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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十六章 〈エデン〉VS〈天下一パイレーツ〉ランク戦!? 六段階目ツリーの大お披露目!

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#1617 集団〈パージトラキ〉の『頭吹っ飛んだ』攻撃




 それからも様々な実験でモンスターの効率的な撃破方法を探っていった。


「やっぱ遠距離攻撃はマストだな。相手の懐に飛び込むのは無しで、基本こっちの懐に飛び込んで来てもらうようしっかりヘイトをコントロールするのが肝要だ」


「ですわね。攻撃だけでは飛びついてこない種類もいましたが、ほとんどはヘイトを稼げば出てきますし、やはりタンクが重要ですわ」


 タンクを前に出して壁を作り、一斉にヘイト稼ぎを行なってもらうと、モンスターは攻撃しながらも続々と塀や柵を乗り越えてこっちに襲い掛かってくる。

 遠距離攻撃で数を減らしつつ、タンクが勢いを止めたところに物理アタッカーを投入して一気に削り取るのが今の戦法だ。


 こっちには戦闘できる人物が約50人もいるのである。

 数で勝っているのだから集中的に狙われるようなことをしなければ勝利は堅い。


「ですがこの光景は、何度見ても驚きますわね――『守護防陣(しゅごぼうじん)』! 『決戦兵砲・ノヴァブレイカー』!」


 リーナがエリア防御バフの『守護防陣(しゅごぼうじん)』を使い、さらに兵砲で遠距離攻撃を叩き込む。

 集団対集団戦は、リーナと非常に相性が良い。

 

 ここでリーナが使っているのがエリア魔法だ。エリア魔法とは場所、空間を指定して発動するタイプの範囲魔法だな。

 陣地形成とも言える魔法により、そのエリアにいる味方全員にバフを与え、敵にはデバフを与える。強力な魔法だ。


 ただ、ゲームではここに味方の陣形を操作し、防御陣形や突撃陣形に変更する効果も入っていたのだが、それはリアルでは無くなっているのがちょっと辛いところ。

 おかげでギルドバトルでは中々思うように使えず、陣地形成魔法はあまり使ってこなかった経緯があった。

 だが、足を止めての集団戦ならば大活躍だ。


「『滅妨害陣(めつぼうがいじん)』! 『殲滅兵砲・エクスプロージョンノヴァ』!」


 さらに相手の状態異常攻撃の成功率を下げる妨害の陣地を形成。どんどん砲撃を撃っていく。


「今ですわ、攻撃パターン! 『進軍攻陣(しんぐんこうじん)』! 『援護兵砲・タクティカルキャノン』ですわ!」


 十分に引き寄せたところで攻撃パターンに変更。陣地のエフェクトの色が攻撃色を帯びたことで攻撃力バフを得た物理アタッカーが飛び込んで行く。リーナ自身も援護兵砲でそれを援護し、戦況はあっという間にこちら側の有利になっていく。


「おお~、見事なもんだぜ」


「やっぱりリーナちゃんは格強だよね~」


 それを真横から見るのは俺とシャロン。ちなみに格強は格別に強いの略らしい。うむ、よく分からん。

 実はここ、シャロンが『城門召喚』で作った城門、その天辺部分だ。


 城門から見下ろす形でリーナが指揮を執り、場合によっては城門を開いて援軍を送ったり、仲間を引き上げさせたりと、まさに合戦の如く戦っていたりする。


 なんでこうなったのか。

 いや、なんか効率の良い方法を探して、まずは安全性などを重視した結果、ギルドバトルでいつもやっているシャロンとリーナが組むあれが一番安全なんじゃないか、という結論に至り、まずは防御重視で戦闘をこなしてみたのだが、その後に俺がリーナに陣地形成魔法を使ってみるよう勧めて、気が付いたらこうなってた。


 相手が陣地にいるのであれば、こっちだって陣地を作るべき。

 それが安全で効率的な勝利に繋がる、みたいな方法になっていたのだ。


 これが中々面白い。


「これはもうパーティがどうこうではないよね。完全に総力戦、は言い過ぎにしても、集団対集団の戦いになってるもん」


「だな~」


 ここに来てまず俺がしたのは、パーティという概念のぶっ壊しだ。

 今まで俺たちはパーティを組んできた。というかパーティを組まないとダンジョンに入ダンできないまである。

 故に、ダンジョンでの戦闘とは、パーティ戦が大前提、そんな固定観念があったのだ。実際始めた当初はパーティで行動してたしな。


 しかし、見て分かる通り、すでにパーティ毎で動いていない。

 まるでギルドバトルのように、約50人もの人数が1つの目的に向かって動くという、集団戦(レイド)バトルもかくやというものになっていた。


 そう、レイドである。

 ここは上級上位ダンジョンのランク4にして〈61エリア〉。

 最上級ダンジョンまで、もう少しというお膝元に近い位置である。

 故に、最上級ダンジョンに向けた練習を少しずつやらせてくるのである。


 最上級ダンジョンになると、レイドボスが登場する。

 その時に活用するのは、集団戦だ。

 まず単パーティでは勝てない。そのため集団戦が大前提となる。

 その集団(レイド)戦をここで練習することができるのだ。

 なにせ、レイドボスもハンディが加算されないのは同じ。つまりは全く同じ条件でバトルできるのがこのダンジョンだ。練習にはもってこいだな。


 まあ、気が付かずになんとかパーティで乗り切ろうとする人も居るだろうが、ここはギルド全軍で戦うのが吉である。

 ギルドメンバーが増えれば増えるほど難易度が下がっていく仕様でもあるので、ここでメンバーを増やしておけよという開発陣からのメッセージでもあるのだろう。

 実際ゲームではAランクギルドやSランクギルドになってから挑むようなダンジョンだったしなここ。


 リーナにはたっぷり練習してもらわないとな。


「やはり〈エデン〉のタンクはとても優秀ですわ。まず突破されませんもの。それに突破されたとしてもこの城門はすぐには突破されず、すぐに討ち取ることができますし」


 ここでドヤりながら「あれは俺が育てた」とかやりたい気分。しかし。


「油断するなよリーナ、ほら、来るぞ! 『サンダーボルト』!」


「頭~~~~!?」


 リーナが感想を漏らし、もう殲滅できますわね、という雰囲気を出した直後。

 敵さんである〈パージトラキ〉という名の樹系モンスター、その頭が吹っ飛んでこっちに発射してきたのである。


「「「頭吹っ飛んだー!?」」」


「ナイスリアクション!」


 そう、今の敵は〈トラキ〉の進化系、〈パージトラキ〉の集団だったのだ。

 こいつらはなんでそっち方向に進化したのか知らないが、HPが無くなる寸前になると集団で(ヘッド)っぽい部分を発射し、後方のキャラを狙ってくるようになったのである。


 こっちに飛んでくる10を超える〈トラキ(ヘッド)〉にさすがのシャロンもびっくり仰天だ! だが、それが美味しい。

 ちゃんと美味しく殲滅したぞ!


「なんですの今の……」


 リーナも微妙に放心していた。分かる。


 まったく、やってくれたよあの〈トラキ〉の進化系。

 上級下位(ジョーカー)では頭は真上に吹っ飛んでどこかに行ってしまうという謎仕様だったが、上級上位(ジョウジョウ)では後方部隊にヘッド突撃をかましてくるからな。


 なんでそっちに進化しちゃったのか。いや、割と結構なダメージを食らう上に後方がダメージを受けると流れがガラッと変わってしまうこともある危険な攻撃なんだが、なぜ頭が吹っ飛ぶんだ?

 謎なんだぜ。


「まさか上位でも『頭吹っ飛んだー』と叫ぶことになるなんて思わなかったな」


「普通は思わないもんねそんなこと! ああ~、うん。ちょっとびびった~」


 シャロンから「びびった~」いただきました!


 そんなよく分からない仕様がありつつも俺たちは順調に陣地を襲撃して回った。


「あれは、エリアボス、ですわね」


「エリアボスが1体、大型モンスターが4体、通常モンスターがいっぱい。おそらく40体ほどですわ。間違いなくこの1層で一番大きい群ですわね」


 階層門に向かって進んでいると、一際大きい集団を発見。

 普通は単体のエリアボスが、なんと大量のモンスターに囲まれているという光景。

 もうこれだけで1パーティでは抑えられないと分かるだろう。


「スルーして後ろを突かれても面白くありませんわ。殲滅しますわよ!」


「「「おおー!」」」


「城門出すよ~『城門召喚』!」


 シャロンがリーナの側に寄ってきて『城門召喚』を唱えれば、足下から「にょき!」と力強く生えた城門がリーナとシャロンを押し上げる。

 気が付けばリーナたちは城門の天辺に居た。


「リーナ、指揮は任せる。俺も前線に加わるからー」


「了解ですわ! ご武運を!」


 俺はそれに乗らず、下からリーナに前線へ行くと告げてグッドラックし、ボス戦へと挑んだ。

 リーナたちもだいぶ慣れたことだし、俺が側に居る必要はもう無いだろう。


 問題はボス戦だ。

 通常モンスターとは違い、実はボスにはハンディがある。

 え、なんで? と思うかもしれないが、ボスを50人の集団で囲ってボコったら面白みに欠けるじゃん、みたいな理由だろう多分。

 故に、それをこんな10パーティで挑めば確実にハンディが加算してしまい、とんでもないことになるのだ。


「ボス戦はまずパーティで挑むぞ! 雑魚担当とボス担当で分ける!」


「あ! そうよね! なんだかパーティの概念が飛んでたわ!」


 ラナを筆頭に多くのメンバーがハッとする。

 どうやら、パーティの概念をちょっと壊しすぎてしまったらしい。

 実験と称してまずは1パーティ、そこからボスにはハンディがあるのかをまず確かめる。


「あの集団は、眷属なのかしら? だとすれば眷属に手を出すのはボスに手を出すのと同じ事なのだけど」


「いや、違うみたいだ。ボスはあくまで単体だな。パーティ表示に一致する個体はいなかった」


 モンスターの集団が複数のパーティでいる場合、そのパーティは各アイコンに表示されるようになっている。同じアイコンなら同じパーティ、という感じだ。

 今シエラが言ったように、眷属が誰の眷属なのか分かるようになっているのだ。

 だが、同じアイコン表示が見当たらないのでボスは単体だと分かる。

 こういう場合、ハンディにならないよう気をつけるのは、ボスだけでOKだ。


「範囲攻撃、全体攻撃はダメよね。下手をすればボスに当たるわ。やっぱり私が『完全魅了盾』で引き離した方が無難かしら?」


「よし、まずはそれでいってみようか。シエラの班がエリアボスに挑む! 残りはボスにスキルや魔法を当てないよう気をつけながら周りの雑魚モンスターを殲滅するぞ!」


「「「おおー!」」」


 まずはやってみないとどういうものか分かりづらい。

 ボスはいつも通りシエラが集団の中から引っ張って行くことで分断し、各個撃破することに決まった。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
樹木系のエリアボス。 今度はどんなのが出て来るのかなあ?
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