#1553 セレスタンとノーアの連携カウンターが最強!?
「〈火山ダン〉の浅層に登場するモンスターは基本、この溶岩に対応したリザード系が大半だ」
「上級下位の〈火口ダン〉の時とはモンスターの層が結構変わるのね」
「あ、モンスター発見よ! あれは、リザード系かしら?」
「ん……二足歩行のトカゲ」
「相変わらずラナ殿下は1番に見つけるなぁ」
〈火口ダン〉のモンスターはガーゴイルなどのモンスターも居たが、ここ〈火山ダン〉の浅層ではほぼ全てがリザード系だ。
早速ラナが見つける。
斥候より早い発見にカルアの尻尾がへんにゃりしていた。
リカが苦笑してカルアの頭を撫でて慰めていたよ。
「え? あれのこと?」
「斥候からの報告とかすっ飛ばしてモンスターを見つけちゃうラナ殿下が凄すぎる……」
「いったいどんな感知能力をしてるんだ……。あたい、今ようやく『直感』に反応が来たんだけど」
なお、シヅキ、エフィ、ゼルレカは困惑の表情だ。
まだラナと組んで日が浅いからな。ラナの感知能力に戸惑うのも分かる。
俺たちはもう慣れたけどな。
「凄いですラナ殿下! ヒーラーはモンスターの気配に敏感じゃないといけないんですね!」
ちなみにマシロだけはキラキラした目でラナを見ていた。
ああ、ラナの間違ったお手本をヒーラーの基本と勘違いしている……。
後で正さなければ。
「ふふん。そうよ! ヒーラーは全体を見渡して、広い視野を持たないといけないの! モンスターからの奇襲で一番やられちゃダメなのはヒーラーなのよ!」
なんかもっともらしいことを言ってる!!
モンスターの奇襲を見破るのは斥候の仕事だよ?
なお、これが切っ掛けになったのかは分からないが、マシロもラナに影響されてモンスターの感知能力(スキル無し)がメキメキ上がっていくことになる。
それを見たシヅキは「うわぁ。マシロンがどんどん〈エデン〉色に染まってくよ」とか漏らすことになるのだが、それは別の話だ。すまん、修正できんかった。
「ん。溶岩川」
「〈鎮火の秘薬〉を指示。オリヒメさんがいるパーティは『冷凍氷河』で凍らせてもいいと連絡してくれ。だが、その場合は報告を頼む」
「承知いたしましたわ」
全員一塊になっているのも効率が悪いため、基本的に少し間を空けて進むのが最近の〈エデン〉流。
ゲーム時代はシステム上、全く気にならなかった混雑がリアルではよく起こっているのだ。フレンドリーファイアも起こりうるのでお互いのパーティで少し距離を離すのは当然となりつつあった。
今俺たちが取っているのは方円陣形モドキだな。
円を描くようにして8班40人が8方向からの攻撃に備え、その中央にいる2班9人を守る形で配置されている形。ちなみに〈採集無双〉は〈『ゲスト』の腕輪〉持ちなので好きに採集してるよ。
そして俺はどこでも自ら行って指示が出せるよう中央に待機している1班所属だ。
すると、早速報告が来た。
「ゼフィルス、報告」
「お、どうしたカルア?」
「あっちで4班がエリアボスらしきモンスターと交戦してる」
「マジで? すぐ見に行くぞ!」
「ん!」
まあ、カイリから4班か5班辺りとエリアボスが接触しそうという報告は受けていたんだけどな。
どうやら当たったのは4班だったようだ。
ここ1層のボスは〈アーマーハイリザードマン〉というリザードマン系のボスなので、正直遠目だとボスなのか普通のリザードマン系なのか分かりづらい。
接触報告を聞いて目をこらして、ようやく「あ、大きいのいるね」となったくらいだ。
早速カルアと共に1班全員で出撃。
今回俺と一緒の班になったのは、カルア、リカ、カイリ、エリサだ。
ちなみにエリサがここに居るのは〈良い夢をごちそう様〉戦法が強すぎて鍛錬にならないからだな。
初めて来たダンジョンでは、多くのメンバーがまず一当てして感覚を養いたいと考えているので、瞬殺してしまうエリサは中央待機が命じられた形。
なお、当のエリサはというと「ご主人様と同じ班なんて素敵! まったく何も、問題の一欠片もないわ!」と言っていたよ。
また、カルアとカイリという斥候2職が同じ班なのも、俺たちが方円陣形の中心にいる理由だな。つまり、1班は今回司令部なのだ。
「ん、あれ?」
「もう終わってるし!」
ちなみに到着したとき、ちょうど〈アーマーハイリザードマン〉が光に還るところだった。早っ!
「中々の歯ごたえでしたわね」
「嘘ですよねお嬢様。カウンター取りまくって完全に圧倒していたではないですか」
ちなみに4班はノーアの班。
メンバーはノーア、クラリス、メルト、ミサト、セレスタンだ。
タンクはセレスタンとノーア。
基本的にノーアはタンクカウンタースタイルが一番強いのだが、挑発スキルを持っていないのでタンクが難しい。そのため、この班では避けタンクのセレスタンがメインタンクだ。
だが、ノーアはタゲを奪うスキルを持っているため、カウンターを取りに行ける。
最近ではそのカウンターを取るのにさらに磨きが掛かっていて、タンクでもないのにビシバシ攻撃を受けに行き、そしてカウンターを取りまくっていた。
さらにセレスタンの避けタンクは最強。
セレスタンがヒラリと避けるじゃん? すると、その後ろになぜかカウンターを構えたノーアが待っていたりするわけだよ。
つまり、セレスタンったら攻撃を巧みにノーアの方へ誘導して、それをノーアがカウンターを取ってという戦法が出来上がってしまったのだ。
おかげでボスもこの通り。
いやぁ、セレスタンとノーアのコンビタンクがマジ強ぇ。
ちなみに俺もセレスタンのまねごとができたりする。
というか先にやったのは俺なんだけどな。普通ボスの攻撃を味方に誘導するとか、この世界の住民ではかなり抵抗があるらしいのだが、俺がやってみたことでその箍が外れたらしい。
今ではセレスタンの方が誘導が上手いくらいだ。
ノーアはカウンターが取れまくるので喜びはしゃいでいたよ。
その件でクラリスとシエラからお説教があったのも良い思い出だ。
まあ、今ではクラリスも慣れたものだけどな!
「さすがだなノーアとセレスタンは」
「たはは~。私たちの出番が無いくらいだよ~」
「重力で攻撃するより、動きを押さえた方がノーア嬢がカウンターを取れるからな。カウンターが決まれば隙が出来る。後はそこを攻撃するだけの単純な作業だった。楽勝だな」
「ノーア様は素晴らしいセンスの持ち主ですね。僕が合図を送らなくても、ちゃんと後ろで構えを取っているのですよ」
ノーアの評判がすこぶる良い。
メルトの重力もほどよく決まっているようだ。
セレスタンもいつもよりも微笑んでいる気がする。
「私は未だに頭が痛くなります。心配で精密な剣の操作を失敗してしまいそうです」
「それにしては正確無比な一撃を入れていませんでしたこと?」
「気のせいですお嬢様。うっかりお嬢様を撃ち抜きそうになったこともあるのですよ?」
「オホホホホホ。クラリスは冗談が上手いですわね。味方の攻撃を受けてもカウンターは取れないんですわよ?」
「知っていますよ?」
うむ。あそこは微妙に話が噛み合っていなさそうな会話をしているな。
あといつもじーっと見つめてくるクラリスが、最近はシエラの影響を受けたのか少しずつジト目になりつつあるんだ。
これは良い傾向だと俺は思っている。
「さあ! そろそろ〈金箱〉を開けましょうか! 今回も『ドロップ革命』は万全ですわ!」
希少ボスがドロップするのは〈金箱〉確定。
普通の階層ボスであるエリアボスを倒しても希少ボスのドロップが出る『ドロップ革命』がマジ最高。
早速ノーアが宝箱を開ける。
「これは、砲ですわね! 武器でしょうか?」
中に入っていたのは1つの砲。
大砲系は武器とアイテムの2種類があるのでぱっと見では分からない。
俺はすぐに『解析』のできる〈解るクン〉を取り出した。この〈解るクン〉もすでに『解析LV10』になっている。
抜かりは無い!
そして結果。
「これは――〈氷河砲〉だな! アイテムだ」
「〈氷河砲〉?」
「端的に言えば、溶岩を凍らせて道を作ることの出来る砲アイテムだな。回数はなんと無制限だ。クールタイムは13秒」
「それは、なんといいますか……」
もちろん俺はこれが何かを知っていた。
うん、希少ボスは良いものをドロップしてくれた! でも今はあまり嬉しくない!
ほら、クラリスも言葉を濁しちゃってる。
いや、性能は強い。マジで強い。
これ、溶岩がある場所じゃなくても使用できて、使用された場所の上にいる間は〈ヒエヒエドリンク〉を飲んでいるのと同じ環境効果を得られる。つまり涼しい環境を作ることもできる強アイテムなんだ。
でも〈鎮火の秘薬〉と〈ヒエヒエドリンク〉があるからね。
この〈氷河砲〉も1個だけじゃ……。
ゲームでは一箇所にメンバーを固まらせて効果を享受できたけど、リアルだとみんなバラバラに動いているので、うん、ちょっと微妙!
まあ、でも便利なことに変わりはない!
とりあえず当たりだな! これでますます攻略が進む、はずだ!




