表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十五章 〈エデン〉上級上位ダンジョン一番乗り!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1811/2110

#1582 ついに最奥到着! 長き旅の終わりの昼食!




 徘徊型を倒した俺たちの快進撃はそのまま続き、ついに70層をも突破する。


「71層、とうたーつ!」


「なのです!」


「とっても偉大な一歩を踏み出したんだよー!」


「あ、アリスはそんなに前に出ちゃダメだよ、私の後ろに隠れてて」


「えー?」


「いや、アリスはキキョウの言うことを聞いておきな。ここは本当に何が起こるか分からねぇんだから」


 レギュラー組と新レギュラー組でもまだまだ反応の違いはある。


 71層という上級中位ダンジョンでは味わえなかった深い階層へ到達したことで盛り上がるラナ、ルル、エリサ。

 だが、続こうとするアリスはキキョウとゼルレカがセーブ。

 アリスがゼルレカの言葉に不思議そうにラナたちの方に視線を向けるが、「先輩たちはあれだ、強いから大丈夫だ」とあたふたしながらどうにか説得しているゼルレカがちょっと面白い。


 だがモンスターの反応は無いので安心してほしい。

 ここからは道中にモンスターが出なくなる階層が出現するのだ。モンスターパニックなんかは別だが。

 その分、ギミック系が強くなっている。さすがはギミック特化型ダンジョンだ。

 一応言っておくと、他の上級上位ダンジョンではここまでギミックの色が濃くないので安心してほしい。


「70層は例の階層門がいくつもあるという現象が無かったわね。でも、その代わりにあったのがこれ、というわけね」


「ルートが2つあるな」


 大体の階層門はダンジョンの中心部に入り口があったのだが、ここは珍しく壁付近。


 そして目の前に進むルートは2つ。正確には赤の扉が2つだ。

 しかも赤の扉にはコンソールがあり、内容は〈赤・赤〉。

 近くには赤のボタンが2つあるが、距離はかなり離れている。

 そして1箇所のボタンを押しても無反応。なんと押すとコンソールのランプは光るが、離すと消えてしまう。つまりランプを光らせたままにしたければ誰かが押し続けなければいけないということだ。


「〈赤・赤〉、とりあえず起動してみます。――シズ」


「承知しました」


 エステルとシズでボタンを押すと、ランプが2つ光り、2箇所の赤の扉が同時に開いた。


「仕掛けは単純ですが……これは」


「ルートが2つ、ですか」


「ああ。今後こういうコンソールと扉が多くあるのだとしたら、連携しないといけなくなるな」


 右の扉のルートと、左の扉のルート。

 どちらか一方に行っても、この扉があるとき、反対側のルートでも同じように起動しないと先へ進めなくなってくる可能性がある。というかほぼ確実だろう。


 つまりこの2つのルートは、同時攻略しなくちゃいけないギミックなのだ。

 俺が助言や誘導しなくても問題ないくらいにシエラとリーナたちも察していたし、さすがはチュートリアルなランク1ダンジョンだ。分かりやすい。


 ちなみに、ボタンは人の手で押さないとランプが光らないので要注意。

 何かを乗せてボタンを押したままを維持することはできなかった。

 まあ、ズルはダメ、ということなんだろうな。


「これが、複数のパーティでの攻略が前提になってくる、ということですわね」


「さすがに上級上位ダンジョンでソロ、もしくはパーティ内の人数を割ることはしたくないものね。最低でも2パーティは必要だわ」


 リーナとシエラが考察する。

 その通り、いくらモンスターが出ないとはいえ、この先は分からない。

 モンスターが出ないただのギミック部屋なら5人パーティを2:3で分けることもありだろうが、ここはあくまでダンジョンだ。しかもリアル。もしそんな状況でモンスターパニックでも放たれれば……うん、普通は危険だ。普通はな。

 なのでそこまでのリスクは負えないため、複数のパーティで攻略することが答えとなる。


 実際76層からは再び通路にモンスターが跋扈し始めるからな。

 上級上位ダンジョンでは複数のパーティでの攻略が大前提。

 これもまた最上級ダンジョンを見越して戦力の増強を行うべし、という開発陣からのメッセージだ。


 まあ、ゲームではここまで来ると名声値も200に到達し、BランクやAランクにはなれるため、レベルの低いメンバーを育てたり、メンバーを入れ替える時期に相当したりする。名声値最高である200では「王族」をスカウト出来たからな。

 リアルの場合は、なんか向こうから寄ってきたが。


「? なによゼフィルス?」


「いいや、ラナは最高だと思ってな」


「んな!? いきなりなにどうしたのよ!? そういうことはもうちょっと2人の時にごにょごにょ……」


「ゼフィルス?」


「はっ! いや、なんでもないぞ? こほん!」


 ついあのときのことを思い出して心の中でラナにグッジョブしていたら、うっかり口がちゅるんと滑った。シエラの目がなんかすごいことになってる! 微妙にジト目じゃない!?


 俺はなんとか咳払いをして雰囲気のリセットを図った。


「つまりこの〈幻迷ダン〉71層からは、ギルドのパーティ全体をしっかり育成しておかないと攻略が難しいダンジョン、ということだな!」


「……わたくしたちには問題ないですわね」


「……はぁ。そうね。なんなら今だって10パーティで攻略しているし。戦力を分けましょう」


 うむ。なんとかごまかせた様子だ。

 俺たちはすでにメンバーの育成はあらかた終わっているし、AランクどころかすでにSランクだしな。まさに後は突き進むだけだ。


 しばらく進めばみんなの予想通り。青の扉と〈青・青〉のコンソールが現れ、右と左のルートの奥にある青のボタンを押して2つのランプを点灯させれば扉は開いた。

 ちなみに一度開いた扉が閉じることはない。


 やはり最低でも2パーティが必要だろうことが確定したな。少なくとも71層は。

 だが、72層では、まさかの3ルートが出現。


「最低でも3パーティじゃないと進めない……今後扉が増えるようなら〈救護委員会〉には早めの対策を呼びかけるべきかもしれませんわね」


「〈救難報告〉を上げても人数が足りなくて進めませんでした、ということになるしな」


 つまりは「〈救護委員会〉さん、上級上位ダンジョンに入ダン出来るパーティを複数育成しておいてね」ということだ。何それちょっと難易度高い。

 まあ、出来なくはないだろう。報告書(攻略本)だって渡してあるし。近々できるように、なるかな?


 そして73層では最初は2ルート、だが途中から3ルートになるという変則型の迷路となり、74層でついに4ルート。

 最低でも4パーティで挑むことが推奨されて、コンソールには〈赤・赤・赤・赤〉のランプが存在。

 だが安心してほしい。これ以上は増えないから。

 そのため、一応Dランクギルドでも攻略は可能だ。


 そして75層では最初は2ルート、最後は4ルートになる変則型となり、76層では2ルートに減る代わりにモンスターが通路に跋扈し始めるようになる。


 77層では3ルート。78層では4ルートとなり、最後の79層では2ルートには減るものの、黒の扉が存在してモンスターパニックを起こさないと80層へはいけないルートとなっている。


 まあ、楽勝だったけどな!


「はぁ、やっと、最奥ですわー!」


「なんだか79層がとても楽だったわね」


「あ、それ私も思ったわ! モンスターパニックにも慣れちゃったわね!」


 リーナが珍しくシャウトするほどの達成感だ。

 上級上位ダンジョンの最奥は、なんと80層。

 ここまで来るのに1週間以上を費やした。

 何しろ今日は12月31日である。

 年載せ間近! 明日は新年!? やべぇ。

 最奥ボスを攻略して気持ちよく年を越さないとな!


「それでゼフィルス。やっぱりやるのよね?」


「もちろんだ! 上級上位ダンジョンを初攻略して、気持ちよく年を載せようぜ!」


「たはは~。ゼフィルス君が年載せのために上級上位ダンジョンの最奥ボスを狩る宣言してるよ~」


「そんな、ちょっと残りの仕事を片付けて気持ちよく年を越す。みたいなノリで言われてもな……それができてしまいそうというのが恐ろしい」


「明日は年載せだから大人は準備で忙しいはずなのですが、また学園長の苦労が偲ばれます」


「大丈夫ですわクラリス。お爺さまならこれくらいへっちゃらですわ!」


 俺の宣言にざわめくメンバーたち。

 何やら学園長がガクブルしているような光景を幻視してしまったが、きっと気のせいだろう。俺もノーアの言葉に腕を組んでうむうむと頷く。


「それじゃあメンバーを決めるぞ!」


「はい! 私がやるわ!」


「私も、最初の上級上位ダンジョンの攻略は任せてもらえないかしら」


「ルルもやりたいのです!」


「ルルがやりたいのでしたら私もやります」


 いきなり立候補が多数上がる。なお、不穏な手も挙がっている模様。


「ねぇゼルレカ、手を上げないの?」


「いや、あれはレギュラーのみんながおかしいんだからな? あたいたちはおかしくない……はずだ」


「えっと、私もまだ少し自信が足りないかも」


 チラリとゼルレカたちを見れば手を挙げずにスルーする所存の様子。

 どうする? デバフ担当(ゼルレカ)を採用するか?


「ん! 久しぶりに初めてを狩ってみたい」


「うむ。最奥ボスがどんなモンスターなのか気になるしな」


「そんな理由で初めての最奥ボスに挑む気ですの!?」


「レギュラー陣の自信と勇気が天元突破過ぎるよ!」


「りゅ、留学生最高の結果を残すため、ここで手を挙げた方がいいのかな? でも……!」


 なるほど。カルアも良いしリカも良いな。

 クイナダは何やら葛藤している様子。途中まで挙げられた手が、とても気になります!


「よし、立候補はここまで。これから立候補者の中からメンバーを選ぶ! その間にまずは腹ごしらえをしようか! ――セレスタン」


「畏まりました」


 まずは上級料理を食べてパワーアップ!

 ちょうどお昼だし、お腹も空いたしな!

 ちなみにミリアス先輩作の上級料理は、舌が狂っちゃうほど美味しかったです!


「メンバーを決めたぞ!」


「ドキドキなのです!」


「ドキドキなの~」


 料理を食べながら検討した結果をガタリと席を立って告げると、口でドキドキ言うルルとアリスにときめく。

 ふう。こほん。よし、それでは宣言しよう!


「今回のメンバーは初の上級上位ダンジョン攻略ということで、俺、シエラ、ラナ、ルル、そしてカルアに決めた!」


「なぬ? ゼフィルス、私は?」


「リカは次ということで」


「む、むむむ……」


「リカドンマイ」


「仕方ないか。カルア、頑張ってくるのだぞ」


「ん!」


「ゼフィルス様」


「いや、シェリアは道中いっぱいボス戦したし、な?」


「そんな……!」


 リカがバッと振り向いて「なぬ」言う場面もあったがなんとか沈静化。

 そしたらシェリアも「様」付けして危なかったんだぜ。

 それ以外に異議は無さそうだったので、なんとか最奥ボスへ挑むメンバーが決まったのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
最奥ボスも○○時々△△なのかな?
シエラは嫉妬して文句つけたり邪魔したりするなら、自分でも行動したらいいのにな。都合の良いところだけ「あなたに尽くすのが私の役目なの〜ん」されても鬱陶しいわ。 そして、こういう時は必ずメンバーに選ばれ…
2025/02/19 11:14 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ