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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十五章 〈エデン〉上級上位ダンジョン一番乗り!

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#1583 幻惑はニセグマ〈変形ロボ・時々・合体ロボ〉




「ボスはいったいどんな姿をしているのかしら」


「これまでのボスを見る限り、2つのボスであると考えていいだろうが、それに囚われすぎるのも禁物だ。油断はするなよ」


「どんな相手でもけちょんけちょんにしてやるわよ!」


「ルルも同じくなのです! けっちょんけっちょんなのです!」


「ん! けちょんけちょん! けちょんけちょん?」


 ボス戦を前に士気向上。カルアがなぜか「けちょんけちょんってなんだろう?」みたいな顔をしていたので「まあ、いつも通りやればいいさ」と励ましておいた。


「それじゃあ、いってくるぜ!」


「「「「いってらっしゃーい!」」」」


 俺がバッと右手を上げて背を向けると、背中にギルドメンバーたちのいってらっしゃいが届く。よーし、元気出てきたぞ! テンションはマックスだ!


 シエラを先頭にしてボス部屋に潜る。


 すると、そこは部屋、ではなく別世界が広がっていた。


「ここも、ボス部屋というよりもボスフィールドなのね」


「上級上位ダンジョンはみんなこんな感じなのかしら!?」


 そこは見渡す限り石材で出来た床が広がる別世界。後ろにあった扉も無く、木々も無い。

 本当にだだっ広く何もない、まさに別世界だった。

 だがこの石材で出来た床はいつものボス部屋とほとんど同じのようだ。


 そんな場所にポツンと5つの影。そして、大きな影が近づいてくる。


「来るわ!」


 今までのボス系統からして、最奥ボスがどんな姿形をしているのかの予想は難しい。

 何しろ道中は動物型だったり人型だったり、悪魔と天使だったりとバリエーション様々だったからだ。

 故に、どんなボスが来ても大丈夫なようにみんなは覚悟していたはずだ。

 だが、さすがにこれは予想外だったのではなかろうか?


「何これ?」


「〈幼若竜〉いくぜ『看破』!」


 ラナが目を丸くして「何これ」言う。

 俺は1つ頷きながらも〈幼若竜〉を使用した。


「こいつの名は〈変形ロボ・時々・合体ロボ〉だ!」


 同時にガシャンと俺たちの見える位置までやってきたのは、なにやら5つのパーツたち。そして。


「――合体!!」


「喋ったわ!?」


 なんと目の前で一瞬で合体してきたのである。

 5つのパーツが合体すると、ズシンと音を立てて前へ出る。


 それは獅子型……に見えるクマ型のロボットだった。

 顔がクマで、顔の周りが(たてがみ)っぽい機構で覆われている。

 四足歩行で全長は13メートル。幅は7メートルを超える中々のロボットだ。

 通称:〈クマロボ〉。


 ロマン溢れる合体ロボに〈クマロボ〉なんてつけちゃダメでしょ!?

 と思うかもしれないが、仕方なかったんだ! だってこいつ、変なんだもん!


「―――ビビビ、侵入者発見、排除スル」


 無機質な音声でそう言った瞬間、ボスが戦闘態勢に入るのが分かった。

 そう、ここはランク1のダンジョン。そこに待っていたのは、上級中位(ジョーチュー)のランク1ボスだった〈マジスロ〉に通じるところがあるボスだった。


「ヘイトを取るわね『四聖操盾(しせいそうじゅん)』! 『シールド――」


「――クマ発射」


「え? きゃ!」


「クマ~ン!」


 なんと突如〈クマロボ〉の口がガコンと開いたと思ったら、そこから弾頭部分がクマの上半身の形をしたミサイル的なものをシエラに放ったのだ。


 初っぱなからいきなりミサイル発射だと!? いやクマ発射って言ったか!?

 もちろん俺はこれが来るだろうと知っていたのでいつでもシエラの前に出られるようにしていたが、さすがのシエラだ。小盾でしっかり防御を決めていた。

 小盾は吹っ飛び、クマミサイルもどこかに吹っ飛んでいく。


「びっくりしたわ。予測が難しいわね。『シールドフォース』! 『オーラポイント』!」 


「いや、いきなりクマミサイルは予想出来ないって」


「シエラ回復するわよ! ――『回復の祈り』!」


 予備動作とか口が開いただけだったからな。そこからクマ型のミサイルが発射されるとか、しかもクマミサイルは「クマ~ン!」とか言いながら突撃してくるのだ。こんなの誰が予想出来るよ。

 だが、これが防げたのは大きい。


「―――ビビビ、クマミサイルヲ弾イタ。侵入者ヲ脅威ト認定。排除開始」


「来るぞ!」


「―――クマ変形!」


 今度は変形!

 しかしなぜクマがつくのかは不明だ。この〈クマロボ〉、ニセグマの一種だろ?


 だがその変形は中々かっこいい。後ろ脚で立ち上がったかと思うと、(たてがみ)部分から次々小型のクマミサイルを発射しながら変形する。

 変形を邪魔されないために迎撃機能が備わっているとかかなり優秀。クマだけど!


 しかし、残念ながらそんな迎撃では俺たちは防げないんだ。


「『守陣形(しゅじんけい)四聖盾(しせいたて)』! 『カバーシールド』!」


「やかましいわ! 『大聖光の十宝剣』!」


「――ビビビ!?」


 ああっとここでラナが変形中の敵に無慈悲な攻撃をー!?

 この変形は『変身』とも別系等なのだが、『形態変化』とも別扱いなので変形中は攻撃が通るのだ。

 小型クマミサイルは全てシエラがカバーしてくれたのでフリーになったラナが一発カマしてくれた。

 そして、むき出しで変形中だった腹に命中。瞬間、〈クマロボ〉が爆発した。


「ビビビ~~~~!?!?」


「へ?」


「にゅ!?」


 変形中に攻撃を受けると爆発。

 まあ、当然のことである。

 そして〈クマロボ〉は上半身と下半身が分かれてしまったのだ。


「ラナ殿下、強すぎなのです!」


「え、ちょっと、そんなに効いちゃうの!? 違うのよ? まさかちょん切れちゃうなんて」


「これが、けちょんけちょん」


 まさかの事態にさすがのラナも動揺する。だが、


「ラナ、油断するな! あれは罠だ!」


「ん!」


「へ?」


「―――イナズマクマキック!」


 なんとこの〈クマロボ〉、下半身だけで動いたのだ。

 しかも上半身は浮いている。

 これは爆発によって分かれたのではない。自ら分離したのだ。爆発してたけど。

 油断を誘い、そして下半身が見事なサッカーボールを蹴る動作でラナを狙う。


「もちろん、させるわけがない! 『勇者の剣(ブレイブスラッシュ)』!」


「ゼフィルス!」


 俺が迎撃。ズドンという衝撃のあと、相殺。


「ラナ殿下がヘイトを超えた? 『シールドスマイト』! 『グロリアススマイト』!」


「ルル、カルア、今だ!」


「あい! 『魅惑のラブリーヒーローソード』! 『デュプレックスソード』!」


「『128スターフィニッシュ』!」


 ルルが攻撃力と防御力のデバフ攻撃を叩き込み、続いて2連続斬り。

 さらにカルアも強力な〈五ツリ〉スキルを叩き込んでダメージを稼いだ。


 そこでシエラが呟く。


「3段のHPバーが1つだけ。まさか、ツインズ形態?」


「シエラ、上半身の方も警戒してくれ!」


「! わかったわ!」


 そう、下半身に攻撃を加えても、HPバーが分かれているなんてことはなく、上半身と共有していたのだ。

 そして上半身の口がパカッと開き。


「――クマ発射」


 再びクマミサイルを発射する。


「『ディバインシールド』!」


 だが、これはシエラが防ぐ。

 さっき防御スキル無しで耐えた攻撃だ。

 今回は完璧に防いだな。

 その間下半身は中々元気に暴れ回る。

 だが、所詮は下半身のみ。大きい足が振り回されるだけで特殊なミサイルも無いと分かればルルとカルアの敵では無い。


「―――ビビビ、危険。一斉攻撃許可」


『直感』に反応あり。なかなかデカい攻撃が来る予感。

 しかもタゲであるはずのシエラではなく、狙いが下半身を攻撃中のルル、カルア、俺だったのだ。

 明らかに殺意増し増し攻撃が来る。


「みんな――!」


「シエラ、そこで棒立ち! なにもしなくていい!」


「なにを―――」


 上半身の挙動に気が付いたシエラが注意喚起をしようとするも、俺はそこで逆に何も指示をしなくていいと指示を出す。理由は程なく判明する。


「カルア、ルルを抱えて合図と共に下半身から距離を取れ!」


「ん!」


「にゅ!? 抱っこなのです!」


「―――ビビビビビ! 『アルティメット・クマビームオーバー』!」


「今だ!」


「『猫軽回速』!」


 瞬間、上半身から無数の特大ビームが発射!

 下半身はもちろん飛び退き、俺たちだけにダメージを与えようとするが、その挙動は知っている。


「ここだぁ! 『スターオブソード』!」


 下半身が後ろに飛び退こうとしたので後ろに回って攻撃。

 ガツンと強力な攻撃を受けてノックバックした下半身は、なんと逃げ遅れてしまう。そしてそこへ特大で無数のビームが。


「―――ア」


 そして下半身に直撃!


「――ビビグハァ!?」


 あ、ちゃんと上半身もダメージ入るね。

 下半身はあまりの攻撃に吹き飛んで転び、上半身もとんでもないダメージが入ったことで落下した。

 ダウンだ!


「今だぁ――総攻撃!!」


「とう! 『ヒーロー・バスター』! 『ヒーロー・バスター』! 『インフィニティソード』! 『ディストラクションブレイカー』! 『フォースバーストブレイカー』! 『クレセントスラッシュ』!」


「ん! 『神速瞬動斬り』! 『クロスソニック』! 『スターバースト・レインエッジ』! 『64フォース』! 『128スターフィニッシュ』!」


「『勇者の剣(ブレイブスラッシュ)』! からの――『聖剣』! 『フィニッシュ・セイバー』! 『ディス・キャンセル・ブレイカー』!」


「『獅子の大加護』! 『聖魔の大加護』! 『祈望(きぼう)天柱(てんちゅう)』! 『大聖光の四宝剣』!」


 ダウンしたら総攻撃はお約束。一斉に攻撃を叩き込む。

 そう、俺がしたのは単純。相手の攻撃を利用して下半身に特大ダメージを与えるという戦法。

 こいつはツインズもどき。下半身と上半身を別々に動かせる。こいつが変形ロボと言いつつ合体ロボでもあるのはそういうことだ。


 しかも嬉しいことに上半身の攻撃はこいつの第一形態最強技だったために、相当な大ダメージを負ってダウンまでゲット。

 また、本物のツインズではないので下半身がダウンすれば上半身もダウンするのが素敵なところだ。邪魔されずに総攻撃できる!


「――ビビビ、ヌカッタ。合体ダ、下半身ヨ!」


 ダウン復帰。高速で飛んで来た上半身が下半身と合体を目論む。

 もちろん、そう簡単にOKするはずがない。


「攻撃続行!」


「ん!」


「合体中に攻撃するのはセオリーってゼフィルスが言っていたわ!」


「隙だらけちゃんなのです!」


「…………」


『形態変化』ではないので無敵状態ではないただの合体だ。

 ここは攻撃チャンスである。


「――ビビビ! ガッシャーン―――合体! 変形!」


「にゅ?」


 だが、さすがに合体自体は防げず、元の四足クマ形態になると、今度こそ変形せんとする。


「『大聖光の十宝剣』!」


「あ」


 もちろん攻撃続行なのでどんどん攻撃を叩き込む、さっきと同じく変身中の無防備な腹を直撃して―――爆発!


「―――ビビビ!? 変形失敗!?」


「また分かれちゃったのです!?」


 ラナが無慈悲すぎて変形ができない件!

 あの変形中にしている迎撃ミサイルも、ラナの宝剣は迎撃出来ずに直撃してしまうからだ。


 ここからは先程の焼き回し。

 相手の攻撃を誘って下半身を盾に使い――大ダメージ。


 再び自滅! 今回はダウンまではいかなかったものの大きなダメージが入ったな。


 そして3度目の正直。


「――ビビビ。変形!」


「そうはさせないわ! 『大聖光の十宝剣』!」


 ――爆発。

 うん。3度目も無理だったさ。

 そして、ここで1本目のHPバーがゼロになり、第二形態に移行する。


 どこからともなく、ボスの援軍ロボ軍団が現れたのだ。

 うむ、第一形態はあれだよ。なんかちょっとネタボス系だったけど、きっとここからが本番。

 合体ロボはあのロボ軍団を、何に使う気なんだろうね。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
変形する5体合体でコンバトラーVと思わせつつ、実はガンバスター
変形を妨害しないと無茶苦茶高いHPに苦労させられるのか
無慈悲な変形妨害がw
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