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#171 Eランク試験結果。俺は勝利へ導く勇者だ!




 ポイント〈白8360P対赤7850P〉。

 勝者、〈エデン〉。


「余裕の勝利だったな」


「…お見事ですね」


 試合終了のブザーが鳴り、スクリーンに表示されているポイントを見てそう言ったところ、近くにいたエステルから、やや呆気にとられた回答をいただいた。


 ポイントだけを見るとそう開きは無いように思えるが、このポイントには絶望的な差が存在する。

 ひっくり返せないのだ。いや、たとえ巨城をひっくり返したとしても返されて負ける。

 止めようにも保護期間という進入不可のバリアを張られてしまえば2分間時間を稼がれて止められない。


 小城獲得数の有利。

 これが崩されない限り、とてつもなく大きなアドバンテージを持つ。それは勝敗すら左右してしまうほど大きい。

 小城はたったの10ポイント。たかが10P、されど10Pである。

 塵も積もれば勝利に繋がる10Pだ。


 〈キングアブソリュート〉と〈千剣フラカル〉戦の〈ギルドバトル〉で、最初にどうしてあんなにも小城獲得に躍起になっていたのかはこれが理由だな。小城を獲得数の多い側が圧倒的有利を取れるためだ。


 ま、アレは極まりすぎて少し小城に固執しすぎではないかと思わなくも無いが、そのくらい小城を多く持つ意味は大きいという事だな。




「余裕は余裕だが、これは結構特殊なパターンだけどな。対人戦無し、そして人数差があるからこその一方的な勝利だ。普通はこうはいかない。それにメンバーが最初の作戦通り動いてくれたおかげというのが一番大きいな」


 本当にそれだ。たとえ作戦が良くても実際動くメンバーがちゃんと動けなければ勝てるものも勝てない。


「ゼフィルス殿が作戦を考えてくださったおかげです。それにこの靴も用意してもらって。これでは失敗なんて出来ません」


 エステルの視線が自分の足に向く。そこにあったのは〈ダッシュブーツ〉という足装備。

 以前〈バトルウルフ〉第二形態の〈ビューティフォー現象〉の時に、ラナが当てたレシピに書かれていた装備だ。

 それをマリー先輩に言って全員分を作ってもらっておいた。


 〈ダッシュブーツ:防御力6、素早さ15、『移動速度上昇LV5』〉


 完全に〈ギルドバトル〉を想定した装備だな。それにレアボスの〈銀箱〉産レシピなだけあって非常に強い。

 これを俺は全員に配り〈ギルドバトル〉の間だけ装備してもらった。

 おかげで俺とエステルの速度は相当上がり、それに加え〈ギルドバトル〉開始早々のラナの『迅速の加護』のバフも掛かって、無事北巨城を先取出来たのであった。


 今回の〈ギルドバトル〉。俺には先生方が手を抜いているようには見えなかった。

 おそらく、そこそこ本気で相手をしてくれたはずだ。何しろ初動で天王山を取ってきたからな。中央を取られるととても動きづらくなる。


 先生たちの速度もかなり速かった。職業(ジョブ)LVは完全に上だというのは理解していたが、それでも〈ダッシュブーツ〉を履いてバフの掛かった俺とエステルが追いつけないくらいの速度で動いていたからな。

 万が一を想定して〈ダッシュブーツ〉を全員分作ってもらっていたが、やはり作っておいて良かったぜ。


 そんな事を考えている間に方々(ほうぼう)に散っていたメンバーたちが本拠地に戻ってきた。


「皆お疲れ様ー。初めてなのに凄く良かったぜ!」


「お疲れ様ー! 本当に勝っちゃうなんて凄いわねゼフィルス!」


「本当。こんな簡単に? って疑問に思うくらいあっさり勝っちゃうんだもん。驚いちゃった」


「お疲れ様。あなた、改めて何者なの?」


「【勇者】だよ。みんなを勝利に導く、な!」


「何よゼフィルス、今の格好いいじゃない! もう一回言ってみて!」


「俺は皆を勝利に導く【勇者】だ!」


「わ、わーわー! 格好いいわ!」


「わ、私も今の、良いと思う!」


 俺が『アピール』を使ってキラキラエフェクトを振りまきながら格好付けるとラナが拍手して喜んだ。何か、ラナのツボに入ったらしい。そしてハンナまで握りこぶしを作って褒めてくれた。なんだか気分が良い。


「はいはい。先生方がいらっしゃったわよ、しゃんとしなさい」


 シエラの言葉に視線を上げれば3人の先生方がこちらに向かって来るところだった。


「お疲れ様〈エデン〉の皆さん」


「フィリス先生。ありがとうございます。試験の方はどうでしたか?」


「ふふ。もちろん、文句なしの合格ね。おめでとう。〈エデン〉は今日からEランクギルドよ」


 わあ、と。後ろのメンバーたちがざわめく。

 俺もグッと拳を握った。

 合格は分かってはいたが、やはり直接言い渡されると達成感が違う。

 心にジーンと来る。

 顔がニヤけないようキリッとした勇者顔を作るのが実に難儀だ。


「思いっきりニヤけているわよ」


「マジで?」


 シエラに指摘されて顔を揉みほぐしてもう一度チャレンジ。


「少しマシになったかしら?」


 それでもニヤけているらしい。

 だってしょうが無いじゃん。初めての〈ギルドバトル〉だったんだぜ?


 まだ初級者がやるような小っちゃくて少人数のものだけどさ。

 ゲームではなく実際にやるリアル〈ギルドバトル〉。

 それだけでも楽しかったのに、あまり手加減の無い先生方に勝ってのギルドランク昇格だぜ? そりゃあもうニヤけるってものさ。不可抗力だ。


「ふふ。ではこれでギルド〈エデン〉のEランク試験を終了します。ランク証は〈ギルド申請受付所〉で受け取ってね。部屋もEランク部屋に変わるから移動の準備もしておいてね」


「はい。了解しました!」


「では解散です。お疲れ様でした」


「「「「「ありがとうございました!」」」」」


 こうしてギルド〈エデン〉は無事、Eランク試験に合格。

 Eランクギルドとなった。





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― 新着の感想 ―
[一言] ギルドの移動かぁ。 〈幸猫様〉を移動させる必要があると思うが、 移動時に何かが起きたりするのだろうか?
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