#1600 一方こちらは女性陣の入浴風景。
一方こちらは女性陣。
「ここが高級宿の温泉なのね」
「素晴らしい景色ですね」
「おっきいのです! すごくすごくおっきいのです!」
「ルル、いくら大きいからとここでは泳いではいけませんよ」
「そんなことしないのです! シェリアお姉ちゃん、失礼しちゃうのです! 泳ぐのは秘境に着いてからなのです!」
「泳ぐ気満々じゃんかルル先輩」
「秘境ってどんなところなんだろう~?」
「秘境よりも今は目の前の温泉だよアリス! こんな温泉、なかなか見られないんだからね」
ここは女湯。
キャピキャピと女子メンバーがはしゃぎながら次々絶景と温泉の広さに驚愕しながらも、目と身体で温泉を楽しんでいく。
「カルア、ほらここに座って。洗ってあげるから」
「ん。尻尾は自分でやる」
「いいからいいから」
「よくない。でも、気持ちいい、抗えない……」
「そういえば獣人だと尻尾に毛が生えているんだもんね、まずは洗わないといけないんだよね~。――ラクリッテちゃん?」
「え? ノ、ノエルちゃん? 私は短いから1人で大丈夫です、よ?」
「いいからいいから~」
「リ、リカさんと同じこと言ってるです~!?」
洗い場ではまず獣人の女の子が洗われていた。
お湯に浸かるとき、髪をつけるのはマナー違反なのと同じように、獣人の尻尾は最初に洗っておくのがマナーなのだ。
「フラウ先輩の尻尾が……小さくなりました!」
「そ、そりゃね? 尻尾の毛が大きいとケアがちょっと大変なんだよ」
「しおしおな尻尾、触らせてください~。むしろ私が洗います!」
「アルテ、あまりフラウさんに迷惑掛けてはいけませんよ」
「迷惑なんてしないですよアイギス姉さま~。――フラウ先輩、いいですか? いいですよね?」
「今は毛が濡れているからダメ!」
「ガーン!」
「カグヤちゃんのところへどぞ」
「カグヤちゃんはサーシャちゃんにすでに梳かれてるですもん!」
「ならキキョウちゃん?」
「キキョウちゃんのところはなんかロリ空間が凄いよね~」
尻尾がふわふわフサフサで手間が掛かるのは主に犬人、狼人、狐人だ。
逆に小さくて手間が少ないのが熊人や兎人。
猫人と狸人はその中間といったところ。
とはいえ、個人差はあるが。
「ちょっとゼルレカ強いです! もうちょっと、優しく、もうアリスと交代してください」
「ええ~? アリスまだゼルレカの尻尾梳いてるよ~?」
「わ、悪い。だがこういうの、まだ慣れてないんだよ」
こちらキキョウとゼルレカとアリスのところも洗いっこ中。
まるで背中を流すようにキキョウの尻尾をゼルレカが梳き、ゼルレカの尻尾をアリスが梳きながら洗うという、実に尊い光景が生み出されていた。
しかし、ゼルレカは未だ慣れていない模様。アリスに「ふんふふ~ん♪」とハミングされながら櫛で梳かれる度にちょっとびくっとしている。
ギルドハウスにも温泉があるため、女子同士の洗いっこは〈エデン〉の日常の範疇だ。だが、ゼルレカはまだ加入してから日が浅いためか、洗いっこに慣れていない模様。故に洗いながら洗われるという真ん中の位置に配置されていたりする。
「ゼルレカ、早く慣れようね~」
「頑張ってください、ゼルレカ」
「う、頑張る」
実に尊い。
一方露天風呂では、
「うわ~、すっごい景色ね~」
「ほんと、雪景色が綺麗だわ」
「他にお客さんもいない貸し切り状態ね」
「どうも今年は去年よりも人が少ないらしいですよ?」
「……そういえばまだ朝なのにチェックイン出来ていたわね。どうしてなのかしら?」
「そんなことはいいのデース、今は温泉を堪能するのデース!」
「ふう。ギルドハウスの温泉も良いものですが、さすがは高級宿自慢の温泉。こちらの方が趣がありますね」
「……そうね。今はこの景色と温泉の贅沢を味わいましょう」
「気持ちいいわね~」
こっちはラナ、タバサ、シエラ、エステル、パメラ、シズのメンツがゆったりと露天風呂に浸かっていた。
広い広い湯に浸かりながら絶景を見つめる贅沢をしばし堪能。
〈秘境ダン〉の秘湯は、どちらかというと温水プールというか、アトラクションにも近いところしか行ったことのないメンバーズだ。
こうしてゆったり湯に浸かるのは、逆に新鮮に思う6人である。
「こらナキキ、ミジュ、走ってはいけません、あまりはしゃがないの」
「「はーいお母さん」」
「誰がお母さんですか。身体を洗い終えたらまず湯に浸かって『湯着』スキルを付与して、露天風呂にいきますよ」
「「はーいお母さん」」
「だから、誰がお母さんですか」
「たはは~シュミネちゃんは本当に引率のお母さんみたいだよ~」
「というか、むしろ保母さん的な。なんだかナキキちゃんとミジュちゃんが園児に見えてきた」
「それは錯覚だと思うけど、シュミネちゃんはぴったりな二つ名だよね。これつけたのって誰なんだろう?」
「おや、ミサト先輩、ルキア先輩、シャロン先輩」
「うひ、3人とも大きいっす!」
「うん。完全敗北。この3人じゃ勝てない」
「な、何を言っているんですかナキキ、ミジュ!?」
こんな時でもナキキとミジュのお世話をするシュミネ。
そこに居合わせたミサトとルキア、シャロンの3人に完全敗北とのこと。
どの部分が敗北したのかは不明だ。
ちなみにこの勝負をしているメンバーは他にもいて。
「あー、うー、うん。エフィはなんでそんなに大きいの? というかよくそんなのつけてあんな動きができるよね? 痛くないの?」
「大丈夫。痛くはない。空中宙返りとか、高速反復横跳びとかするとたまにクルけど」
「もうそんなの取っちゃえば?」
「シヅキがすごいこと言い出した。でも着脱式だったらいいなと思ったことはある」
「着脱式ですか~。確かに、必要な時に大きいと嬉しいですよね。大きいと肩がこるっていいますし」
「マシロンはほんと真面目で純粋! 冗談を真面目に受け取らないで!? 私が浄化されちゃうじゃん!」
「悪魔だから仕方ないんじゃない?」
こちらはシヅキ、エフィ、そしてマシロが湯に浸かっているエリア。
この中でエフィだけは凄まじいものを持っているので、シヅキからは妬ましい視線を、マシロからは羨ましいという視線を頂戴していた。
エフィは空中でアクロバット飛行や、バレルロールなどの回避運動もするため結構激しい運動をする。しかも軽装で。故にブルンブルン揺れて結構邪魔に思うことがあるのだ。なにがとは言わないが。
だがそこへ、さらにとんでもないものを持った天使がやってくる。
「やほー、シヅキちゃん、エフィ、マシロン。ここいーい?」
「グニュルッパ!?」
「シヅキちゃん、どうかした?」
「トモヨ、気にしないで大丈夫。あまりにも戦闘力の違いを見せつけられて許容値をオーバーしただけだから」
「あ~。なるほどそれね。というかシヅキちゃんってこれにあこがれあったんだ??」
そういってトモヨがとある部分を持ち上げて、離す。
バルンバルン言っていた。どこがとは言わないが。
「そりゃあるよ! せめてもう少し……。というかトモヨちゃんも飛ぶのにそれ邪魔でしょ!? 半分でもいいから分けてよ!」
「またシヅキがとんでもないことを言い出した」
「浄化しますか?」
「お願いしていいマシロン?」
「いや、しなくていいからね? マシロンが言い出すと冗談に聞こえないんだよ?」
「でも、嫉妬の心は浄化で治るかも」
「治るか!」
女子は色々大変そうである。
「はぁ、いい湯ですわねクラリス~。うちにもこれ欲しいですわ~」
「大陸の各地を訪問して様々な温泉に浸かった経験のあるお嬢様がこの反応とは、やりますね高級宿」
「でも、これから行く秘境というところはこれを凌ぐ可能性のある秘湯がたくさんあるという話ですわ。楽しみですわ~」
「お嬢様は温泉好きですものね。蕩けきってますよ?」
「ふにゃふにゃですわ~」
こちらはノーアとクラリス。
ノーアは通信系に優れる「公爵」家ということもあって3年間、大陸のあちこちを旅していたのだが、各地の温泉には必ず入っていた程の温泉好きだ。
ギルドハウスがまさかの温泉付きと知った時は、クラリスとクルクルダンスしかねないハイテンションだった程である。
そんな温泉好きのノーアはこれから行く噂の秘湯に思いを馳せ、今からふにゃふにゃ状態だった。
ちょっと心配なクラリスだった。
「どんな温泉が待っているか、楽しみですわ~」
「お嬢様、それはもう5回目です。そろそろ上がりますよ?」




