#1751 ここに準々決勝へ進む8のギルドが決定した。
「〈集え・テイマーサモナー〉ーーー! ここでギブアップ宣言ーーー!」
「〈エデン〉を相手によく健闘しました。〈エデン〉とここまで戦える〈集え・テイマーサモナー〉は本当に強いですね」
「見事だったわ。〈集え・テイマーサモナー〉が育て上げたモンスターの数々、凄まじかったわよ。〈竜〉種なんて何体居たのかしら?」
「そんな上級モンスターの大群を打ち破ってしまった〈エデン〉! 最初に9城全てを手に入れてしまったことも含め、驚異の戦果だーーー! もう〈エデン〉を止められる者はいないのかーーーー!」
「白熱した戦いっぷりに会場は大きく盛り上がっていますね。9城を先取されてしまったのにもかかわらず、あの〈エデン〉を相手に小城マスの有利を取り、ほぼ全軍で〈エデン〉とぶつかった〈集え・テイマーサモナー〉には敬意を表します」
「これにて第1試合は終了、最初に勝ち上がったのは〈エデン〉だったわね」
◇
「さあ、とうとう時間となりました! 第一アリーナ、第5回戦、第2試合――続いては本校で〈エデン〉がいなければまさに最強と呼ばれたはずのこのギルド! あまりにやり過ぎてどこからもギルドバトルを挑まれなくなったヤバさは健在か――〈ギルバドヨッシャー〉戦が始まるぞーーーー!」
「相手は最近破竹の勢いでAランクギルドまで上がってきた、1年生モニカ率いるギルド〈天下一パイレーツ〉です!」
『やめてーーーーーー!?』
「おおっと片方のチームの控え室から何やら悲鳴らしきものが聞こえる気がするぞーーー! これは気のせいか!?」
「観客は盛り上がっているわね。主に〈天下一パイレーツ〉への期待が高まっているようよ」
「その期待がなんか勝利の方向じゃないのは気のせいかーーー!?」
「ここでお知らせです。〈ギルバドヨッシャー〉と〈天下一パイレーツ〉は一時的ではありますが、現在師弟関係にあるとのことで、この前も〈決闘戦〉で激しくギルドバトルをして鍛えて(?)いたところが目撃されています」
「戦歴は〈ギルバドヨッシャー〉が20勝で〈天下一パイレーツ〉が0勝よ」
「うわーーー! なんて絶望的な戦い! 師弟対決とか燃える展開なのに、なぜこんな組み合わせになってしまったのかーーーー!」
「しかし観客席の方々の顔が明るい気がしますね……」
「当然ね。みんな、期待が高まっているのよ」
「弟子が師匠を超える熱い展開を期待―――しているわけじゃなさそうなのはなんでだーーー!」
「みんなが待っているのは、あげて美味しい展開ね。その代名詞である〈天プラ〉たちがいないのが残念だわ」
「ではここで選手の入場です!」
「?? おっと〈天下一パイレーツ〉の面々、顔色が悪いぞーーー!? 大丈夫かーーーー!」
◇
少し時は遡り、〈SSランクギルドカップ〉前。
こちらは〈天下一パイレーツ〉のギルド内。
「こんのアホたれこたれ! 口ほどにもねえとはこの事でやがりますよ。なんで赤点なんて取ってきてやがるのですか! 赤点者は〈SSランクギルドカップ〉に出られねぇと散々教えたでやがりますのに!」
「「「「ぐぅ」」」」
赤点を取ってきた〈天下一パイレーツ〉のメンバーは僅か4人。
だが、この4人が問題だった。
もちろん言わずもがな、〈天プラ〉の4人だったのだ。
モニカがわなわなプルプル震えながら罵る理由も分かるだろう。
〈天プラ〉たちは「ぐぅ」の音しか出ない。
せっかく〈エデン〉に鍛えられ、上級上位ダンジョンへと連れて行ってもらい、偉業とも言われる六段階目ツリーを開放して〈SSランクギルドカップ〉の準備を整えてきたのに――赤点で出場出来なくなったのだ。
〈天プラ〉たちはモニカの説教を受け入れるしかない。
いや、ただ受け入れるなんてサターンたちがするわけがなかった。
「ぐぅ、だが、待ってほしい。今年は確かに無理だった。だが来年には!」
「ふふ、そうです。まだ来年があります!」
「そうだ! 次こそは俺たちが〈エデン〉を討ち取って優勝してやる!」
「俺様――」
「うっせーです! この具無し天プラ!」
「「「「具無し天プラ!?」」」」
ヘルクのセリフに被せる形でモニカが罵った。罵りたくなる気持ちも分かる。
だって〈天下一パイレーツ〉の主力を務める3年生、今年卒業だもん。もちろん【偽聖女】のエリエルも卒業だ。
しかし、まさかの「具無し天プラ」発言にはビビったようでサターンたちも固まった。
最近は「あげて美味しい〈天プラ〉さん」の人気っぷりを良いように解釈し始めたサターンたちだ。なぜだか〈天プラ〉としてのプライドが刺激された気分。
〈天プラ〉、あがらずに敗退。これほど屈辱的な事は多分無い。と思う。
揚げてみたら中身が無かったような感じだ、まさに「具無し天プラ」の汚名(?)を被る出来事と言えるだろう。
だが、そこでエリエルがとんでもないことに気が付いてしまったことでハプニングが起こった。
「具無し天プラ? それって揚げ玉。あれ? 揚げ玉って別名〈天かす〉って言いません?」
「「「「〈天かす〉!?」」」」
まさかの〈天かす〉さん誕生の予感!
なんてことに気が付いてしまったのかこの偽聖女は!
「それですエル! サターンたちは今後「あげたら中身が無かった〈天かす〉さん」と呼ばれて1年間過ごすのです!」
「「「「そんな称号嫌だーーーーーー!?!?!?」」」」
果たして〈天プラ〉の称号は剥奪されてしまうのか。
〈天プラ〉のいない〈天下一パイレーツ〉は〈SSランクギルドカップ〉に勝てるのか。
時間は〈SSランクギルドカップ〉の3日目へと戻る。
◇
「意外に勝ち進んで来ましたが、どうやらここまでのようでやがりますね」
「楽しかったですね。うん、でも意外すぎてワロタ!」
〈天プラ〉のいない〈天下一パイレーツ〉は、なんと4回も勝ち、ベスト16まで勝ち進んでいた。
うん、みんな六段階目ツリーを開放してるからね。これくらい当然だった。
〈天プラ〉たちの疎外感よ。
「俺様を忘れないでーー!」
「お、落ち着けヘルクーー!?」
ほら、観客席ではヘルクがあんなになってる。トマが必死に宥めている光景を2人でチラ見して、正面に向き直った。
主力のはずの〈天プラ〉がいないのに結構勝ち進んでしまった意外な結果もここで終わり、2人の前には〈ギルバドヨッシャー〉の面々がいたのだから。
「よろしくお願いいたします」
「混沌!!」
うわーん。絶対よろしくしたくないーとモニカとエリエルは心の中で思ったとかなんとか。
なお、結局〈天下一パイレーツ〉は〈ギルバドヨッシャー〉に勝てなかった。
◇
その後も6つの試合でドラマが起こる。
第二アリーナの1回戦では〈カオスアビス〉対〈世界の熊〉戦が勃発。
ここは元同門のギルド。最近は2ギルドでダンジョン探索することもあって仲が良い。
そんなところがまさかの衝突だ。会場はどよめいた。
初動では〈世界の熊〉が〈乗り物〉である〈クマライダー・バワー〉や、騎乗クマに乗って〈ロードローラー戦法〉で小城マスの有利を確保した。
ここでお披露目されたのは、〈世界の熊〉ギルドマスター、ガロウザスの新しいクマ。
――その名も〈クマエンジェル〉。
あのガロウザスの恐ろしい愛熊さんだった〈歴戦クマジロー〉が、なんか〈クマエンジェル〉になっちゃった!
これには観客も大いにどよめいていた。
なにせ【正義の熊】であるガロウザスと天使のクマである〈クマエンジェル〉により、味方を回復しながら戦っていたのだ。
「熊人」は回復が苦手なのでヒーラーが不向き。
それを2人でやることで補ってきたのである。〈クマエンジェル〉は味方回復も使えたのだ。だってエンジェルだし。
だが悲しいかな。対して〈カオスアビス〉のロデンは【大罪】職。
真っ向からの攻撃に恐ろしく強く、〈世界の熊〉の騎乗モンスターを次々飲み込んで退場させてしまったのだ。
【大罪】職対〈熊騎乗〉の戦い。
質対量の戦いでもあった。
つまり質に近づかなければ勝機はあったはず。
だが、ガロウザスは逃げずにロデンへ立ち向かった。
「ロデンよ! 最後の決着だーーー!!」
「さすがはガロウザスなんだね。よくここまで来たんだね。でも、僕が勝つんだね」
ぶつかるクマと暴食。
そして結果―――勝ったのはロデン。
第二アリーナの第1試合は――〈カオスアビス〉が勝利した。
◇
第二アリーナの第2試合では〈百鬼夜行〉対〈弓聖手〉戦。
ここまで上り詰めてきた〈弓聖手〉。
もう〈エデン〉に一方的に3分で退場させられたあの時とは違う。レミがハリセンで活を入れ、鍛え上げた〈弓聖手〉は、あの〈ミーティア〉を手本とする一斉攻撃が強力なBランクギルドに生まれ変わっていた。
そう簡単には負けないと挑むが。さすがSランクギルド〈百鬼夜行〉は強かった。
というかそもそも〈ミーティア〉との戦いを何度も経験している〈百鬼夜行〉にとって〈弓聖手〉の戦法は見慣れたもので。その対策ががっつり決まってしまった。
弓兵には遠くから、スキル無しのバフのみで通常攻撃を連射する戦法が存在した。それはまさにマスの減退に引っかからない遠距離射撃。
だが、〈百鬼夜行〉の行軍はまさに百鬼夜行。
そんな通常攻撃の矢で遅れを取るかと言わんばかりに侵攻し〈弓聖手〉を追い詰め、ハクによる火炎地獄が弓兵を飲み込み、降り注ぐ矢はホシが防ぎきる。
最後は〈弓聖手〉の本拠地を落として終了してしまったのだった。
第二アリーナの第2試合――〈百鬼夜行〉の勝利。
第三アリーナの第1試合は〈ミーティア〉対〈氷の城塞〉戦。
結果から言えば〈ミーティア〉が勝利した。
〈氷の城塞〉は大量の要塞を建築する戦法でやはり防御を固めてきたが、〈ミーティア〉の火力はそれをもぶっ壊したのだ。
超高火力と超要塞防御力は――〈ミーティア〉に軍配が上がった。
そしてまるでこの後戦う予行演習とばかりにがっつりと本拠地や城を落としまくり〈ミーティア〉が勝利した。
第三アリーナの第2試合は〈千剣フラカル〉対〈新緑の里〉。
〈新緑の里〉は最初から不利だった。
Bランク落ちしたために五段階目ツリーしか使えなかったのもそうだったが、エルフの人数も35人に達していなかったので人数差も最初からあったのだ。
おかげで〈千剣フラカル〉との戦いでは最初から不利。
最終的に〈千剣フラカル〉が〈新緑の里〉の本拠地を3度陥落させて勝利した。
第四アリーナの第1試合は〈獣王ガルタイガ〉対〈天使の聖剣〉。
ここまで勝ち上がって来た新進気鋭の「天使」ギルド、〈天使の聖剣〉。
そのうち20人が【アークエンジェル】【ガブリエル】【ウリエル】【ラファエル】【ミカエル】という狂ったギルドだ。【ミカエル】が複数体とかヤバすぎる。
【獣王】を欠いた〈獣王ガルタイガ〉ではこれは苦戦するか?
と思われたが、〈獣王ガルタイガ〉には天使に対する特効手段を持っていた。
それが〈天使縛りの鎖鉄球〉。これ、こっそり〈エデン〉から渡されていた【天使】職封じのアイテムである。
空を飛べない〈獣王ガルタイガ〉にはまさに福音。
天使たちの悲鳴が鳴り響いた。
かなり粘った天使たちだったが、残念。
結局【天使】以外のメンバーが先に退場してしまい、戦局が一気に〈獣王ガルタイガ〉に傾いた。【天使】たちも1人、また1人と〈天使縛りの鎖鉄球〉に縛られて落とされてしまい、最後は本拠地を攻略されて決着。
第四アリーナの第1試合は――〈獣王ガルタイガ〉が勝ち抜いた。
第四アリーナ、最後の戦いは〈筋肉は最強だ〉対〈中毒メシ満腹中〉。
ここは熱かった。下級職【味砲】の上級職、【黄金のフードファイター】が30人。
ミリアス作の六段階目ツリーの料理を食べ、『究極美味い砲』を撃ちまくるビーム兵器と化したフードファイターたちが所属するBランクギルド〈中毒メシ満腹中〉。
その実力は半端なく、料理アイテムが美味ければ美味いほど威力が大きくなる『美味い砲』系は、ミリアスの六段階目ツリーで作られた究極料理アイテムによって六段階目ツリー級の威力を誇った。要は美味ければ美味いほど威力が上がるビーム爆誕!
自前の『収納』スキルによって大量に会場に持ち込まれた究極料理を食べてはビームを発射、食べては発射し、なんとあの〈筋肉は最強だ〉のメンバーを最終的に10人も退場させる快挙を成し遂げたのだ。その中にはオルクも混ざってたとか。
しかも食べるとあまりの辛さにダッシュ力が爆発的に上昇する『爆辛ダッシュ』などで移動速度も完備。巨城を半数も取ったのだから凄まじい。
しかし筋肉たちも盛り返す。
筋肉もりもりの本気のビームが美味い砲ビームとぶつかったのだ。
筋肉ビーム対ぽっちゃりビーム、お互いがなぜかビームを撃ちまくる混沌会場に大変貌!
お互い体格が基本のギルドとあって、筋肉対ぽっちゃり、どっちが強いかという戦いに会場は大きく盛り上がった。
「こんなんで僕たちの食魂は、負けない~~~~~!」
「くっ、『サタンボディビームエターナル』を弾いた!?」
「なんてわがままな大胸筋なんだ!」
「いくぞーー『黄金のフードファイター』だ!! ――ガツガツガツガツ!」
「来るぞ! 筋肉! 筋肉! 真・筋肉サンビーム!!」
「――――『究極美味い砲』ーー!!!!」
「――――『真・サタンビームビッグバン』!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」
最後は〈中毒メシ満腹中〉たちによる奥の手、最高の料理を食べての一斉『究極美味い砲』を発射。筋肉たちの〈六ツリ〉『真・サタンビームビッグバン』がぶつかり合い、いったいどうなるのかと思いきや、ここで筋肉も奥の手を発動した。
「いくぞ全員、筋肉の底力を見せろーーー! 『パージ』!!」
「「「「「『パージ』!!」」」」」
瞬間、筋肉のタンクトップがボンッと音を立てて弾け飛ぶ。
筋肉究極パワーアップ。
ビームが極太ビームとなって美味い砲ビームを飲み込んだのだ。
「「「「「うおおおお我が食魂に栄光あれえええええ!?!?!?」」」」」
これが原因で〈中毒メシ満腹中〉は大きな被害を生み、そこへ〈筋肉ビルドローラー〉で筋肉たちが突っ込んだ。『タンクトップ』発動中でトップクラスの防御力を誇る筋肉たちはビームすらも弾き飛ばしながら激突。〈中毒メシ満腹中〉壊滅。
これにて筋肉が勝利し、〈筋肉は最強だ〉がベスト8に勝ち進んだのだった。
―――準々決勝へ進む8のギルドが決定した。
準々決勝進出
〈エデン〉
〈ギルバドヨッシャー〉
〈カオスアビス〉
〈筋肉は最強だ〉
〈ミーティア〉
〈千剣フラカル〉
〈百鬼夜行〉
〈獣王ガルタイガ〉




