表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十五章 〈エデン〉上級上位ダンジョン一番乗り!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1819/2118

#1589 上級上位ダンジョンのランク2―〈空島ダン〉!




「あのねゼフィルス? 〈秘境ダン〉は未だ攻略者はいないのよ?」


「やったな! 俺たちが初の攻略者になれるぞ!」


「…………」


 エクストラダンジョンの1つ。

〈秘境の温泉ダンジョン〉、通称〈秘境ダン〉。


 去年、慰安も兼ねて温泉旅行に行ったダンジョンだ。

 しかし21層以降は上級中位ダンジョン級の強さ、31層以降だと上級上位ダンジョン級の強さになるので、未だそこまで到達していなかった俺たちは攻略を断念した。


 しかし、今の俺たちは上級上位ダンジョンすら攻略した新進気鋭のメンバーズ。

 今の俺たちなら全40層で構成された〈秘境ダン〉も攻略が可能だ!

 しかも、おそらく2泊3日、泊まりがけで攻略もできると思う。

 あそこは雪だらけのダンジョンなので基本〈イブキ〉などの乗り物を使うからな。

 道中の攻略も早いのだ。

 温泉旅行のついでにサクッと攻略してしまおう!


 むしろ21層から39層にある秘境を探すのに時間が掛かるかもしれないな!


「温泉、秘境、いいわね! 朝風呂入っちゃったけど、昼風呂も夜風呂も良いものだわ! 今日は温泉祭よ!」


「さっすがラナ! 話が分かるな! よし、計画を立てるか!」


「待ちなさいゼフィルス。ラナ殿下も。そんな、決めて即日2泊3日なんてみんなも困るでしょう。せめて冬休みの終わりにしなさい」


「おっと確かに!」


 シエラの言うことももっともだった。

 準備もしていないし、今日いきなり行くのは厳しいだろう。

 あそこの〈秘境ダン〉は混浴。つまり水着が必要なのだ!

 マリー先輩に協力を仰がなければ。


「こほん! となると予定としては1月9日から1月11日くらいか?」


「ええ。今日はみんなもランク2? のダンジョンに行く予定なのだから、慰安という意味でも冬休みの最後辺りがいいと思うわ」


「よし! その案で行くか!」


 そこからは早かった。

 まあ冬休みは上級上位ダンジョンを2つ攻略しよう、くらいしか決まってなかったからな。そこに2泊3日の温泉旅行を入れるくらいわけない。

 というより、もしかしたらエクストラダンジョンに行くかも? とは言っておいたからな。


 夏休みと冬休みはこれまで毎回エクストラダンジョンに行っていたんだ。

 今回もその例に漏れず、エクストラダンジョン祭しようぜと、そういうわけだな!

 すぐに全体に周知する。

 予定日はさっき言ったとおりだ。

 ということは今日(2日)から8日までは予定通り上級上位ダンジョンのランク2攻略だな!

 1週間で攻略して温泉旅行で慰安だ! 素晴らしい案だな!


「セレスタン!」


「承知いたしました。準備を進めておきますね」


「頼む! 一緒に温泉に行けるのを楽しみにしているぞ!」


「僕も楽しみです」


 セレスタンとは1年前にまた一緒に温泉に行こうと約束していたし、その約束も果たせそうだ!

 男同士、積もる話もある! ほんと楽しみだぜ!


 結局シエラの言う通り9日から11日の2泊3日にしたことで、1人の欠席者も無く全員温泉旅行に行くことが決定した。

 もちろんハンナも含め、生産職や採集メンバーも全員参加だ!

 テンション上がってきたな!


 これは上級上位ダンジョンのランク2も一気に攻略出来ちゃう予感!


 俺たちはテンションの赴くままにその日はランク2へ突き進むことにした!

 今回は〈ヒヒイロカネ鉱石〉の採集も大量獲得を目指し〈採集無双〉のメンバーも連れて出発だ!


「そして入ダン! ここが上級上位ダンジョンのランク2、〈霊峰の空島ダンジョン〉だー!」


「なにここ!? まるで〈(きり)ダン〉じゃん!」


「霧が濃いですの!」


 入ダンした瞬間、俺たちが見たのは真っ白い霧だった。いや、実は雲なんだけどな。

 ちょっと声を出していないと誰がどこに居るのかも分からないような、まさに一面真っ白だ。


「〈霧払い玉〉では、消えないわね」


 さすがはシエラ。

 一瞬で状況を見極め〈霧払い玉〉を使用したらしい。

 だが、上級下位ダンジョンの救済アイテムはもちろん使えない。だってこれ霧じゃなくて雲だし。


 だが、焦らなくていい。俺たちには自慢の支援職が付いているのだから。


「カイリ、『自然環境保護』と『ミュート』、あと『フォロー・ミー』も頼む!」


「了解! 『自然環境保護』! 『ミュート』! 『フォロー・ミー』!」


 カイリがスキルを次々に発動する。

『自然環境保護』と『ミュート』は環境対策スキルだ。

『自然環境保護』は、自然環境を保護するスキル――では無く、自分を自然の環境から保護するスキルである。そして『ミュート』は環境の騒音を消す。風などの環境を止めることのできるスキル。〈嵐ダン〉や〈霧ダン〉はこれで攻略が可能だ。


 そして『フォロー・ミー』は自分に掛かっている環境対策スキルを全体に付与するスキルだ。

 これにより、俺たちは雲を抑え、徐々にその姿を確かめることができるようになった。徐々に雲が消えていき、俺たちはこのダンジョンの全貌を目にする。


「ちょ、ここって――空の上?」


「〈聖ダン〉、いえ雲海とは違います。これは――」


「た、たはは~。ねぇ、メルト様、気のせいかな? 島、宙に浮いている気がするんだけど」


「…………奇遇だな。俺もそう思っていたところだ」


 まず真っ先にラナやエステルのように空が近いと気が付き、次いで雲が真横に浮かんでいるのを確認する。

 それだけなら〈霧ダン〉や〈聖ダン〉の時のように、ただ標高が高いと感じるだろうが、1点見過ごせない点があったのだ。


 お隣に浮かぶ島が確認できるのだが、それ、飛んでるんだよね。

 文字通り、このダンジョンの名前と同じく、空に浮かぶ島、空島だったのだ。

 そこから導き出される答え。つまり自分たちが今立っている場所も、空島なんじゃないか、という帰結だった。


「まさに〈空島ダン〉だな!」


「空島ってそういう意味かよ!?」


「空に浮かぶ島を攻略するってこと!?」


 さすがはゼルレカとクイナダ。

 俺のセリフに正確に、そしてみんなの心を1つにするかの如くツッコミが響き渡ったのだ。

 これでみんなこのダンジョンのイメージが出来たことだろう。


「よし、初めてのダンジョンだから、まずは情報を集めないとな。シヅキ、リーナ、カルア」


「お、おっけー! いでよカイムちゃん! 『悪魔召喚』!」


「任せてくださいまし! 〈竜の箱庭〉起動――『フルマッピング』ですわ!」


「ん、探ってみる――『ピーピング』!」


 俺も初めてのダンジョンで情報皆無、だからな。情報収集から始める!

 本当はゲームでは知っているけれど、もちろんそれは秘密である。秘密なのだ!


 シヅキが召喚したのは、鳥の悪魔である〈カイム〉と呼ばれるモンスター。

 中級下位(チュカ)の〈暗森(あんしん)魑魅(ちみ)ダンジョン〉に登場する〈小悪魔鳥〉を〈カイム〉方向に進化させた1体で、シヅキの索敵&伝令役を担っている。

 見た目はカラスっぽい真っ黒な悪魔鳥だ。なお、戦闘は〈マッスルデビル〉のクロちゃんにお任せなので、こういうサーチの時しか召喚はしない。


 リーナとカルアはいつも通りだな。


「まずはこの島について調べてくれ。どんなダンジョンなのか、その外見についてだ」


「ラジャ、ですわ!」


「ん!」


「飛行担当はカイムが無事帰還するまで待ってくれよ」


「了解です教官」


 さすがに通常のダンジョンとは違い、〈空島ダン〉という未知の領域でいきなり飛行できるメンバーを偵察に行かせたりはしない。

 まずは消えても再召喚できる召喚獣であるカイムを放ち、リーナには地図で、カルアには目視で確認してもらう。

 飛行部隊が飛び立つのはその後だ。安全確認が大事。


「地図、マッピング出来ましたわ。でも、これはなんというか、え? こっちの島に行くためには、空を飛ぶんですのこれ?」


 リーナの反応がこちら。

 それも仕方ない。ここからもう1つの空島が肉眼で見えるのだが、なんとそれが上陸可能、つまりフィールド内として〈竜の箱庭〉に映っているのである。

 まあ、離れ小島みたいなものだし、飛行できるキャラもいるのだ。探索可能だろう。うむ。


「これでもし階層門があっちの島にあったら……」


 リーナがもうそこまで考えて難しい表情をする。

 確かに、空を飛べないと次の階層にいけませんなんてことになったら大事である。

 だが安心してほしい。ランク1の〈幻迷ダン〉であったギミックを思い出すんだ。

 あれがなぜチュートリアルであるランク1に採用されていたのか?

 その答えは、すぐに分かるだろう。


「ん~?」


「カルアの方はどうだ?」


「真ん中に建物らしき? ある。あと浮いてるここ。階層門は見当たらない」


「やっぱり向こうの島にあるんですの?」


「そこまでは見えない。うーん、『エージェント猫召喚』!」


「「「ニャー!」」」


「みんな、階層門がこの島にあるか探してきて」


「「「ニャー!」」」


 聞いて驚いてほしい。

 最近発覚したのだが、カルアの黒猫部隊は階層門が近くにあると教えてくれる。

「へ?」ってなるだろ?

 俺も最初そう思った。なにかの聞き間違いかって?

 それすぐ階層門の位置分かっちゃうじゃん!?


 だが、そうはならなかったので幸い(?)。

 黒猫部隊は3体出していると7分弱で消えてしまう。そのためカルアを中心とした周囲だけしかサーチできないようで、あくまで近くにあれば発見できるという感じだった。

 あと、建物内には侵入できないところもあり、モンスターにやられたりもする。

 黒猫隊が階層門を見つけられた回数は、まだ片手で数えるほどしかなかった。


 影にとぷんと沈んで消えていく黒猫隊を見送る。


「シヅキはどうだ?」


「はい。報告します。現在カイムは真下の地面の無い上空を飛行中。ですが遮蔽物、また地上などは確認出来ません。雲一色に覆われています。同時に私たちの居る島の下側にも潜り込める模様です。ここまで飛行の能力が制御不能に陥るなどの不具合は確認できませんでした」


「了解だ。シヅキは報告の時って本当に別人みたいだよな」


「あ、あはは」


「だがそれがいい」


「ドキンッ! やる気が溢れる~!」


 シヅキは『召喚契約』で悪魔の状態を認識できるようなのだ。

 故に、サーチしながらリアルタイムで情報を俺たちに報告できるという、希有な能力を持っている。

 これもゲームでは無かった設定だ。


 だが、エクセレント。

 これで最低限の安全確認が出来たな。

 この調子で〈空島ダン〉の調査を進めよう!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[これで最低限の言い訳が出来た]の間違いな気がしなくもないのは俺だけか?
霧じゃなくて雲だし > ゲーム故の区分だな。まあ、そうじゃなくても、上級上位だし、で済みそうだけど。
>だが、上級下位ダンジョンの救済アイテムはもちろん使えない。だってこれ霧じゃなくて雲だし。 雲と霧は同じものでは…?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ