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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十六章 〈エデン〉VS〈天下一パイレーツ〉ランク戦!? 六段階目ツリーの大お披露目!

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#1641 分断接近戦!突っ込めルルVS忘れられたヘルク




 落下して沈黙する幽霊船にポカンとするモニカたち〈天下一パイレーツ〉。

 だが、ポカンとしたのはモニカたちだけじゃなかった。


「え? あれ? 一撃? 回避行動しないの??」


 予想外に一撃で沈んだ幽霊船に俺たちも思わずびっくりしてしまった。マジ? エステルなら回避行動は基本、みたいに避けてくるのに。直撃しちゃった!

 エステルも驚いたようで、わざわざ運転席から移動して顔だけ出し、俺に指示を仰いできたんだ。


「ゼフィルス殿」


「こほんこほん! 目標の撃破を確認した! 戻れエステル! 当初の作戦通り行くぞ! カイリは〈戦艦〉を回収! 〈イブキ〉を出してくれ!」


「了解!」


 うむ、〈戦艦〉は優秀だった!

 でも動かすのは練習不足でここまで、ということにして当初の作戦通り進めることにする。


「遠距離攻撃組は攻撃再開! 正面に引きつけろ!」


「「おおー!」」


 俺はそう指示してモニカが得意な距離で攻撃をぶっ放した。


 見ればロゼッタが突っ込んだ列車が良い感じに帰ってくるところだ。

 良いタイミング!


「!! モニカ、後ろだ!」


「通過した列車が帰って来た!?」


 そう、先程突っ込みそのまま通過したロゼッタがUターンして、今度は〈天下一パイレーツ〉の後ろから接近してきたのである。

 つまり、前後からの挟撃だ!


「突っ込みます! 『破槍車(はそうしゃ)轟螺旋突撃(ごうらせんとつげき)』!」


「今度はドリルだとーーーー!?」


 先程のファランクス突撃とはまた違う、今度はドリル突撃だ!


「な! 全員回避しやがれですーーー!!」


「「「「わあああああああああ!?!?」」」」


「あああ!?」


「1人轢かれた!」


「ドリルには勝てねぇよ!?」


 慌てて後ろから来る列車の両サイドに飛んで回避する〈天下一パイレーツ〉たち。

 さすがにドリル列車が接近してきたら逃げるしかない。


 だが、今度のロゼッタには続きがあった。

 なんと〈天下一パイレーツ〉の陣の中心を食い破ると、そこで停車したのだ。


「止まった!?」


「『列車砲・サイドレイドスラストキャノン』!」


 瞬間シャーとドアが開いて出てくる両サイド砲。


「え?」


 レイドの名の付くとおり、大量の砲が列車の側面(サイド)から顔を出したのだ。

 陣のど真ん中をまるで駅のように停車した列車から、扉が開くと同時に人じゃなくて砲が出てきました。どうしますか?


「発射!」


「嘘だろ!?」


「「「あああああああ!?」」」


 突然陣地に放たれまくる槍の砲撃たち。〈ブオール〉の両サイドに分断された〈天下一パイレーツ〉が、さらに崩れた瞬間だった。


 もちろん俺たちもそこに駆けつける。


「今だーー! 下車して乱戦に持ち込みつつバラけさせろ!」


「「「「おおー!!」」」」


〈ブオール〉は〈乗り物〉。

 当然のように砲の次は〈エデン〉メンバーたちが出てきて、〈天下一パイレーツ〉の陣はさらにめちゃくちゃになる。


「マズいでやがります! あの列車は分断のためでもあったでやがりますが、接近戦に持ち込むためのものでもあったですか!?」


 モニカの声が聞こえてきて思わずニヤリとなる。

 まさにその通り。この〈ブオール〉の突撃&停車はただの攻撃(アタック)じゃない。

 相手の陣の分断と同時に接近戦に持ち込む布石でもあったわけだ。


 インダクション系のユニークスキルを使う相手には、まずは接近することが大事。

 遠距離攻撃は防がれちゃうからな。

 確か前にもあったなぁ。あれは〈テンプルセイバー〉と戦った時だったか。あの時も【騎士】のユニークスキルがインダクション系で、遠距離攻撃を封じてきたんだ。


 そういう相手には基本無視最善だ。

 遠距離攻撃を引き寄せる系のユニークスキルは術者があまり行動できないことが多いため、無視して突っ込み接近戦に持ち込むのが正解。

 あの時はリカに先陣を切ってもらって切り崩したんだよなぁ。


 今回も基本は同じだ。

 だが今回は上級職、しかも【大罪】職である【強欲】が相手。

【強欲】はユニークスキルを発動しながら防御スキルなども発動して味方を庇うことが出来るので超厄介。下手に突っ込むと手痛いしっぺ返しを食らうことがあるため、まずは遠距離攻撃を使って正面に注意を引きつけ、後ろから〈ブオール〉でど真ん中を食い破って乗り込むのが今回の作戦だった。


 誰しも得意なアドバンテージのある場所で戦いたがる。

 遠距離攻撃が山のように降り注げば自分の出番だと集中するというもの。

 そこを後ろからちゅどーんと突撃。

 相手の陣を分断し、崩し、接近戦に持ち込んだのだ。


 ◇ ◇ ◇


「とう!」


 そんな可愛らしくも勇ましい、力強い声が〈前線〉に響き渡ったかと思うと、〈ブオール〉から幼女が飛び出してきて【エクスキューショナー】男子に襲い掛かってきた。


「ああ!? 〈幼聖〉だーーーー!?!?」


 もちろん、この幼女を知らない者はいない。【エクスキューショナー】男子がルルの二つ名を勢いよく叫んだ。


「隙あーりなのですー! 『大回転超切斬』!」


 それは〈六ツリ〉の周囲範囲攻撃スキル。

 なぜルルが単体で〈天下一パイレーツ〉のど真ん中に飛び込んで来たのか。それは、この攻撃に巻き込んでしまうからだ。


「『断罪の―――のあああああ!?」


「『シル――のおおおおおお!?」


「『首――ああああああ!?」


 突然降り立ったルルの攻撃はまさに神速。

 相手がスキルを使う前にスキルを打ち込む。

 ルルの一方的な攻撃術の始まりだ。


 ぐるぐるぐるんとルルが回転しながら剣を振ると、自分を中心に回転の斬撃が周囲に広がり、半径10メートルにも渡って〈天下一パイレーツ〉を吹き飛ばしたのである。

 ただでさえ〈ブオール〉が陣の中心に停車し、〈天下一パイレーツ〉たちを分断しているのに、この吹き飛ばしは致命的だった。崩れたところへさらにルルが飛ぶ。


「とう! 『デュプレックスソード』!」


「ぎゃああああああああ!?」


「ああ!? ニシムーがやられたぞ!?」


「早っ!? それになんだこの威力は!?」


「ああ!? 他にも〈エデン〉たちがーー!?」


 もちろんルルの攻撃で崩れたところを逃すはずもなく、さらなるメンバーたちが〈ブオール〉から飛び降りてきた。


「ぜ、全体を回復する! 『オールハイヒーリング』!」


「ナイス、ポリス!」


「うおおおお! 反撃だー!」


「返り討ちにするのです!」


 一気に大混乱。乱戦が発生したのである。

 ルルの斬り込みで【エクスキューショナー】男子1名が退場。ほとんどのメンバーがとんでもないダメージを負ったのだ。


 これはルルの〈六ツリ〉パッシブスキル『ヒーロー剣スペッシャル』と『ヒーローオーバーブースト』が大きく関わっており、『ヒーロー剣スペッシャル』は左手装備無しの片手剣装備の場合、『デバフ系無効』『剣攻撃威力大上昇』を得るという有能スキルだ。


 さらに『ヒーローオーバーブースト』はSTRの『オーバーブースト』系。

 つまりSTR1.8倍だ。


 まさに鬼に金棒。

 ヒーローにパワーアップは必須なのだ。さらに、


「『英勇覚醒』なのです!」


 ここでルルの武器〈英勇剣(えいゆうけん)・ガイア〉の武器スキル、『英勇覚醒』を発動して2分間DEX以外のステータスが1.5倍にパワーアップ。1ギルドバトルに1回しか使えないスキルだが、ルルは躊躇なくこれを使ってきた。


「とう!」


「ああ!?」


 ただの通常攻撃で吹っ飛ぶ男子。だが、ポリスが回復していたためセーフ。

 そこへ、


「俺様に任せろー! 『オーラ・ギガ・ボディ』! 久しぶりだな〈幼聖〉よ!」


「! おっきな人きたのです! どなたです!?」


「ええ!? 俺様が忘れられてる!? 元クラスメイトの俺様を忘れてもらってはこまるぞ!?」


 ここへ来たのはヘルクである。

 巨大な盾でルルの攻撃を受け止め、なんとか追撃を阻止したのだ。

 さすがはタンク。

 モニカにタンク役の全てを取られていたわけじゃなかったのだ。

 なお、ヘルクとルルは1年生の頃同じクラスだったこともあったのだが、ルルに見事に忘れられていた模様。ヘルクは驚愕した。


「はっ!? そのセリフは覚えているのです! ――あ、安心するのです! ゼフィルスお兄様がそんな時にやれって言っていたことがあるのです!」


「なに!? あのゼフィルスがか!」


「あい! 相手を倒して、うやむやにしてしまえば良いのです!」


「それは証拠隠滅ではないか!?」


 なにかルルにとんでもないことを教えていた疑惑が出てきたゼフィルス。

 もちろん冗談であるが、純粋なルルは真に受けてしまったようだ。

 だがルルの剣に陰り無し。すぐさまゼフィルスの教えを実践した。


「ととうとう!」


「な、これが通常攻撃の剣の重さか!?」


 巨大な両手盾を片手で持つことが可能なヘルクは、剣士との相性がすこぶる良い。

 にもかかわらずなんか押し込まれそう。


「『超戦士バッシュ』!」


「にゅ! 『クレセントスラッシュ』なのです!」


 そしてヘルクのシールドバッシュとルルの範囲攻撃が激突。

 ヘルクはまたも仲間を庇いきる。

 だが忘れてはいけない。ルルは倍速なのだ。


「『ヒーロー・バスター』!」


「のああああああああああ!?」


「ヘルク! 『ハイヒール』!」


「今だ! 〈幼聖〉に攻撃を! 『怒り(いかり)投げ』!」


「させないわ」


「のぁに!? また巨大盾がーー!?」


 ヘルク、吹っ飛ぶ。

 その勇姿は忘れないとばかりに〈天下一パイレーツ〉がルルに攻撃を叩き込もうとするが、いつの間にか近寄っていたシエラの盾に阻まれたのだ。

 マジこの小盾、いや、むしろ今は巨大盾? 強すぎじゃない?


「ルル、温存せず使って良いわ。一気に数を減らすのよ」


「あい! ルル、使い切る気持ちで撃つのです!」


「! なんかヤバい攻撃がくるぞ!」


 いつの間にかルルから距離を取っていた〈天下一パイレーツ〉のメンバーたちへ、ルルが攻撃を叩き込む。もちろんそれは六段階目ツリー、ルルの新しい必殺技だ。


「『ヒーロー・セイバー・モーメント』!」


 これまた特大の範囲攻撃。

 発動した瞬間、光の集まった巨大な剣が刹那の間に横薙ぎに振られ、何人かの〈天下一パイレーツ〉メンバーが斬られたことにも気付かず退場していった。




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
ルルの活躍ぶりにシェリアはきっと凄いカオをしていることだろう。多分乙女にあるまじきカオを。
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