表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十六章 〈エデン〉VS〈天下一パイレーツ〉ランク戦!? 六段階目ツリーの大お披露目!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1869/2088

#1635 ぶつかるモニカVSパメラ。強欲VS忍者スキル!





「…………あんのおバカたち、口ほどにもないでやがります!」


 初動がほぼ終わり、ギリギリのところで〈東3巨城〉を確保したモニカが上空スクリーンの点数を見上げてそう愕然として叫んでいた。


 そのポイントは。

 ポイント〈『白18,110P』対『赤3,290P』〉〈ポイント差:14,820P〉。

 〈巨城保有:白8城・赤1城〉

 〈残り時間1時間50分11秒〉〈残り人数:白50人・赤38人〉


 もちろん〈白〉が〈エデン〉だ。


 そう、なんと言うことか。

〈エデン〉は現在モニカが獲得に成功した〈東3巨城〉以外の全ての城をゲットしてしまったのだ。


 上空スクリーンを見たモニカは一瞬なにかの見間違いかと固まり、数秒くらいしてようやく事態を理解して震え声でそう言ったのである。

 ゼフィルスが好きそうなツッコミだった。


 散々イキッていたサターンたちは、全く巨城を落とせていなかったのである。

 ここへはモニカと熱狂的なモニカの手下の5人を連れてきたに過ぎず、重要な〈北巨城〉や〈東1巨城〉〈東2巨城〉、そして〈東4巨城〉はサターンたち元〈天下一大星〉や元〈カッターオブパイレーツ〉たちに任せていたのであるが、結果はこの通りである。


「というかサターンたちは何してたんでやがりますか!? 北側全部取られてるじゃねぇですか!」 


 モニカが叫びたい――というか叫んだ。気持ちは分かる。

〈北巨城〉の先取(せんしゅ)で〈エデン〉に負ける。これは分かる。うん、分かる。モニカは分かってた。


 だが、その後の〈東1巨城〉と〈東2巨城〉は分からない。〈ギルバドヨッシャー〉の話をちゃんと伝えていたはずだが。

 サターンたちだって「ゼフィルスはきっと北に乗り出してくるはずだ! 初動は我々に任せてもらおうか!」などと言っていたが、あまりにも……いや、〈エデン〉が凄すぎるのか。あのサターンで止められると思っていた自分も悪いとモニカは思い直した。


 なにせモニカも〈東1巨城〉と〈東2巨城〉を取られるとは思っていなかったんだから。

 特に〈東2巨城〉は、赤本拠地の東側にあるのだ。白本拠地からだと赤本拠地の裏側である。ここを取られると思うこと自体が難しいだろう。たとえ〈ギルバドヨッシャー〉からアドバイスを受けていてもだ。

 だが、結果は結果だ。どうやったのかは後で分析するしかない。


 モニカは結果を受け入れてちょっとぐぬぬしたあと、冷静に立ち直ろうとした。


「ええい。まだ負けたわけじゃないでやがります! 巨城は1城取れたんです、まだ勝ち筋は残ってるでやがります! 小城のマス取り、全力でいくでやがりますよ!」


「姉御!」


「今度はどうしたです!」


「西に〈エデン〉の部隊が待ち構えています!」


「逃げ場が塞がれていやす!」


「……やっべです!!」


 モニカが振り向けば、そこに居たのはパメラ、ミジュ、ノエル、セレスタンの4人組。

 実はここ〈東3巨城〉は、北と南を観客席で挟まれた位置にある。

 ノエルたちが迂回して回ってきた北の観客席と、〈東4巨城〉へ向かうにも一度迂回しなければならない南の観客席。その中間にあるのが〈東3巨城〉である。


 さらに東側にはフィールドの壁があり通行不可。

 つまりは、西側にしか通路がないのである。

 そして、その西側には〈エデン〉が出待ちしていたのだ。

 てっきり小城マス取りにでも行ったかと思ってたが、ずっとそこで張り付いていた。もちろん、〈東3巨城〉を落とした赤チームのメンバーを討ち取るためである。


 パメラとミジュは〈東3巨城〉を取るためにやって来た〈スタダロード戦法〉のツーマンセルである。

 もちろん、ノエルとセレスタンを派遣したゼフィルスは、こうなることが分かっていた。分かっているから派遣したと言える。

〈東3巨城〉が落とされていないのであれば、差し込みが狙えるし、狙えなければ〈東3巨城〉を落として意気揚々と帰ろうとする相手を出待ちできる。


 故に、自分たちが9人というとんでもない人数を相手にする時にノエルとセレスタンを〈東3巨城〉へ送った経緯があったのだ。


 そして、今まで〈東3巨城〉へ来ることを封じていた保護期間(バリア)が明けた。


「さぁ、開幕の時間デース!」


 新しいピンク色の〈目立ちNINJAシリーズ〉装備を着たパメラが忍者ポーズ(?)のままそう言った。何が開幕するかは分からない。


「ノエル様、お下がりください。あなたには指一本触れさせないとお約束しましょう。――ミジュさん、いけますね?」


「もち」


「それじゃあ歌っちゃうよー! 『プリンセスアイドルライブ』! 『リズム・メロディ・ハーモニィ』!」


 ああ、こりゃダメかもしれない。

 私はともかくこいつらが。

 そう、思いながらモニカは背中の盾を両手で持って構える。

 特にかっこいいワイルド気味な黒執事服を着たセレスタンの気迫がヤバすぎた。


「モニカさん、指示をくだせぇ!」


「モニカの姉御!」


「モニカ様!」


「! そうでやがりますね。――あんたたち、あたしらは全力で本拠地に戻るですよ! 気合い入れろでやがります!」


「「「「「おおー!!」」」」」


「突破するですよ! 『我、強欲の化身、全てを我に奪われよ』!」


 ズン、と踏み出す第一歩。それと同時にモニカがその専用装備、〈無限欲望盾〉の先で地面を叩き、それを発動する。すると、その効果は顕著に訪れた。


「へ!? あれ!? バフが無くなっちゃった!?」


「うおっし! 漲ってきたですよーーーー!!」


 まだマスを挟んでいるにもかかわらず、ノエルのバフが消えた。

 否、奪われたのだ。


「ノエル様、バフはやめた方が宜しいようです」


「うそ!? 私のアイデンティティが!?」


「ノエルのバフが奪われたデース!?」


「マス挟んでも取られる? ……相性最悪」


 そう。

 モニカの職業(ジョブ)は【強欲】。奪う者である。

 そのユニークスキル『我、強欲の化身、全てを我に奪われよ』は強奪だ。

 バフを初め、ヘイト、必中攻撃を含む多くの現象を自分に引きつけてしまう、欲望の化身たる強スキルである。


「バフの全てはあたしのものでやがります!」


「よ、さっすが姉御! 一生ついていきやーす!」


「ついてくんなでやがります! それよりかかれー!」


「うおっしゃー!」


「む~! 私のバフを奪うとか、ちょっとダメなんじゃないかな!?」


「私とセレスタン先輩で相手する」


「了解しました」


 ここでチーム分け?

 5人のアタッカーたちが攻撃を仕掛けんとする。そこに割り込むのはミジュとセレスタン。

 パメラの相手は自然とモニカとなった。


「やるデスね! ならタンクさんは私がやるデスよ――『忍法・一体分身の術』!」


「いっくデスーーー!!」


 まずは小手調べ、と言わんばかりにパメラが出したのは1体の分身。

 これは〈六ツリ〉で使えるようになった分身だ。

 たった1体? と思うかもしれないが、そのクールタイムの短さと効果時間の長さが売りである。

 本当にクールタイムが短く、たった10秒で2体目を生み出せるほか、2体目を生み出しても1体目は消えないし、なんなら下級職のユニークスキルとの併用も可能。


 今回のように、小手調べで敵陣に飛び込ませることも可能なのだ。しかも。


「『忍法・(えん)爆裂丸(ばくれつがん)』デース!」


 飛び込んだ分身体は、独立行動してスキルまで使うのである。

 まるでシェリアの大精霊のような、超強力な分身体だ。だが。


「効かないでやがります。『強欲の手』!」


 瞬間、顕現したのは大きな黒手袋が1つ。

 それは分身パメラの攻撃を掌で受け止め、握りつぶしてしまったのだ。

 しかもそれだけでも消えず、分身パメラに襲い掛かったのである。


「なんデスかそれは!?」


「掴まったらHPやMPを全て吸い取られやがる欲望の手ですよ。しかも防御スキルの一種なもんでやがりますから多少の攻撃では消えもしねぇです」


「なにそれ強すぎるデスよ!?」


 こちらも独立行動する手だ。

 分身パメラの方が速いため躱し続けているが、掴まれば一瞬で分身は消えてしまうだろう。


「10秒デス! 『忍法・一体分身の術』!」


「いっくデース!」


「! 2体目でやがりますか……!」


 2体目。

 これこそがパメラ分身のスキルの強み。

 時間はパメラの味方だ。

 2体目のパメラがモニカに飛び掛かる。


「そういうことでやがりますか! ですが、飛び込んで来ていいんでやがります? 吸い込みやがれです!」


「ぬお!? おおおおおおおおデーー!?」


「『接触吸生(せっしょくきゅうせい)』!」


「んな! 2体目の私が盾に吸い込まれたデース!?」


 しかし、なんと2体目の分身パメラはモニカに近づいたところで急に盾に吸い込まれ、消滅してしまったのだ。


「ふははですっ! さっき発動したユニークスキルの効果ですよ! あたしには分身、眷属、召喚、テイムモンスターの類いは効かないのでやがります!」


「えええ!?」


 モニカがドヤ顔で告げ、今度はパメラが驚いた。

 まあ、これはハッタリも含んでいる。じゃなきゃ自分の能力をわざわざ告げたりはしない。


 モニカのユニークスキルは自分に引きつける効果。

 それは相手の攻撃スキルもそうだが、分身や眷属なども引きつけてしまう。

 そして〈無限欲望盾〉に触れると、特に分身や召喚で顕現していたタイプは消滅してしまうのだ。理由は〈無限欲望盾〉に色々吸い取られてしまうから。

 実体を維持できなくなってしまうのである。


〈無限欲望盾〉の盾スキルは『接触吸生(せっしょくきゅうせい)』。

 この盾に接触しているものに発動するとエナジー的なものを吸収されて、特に召喚体などは身体が保てなくなるのだ。つまりは分身・召喚の打ち消し効果である。さすがはタンク。

 ゼロ距離というのがネックだが、もちろんこの盾とコンボで使うのが、ユニークスキルの『我、強欲の化身、全てを我に奪われよ』である。こちらは発動中。


 これは一定以上近づいてきた分身・召喚の全てを引き寄せ、自分の盾で吸い込んでしまうコンボ。もちろん術者であるモニカがダメージも食らうこともあるが、その後の吸収でHPとMPを回復できるので問題は無い。

 さらにトモヨの『エルシール』に近い効果もあり、一度盾に接触したら逃げられない。非常に強力なコンボであると言えるだろう。


 相手の召喚体などを消してしまうとか、なんていう大罪。


「でも、今ならクールタイムのはずデース! 『忍法・一体分身の術』!」


「またそれでやがりますか! ならあたしも見せるですよ、【強欲】はこんなこともできるんでやがります―――『心身強奪(しんしんごうだつ)』!」


 放たれたのは透明な手。

 それは回避行動を取った分身パメラ3体目に構わずぶつかると、ズポリと身体から何かを抜く動作をして消えていく。

 そして分身パメラの3体目は、


「反旗を翻すのデース!」


「な、なんデスとーーー!?」


 分身3体目が――〈天下一パイレーツ〉に寝返った。

 これが分身、眷属、召喚、テイムモンスターが相性最悪と呼ばれる、【強欲】の『心身強奪』――心変わりのスキルだ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
強欲対策教えてないのはありえなくない?
ここ、敵にスキルの詳細をわざわざ説明してるのなんで? 「なんデスかそれは!?」 「掴まったらHPやMPを全て吸い取られやがる欲望の手ですよ。しかも防御スキルの一種なもんでやがりますから多少の攻撃で…
ずるいから禁止でメタれそうだけどそうでも無いのかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ