃に耐えうるタンクをだ。故にラクリッテ、ロゼッタ、ヴァン、キキョウを加えた35人で挑む!」
「「「おお~!」」」
意外な選出だったらしく多くのメンバーが声を上げる。
なにせ残ったのは、エステル、シズ、パメラ、メルト、ミサト、カイリ、フラーミナ、ラウ、ノーア、クラリス、カグヤ、シュミネ、ゼルレカ、の13人だ。
この13人は決勝戦メンバーに決定。
カイリが入っているのは、まあ決勝戦のお楽しみ。
フラーミナが外されたのは予想外といった様子。まあ、以前の〈ミーティア〉戦ではシャロンが突破されたところをフラーミナが止めたからな。
実績があるフラーミナを外す、だが今回はそもそも防壁を突破させない気なので問題はない。またスピードのあるクラリス、ゼルレカ、パメラ、エステルなども外されているが、今回はスピードに拘らないパワー勝負になるためだ。
ここは〈八角形〉フィールド。
ここもまた――対人戦が多いフィールドだ。




