#1596 ゼフィルス、〈金箱〉8個に大暴走。
「「「おおー!」」」
イエス! 〈金箱〉バンザイ!
レアイベントボスバンザーーイ!
それを見た瞬間、俺とラナとニーコが一瞬で盛り上がった。
「「「わー!」」」
そして建物内に居たメンバーも続々と集まる。
「はぁ、凄まじいボスだったよ。というかあれ、本当にボスだったの??」
「しかし、我らが城はまだまだ余裕を残しているであります!」
その声に振り向けば、シャロンとヴァンが建てた城が健在。そのHPは6割を残していた。まあ、周囲の城壁とかはなんかすごくボロボロに壊されているけど。
〈戦艦〉の攻撃がどれほど凄まじかったかが分かるな。
だが、確かにヴァンの言う通り、これくらいならどうということはない。
城のHPも回復できるしな。
「最後のゴーレム出撃には驚いたが、正直あんなにHPが減る前に出撃させておいた方が良かったのではないかとは思う」
「たはは~。ゴーレムは強かったけど。数も少なかったし楽勝だったよね~」
最後のゴーレム出撃は俺たちが艦内で派手に暴れて撃破しまくった影響か、数はそこまでではなく、さほど苦戦もせずに倒せたようだ。
メルトの言うように怒りモードになる前、むしろ俺たちが乗り込む前に出撃しておけばもっと大量の戦力をばらまけたのにな!
まあ、その場合、全員で〈戦艦〉に乗り込んでしまえば無人の〈戦艦〉を中からダメージ与え放題になるということでもあり、あの出撃はまさに最後の手段だったんだが。
「そんなことより勇者君! 成果は!? あの〈戦艦〉の内部に侵入できたのだろう!? 中にはなにがあったんだい!?」
おっとここで研究者魂に火を付けたニーコが〈金箱〉2つの魔力を振りきってこっちにきた。
本気で聞きたい様子だな。俺はその問いに鷹揚に頷いて答えるのだ。
「聞いて驚け。なんと〈戦艦〉の中には〈金箱〉が6個。さらに、毎度レアイベントボスを倒した時に現れていた壁画があったんだ!」
「な、なんだってー!? ス、スクショは!?」
「もちろん『絵解き』をしたうえでスクショは撮ってあるぜ!」
「勇者君、それは最高じゃないかーーーー!!」
「はーっはっはっはー!!!!」
〈空島ダン〉レアイベントボスは超特殊!
いつものレアイベントならボスを倒した後、その奥地にいけば壁画が描かれているという仕様だったが、上級上位ダンジョンの〈空島ダン〉ではレアイベントボスの内部に壁画が置いてあるミステリー。ついに壁画ごと移動するボスの登場だ!
しかも、ボスを倒せば光に消えてしまい、壁画などは確認できなくなってしまうのだ! もうとんでもないだろう。
故に、俺は戦闘中にもかかわらず内部に侵入し、色々確保したのである!
これも報告書を提出してあげるからな! 待っててくれよ学園長!
「さあ! ここからはお楽しみタイム、もとい、〈金箱〉だーー!」
「おおー! ゼフィルス、パメラから聞いたわ! 〈戦艦〉から取ってきた色々もここに並べるのよ!」
「オーケーだ! パメラ、フィナ!」
「了解デース!」
「はい。ではここに出しておきますね」
俺、パメラ、フィナの〈空間収納鞄〉からそれぞれ〈戦艦〉の内部にあった6個の〈金箱〉に入っていた品を取り出して並べる。
ほわ、ほわわわ~! 〈金箱〉6個! 〈金箱〉6個~!!
もちろん〈木箱〉や〈銀箱〉の可能性もあったのに全部〈金箱〉だと!?
すげぇ!
急いでいたので確認はしていなかったが、ここで確認だ!!
「レシピが3種類に、足装備の靴、これは悪魔専用装備かしら? コウモリっぽい翼があるわ。それに最後のこれは……生産用のアイテム?」
「エステル! 鑑定は任せたぜ!!」
「はい。〈幼若竜〉預かります。――『解読』、『解析』!」
〈戦艦〉に突入する際に俺が預かっていた〈幼若竜〉をエステルに返し、鑑定してもらう。
すると、それぞれの名が明らかになっていった。
「レシピは――これは〈イブキ〉? いえ、イブキのパワーアップバージョン! あの〈戦艦〉のレシピ!?」
「〈戦艦〉作れるデス!?」
エステルとパメラが珍しく(?)超びっくりしていた。
そりゃそうだろう。なにしろ〈金箱〉からとんでもないものが出てきたのだ。
〈イブキ〉よりも超大型、〈戦艦〉のレシピである。
これはとんでもないものがドロップしたものだ。
「作製に必要なものは、ここに散らばっている素材だけじゃ明らかに足りない! それに見る限り、六段階目ツリーのスキルを要求している項目があるようだぞ!!」
「ろ、六段階目ツリーのスキルで作る〈乗り物〉ということですか!? やっぱり六段階目ツリーは存在したのですね!」
やべぇな。アイギスを初めとしたメンバーにも衝撃が走った模様だ。
「六段階目ツリー? 六段階目ツリーってなんだ?」
「なんだ知らないのかねゼルレカ君。いや、確か君はすでに2つ目のユニークスキルを開放しているのだったか。それじゃあ無理もない。実は今の研究所には六段階目ツリーは存在するだろうという説が有力でね。なにせ、五段階目ツリーを獲得しても、未だに上級職のユニークスキルが開放されない子がいるんだよ。なら、次で開放されるんじゃないか? という見方が有力で――」
「ニーコ先輩が急に生き生きと語り出したんだが!?」
そういえば六段階目ツリーのことを言及したのは初めてだっけ?
だが、そっちの説明は後だ!
ニーコをこっちに引き戻す!
「! 他のもすごいですよ。まずレシピの1つに〈軍団ゴーレムレシピ〉なるものがありまして、生産アイテムの方は〈魔練飛行ユニット加工台〉でした」
「あの飛行していたゴーレムを、ハンナが作れちゃうーー!」
「靴装備は、おそらく以前カルアが装備していたものの上位装備です。〈爆速飛行スターブーツ〉です!」
「〈爆速スターブーツ〉の上位もキターーーー!!!!」
「なんだって! ぼくにも良く見せたまえ!」
はい、ニーコフィーッシュです!
懐かしい。まだ初級ダンジョンを攻略していたときの装備だ。
飛行と名の付いている通り、なんと今度は空も飛べちゃうブーツである。なお、制限時間は結構短いし、着用するためのAGI要求値も高いのでカルアやミジュなど、一部のメンバーにしか装備できないのだが、それでもかなり有用な装備だろう。本当にパナイ! これはカルアに渡しておこう。
「フィナちゃん、そのコウモリの翼は!?」
「はい。これは……姉さまには必要ないものですね」
「どういうことなのフィナちゃん!?」
このコウモリの翼は〈妖魔の飛魔翼〉という、これも短時間空を飛ぶことの出来ちゃう体装備! ただし、悪魔専用装備だ!
……エリサなら問題なく装備できるはずだが、おそらくフィナの懸念は〈エリサ爆撃戦法〉が使えなくなってしまうからではなかろうか?
結局これはエリサがなんとか死守したことで、エリサが使うことになった。
最後のレシピは、これまたとんでもないもので、なんと〈乗り物〉系のオプション砲台だったのだ! その名も〈乗り砲台X〉。
1門だけだが、なんと〈イブキ〉からでも砲が撃ててしまうのである!
これはアイテムに近いが、なんと回数は――無制限! そんなの通常攻撃と変わんないじゃん!
ゲーム時代、通常攻撃改造レシピとして〈ダン活〉プレイヤーたちをおののかせた、とんでもないオプションである。
〈乗り物〉乗車中は回復魔法などの一部を除き、スキル・魔法・ユニークが使えない。今まで錬金砲など、個人アイテムで攻撃することは可能だったが、錬金砲はあくまでアイテム。スキルや魔法に敵うことはなく、あくまで劣化版であり、攻撃するにはちょっと威力が物足りなかった。
しかし、今回のこれはダメージが違うのだ。何しろ、装備である〈乗り物〉にオプションとして装着できるのである。その攻撃も、使用キャラのステータス、装備補正後のSTRを参照するのだ。弱いわけがない。
やっば! これもタネテちゃんに作って貰わないと!
ついにオプションがきちゃったか。
上級上位ダンジョンから登場し、特定の専用装備のみだが、装備をさらにパワーアップしてくれるオプション品。
【大罪】系の武器に付けるオプションは何が何でも手に入れなければなるまい。
続いてこっちも本命か? 〈戦艦〉からドロップした〈金箱〉にいってみようー!
ふはははははは!
合計で8つも〈金箱〉がある! 〈戦艦〉最高だ!
こんなのもう〈パーフェクトビューティフォー〉を超える〈パーフェクトビューティエイト〉である! 〈パーフェクトビューティフォー〉が2倍! むしろ〈ダブルパーフェクトビューティフォー〉だーーーーーー!!
〈戦艦〉内部からは普通に〈木箱〉や〈銀箱〉も出る!
そのためレアイベントボス戦で〈金箱〉8個とか俺も初めての経験だよ!!
うひょー! なんだこれ、ビンタ何発食らうんだいったい!?
しかも今のところハズレが無いぞ! このまま突き進めー!!
「〈幸猫様〉〈仔猫様〉〈愛猫様〉、あんな略式の祈りでこれほどのドロップ、ありがとうございます! こっちもどうかよろしくお願いします!」
ということでいざオープン!
結果はレシピが2枚! レシピが2枚!! ハズレ無し!!
レシピは――両方とも装備全集レシピだった!
「〈戦艦長服シリーズの全集レシピ〉に、〈大空賊艦長シリーズの全集レシピ〉よ!」
「おおー!!」
ラナの言葉に震える。
まさかレシピ全集も当たってしまうなんて!
リーナやカタリナ辺りの最適な装備になるんじゃないか!?
これも大当たりだぞ! もう我慢できない!
「いやっふぉおおおおおおおおおおおお!!!!」
「あ! ゼフィルスがまた暴走したわ!」
「大チャンスですわ!」
「止めるわ」
「まあまあシエラさん、ここは1つ穏便にいきましょう」
「ちょっとアイギス?」
そうれクルクル祭じゃー!!
近くに居たのは、エリサとフィナ!
「きゃー(歓喜)」
「あーれー(歓喜)」
そうれクルクルクルクル~~~!!
アイギスがシエラストップをしてくれているのが横目に入ってきたが、きっと見間違いだろうとクルクル回る!
「ちょ、ゼフィルス先輩がテンション天元突破しちゃったよ!?」
「止めようとする先輩とそれを阻止する先輩がいるですの!?」
「これじゃあ止めることができないんだよ!?」
カグヤとサーシャ、そしてクイナダはこんな時でも良いツッコミ!
誠に良いツッコミである! よーし、次は、いつも俺を止めてくるシエラを誘ってみよう~! こちら側に引き込むんだー!
「シエラ~!」
「ひゃ、ちょっとゼフィルス!?」
「あ、ゼフィルスさん、次は私を!」
「ゼフィルスさん、次はわたくしですわ!」
「もー! ゼフィルス何やってるの! というか私が近くに居たでしょ!」
無事シエラを確保! そうれクルクル~~~!!
「ひゃ、ちょ、ゼフィルス、待ちなさい!」
「クルクルクルクル~~~!! シエラ、俺はシエラと踊れて楽しいぞ~~!」
「も、もう!」
「これでシエラさんは巻き込みました! もう止める方はいらっしゃいません」
「ナイスですわアイギスさん!」
「ど、どどどどどどどどうしようエフィ! ここは私も参加に立候補すべきかな!?」
「とんでもないことになった。これは危険で危ない。シヅキのことは忘れないよ」
「シヅキちゃん、女は度胸だよ! アイギスさんとリーナさん、それにラナ殿下が終わったら私たちも参加していいと思うんだよ!」
「トモヨちゃんは積極的なのか消極的なのかわからないね! でもそれ採用だよ!」
そこからのことは、楽しかったとしか覚えていない。
確か、シエラとクルっと回って籠絡した後、アイギス→リーナ→ラナ→トモヨ→シヅキ→ここでまたシエラがブロックしてきそうな気配だったのでまたシエラ2回目に突入。
なお、この影で他のメンバーも一部クルクルを実行していたらしい。
サーシャとカグヤがクルクル回り、ヴァンが取り残され、シャロンはメルトの方に向かってミサトとメルトの3人でクルクル回ったとか。
レグラムは相変わらずオリヒメさんとクルクル踊っていたとか、色々あった模様だ!
そして気が付けば、最奥ボスを攻略していた。
…………あれ?