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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十九章 〈SSランクギルドカップ〉戦―学園トップギルドは!?
2013/2074

#1756 〈百鬼夜行〉対〈ミーティア〉戦ついに決着!




〈ミーティア〉が〈百鬼夜行〉の策によって攻略中の巨城を奪われるも、得意の一斉攻撃によってホシ先輩を引かせ、〈百鬼夜行〉が攻略中の巨城を奪った。

 このどんでん返しに観客席は沸きまくる。俺にも熱が入るというものだ!


「おお! すっげぇーじゃねぇか〈ミーティア〉は! あそこで敢えて巨城を狙わずホシ先輩を狙ったことで〈百鬼夜行〉の巨城攻略班を崩し、その隙に巨城を奪う! 合図を送った様子も無かったのにどうやってピタリと息を合わせているんだろうな!」


「〈ミーティア〉の息の合いようは学園一と言われていますわ。ギルドマスターが攻撃したポイントへ一斉攻撃しているのでしょうか。あの指揮と心を1つにするギルドメンバーの連携。得るものが多いですわ」


 リーナもこれには大きく関心を抱いていた。同じ指揮する者として、アンジェ先輩とメンバーの息の合いようは得るものが多い様子だ。


「アンジェ先輩はよく我慢したわね。以前の試合を見る限り、アンジェ先輩はホシ先輩に固執していたようだったけれど、トドメよりも巨城を優先できていたわ」


「あ、それは私も思いました。てっきりホシ先輩にトドメをさすものと」


 シエラの考察にエステルも頷く。

 あの場面、ホシ先輩にトドメを刺しに行くか、巨城へ差し込むかの究極の2択だった。

 巨城のHP的に、ホシ先輩へトドメを刺しにいけば巨城は確実に取られていたし、逆に巨城へ攻撃すればホシ先輩には逃げられる。実際巨城へ差し込みを成功させたとき、ホシ先輩には別のマスへ逃げられてしまっていた。


 アンジェ先輩は良く決断したよ。2兎を追う者は1兎をも得ずになりかねない状況でもあったからな。


 これで初動は終わり。

 お互い小城マス取得に取りかかる。仕切り直しだ。


「ゼフィルス的にはさっきの場面、どっちを取ってたの? 巨城かホシ先輩の2択よ」


「良い質問だなシエラ。こういう質問なんかもできるから観戦するのもやめられないんだ。――俺としてはホシ先輩へのトドメを優先してもよかったなと思っている」


 俺の答えが意外だったのか、集中する視線をたくさん感じた。

 俺は普段、初動はとにかく巨城を取る派だからな。〈ハンマーバトルロイヤル〉戦や、〈集え・テイマーサモナー〉戦でも全部の巨城を取ったし。

 だが、このフィールドは例外だ。


「やっぱりね。ゼフィルスはこの〈ドーナツクロス〉フィールドではとにかく対人を優先していたもの」


「だな、他のフィールドなら巨城優先でいいんだが、この〈ドーナツクロス〉フィールドではちょっと優先順位が変わるんだ。結果はさっきの〈カオスアビス〉戦の通りだ」


「このフィールドは、選択肢が非常に限られていますわ。相手の行き先を読むのが、とてもやりやすかった印象でしたもの」


「まさにリーナのそれが理由だな。ここ〈ドーナツクロス〉フィールドでは相手の動きが読みやすいんだ。他のフィールドよりも圧倒的にな」


 なにしろフィールドがドーナツなのだ。それはほぼ一本道と同義。

 観客席(障害物)は少ない上に巨城が集中していて、相手の動きが読みやすい。

 部隊を細かく分ける必要も無く、二手に進めば勝手に合流するし、その時は挟撃になる。とにかく攻めろ。それが大事。守りに入ったら最終的に挟撃されて負ける。


 この〈ドーナツクロス〉は、とにかく攻めて攻めて、相手の防御が整う前に攻めまくるのが最善と考えられているフィールドなんだ。巨城攻略を二の次にしてでもな。

 そして〈カオスアビス〉戦で見せたのが、まさにそれだったというわけだ。


「加えて巨城密集地がお互いの本拠地からちょうど真ん中にあるというのも、巨城に拘らない理由だ。お互いが牽制しあうもんだから〈ちょい残し戦法〉すらしづらい。巨城に拘ると泥仕合になるぞ」


「……なるほど。さすがはゼフィルスさんですわ。先が見えていますのね」


 実際〈百鬼夜行〉と〈ミーティア〉の中盤戦がまさにそんな感じの展開になった。

 相手の陣地に攻め入ろうとしても、もう防衛体制ができていて、誘い込まれて罠に嵌まるのがオチ。攻めきれないのなら巨城からポイントを得よう、なんてすればそうはさせないと相手から攻撃を食らって痛み分けだ。

 お互いこれ以上人数を減らすわけにはいかないから退くし、深追いすれば罠に嵌まるのでできない。


 うーん、一進一退ですらない、まさに泥仕合な感じになってきた。

 なにせ小城マスの数も東西で全く同じなのだ。相手の陣地に攻め入らなければポイント差はイーブンである。


 だが、お互いこのままじゃダメだというのは分かったのだろう。

 決着をつけるには相手の陣地側に攻め入る必要があると理解し、試合が動く。 


「動いたのは北では〈ミーティア〉が! 南では〈百鬼夜行〉が攻めに転じるようですわ!」


 残り時間21分。動いたのはほぼ同時だった。

 お互い自陣側の小城をほぼ全て取り尽くし、人員を全て南北へ集めたのだ。

 そして北側ではアンジェ先輩率いる〈ミーティア〉の部隊が攻めに出てホシ先輩が待ち受ける。


 南側ではハクの部隊がマナエラ先輩を食い破って進行しようとした。

 またも盛り上がる観客席。

 展開が大きく、しかも同時に動いたのだ。どっちに集中するか悩むところ!


「北側、ホシ先輩の部隊が見事に受け止めましたわ!」


「〈ミーティア〉の攻めは完全に読まれてたか! いや、〈ミーティア〉もこうなる展開を望んでいたっぽいぞ!」


 まずは北側のアンジェ先輩部隊。こちらはホシ先輩の部隊とガチのぶつかり合いに発展した。

 まるで、今までの決着をつけてやると言わんばかりだ! これは熱い展開!


「南側はハクが翻弄しているけれど、マナエラ先輩が全てに対応しているわ。これは強いわね」


「ハクは罠を火力でぶっ壊しながら実力行使で進む気か!」


 南側は力業。

 ハクを初めとしたカテゴリーありの獣人部隊が罠も相手も力で薙ぎ払い進む気のようだ。

 まさにカテゴリー職業(ジョブ)の力をフルに使った格上の行進。

 だが、そこを連携で崩すのが〈ミーティア〉というギルドだ。


 ◇


「させないわ! 『魔眼光線』!」


「全部薙ぎ払ったるわ! ――『九尾解放(きゅうびかいほう)大妖怪百鬼夜行だいようかいひゃっきやこう』!」


「薙ぎ払い返すのだわ!」


「「「「「『アルティメット・アイシクルジャベリン』!」」」」」


 ハクが発動したのは六段階目ツリーで最強の魔法『九尾解放』からなる大妖怪の百鬼夜行。

 炎で出来た大量の大妖怪たちが〈ミーティア〉を襲う。

 だが〈ミーティア〉も六段階目ツリー、『アルティメット』級の『アイシクルジャベリン』で迎え撃った。その数、13人。


 結果、〈ミーティア〉の勝ち。


「さすがにこう数が多くては負けるかい――こっちも反撃や!」


「『真・雷狼徒罰一閃らいろうとばついっせん』!」


「『ブラックキャットウェイブ』!」


「『雪と氷の白兎化粧』!」


「『クリムゾン大狐様ノヴァ』!」


「ポポンポン! 『ダイナミック・大狸様ダイブ』!」


「『最強ベアー・ストロングストライク』!」


〈百鬼夜行〉からの反撃。ハクのモットーは押して薙ぎ払って楽しめである。

 それを体現するかのように〈百鬼夜行〉の獣人部隊はそれぞれが六段階目ツリーで突っ込んだ。


「私たちの連携を見せるのだわ! 『ゴッドバースト・セクター』!」


「「「「「『アルティメット・アイスピラー』!」」」」」


〈ミーティア〉の先頭はマナエラ。

 マナエラが範囲攻撃を撃ち込むと、そこの地面から氷の柱がいくつも上がる。


「「ぐあ!?」」


「『七尾解放(ななびかいほう)・破壊の猛然妖火(もうぜんようか)』!」


 数人が巻き込まれ氷の柱の中で〈氷結〉状態になるが、ハクの六段階目ツリーの『七尾解放』、ブレイク系が柱をぶっ壊し、中のメンバーを解放する。

〈氷結〉状態は〈睡眠〉とほとんど同じなので、味方がぶっ壊すのが正解だ。


「盾を出すのだわ!」


「はい! 『収納展開』! いでよ〈門番(ガーディアン)ゴーレムロボ〉!」


「はぁ!? なんやあれは!」


 ここで〈ミーティア〉が奥の手の1つ〈門番(ガーディアン)ゴーレムロボ〉を展開。これ、ハンナ作の〈天下一パイレーツ〉戦で使っていた、乗れるゴーレムである。

 もちろん乗ったのはマナエラだ。〈ミーティア〉は対〈百鬼夜行〉用にこれを〈エデン〉から購入していたのだ。


 さらに〈門番(ガーディアン)ゴーレムロボ〉に結界を施し、盾にして〈百鬼夜行〉の攻撃から身を守りつつ〈ミーティア〉は攻撃に専念する狙いだ。

 また、〈門番(ガーディアン)ゴーレムロボ〉という警戒すべき巨大なゴーレムが登場したことで〈百鬼夜行〉の足を遅くする狙いもある。その狙いは、見事に刺さった。


「足を止めるのだわ! ――『心掴みの魅了魔眼』!」


「「「「「『アルティメット・ソードボルト』!」」」」」


「きゃああ!?」


「くそ、こんなに纏めてこられたら、な、なに!? 動けな――ぐは!?」


「『鏡映しの眼』!」


「「「「「『アルティメット・メガストーム』!」」」」」


「ぶっ壊すぜ!」


「跳ね返って!? きゃあ!?」


「これは……!」


 バラバラだが、個の力と数で〈ミーティア〉を囲み、叩こうとした〈百鬼夜行〉。

 しかし〈ミーティア〉はマナエラを中心とした瞳術との連携攻撃によって1人ずつ屠っていったのだ。連携を崩さず、防げないほどの大量の攻撃で。


「なにやってんねん! うちが壊したる、そしたら飛び込むんや! 『八尾解放(はちびかいほう)炎界(えんかい)大妖狐(だいようこ)』!」


「きゃあ!」


「マナエラ!?」


「こっちはいいわ! 今よ、反撃!」


「「「「「『アルティメット・クリムゾンノヴァ』!」」」」」


「わ!?」


「やべ、ぐはあああああ!?」


門番(ガーディアン)ゴーレムロボ〉は最終的にハクが破壊。

 だが、飛び込もうとした〈百鬼夜行〉の部隊を〈ミーティア〉の部隊が見事迎撃したことで、〈百鬼夜行〉へ大打撃を入れることに成功する。

 そして気が付けば、〈百鬼夜行〉は僅か6人しか居なくなっていた。


「おもろいやん……。これが〈ミーティア〉が育んできた連携の、その完全版ちゅうわけか」


 ハクは察した。〈ミーティア〉は連携の1つの極みに至ったのだと。

 あれはもう集団ではない。1つのなにかだ。


〈ミーティア〉ももちろん無傷とはいかず、11人に減っているがその差は歴然。

 11人が一緒になって動く様は1つのボスのようだった。

 後の先を取って確実に〈百鬼夜行〉のメンバーを各個撃破する。


 このままだと〈百鬼夜行〉側が押し負ける。


「なら、最後はうちと遊ぼうやないか! 『八尾解放(はちびかいほう)炎界(えんかい)の終わらぬ大火災害(だいかさいがい)』!」


「「「「「『アルティメット・フレアバースト』!!!!」」」」」


「こっちが本命――これで最後や! 『九尾大妖狐グラ・シャ・クイーン』!」


「負けないのだわ―――『ゴッド・アイズン・セイクリッドフォース』!」


 大火災が発動されたと同時に〈百鬼夜行〉メンバーが全員で突っ込み、〈ミーティア〉の一斉攻撃を掻い潜ってついに連携を乱すことに成功。


 これが最後のぶつかり合いだとハクとマナエラはユニークスキルを発動した。

〈百鬼夜行〉の残りのメンバーも全てユニークスキルか六段階目ツリーのスキルを発動し、〈ミーティア〉もそれを受けて立つと言わんばかりに返し、激突する。


 真正面からの力と力のぶつかり合い。

 その衝撃波は凄まじく、お互いのメンバーは漏れなく吹っ飛び、大ダメージを喰らった。


 生き残ったのは――マナエラ1人。

 他、全員退場。


〈百鬼夜行〉のハクはここで退場してしまった。


 ◇


「決着をつけようじゃない、ホシ!」


「望むところなの!」


 一方北側。こちらも決着が付こうとしていた。

 南側のマナエラがした戦法とゴーレムロボ以外全く同じことをした北側だったが、ホシが防ぎに防いだ。だが全て防げたとはいかず、〈百鬼夜行〉は僅かな人数が残っているのみ、〈ミーティア〉も残り僅かしか残っていなかった。

 もはや〈ミーティア〉お得意の連携戦法は使えない。


 故にギルドマスター同士の一騎打ちが勝負の分かれ目となった。


「『シューティングスター・アステリズム』!」


 アンジェは六段階目ツリーのシューティングスター系、アンジェの上空に大量の星々が輝いたかと思えば、それは次々と落下し、ホシの下へ落ちていく。

 そう、これはレイン系だ。


「『究極嫉妬盾』!」


 対してホシは防御スキル。

 究極にして最強の嫉妬盾。

 術者の嫉妬を力にし、嫉妬力が高いほど防御力が高まるスキル。

 相手が強ければ強いほど防御力が高まるのとほぼ同じなため、ほぼなんでも防げる究極の盾だ。なお、フィードバックは受ける。


「突破出来るもんならしてみるの!」


「上等よ! ――『ホールドメテオアストロ』!」


「なぬ!? 魔法発動中にもう1個なの!?」


「絡めとりなさい!」


『ホールドメテオアストロ』は一部の魔法発動中にも使える〈拘束〉系の魔法。

 大量の隕石が数珠繋がりになりホシを〈拘束〉しようとする。

 そしてそこに落ちるのは大量の『アステリズム』たち。


 次の瞬間にはズドドドドドドドドドンと大量の攻撃がホシへと降り注いだ。


「これでも、倒せないのね」


「当然なの!」


 だが『究極嫉妬盾』は効力を発揮し、多少のフィードバックを受けつつ全ての隕石を防ぎきっていた。

 だから【嫉妬】は強いのだ。


「なら、最後はこれしかないわね! ユニークスキル――『シューティングスター・アトランティス』!」


「! 『完全コピー魔法・真・それ私もやるー』!」


 それはさっきも発動したユニークスキル。

 これでホシはさっきかなりのダメージを負ったのだ。

 だがホシは防げると分かっているため、あの時と全く同じ魔法を使う。

 2つの島が落ちてくる。

 しかし、〈ミーティア〉側にすでにクエナはいない。真っ先に退場させられたからだ。


 故に最後の大勝負。

 アンジェのユニークスキルが勝つか、ホシのコピーが防ぐか。

 上空で島同士がぶつかり合い、一部を粉砕しながら崩れていく。


「ふんばりなさい! ここが勝負どころよ! ホシに落ちなさい!」


「いいやアンジェに落ちるの! そのまま落ちてこいなのーーー!」


 お互い叫ぶ。

 アンジェのユニークスキルはホシの下に落ちたいが、コピーに阻まれる。

 あと数秒で落下すれば、おそらくアンジェは耐えられずに退場し、タンクのホシだけが生き残るだろう。


 故に、アンジェはこれに全てを掛ける。


「押し出すのよ!!」


「ぐぬぬ、な、なのーーー!?」


 結果、ユニークスキルに軍配があがった。ホシのコピーを打ち崩すところまではいけなかったものの、気合いで押し込みホシの下へ落とすことに成功する。コピーも一緒にだ。


 ズドドガーーーーンというとんでもなく大きな衝撃が会場に響く。

 2つの島が直撃。

 1つならば防げたはずのホシだったが、これは予想外だったらしく。

 残り2割のHPを残してダウンしていたのだった。


「と、トドメよ! 『シューティングスター』!」


 最後は残りのMPを全て振り絞り、単発の隕石落とし(シューティングスター)を発動。


 島落としの衝撃にアンジェもHP1割を切る満身創痍だったが、追撃を選択し、ついにホシのHPをゼロにすることに成功。



 その後、白本拠地を陥落させ。ついに〈ミーティア〉が〈百鬼夜行〉に勝利したのだった。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
熱いな! エデンは基本的に圧勝してしまうから、こういう熱量とは縁がないもんな。
今回のドーナツ型は、エデン以外(どちらも強すぎるため)の対人戦がメインの回なのかぁ。 残りの2試合もどんな対人戦か楽しみだ。
こんにちは。 まさに辛勝…!! でもお互いの全てをぶつけあった熱いバトルでした。これ今回のベストバウト候補じゃなかろうか?
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