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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十九章 〈SSランクギルドカップ〉戦―学園トップギルドは!?
2002/2078

#1746 〈集え・テイマーサモナー〉が大ピンチ!?




「は、はわわ!? 〈エデン〉と当たっちゃったー!」


「これは大ピンチ」


「ゼフィルスさんたちと、ギルドバトルですか!?」


 こちらは〈エデン〉と第5回戦で当たることになった〈集え・テイマーサモナー〉の面々。第4回戦を第三アリーナでやっていたが、朝一番の試合だったためすでに終わっており、第一アリーナへと観戦に来ていた。


 大きく盛り上がる会場とは裏腹に、ギルドは大パニック。


「負けたーーー! これは負けたよーーーー!」


「お、落ち着いてくださいカリン先輩!?」


 特にギルドマスターのカリンがオーノー状態だ。

【モンスターブリーダー】のアニィが落ち着かせようとするも、なかなか上手くいかない。だが、カリンが大慌てした影響で他のメンバーは、ちょっと冷静になった。


「落ち着きなさいカリン。ギルドマスターが慌ててどうするの」


「これは終わったよーー!?」


「――アイシャ、やっちゃって」


「え? やっちゃうの? いいけど――『シャドウバインド』!」


「はぐ!? むー、むー!?」


 サブマスターエイリンの容赦ない指示で自分たちのトップを拘束するアイシャ。

 なんだか遠慮の欠片も無い、慣れた手つきだった。

 全身を実体のある影で簀巻き状態にされたカリンが蓑虫状態で抗議する。

 なお、口まで塞がっているので抗議の声は聞こえない。


「さて、カリンが使いものにならないわ。アイシャ、次代のギルドマスターとして指示して」


「カリン先輩解いて良いかな?」


「だからダメだって」


 エイリンとアイシャのノリの良いやり取りに、対戦相手が〈エデン〉と知ってピシリと固まった空気がようやく和らぐ。


「こほん。では次期ギルドマスターとして、ありがたい話をみんなに聞かせたいと思います。後悔しても遅いよ」


「あ、後悔する前提なんですね?」


「悲しいことにね。アニィもこっちきて」


「えっと? はいです」


「むー!?」


 ここでアイシャのありがたいお話。

 次期サブマスターのアニィも、現ギルドマスターである簀巻きのカリンをチラリと一度見て――アイシャの方へ向かってしまう。取り残されるカリン。なお、しっかりエイリンが回収していったので多分セーフ。


「私はね、あの〈エデン〉の多くが所属する〈戦闘課2年1組〉の――クラスメイトなんだよ!」


「「「おおー」」」


 それはみんなが知っている。

 ――秀才アイシャ。

 1年1組の時から1度としてクラス落ちしたことが無く、テストでは学年でも10の指に入るほどの成績を毎回取っている秀才。つまり、あの〈エデン〉とずっと渡り合っている存在だ。次期ギルドマスターも、テイマーでもないのに満場一致で決まったほど。

 1年生ギルドメンバーなんてみんなキラキラした目でアイシャを見つめている。


 あの〈エデン〉に対抗出来る唯一の存在。そんな風に見られているのだ。

 そんなアイシャから告げられる魔の言葉。


「〈エデン〉のメンバーは、私より全然強いの。それが、50人近く居ます」


 絶望だった。

 100歩譲って秀才アイシャと同じくらいの実力としても、それがほぼ全メンバー。

 つまり、アイシャクラスを35人相手にしなくちゃいけないということ。

 自分たちの次期トップが35人。それも〈エデン〉をずっと間近で見続けたアイシャ本人の口から告げられたのだからとんでもない。


 だが、それはもう誰もが知っている周知の事実。ぶっちゃけそう言われても動揺することはない。

 なにせ〈集え・テイマーサモナー〉と〈エデン〉は、結構深い関わりがあるのだから。上級ダンジョンの奥地に居る、誰も見たことも無いようなモンスターの情報交換を盛んに交わしているし、なんならテイムしてきたモンスターを融通する仲だ。


〈エデン〉がテイムしてきた上級モンスターは〈集え・テイマーサモナー〉で引き取り、代わりに〈集え・テイマーサモナー〉で生まれたモンスターを渡したり、〈ファーム〉で〈エデン〉のモンスターたちの面倒を見たりしている。

 実は持ちつ持たれつの関係なのだ。お互いのことはよく知っている。

 故にアイシャの言葉はこっちが本命だ。


「だから、胸を借りるつもりで挑もう! 〈エデン〉には敵わないかもしれないけれど、今私たちが出せる全力で〈エデン〉に挑もう! 〈エデン〉なら、100%それに対抗策を講じてくるはずだから、それを参考にさせてもらうのよ!」


「「「おお~!」」」


 その発想は素晴らしいと言わんばかりにみんなのキラキラした目がアイシャに注がれた。

〈集え・テイマーサモナー〉の方針が決まった瞬間だった。現ギルドマスターのカリンを差し置いて。


「それではカリン先輩、そういう方針で良いよね?」


「ぷは!? 私が全く関わっていないところで私のギルドの方針が決まったんだけど!?」


「落ち着いたみたいねカリン。良いツッコミよ」


 ここでカリンを縛っていた『シャドウバインド』が解除され、元気になったカリンが勢いよくツッコミを入れる。

 簀巻き脱出から第一声がツッコミ。落ち着いた証拠だ。多分。


「むむ、釈然としないけど、アイシャに任せておいた方がよさそうだし……。私も異論はないかな」


 カリンが腕を組んでむむむするが、〈エデン〉を倒せるかと聞かれればノーと決まっているので何も言わない。


「当然、私もないわ。アニィは?」


「ないでーす!」


「あなたはギルドバトルに出ないものね。ちょっと羨ましい」


 エイリンとアニィも頷き、こうして満場一致で〈集え・テイマーサモナー〉の方針が決まったのだった。


 ◇ ◇ ◇


「さあーーー第5回戦が始まろうとしております! 第一アリーナの実況は相変わらず、この美しい実況者キャスと!」


「スティーブン、ゲストのユミキさんでお送りさせていただきます」


「第1試合は〈エデン〉対〈集え・テイマーサモナー〉ね。〈エデン〉の勝ちよ」


「だからそういうのはもうちょっと順序と流れを作ってからにしてーーーー!?」


「〈集え・テイマーサモナー〉。最近メキメキと力を付けてきている、Aランクギルドの中ではトップクラスのギルドです。まさかここで〈エデン〉と当たるとは。〈エデン〉と〈集え・テイマーサモナー〉はかなり仲が良く、交流も盛んだと聞きます」


「そうね。〈集え・テイマーサモナー〉と〈エデン〉は持ちつ持たれつの関係というのはよく聞くわね。どんな試合になるのか、とても注目なところよ」


「ではここでフィールドの選定だーーーー! 第5回戦のフィールドはいったいどこになるのかーー! 決まりました! ここは―――〈土勢山(どせいやま)〉フィールドだーーーー!」


「〈土勢山(どせいやま)〉フィールドですか! これはまた、速さと戦略が重要なフィールドになりましたね!」


「〈エデン〉も〈集え・テイマーサモナー〉もツーマンセルの速さには自信のあるギルド同士。これは面白いところに決まったわね」


〈土勢山〉は俯瞰して見ると、まるで中心が巨大な山に見えるように障害物(観客席)が配置されており、観客席と巨城によって道が複雑に入り組んでいるフィールドだ。

 死角が多く、待ち伏せや奇襲が非常に成功しやすい他、フィールド自体も大きくてなにより速度が求められる。

 巨城は9箇所。お互いの本拠地からちょうど中間地点に3城の巨城があるため、これらを取り合う形だ。


「ではここから〈エデン〉と〈集え・テイマーサモナー〉の作戦タイムに入る模様です」


「10分後に試合開始、それまでにこのフィールドでどれだけの作戦を練ることができるのかーーー! 出場選手は!? いったい誰が出てくるのかーー!」


「試合開始が待ちきれないわ。とても楽しみね」





挿絵(By みてみん)

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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
「それが、50人近く居ます」ここテストにでるから忘れるなよ~
エデンと当たると絶望しかないのだな。 最初から喜べるのはギルバトくらいか?
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