表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十五章 〈エデン〉上級上位ダンジョン一番乗り!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1806/2111

#1577 分身体融合!?騎士がでっかくなっちゃった!




 そう、もうお分かりかもしれないが、〈分身騎士〉はツインズでありシングル。

 1体目、2体目、両方が本体であり、シングルになるとき消える方は――なんとどっちでもいい。


「1体目は消えない本体、2体目は消える分身だ」そんなことを思っていると、一気に足を掬われてしまう。


「シェリアお姉ちゃんが危ないのです! 『デュプレックスソード』! また消えたのです!?」


「回避にも使い始めましたね」


「こんなの瞬間移動じゃん! 大技使っても避けられちゃうって!」


 ルルが〈五ツリ〉の二連撃を放つが、その直前にまた1体目が消えてしまい、ルルの『デュプレックスソード』は何も無いところを斬るだけに終わってしまう。


 ゼルレカが思わず叫ぶ。すると。


「にゅ!? そうなのです! ルルも瞬間移動が使えたのです! 『エネルギーチャージ』!」


「へ?」


 ルルが何かを思いついたのかチャージ開始。

 近くにいたゼルレカも目を点にしていた。俺はそれを見ながらもニヤリと笑い、シエラに指示を出す。


「シエラ、『完全魅了盾』だ! 対象、出現した1体目!」


「! 了解よ! ――きた、『完全魅了盾』!」


「キッシ!」


 ガンッ!

 今度の1体目はシエラの割と近くに出現したところを小盾群が容赦無く突撃して命中。

 タゲを固定する。


「キッシ?」


「キッシ!」


 シエラにタゲが固定されたのは1体目。2体目は相変わらずフィナがタンクを受け持っていた。

 そして約1分にわたり、1体目は消えずに絶えずシエラを相手し続けたのである。


「タゲを固定している間は、消えない?」


「みたいだな! ルル、今だ!」


「行くのですゼルレカちゃん! 『瞬間移動』!」


「へ、ちょ!?」


 俺の合図で、ルルに手を掴まれたゼルレカと共になんと騎士の背後に一瞬で移動してしまう。


「今なのです!」


「ちょお!? ええい『怠慢と堕落の剣』! 『惰性と堕弱の一撃』!」


「とう! そこに『ヒーロー・バスター』!」


「キッシ!?」


 ズドドン!! そして、ズドーーーーーーーンという強力な衝撃音が響き渡る。

 後ろに回り込むのは、何も〈分身騎士〉だけの攻撃ではない。

 こちらも得意さ。


 ゼルレカがデバフを叩き込み、そこへルルが1分間チャージした強烈なバスター系を叩き込んだのだ。

 デバフがかなり蓄積されてきてかなりのダメージが出てきた。

 さらにルルの『エネルギーチャージ』が良き。これは溜めれば溜めるほど次の攻撃の威力を上げるスキル。そう、攻撃スキルの威力を上げるのだ。よって『瞬間移動』したのちに放つ攻撃が、とんでもない威力になって相手に襲い掛かる。


 つまり瞬間移動バスターである。

 その効果は、推して知るべしだ。

 何これロマン過ぎる!


 さらに加えて『瞬間移動』は1人まで一緒に移動ができるというのだからマジパナイ。

 まあ、俺も出来るんだけどね。


「俺も! 『英勇転移(ブレイブポート)』! 『スターオブソード』!」


「キッシ!?」


 ボスの感知能力は高くない。

 この分身騎士はかなり一応純正な騎士(?)として作製されているため、魔法や感知などはしてこないのである。

 その代わり強力なハルバードの攻撃に、非常に硬い盾、同じく頑強な鎧を身に纏う、まさに騎士の中の騎士というボス。


 故に一瞬で後ろに回り込めば回避のために消えることは不可だ。

 ツインズ状態になっているときはHPは共有しているようだが、視界は共有していないようだしな。


「大体分かってきたわ。ここね――『クイーンオブカバー』!」


「キッシ!」


「うひゃぁ!? サ、サンキューシエラちゃん!」


 瞬間、また消えてエリサの前に一瞬で現れた〈分身騎士〉がハルバードを振るうが、これはシエラにまた防がれた。


「このボスの対処方法が分かってきたわ。みんな、どっちかの騎士が消えたら〈消えた〉って叫んで。『守陣形(しゅじんけい)四聖盾(しせいたて)』!」


 さすがはシエラだ。

 もう対処法まで思いついたか。それはとてもグッドだな!


〈分身騎士〉はHPが50%を過ぎた辺りからはもうシングルで居続けることは少なくなり、常に2体居る状態にパターンが変化。

 1体が消えたと思ったら、数秒の間を置いて別の場所に現れるという行動を繰り返し始めたのだ。


 これに対し、シエラに頼んだのが〈分身騎士〉が消えた瞬間カバー系を発動すること。

 すると〈分身騎士〉が突如現れ、それに俺たちでは対処できなくても、シエラの自在盾はオートで仲間を防御してくれる。


〈分身騎士〉が消えたらカバー系スキルで対処。

 これが正解だな。


「はぁ! 『天盾飛翔突撃』! これ以上好きにはやらせません!」


「『カウンターバースト』! あなたは私に集中してなさい――『完全魅了盾』!」


 フィナとシエラが手分けして〈分身騎士〉を追い詰める。

 ヘイトはシエラが一番稼いでいて、どちらか1体はシエラにタゲを向けているのだが、もう1体はシエラだったり、消えて現れて別の人を襲ったりと、割とランダム性があり油断はできない。『完全魅了盾』のクールタイムが終わる度に使用してなるべく1体目は転移しないよう引きつけた。


 フィナはすでに『天空飛翔』を発動しており、低空飛行で高速移動して、現れた〈分身騎士〉へ突撃を繰り返している。


「そこ――『ブラスト・フライ・アクセラレート』!」


「キッシ!?」


 エフィも同じく『天空飛翔』してフィナと同様に斬りかかったり魔法を撃ち込んだりしているが、基本近くにいる方の〈分身騎士〉を攻撃している。

『ブラスト・フライ・アクセラレート』は超加速の突撃スキル。おお! 鍔迫り合いで騎士を押し込んで壁に激突させたぞ! なんてロマン溢れる攻撃なんだ!

 だが、2体目騎士は一瞬でまた消えて、今度はゼルレカの近くに出現する。


「キッシ! キッシ! キッシ! 奇ッ襲」


「のわぁ!? ――おい今こいつ、どさくさに紛れて奇襲って言わなかったか!?」


「くっ、言葉で幻惑して来やがって! さすがは〈幻惑〉と名の付くダンジョンボスだぜ!」


「ボスの言葉になかなか無視させてくれないセリフが時々混ざるのなんで!?」


 ゼルレカはAGIがかなりのもので『直感』スキル持ちでもある、急に騎士が現れても回避は可能だ。ただ、なんか騎士のセリフに翻弄されまくっているんだぜ。

 騎士のやつもゼルレカを幻惑することが多い気がするのは気のせいか? ゼルレカはリアクションがいいからなぁ。騎士のやつ、分かってやがる!(勘違いです)



 だんだんと慣れてきたことで、こっちも切り札を切る準備が調ったな。


「マシロ、準備はいいか!」


「はい。いつでも大丈夫です!」


「――今だ!」


「『シークレットアウト』!」


「キッシ! キッシ?」


 よし成功。

 相手がシングルになった瞬間を見計らい、マシロに『シークレットアウト』を使ってもらう。

 これで相手は転移で逃げられないし、分身も出せない。一定時間、このシングルに止めてしまう。

 転移をする時はもう片方の分身が居ることが条件だからだ。シングルの時ではできない。


 そして、みんな1体目に近い位置に居て総攻撃が可能なタイミング。


「『フォトン・エルソード』! 『ウリエルラッシュ』!」


「『聖剣』! 『勇者の剣(ブレイブスラッシュ)』!」


「『怠慢と堕落の剣』! 『レイジー・バスター』!」


「ルルも『ヒーロー・バスター』! 『ヒーロー・バスター』なのです!」


「キッッッッッッッッ!!」


 このチャンスは不意にはしない、みんなで次々攻撃を仕掛けていく。


「お願いしますサンクトゥス様――『サンクトゥス・サークル』!」


「『簡易召喚・悪魔の腕』! ぶっ飛ばしちゃって!」


 火の大精霊イグニスが時間切れで消えると、シェリアが聖の大精霊サンクトゥスを召喚してバフを掛けてくれるため、かなりの火力が出るようになった。

 そうして残りHPが15%を切ったところで、新たに〈分身騎士〉に変化が起こる。


「キッシ!」


「! 何か来るわ!」


「これは!?」


 なんと騎士の1体目と2体目が、引力で引かれたかと思うほどお互い引き寄せられて激突、否。そのまま融合を果たしたのである。


「形態変化!? レアイベントボスで!?」


 エリサの驚愕の声が聞こえてくるが、実は違う。


「『フルライトニング・スプライト』!」


「! ダメージが通った!」


「見ろ! これは形態変化じゃない! 今のうちに総攻撃を叩き込め! 様子見も兼ねて遠距離から! 『サンダーボルト』!」


「りょ――『星降りの光線』! 『エクストリーム・エルフォース』!」


「『大気の哀しみ・エレメントヴェントゥス』! 『大海の荒れ・エレメントアクワ』! 『陽光の驚き・エレメントソル』!」


「はい! 『フォトンノヴァ』! 『ルーメン・ハート・シュート』!」


「マシロンも攻撃に加わっちゃうんだ!?」


 融合。

 実はこれ形態変化では無いためHPにダメージを受けるのである。

 隙だらけだぜ! 今のうちに総攻撃を叩き込めーーー!!

 ただし初めてのパターンなので遠距離攻撃が中心。


 タンクのシエラやフィナにも離れてもらいつつ、攻撃を叩きこんだ。

 すると、融合完了。


 体長6メートルにも成長した騎士となって立ち上がったのである。

 しかも、腕は4本。足は2本のままだが、ハルバードと盾が右と左で1つずつ構えられていた。


「が、合体しやがったのか!?」


「やっぱりこれ形態変化じゃない!?」


 はい。もう完全に形態変化の如くパワーアップしています。

 ありがとうございます! だが、実はあまり問題は無い。


「シエラ、フィナ! 左右を頼む! ルルはチャージ、さらにこっちも変身だ!」


「任せて」


「了解です」


「『変身・プリンセスメイクアップ』! 溜めるのです! 『エネルギーチャージ』!」


「キキッシシ!!」


「こいつ、結局ツインズなのか? シングルなのか!?」


「良い疑問だなゼルレカ! 俺にも分からん!」


「分かんねぇのかよ!?」


 何しろツインズが合体とか初めての行動である。さすがはレアイベントボスにして上級上位ダンジョンボス、初パターンの宝庫だ。


 この形態は〈融合騎士〉形態なんて呼ばれていたが、あまり浸透してはいなかった。

 なにしろ、HPがね、残り8%なんだよ。


「キキッシシ!!」


「はっ! 結構重いわね!」


「うくく、防御スキル無しでは―――きゃ!?」


「フィナちゃん!? 『ダークヒール』!」


「回復します!」


 両腕のハルバードを使い右のシエラと左のフィナに攻撃を開始する〈融合騎士〉。

 その威力はやはり先程よりもかなり上がっていて、飛行するフィナは弾かれて吹っ飛び、シエラはマシロに回復してもらっているほどだ。だが。


「でも攻撃が単調になっているわよ。ここ――『カウンターノヴァ』!」


「キキッシシ!?」


「今だ! 『英勇転移(ブレイブポート)』!」


「『瞬間移動』なのです!」


 ズドンと衝撃。シエラのカウンター炸裂。

 いやいや、4メートル級から6メートル級になっているけど、攻撃が雑だからカウンターが取れるって、相変わらずシエラはパナ過ぎる。


「やってくれましたね! 『天盾飛翔突撃』!」


 そしてカウンターの衝撃で一歩下がった騎士に、すかさずフィナが盾突撃を叩き込む。これは惜しくも盾で防がれたが、その間に俺とルル、そして俺たちに手を掴まれたゼルレカとエフィが〈融合騎士〉の真後ろに瞬間移動していた。


「ここだぁ! 『聖剣』! 『フィニッシュ・セイバー』! トドメいくぞー!」


「『デュプレックスソード』! 『ヒーロー・バスター』! 『ヒーロー・バスター』!」


「『怠慢と堕落の剣』! 『アサルトストリーム』! 『レイジー・バスター』!」


「『ウリエルラッシュ』! 『ウリエルラッシュ』! 『ウリエルラッシュ』! 『ウリエルラッシュ』!」


「『ハイエレメントバースト』!」


 ズドドドドドドドドンとがっつりとした攻撃が叩き込まれる。

 途中で〈融合騎士〉が反転してこっちを向き、盾で防御したり反撃のハルバードを振るってきたりしたが、シエラが『クイーンオブカバー』で防いでくれて被害無し。

 最後は大精霊2体に加え、通常精霊4体を構えたシェリアの6属性攻撃『ハイエレメントバースト』が背後から直撃したことで、〈融合騎士〉のHPがついにゼロになったのだ。


「キキ…………」


 ズズンと片膝を着き、そのまま膨大なエフェクトを発生させる〈融合騎士〉。

 おお、消えるときもかっこいいな。


 上級上位ダンジョンのレアイベントボス、初撃破だ!

 そしてレアイベントボスは――〈金箱〉確定だ!!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
ルルの戦闘勘は凄いなぁ ヒーローなだけあって勇者のようなスキル構成だし、プリンセスヒーロー主人公でも面白そうだ
相手がシングルになった瞬間、マシロが『シークレットアウト』を使用。 相手は転移で逃げられないし、分身も出せない。一定時間、このシングルに止めてしまう。 ↓ みんなで総攻撃。 ↓ 残りHPが15%を切っ…
残りHPが8%!? そこからの融合とか、まるで燃え尽きる前の蝋燭の様だ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ