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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十九章 〈SSランクギルドカップ〉戦―学園トップギルドは!?
2011/2016

#1754 〈ミーティア〉と〈百鬼夜行〉の控え室の様子




「カ、〈カオスアビス〉敗れるーーーーーー!?!? 試合開始17分、ここで〈エデン〉が最後のメンバーを倒し、コールド勝ちしたーーー!?」


「お、驚きました。なにしろ誰にも取られていない巨城が、まだ残っております」


「完全に対人戦メインで来ていたわね〈エデン〉は。〈ドーナツクロス〉フィールドに8城ある巨城のうち6城を先取、残り2城という(あめ)をちらつかせながら〈カオスアビス〉を誘い込んで主力を分断、壊滅させたわ」


「す、凄まじい結果に観客席はどよめきに支配されております! こんなことがあり得るのか!? 巨城を餌にするというトリッキーな戦法! 私、こんな戦法初めて見たぞーーーー!」


 こちらは第一アリーナの実況席。

〈エデン〉対〈カオスアビス〉戦を実況していたが、その結果はとんでもないものだった。

〈集え・テイマーサモナー〉戦のときのようなギブアップではない。

 コールド勝ちだったのだ。


「僕も初めてみました。17分でコールド勝ちというのも、第一アリーナ〈城取り〉では初だと思われます」


「そりゃこんだけフィールドがデカいんだし保護期間もあるんだから普通はそんな早くやられないよね!?」


「しかも〈カオスアビス〉はAランク常連のギルド。ギルドバトルも上手かったと記憶しているのだけど、〈エデン〉の速攻の前には歯が立たなかった印象ね」


「特に僕が驚いたのは〈死神のキール〉選手を封じた戦法です。キール選手は〈即死〉攻撃で有名な方ですが、『即死無効』に悩んでました。ですが六段階目ツリーを開放し、『死神のいざない』を獲得し、まるで水を得た魚のように本大会では次々と主要な選手を〈即死〉で追い込んでいました」


「そうだったわね。〈世界の熊〉の次代のギルドマスター、ナイヴスもキールによって〈即死〉させられていたし。タンクが〈即死〉で一発退場して観客席が大きくどよめいたのは忘れていないわ」


「あの、それって別のアリーナの話じゃないかな!? 私知らないんだけど、見てたのユミキさん!?」


「輪で確認したわ」


「便利だね!?」


「そんな『死神のいざない』持ちの〈即死〉特化選手相手に〈エデン〉はどう戦うのかと思っていたのですが、まさか」


「〈マイセット早着替え〉とはね。それまで〈封印〉されないように隠しておき、必要になったら早着替えで無効化する。キール君が〈封印〉を使ってきたらまた早着替えで隠せば良い。よく考えられているわ」


「はい。キール選手が速攻で無力化されて退場させられていましたから。あれは衝撃的でした」


「〈エデン〉は相変わらずだーー!? 私としては全部の相手に対策を盛り込んでいた印象だったよ!」


「ロデン選手なんて、【獣王】ラウ選手から逃げまくっていたからね」


「先代の〈獣王ガルタイガ〉ギルドマスター【獣王】ガルゼに1対1で完封されたことがありますからね。相性は最悪と踏んで逃げながら色々試していたみたいですが」


「最後は【大罪】職4人が集まる場所に追い詰められて……! あれってなんだったのかな!? 〈エデン〉と〈カオスアビス〉の【大罪】職が一堂に集まっちゃって大変やばかったんだけど!」


「しかも〈エデン〉は【大罪】が4人よ。〈カオスアビス〉は1人なのにね」


「戦力が違いすぎるーーー!? なんでギルドに1人居ればギルドマスターになれるクラスの人材が〈エデン〉では4人もいるんだーー!?」


「しかも〈エデン〉では【大罪】職がヒラ団員よ」


「もうなんて表現したら良いか分かんないよーーーーー!?」


 ◇


 実況席でも混乱している最中、こちらは〈ミーティア〉の控え室。


「もう終わったみたい。〈エデン〉が勝ったのだわ」


「み、見れば分かるわよ!? ていうか、あれはなに? 私はなにを見せられたの!? 〈城取り〉であれってありなの!? ポイントもそりゃ取ってたけど、多分最初からコールド狙いだったわ!」


「まあまあアンジェ、落ち着くのだわ。〈エデン〉がとんでもないなんて、いつものことでしょ?」


「マナエラさんは落ち着きすぎなのよ!?」


 さすがに興奮冷めない様子なのはギルド〈ミーティア〉のギルドマスター、アンジェ。少し口調も乱れ気味だ。

 だが、サブマスターのマナエラは掲示板などの影響で〈エデン〉のやらかしには慣れているのだ。こちらは掲示板の魔法使い3年生ご本人なのである。


「ア、アンジェ先輩?」


「ほら、クエナも困ってるわよ?」


「う、うう。スーハースーハー。……少し、落ち着いたわ」


〈エデン〉のやらかしのせいで乱れに乱れまくっていたハートをなんとか応急処置するアンジェ。

 さすがに後輩を不安にさせてはいけない。


「今は〈エデン〉のことは忘れましょ。それよりも、重要なことがあるのだわ」


「!! そうだったわ、打倒〈百鬼夜行〉よ! みんな、改めて気を引き締めなさい。〈エデン〉の今の戦いは参考までにして、私たちは私たちの戦いで〈百鬼夜行〉に勝利するの! これが最後のチャンスよ、絶対に勝つわ!」


「「「「おおー!」」」」


 アンジェ完全復活。

〈エデン〉? あれは気にしてはいけない。

 今は〈百鬼夜行〉戦に集中するのだ。


 第一アリーナ、準々決勝、第2試合の対戦相手は。

〈百鬼夜行〉対〈ミーティア〉。


 因縁の対決だ。因縁と思っているのはアンジェだけだが。


「聞いてくださいなみなさん。〈ミーティア〉を結成して約3年、私たちは幾度も〈百鬼夜行〉と戦ってきましたわ」


 アンジェがみんなの前で演説する。

〈ミーティア〉の成り立ち。順調に成長しランクアップしていった。しかし、とある試合で〈百鬼夜行〉とぶつかり、ホシに先へ行かれてしまう。

 そこから2戦、全て〈ミーティア〉は〈百鬼夜行〉に負け続けてきた。


 この前の3戦目、Aランクギルド〈ミーティア〉は十分に準備した上でSランクギルド〈百鬼夜行〉にランク戦を挑んだ。

 万全に装備を調え、切り札を用意した。しかし、向こうはさらなる切り札を用意していて〈ミーティア〉は敗れた。

 そして、おそらくそれが最後の戦いだと思っていたのだ。

 しかし、チャンスはもう1回巡ってきた。


「でも、それも今日までよ。私たちはこの日のために更なる特訓をしてきた。今度こそ勝つわ! これが最後のチャンス、みなさん、力を貸して、今度こそ〈百鬼夜行〉に、打ち勝つのよ!」


「「「「おおー!」」」」


 先程とは打って変わり〈ミーティア〉のメンバーの心が1つになった。

 第一アリーナの準々決勝のフィールドは〈ドーナツクロス〉。

〈エデン〉の戦法を見る限り、対人戦を非常に警戒しないといけないのが分かる。

〈ミーティア〉のメンバーたちも今日までたくさん特訓を重ねてきた。

 今度こそ勝つのだ〈百鬼夜行〉に!


 ◇


 こちらは〈百鬼夜行〉の控え室。


「ホシ先輩、調子はどないや~?」


「バッチリ、と言いたいのよ。でもね、心はプルプル震えているのよ?」


「あ~、分かりますわ~。そういえばホシ先輩って〈エデン〉とやったこと、あらへんもんなぁ」


 そう会話しているのは片やギルド〈百鬼夜行〉のギルドマスター、ホシ。

 片やサブマスターで2年生のハクだ。

 その会話内容は、〈ミーティア〉ではなく、〈エデン〉についてだった。

 ここも同じく、〈エデン〉のやべぇ試合を見たばかりだった。


 ハクの方は割と冷静。これは〈エデン〉のメンバーとはクラスが同じで、よく知っているからだ。バトルしたことも何度かある。

 対してホシは見た目は毅然と振る舞えているように見えるが、心の中はガクブルしていた。〈エデン〉に慣れていないと普通はこうなるよね。


「切り替えんとなぁ、次は〈ミーティア〉やろ? 楽勝や。ほら元気出たやろ?」


「油断はダメ、と言いたいの。でも確かに〈ミーティア〉との戦歴は〈百鬼夜行〉が全勝、それもこの間のSランク戦ではこっちの圧勝だったの。正直準々決勝はラッキーだったのよ」


 運も実力のうち。

 前々から一度も自分たちに勝てたことのないギルドと準々決勝で当たったのだ。

 これが普通の反応である。

 

 準々決勝の勝ちはもらった。

 ベスト4に勝ち残るのは、おそらくSランクの4ギルド。

 なら本番は準決勝からだ。

〈百鬼夜行〉の感覚では、そんな感じ。


「〈ミーティア〉対策もしたの、〈ドーナツクロス〉フィールドでの作戦も考えたの。準備は万全なのよ」


「せや。――ここで負けたらアカンでみなはん。今度も〈ミーティア〉に打ち勝って準決勝へ勝ち上がるんや!」


「「「「おおー!」」」」


〈ミーティア〉対〈百鬼夜行〉の試合がもうすぐ始まる。




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
魔法使い、応援しているぞ……
これで負けたらミーティアはかっこ悪過ぎる!? ぜひとも頑張って勝ち上がって欲しいのだが、難しいかなあ。
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