#1565 終業式突入! 新装備お披露目祭りじゃーー!
「おはよう! とうとう終業式だな!」
「おはようゼフィルス。満面の笑みじゃないの!」
「ラナもじゃないか! これからしばらくダンジョン入りまくりだぞ!」
「楽しみだわ!」
挨拶をしながら教室に入ったらラナが良い笑顔で迎えてくれた。
俺もきっとこんな笑顔をしているに違いない。
今日は終業式。
いよいよ冬休みに突入するのだ!
学生なら喜ばない人はいないとすら言われてる日。
俺も例外なく喜んでいる。学生だもん!
「あと冬休みで帰省する人が居なかったのも幸いだ! これで毎日ダンジョン攻略に勤しむことができる。うーん楽しみだぜ!」
「それについてはこの後に行なわれるイベントが大きいけれどね。みんな、帰省している場合じゃないのよ」
シエラも来た!
実は今言ったとおり、今年の冬休みの帰省はゼロ。
上級上位ダンジョンの解放、そして俺たち〈エデン〉メンバーはみんなその入ダン条件を満たしているのが理由だ。
帰っている場合じゃないよね! 攻略しないと!
「シエラもおはよう!」
「おはようゼフィルス」
「そういえばテストの順位表見てきたぜ! シエラまた1位タイじゃん! 満点おめでとう!」
「あなたもだけどね。ありがとうゼフィルス」
「ちょっと、私は!? 私も今回頑張ったんだけど!?」
「もちろんラナも凄かったぞ! 初の10位おめでとう! これまでで一番順位高いな!」
「ふふ、まあね!」
これが自発的にみんなが勉強をするようになった成果か、それとも〈1組〉競争率が上がったからなのか、ラナも今回最高順位を叩き出していた。
来年もラナと一緒のクラスになれそうで俺は嬉しい!
あと腰に手を当てて「ふふん」とドヤるラナが可愛い!
そこへフィリス先生が教室に入ってくる。
「はーいみなさん席に着いてくださいね~。ホームルームを始めますよ~」
サッと席に戻る俺たち。
そしていつもの挨拶の後に戻ってくるテスト結果。
〈1組〉の人たちの顔はいつも明るいな。
普通の学園なら一喜一憂が見られそうだが、本校の〈戦闘課2年1組〉ともなると一喜しか無い。みんな勉強が得意なのだ。そういう人しか1組にはなれない。
よって、テスト返却という大行事もパッパと終わらせて、冬休みの話やこの後のイベントについてフィリス先生から話があったよ。
「これから冬休みに突入します。はしゃぎたくなる気持ち、先生も分からなくはありませんが、あまり羽目を外さないように注意してくださいね?」
はーい!
…………あれ?
なんか教室中から視線を感じるぞ? しかもかなりの数。
うん。きっと気のせいだな!
「それとみなさんももう知っているかもしれませんが、このあと大きなイベントがあります。上級上位ダンジョン門、その解放です」
―――おお~~。
知っていたけど、少しガタついてしまったぜ。
聞き逃しはしまい! 俺はしっかり耳を傾けた。
「たくさんの見学者が訪れますのでみなさんくれぐれも…………えっと」
しかし、そこまで言ったところでフィリス先生の言葉は失速してしまう。
「そういえばみなさん当事者さんでしたね」
そういえばそうだった。
〈エデン〉はもちろん。〈救護委員会〉のラムダも、〈ハンター委員会〉のミューも見学者ではなく、参列者側である。
〈百鬼夜行〉のハクと、〈集え・テイマーサモナー〉のアイシャは見学者側だが、2人はすでに言わなくても分かっているだろう。
前の上級中位ダンジョン解放の時みたいにとんでもない数の人が詰めかけるので気をつけましょうと。
でも〈百鬼夜行〉も〈集え・テイマーサモナー〉も抜け目ないので言わなくても問題無しである。
「それじゃあ次にいきましょうか」
上級上位ダンジョン解放の話が飛んだ!? そんなバカな!
同時に放送が入る。終業式の放送だ。
学生の人数が膨れ上がりすぎたのでもう体育館に集まることはせず、放送で終業をお知らせするのだ。
「『――こほん。学生諸君、〈迷宮学園・本校〉の学園長。ヴァンダムド・ファグナーである』」
学園長のありがたいお話に耳を傾け――お仕事お疲れ様ですと心の中で労う。
この後上級上位ダンジョンの解放イベントにも参加しなくちゃいけないのだから学園の長って大変だよな。(←大変の原因)
「『――以上じゃ。学生たちよ、また来年、元気な姿を見せてほしい』」
そう言って学園長のお言葉が終わる。
あ、もう終わり? 相変わらず学園長の話は短い。
任せてください学園長!
冬休み明けには元気120%、いや、元気300%をお見せしますとも!
俺はそう心に決めた。
この時学園長が悪寒に震えていたことなど、俺には分からないのだった。
学園長の話が終われば後は早い。
ホームルームも終わってさようならすると、俺たちは一度ギルドに集まって装備に着替える。
そしてここでもちょっとしたイベントが。
「みなはん待たせたな~。新装備お披露目と行こうかぁ!」
アルルの宣言の通り、新装備が出来たのだ。
テスト期間中だというのに、アルルとマリー先輩は勉強と両立してみんなの装備を作ってきてくれた。とても頭が下がる!
「わははははは! マリー姉が居らんから、まずはうちの装備行くで!」
マリー先輩は後からギルドに来ることになっている。
上級上位ダンジョンの解放までまだ時間がある。その間に新装備のお披露目会を敢行するのだ!
「ではヴァンはんの〈守護伯爵シリーズ〉からやー!」
「こんな素晴らしい装備をいただき、ありがとうであります!」
「「「おお~」」」
先陣はヴァンから。
ヴァンが身に着けていたのは白に着色された金属の鎧。〈守護伯爵シリーズ〉だ。
どう見ても白騎士にしか見えないのですごくかっこいい。以前の装備よりも鎧率が増してゴツくなり、防御力が上がってると一目で感じる。
ちなみにこの前当てた〈メタルドレイクの鎧〉は、もう降板です。
「続いて目玉の装備がこちら! なんやぶっ飛んだ鎧装備――〈黒竜装備シリーズ〉やーー!!」
「「「「おおー!」」」」
「これをまずエステルはん、アイギスはん、ロゼッタはん、それとノーアはん、アルテはん、ナキキはんの分を拵えたわ!」
〈火山ダン〉で唯一出た全集レシピ、それは6人の装備になることに決まった。
鎧系の装備だ。とてもかっこいい。
俺の分も作ってもらうか、とても迷ったよ。素材さえあれば~。
黒竜装備はアーマー部分が黒く、しかし目が引かれる光沢を持ち、布部分がまたかっこいいデザインとなっている。
この布部分は多少のデザイン変更や着色も可能なので、それぞれのイメージカラーに合わせ、エステルは青、アイギスは赤、ロゼッタは白、ノーアは黒も良し、アルテは赤白が半々、ナキキは黄土色で仕上げている。
6人が設けられたステージの上に着替えた姿で上ってお披露目だ。
「おおー! エステルは今までのドレススカートからシュッと引き締まった騎士っぽくなっちまって。こういうのも似合ってるなぁ!」
いつもドレスアーマーというイメージのエステルは、アイギスのような騎士っぽい衣装の装備に変わっていた。しかし、これもまた良い。
「アイギスはあまり変わってないような見た目だが、竜騎士の迫力が出てきているようで素晴らしい。かっこよさが増している! これもまた似合うな」
「ありがとうございます。嬉しいです」
「ノーアは黒もいけるんだな! これもまたかっこいい」
「ふふ、ゼフィルス様のためならなんでも着こなして見せますわ! この新装備、鎧なのに動かしやすくて、とてもよろしいですわね!」
そんな感じに全員を褒めていく。
女性に対してかっこいいが出てしまうのは、致し方ない。だって〈黒竜装備シリーズ〉だもん。
アルテもスカートから騎士っぽいズボン装備になって……というか今まで良くスカートで騎乗してたな! ちょっとちっちゃい黒竜装備がかっこ可愛いです。
ロゼッタはエステルとアイギスと同じく、かなり騎士っぽい出で立ちだ。とても決まっている。かっこいい。
ナキキは前まで軽装備もかくやと言うような、とても鎧には見えない装備をしていたため、一番変化していて新鮮。巨大ハンマーと両手盾がかなり似合ってるんだ。
やはり黒竜系の装備は良い。凄く良い。かっこいい。
防御力なんて一番高いものだからタンクは安心も安心だ。今攻略しているダンジョンでこれ以上の装備は中々無いぜ。
「次にクイナダはんに〈大狼の牙剣レシピ〉から作った〈大牙大狼剣〉を贈呈や!」
「これとんでもないんだけど! 「狼人」専用装備? ステータス値の上がりが、なにこれ、ちょ、すごっ!?」
続いて来たのは〈上級の狼ダン〉1層、〈ホワイトファング〉に『革命ドロップ』をして出た、〈大狼の牙剣レシピ〉から作った〈大牙大狼剣〉。
これ、クイナダの言ったように「狼人」専用武器で「狼人」が装備するとSTRが200も上がるというとんでもない武器である。やはり、専用装備は強いぜ。
上級中位級だが、最上級ダンジョンまで使えるだろう。
「それじゃあ続いて〈竜武器〉いくで! 今回揃えたんはこれらや!」
アルルのセリフと同時に出てきたのは――15種類の武器を装備した各メンバー。
短剣〈ドラゴンダガー〉を2本装備したカルア。
刀〈竜刀〉を片手直刀にして2本構えるパメラ。
剣〈ドラゴンソード〉をかっこよく抜き放つサチ。
本〈ドラゴンライブラリー〉を浮かせて構えるエミ。
弓〈竜弓〉を引き絞るように構えるユウカ。
ボウガン〈ドラグノス〉を右手に装着したカイリ。
棍〈ドラゴンメイス〉を構える、凄まじく様になっているシエラ。
ハンマー〈ドラゴンハンマー〉を掲げるナキキ。
両手槍〈ランサーソルドラゴン〉を両手で前に突き出す形で構えるエステル。
杖〈竜杖〉をなぜか真上に掲げながらアピールするアリス。
拳〈竜拳〉を甲の部分を見せるように構えるミジュ。
銃〈ドラグノフドラゴン〉をガチャリと音を鳴らして決めポーズするシズ。
砲〈竜砲〉を前に向けて、構えて見せるリーナ。
楽器〈ドラゴンマイク〉を掲げて目立たせ、自分も目立っているノエル。
タリスマン〈ドラゴンタリスマン〉を首に提げながら胸を反らすラナ。
―――――おおおおおお!!
会場がざわめいた。
かっこいい! かっこいいよ! 竜武器がすごくかっこいい!
それを構えるみんなもすごくかっこいいよ!
なお、斧だけは使い手の関係で未作成である。
斧はノーアが使うかもしれないが、ノーアのメインウェポンは大剣と大槍なので今回は後回しにしたらしい。
ラナのタリスマンとか、ようやく更新か~。
何気に『クールタイム軽減』系というとんでもないスキルが付いていたので換装しにくくって、中級中位の頃からずっと装備変わっていなかったからなぁ。……それで宝剣があの威力だったのが恐ろしい。
今回ようやく換装出来てよかったよ。うん、かっこいい!
ラナパワーアップだ! ふはははははは!!
また、現在ステージの上で見せている人以外にもちゃんと〈竜武器〉は回す予定だ。ただ作製時間と素材数の関係で、もう少し後回しにするかも、とのこと。
こうして拍手喝采していると、ついに来たる。
「待たせたなぁ兄さん! 新装備、ぎょうさん持ってきたで!」
そう、マリー先輩のご到着だ!




