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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十九章 〈SSランクギルドカップ〉戦―学園トップギルドは!?
2014/2079

#1757 ホシとアンジェがばったり出会ってしまったの




「き、決まったーーーーーー!! 準々決勝、第2試合、〈百鬼夜行〉対〈ミーティア〉の勝負に勝利したのは――――〈ミーティア〉だーーーーーー!!」


 ―――――おおおおおおおおおおお!!


 実況席でキャスが叫ぶと観客席で大歓声が上がる。

 なんとあの〈百鬼夜行〉対〈ミーティア〉という因縁の対決で、初めて〈ミーティア〉が勝利したのだ。しかもSSランク戦という最後で最高の場で。

 盛り上がらないわけがなかった。


「いやぁ素晴らしいギルドバトルでした。僕は、僕はとても感動しています! 両者ともよく健闘しました」


「ええ、ええ。魔法使いちゃん――じゃなかったわ。〈ミーティア〉、良かったわね。いっぱいの祝福を贈るわ」


 スティーブンとユミキもたくさんの拍手を贈る。

 それほどまでに熱く、素晴らしく、感動する戦いっぷりだったのだ。


「準決勝進出は、〈ミーティア〉だーーー!!」


 ―――――わあああああああああああ!!


 ◇


 こちらは〈百鬼夜行〉の控え室。

 そこには、割とサッパリとした顔のメンバーズがいた。


「負けたのーー! 負けちゃったのーーーー!!」


「はいはい。分かってますわぁ。ドンマイやホシ先輩。まあ、こないなこともあるわ」


「最後のギルドバトルだったのーーー!!」


「まあ、ここまで勝ち上がってこられたんやから上等やん?」


「他のSランクギルドはきっと準決勝まで勝ち進んでるのーーー!」


 ホシが駄々っ子のようにハクの胸にダイブして悔しがっていたのだ。

 まあ、こんな光景が見れたのならいいかなとか思う他の3年生ズ。

 それでいいのか? とも思うが、ずっとSランクギルドにいた〈百鬼夜行〉としては、負けるのなんて逆に新鮮で正直悔しい気持ちは少なかったのだ。


 また、長年(?)に渡り戦ってきた〈ミーティア〉が相手だったのも大きいかもしれない。

 あそこに負けたのなら、いや、〈ミーティア〉が勝ち進んだのなら別に自分たちが負けてもいいかと思えていたのだ。不思議な感覚だが。この場の多くがそんな心境を抱いていた。これが強敵と書いて友と呼ぶ関係なのかもしれない。


「ほな、そろそろ行きましょか。準決勝の組み合わせ発表があるで?」


「うい~」


 ハクの胸で色々ぶちまけてスッキリした顔のホシが、切り替える。

 そこに居たのはいつものギルドマスターの顔をしたホシだった。


「みんな! 今までお疲れ様! これが最後、3年生は卒業なの。だけど私たちは精一杯戦ったの! その思い出は私たちの中で生き続けるの! ――ハク、次の世代は任せるの!」


「お任せあれ。うちがしっかり纏めますわ。だからホシ先輩。安心してや」


「うん。頼むのよ? 私たちが育て上げた〈百鬼夜行〉。別にランク落ちしても構わないから、思い出だけは守るの!」


 大事なのは思い出だ。

 そう語るホシにハクは慈愛の籠もった笑顔で頷いた。

 ホシはそれを見て再びメンバーへ向き直る。


「それじゃあ、今日をもって3年生は卒業します! 2年生のみんな、次は君たちが最上級生なの! 頑張るの! 1年生のみんな、後輩ができるの! お兄さんお姉さんとして、しっかり後輩を導いてあげるのよ! ――みんな、今までありがとう! 楽しかった!」


「「「「「ありがとうございました!」」」」」


 これにて〈百鬼夜行〉のギルドも3年生が引退。

 気が付けばみんなで涙を浮かべながら笑っていた。

 



「それじゃあ、行こう!」


 ホシが先頭で控え室を出る。

 ここからは自由行動だ。観客席にいくもよし、帰るもよしだ。

 だが、みんな行く場所は決まっている。

 これから準決勝、そして決勝が行なわれる第一アリーナ戦を観戦するために、観客席へと向かうのだ。


 そして、ホシたちはばったり――〈ミーティア〉と出会った。


「あ、ホシ!」


「アンジェ!」


 とある廊下の通路でばったり〈百鬼夜行〉と〈ミーティア〉が遭遇。

 これはまさか、ここで一波乱あるのか!?


「どうホシ! 勝ったわよ!」


「ぬわー! 悔しいの!」


「その顔が見たかったわ!」


「こらアンジェ。本音は言わない方が良いのだわ」


 片やアンジェは、まるで高笑いするかのように片手を腰に添え背を反らして、片手を頬まで持ってきてホシを見る。

 もう、超嬉しそうだった。


 片やホシは憎たらしいアンジェの勝利顔に悔しさが込み上げる。

 地団駄でも踏みそうな悔しそうな顔にアンジェは満足そうだ。

 マナエラに窘められていたが。


 それを皮切りにして〈百鬼夜行〉と〈ミーティア〉も交流を開始。


「いやぁ、お疲れ様やったわマナエラはん。凄まじいコンビネーションやったわぁ」


「この日のために磨いてきたのが実を結んだのだわ。でもハクも、よくあれだけ対抗してきたわ。びっくりしたわよ」


「ふふん。今度は1対1で楽しみましょな?」


「それは遠慮しておくわ」


 ハクとマナエラが楽しそうに会話し、それに釣られて他のメンバー同士も楽しそうに語り合う。それは真剣勝負の後とは思えない、友達のような気軽さだった。

 だが、これにはアンジェが物申す。


「ちょっとお待ちなさい! マナエラさん、仲良しすぎじゃないの!? 相手は〈百鬼夜行〉よ!?」


「いえ、ライバル心メラメラだったのはアンジェだけなのだわ。他の子はそうでもないのよ?」


「ええ!?」


 アンジェ、言われて初めて気が付く。

 実は〈百鬼夜行〉と〈ミーティア〉がライバルなのではない。ホシとアンジェがライバルなのだ。

 他のメンバーは、むしろ一緒に切磋琢磨しているので仲が良かったりする。クラスが同じという子も多いのだ。


「せっかくなのだし、一緒に観客席へいきましょ」


「それは名案やわ!」


「全然名案じゃないのハク!? 今はアンジェの顔を見ていると悔しさが爆発しそうなの!」


「ハッ! 私は別にホシの近くでもよろしいわよ?」


「私の顔を(さかな)にでもするつもりなの!?」


「ジュースが美味しそうだもの」


「むむー! 調子に乗っちゃってー! 前まで悔しげな顔をしていたのはそっちだったのー!」


「まあまあホシ先輩落ち着きなはれ。たまにはええやないか」


「ええわけないのよ!?」


「アンジェも。どうせ準決勝のフィールドが決まったら話し合いしないといけないのだからそんな暇ないわよ?」


「! そうだったわ……」


 残念ながら準決勝は〈ミーティア〉が出場なため時間なんてない。色々と作戦を練ったりしなくちゃいけないのでホシの顔を楽しむ余裕はないと思われる。


 とそこで放送が流れた。


『――ただいま、全ての準々決勝で勝者が出揃った。これより準決勝の組み合わせを発表するわい』


「「「「!!」」」」


 この声は間違い無い、学園長のものだ!

 というか準決勝の組み合わせ発表を見るために観客席へと向かっていたのだった。

〈百鬼夜行〉と〈ミーティア〉は顔を見合わせると、慌てて観客席へと急ぐ。

 ホシもアンジェも一触即発している場合ではない。


 観客席に出ると、巨大スクリーンに準々決勝の勝者が表示され、実況席のキャスたちが解説しているところだった。


「準々決勝を制したのは――! この4ギルド! 第一アリーナ、第1試合、〈エデン〉対〈カオスアビス〉では、〈エデン〉が勝ちました!」


「続いて第2試合、〈百鬼夜行〉対〈ミーティア〉戦では、なんと〈ミーティア〉が勝ち上がりましたね」


「お次は第二アリーナ! その第1試合、〈ギルバドヨッシャー〉対〈筋肉は最強だ〉では、あまりに会場へ衝撃をもたらした新戦法を披露する2ギルド、特に〈筋肉は最強だ〉の〈筋肉ビルドローラー〉は凄かった! しかし、対策済みの〈ギルバドヨッシャー〉には通じず、勝ったのは〈ギルバドヨッシャー〉だーーーー!!」


「盛り上がったみたいですね。僕も見たかったですよ。では続いて第2試合。〈千剣フラカル〉対〈獣王ガルタイガ〉。ここも凄まじい展開を見せたようです」


「輪で見ていたけど。見ごたえあったわよ。初めての〈千剣フラカル〉対〈獣王ガルタイガ〉戦は、まさに熱いぶつかり合いから搦め手まで、あの手この手で相手の上を行こうとしていたわね」


「だからユミキさんのそれ羨ましすぎるんだけど!? というか、〈百鬼夜行〉対〈ミーティア〉戦を見ながら〈千剣フラカル〉対〈獣王ガルタイガ〉戦も見てたの!?」


「どっちが勝ってもおかしくは無かったけれど。勝ったのは――〈千剣フラカル〉だったわ」


「私の発表がゲストに取られたんだけど!?」


 大いに盛り上がる観客席。

 準決勝への出場者が決まったのだ。


「こほん、改めて準々決勝を勝ち残ってきたギルドはこちらです!」


 S〈エデン〉

 A〈ミーティア〉

 S〈ギルバドヨッシャー〉

 S〈千剣フラカル〉


「準決勝戦にはSランクが3ギルド、Aランクが1ギルド勝ち残ってきたーーーー!」


「Aランクギルドでは唯一〈ミーティア〉が勝ち残りました。〈百鬼夜行〉対〈ミーティア〉戦は熱かったですからね。これだけ見ても〈ミーティア〉がどれだけ頑張ってきたのかが分かります」


 スティーブンの言葉にアンジェの鼻がふふんと伸びた気がした。

 周囲ではアンジェたちに注目する人たちが続出だ。

 それほど、このSランクギルドが多く勝ち進む中で唯一勝ち残ったAランクギルドという記録は凄まじいものだった。


「ではここで準決勝のシャッフルタイムに移ります! いったいどこのギルドが当たるのかーーーーー!」


 ここで上空スクリーンでは4つのギルドがシャッフルされる。

 準決勝戦、いったいどこと当たるのか。誰もが見守る中、それは決まった。


「出たーーーーー! 第一アリーナの第1試合は――〈エデン〉対〈ミーティア〉だーーーーー!!」


「…………?」


「続いて第一アリーナの第2試合では〈ギルバドヨッシャー〉対〈千剣フラカル〉が対決します!」


 組み合わせが発表された。

 でも、アンジェにはそれがよく理解できなかった。


「……大変な事になったのだわ」


 マナエラの台詞がシーンとなったこの一帯にやけに響いた。

〈ミーティア〉の次の対戦相手は――〈エデン〉だ。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
>「その顔が見たかったわ!」の後に追い打ちを掛ける魔法使いほんとすこ(笑) しかしミーティアはここでエデンとかぁ、決勝でぶつかると思ってたのに。まぁフラカルがいるからなぁ
じゃあもう決勝はエデン対ギルバドヨッシャーというある意味当然の帰結になりそうね
折角勝ち抜いたのに、相手がエデン!? かーいそー。
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