#1549 マリー先輩に貯めたお土産をドン!レッツ悲鳴
「マリー先輩! 待たせたな! 追加の素材を大量に持って来たぜ!」
「だから少しは手加減してもええんよ!? って貯め込んで持ってきたらあかーーーん!!!!」
実に3日ぶりのマリー先輩訪問! 俺がまた〈空間収納鞄〉をひっくり返して大量のボス素材を納品すると、マリー先輩から悲鳴が上がった。
これこれ、これが聞きたくて頑張ったんだよ。
なぜかマリー先輩の悲鳴って度々聞きたくなるのだ!
だが、まだだ。これだけでは終わらないのだ!
「それだけじゃない。さらにマリー先輩にはビッグでエクセレントでスーパーなお土産があるんだ!」
「これよりもビッグでエクセレントでスーパー!?」
「プラススペシャルもつけちゃうぜ!」
「兄さん何持ってきたんや!?」
「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれたな! これがマリー先輩への特大のお土産! その名も――〈上級ミシン仕立てメーカー〉だ! ついでにこれが鑑定書!」
「―――ふぁ? ふぁああああああああ!?!?」
「×5個!!」
「増えたーーーーーーーーーー!?!?!?」
ドドドドドン! っと並べられた〈上級ミシン仕立てメーカー〉×5個。
これぞ4日間の〈バトルウルフ〉狩りでゲットした成果だ!
〈上級ミシン仕立てメーカー〉は通常ボスからもレアボスからもドロップするし、周回していたらいつの間にか結構な数がドロップしていたんだ。
マリー先輩にペラリとこの日のために用意しておいた鑑定書を渡して性能を理解してもらい、理解が浸透した辺りでドンと追加を出してみた。
ふはははははは!
これだ! この悲鳴が聞きたかったのだ! マリー先輩の度肝を抜いてやったんだぜーーーーー!!
はーーーっはっはっは!!
とっても楽しんでしまった。
「こんな、こんなもの、兄さん大好きやーーー!!」
「俺もマリー先輩が大好きだーーーー!」
ヒシッと抱きつくマリー先輩と俺。
大丈夫、ここにシエラたちは居ない。他の人も居ない。
ここ最近ちょっと〈ワッペンシールステッカー〉に1人で行こうと企むと、シエラなど誰かしらが付いてこようとしていたので、しばらく様子を見ていたのだ。
ここ数日来られなかったのはそういう訳。そして今日はセーフな日。
警戒が緩んだタイミングで1人突入してきたのです!!
素材貯めまくっていた影響でいつもより良い悲鳴が聞けたよ!
ふはははははは!
そのままクルクルダンスに移行してしまったぜ!
「はあ、はあ、はあ…………あかん。ちょっとはしゃぎすぎたわ」
「楽しかったな!」
以前楽しさのあまりマリー先輩を持ち上げてしまったので、今日は持ち上げないよう心を配って対処。
マリー先輩は生産職なため、息が上がったところで終了した。
とても楽しかったよ。
「というか、なんなんこれ?」
「え? 生産職用の加工台」
「鑑定書読んだからそれは分かるわ! というか、うちらが今まで使っていた学園産の最高裁縫工房のミシンより性能いいんやけど!」
そりゃもう、最高裁縫工房のものってアーティファクトと言えどその性能は〈上級ミシン仕立てメーカー〉には勝てない。最高裁縫工房ってゲームでは上級下位入ダンと同時に作れるようになる上級品生産のための工房だが、やはりダンジョンドロップ産よりワンランク下の性能になってしまうのだ。
とはいえ、最上級ダンジョンのレシピでも作製はできるので、もし上級加工台がドロップしなくてもそこは安心してほしい。
「これをマリー先輩に、いや〈ワッペンシールステッカー〉に貸与します! なのでもっと性能良いものを作ってくれ!」
「マジかい!? 兄さん大好きー!」
「俺もマリー先輩が大好きだー!」
2周目入った。
ちなみに〈上級ミシン仕立てメーカー〉は〈青空と女神〉に回す分もあったりするぜ。
合計で7つも手に入ったからな。ソフィ先輩に褒められるのが、とても楽しみだ!
一通り細かい説明をすると、ようやく事は動き出す。
「はいはい! 〈商業課〉の学生たち、出番やで! 大切な素材やから傷1つつけんよう丁寧に扱ってな!」
そうマリー先輩が2度手を叩いて呼ぶと、扉が開いて〈商業課〉の学生たちが入ってくる。
あれ? それで呼べるってことは今までのあれこれって全部聞こえてたんじゃ?
まあ細かいことはいい!
「し、失礼しまーす!」
「りょ、了解ですよ!」
「は、はい!」
「はわわ!?」
「ひぇぇぇ! この山だけでいくらになるの!?」
「質、量、等級、全てが見たこともない高レベル!? 震える手が止まらないよー!?」
うむ。さすがはマリー先輩の下で働いている学生たち。
マリー先輩に鍛えられたのだろうか? なかなかいい悲鳴をプレゼントしてくれる。これもサービスの一環なのかもしれないな!(違います)
「みんな、ダンジョン週間も今日で最終日や! しかし、うちらはむしろここからが本番――気張りや!」
「「「「お、おおー!!」」」」
まるでこれから負けられないギルドバトルに挑むかのような気合いの入れ方。
頑張ってほしい!
そう鼓舞したマリー先輩と俺は別の部屋へ移動する。
素材を出した部屋は、今戦場になっているとのことで、場所を移したのだ。
ちなみに〈上級ミシン仕立てメーカー〉はマリー先輩の〈空間収納鞄〉に収納済みだ。
「まーったく兄さんは、なんやあの素材は? あまりに凄まじすぎる性能にビビったわ!」
「だろう? あれが上級中位のランク7、〈上級の狼ダン〉のレアボス素材よ」
「なんでレアボスの素材をあんなに狩ってこれるんやろうね?」
「企業秘密だな! それに今日は最奥ボスの素材だけじゃないぞ? ちゃんと他のエリアボスとフィールドボスの素材も持って来ているからな」
「……あの山に纏められるには豪勢すぎるメンツやな!? というか、すでに〈エデン〉はランク7のボスを狩りまくれるんか……」
やはりマリー先輩のツッコミは気持ちいい。
たくさん素材を持って来た甲斐があったというものだ。
シエラたちの隙を突いてまで1人で来たのも良かっただろう。
ふはは!
「さらに、レシピのお土産もあるぜ?」
「なんやて!? またか、またあれなんか!?」
「そのあれだ! 今日もマリー先輩たちが持っていないだろう装備のレシピをたんまり持って来てやったぜー!!」
俺はそう言って、ドサッと言うほどの紙の束をマリー先輩の前に置いた。
マリー先輩は飛びついた。
「ま、またこんなに、こんなに持って来てからにーー!! ありがとう兄さん! 大好きや!」
「俺もマリー先輩が大好きだー!」
3周目!!
テンション上げ上げフォー!
マリー先輩がギルドマスターを務める〈ワッペンシールステッカー〉は、すでに学園で1、2を争うほどの生産ギルド。
だが、その地位に居るためには必要なものがある。そうレシピだ!
レシピが無いと作製出来ないのが〈ダン活〉流。
つまりは質の良いレシピはそのまま生産ギルドの力に直結する。
そして〈ワッペンシールステッカー〉のバックにいるのは〈エデン〉である。
ボス周回で集めに集めまくったレシピの多くは〈ワッペンシールステッカー〉に納品され、学園ではまだ誰も見たことが無いような装備が作られているのだ。
まあ、トップクラスに輝くよね。
そんなわけでレシピこそが生命線。素材は他のギルドが納品してくれたり、公式ギルドから買い取ったりもできるが、レシピだけはまず入手出来ないからな。
さらにここへあの〈上級ミシン仕立てメーカー〉である。
おうおう、マリー先輩の目が輝いておられる。
スポンサー&パトロンとしての役割を果たせたようでなにより!
このレシピは、全て供与だ!
「それでマリー先輩、注文いいか??」
「任せとき! まあ、ぶっちゃけ数が多すぎて時間は掛かるかもしれんが、質だけは落とさんと約束するで!」
「頼もしい! それじゃあ、これとこれ、それとこれとこれと、このレシピも優先にしてもらって次に――」
「――優先多いわ!」
だってレシピが多いんだもん、仕方ないね!
上級上位ダンジョンに入ダンするため、防具が劣ってきているメンバーからどんどん換装していかなければならない!
そして素材は潤沢。
マリー先輩も、いくつか試作品などを仕上げ、レベルを上げたら一気に取りかかるらしい。
俺は満足して〈ワッペンシールステッカー〉を後にした。




