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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十三章 〈エデン〉新たな仲間と2回目学園祭!

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#1519 〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉戦――決着




 道中、〈イブキ〉の前に立ちはだかるスケルトン共も撥ねられて光に消え、アイギス号はそのまま〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉の足下まで接近した。


〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉の今居る位置はアリーナの壁側付近。

 後ろにはほとんど回り込めない。

 特に門は壁にピタリと張り付いているように隙間が無く、後ろに回り込むことができない状態だ。


 故に俺たちが目指したのが懐、つまりは足下だった。


「よし、足下に入った! リーナ、遠距離から攻撃!」


「『承知しましたわ』!」


 俺の声にリーナの応答が入った次の瞬間には、遠距離から次々と攻撃が〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉に突き刺さった。


「カカカカカカカカ!!」


 しかし、〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉の狙いはほとんど俺たち。つまりは近い者に集約されるようで相変わらずノーダメージの攻撃をぶっ放しまくる。

 そう、もうお分かりいただけただろう。これは火属性ダメージ100%カットとレイドボス特有のヘイトシステムを利用した――疑似タンク戦法だ。


 俺たちアイギス号に乗るメンバーが囮になっている間、なんと遠距離からの攻撃がし放題なのである。


「『全軍一斉攻撃ですわ』!!」


「『リズム・メロディ・ハーモニィ』! 『ハイテンションエール』! 『リ・エール』! いいよラナ殿下!」


「全部光になりなさい! ――『レクイエム』!」


「カカカカカカカカカカカ!?」


 凄まじい超威力刺さったー!!

 この『レクイエム』はマジ大ダメージだったようで、そのHPの減り具合にどよめきが起こったほどだった。しかも、これが三連発だというのだから恐ろしい。

 しかし、それでもタゲはラナに向かない。


 時々火球が遠方に放たれるが、基本タゲは俺たちに向いている。


 素晴らしいな!


「ゼフィルスはんも面白いことしてはりますなぁ。うちらも混ぜてぇなぁ――『六尾解放(ろくびかいほう)紅蓮焔(ぐれんほむら)』!」


「くぅ~、〈百鬼夜行〉と肩を並べるのはモヤモヤするけど! 魔法なら私たちの専売特許よ! 行くわよみんな! これだけは〈百鬼夜行〉に負けられないわ! 『小隕石流星群』!」


「我らもいくぞ! サポートは終わりだ。ゼフィルス氏が抑えている今が大大大大大大大チャーーーーンス! 活かすのだーー! 『ダウンバースト』!」


「「「「「活かすのだーー!!」」」」」


「混沌だーーー!!」


 これに触発され次々とギルドが集まってくる。

 いいぞ、さすがにこの大チャンス、SランクギルドやAランクギルドなら逃しはしないと思ったぜ。

 スケルトン共がまるで木の葉のように散っていく~。


「ゼフィルスさん、門から黒の手が迫ってます!」


 だが、無敵のアイギス号も黒の手に囚われるとマズい。

 この戦法は火属性に対して無敵だが、黒の手によってアイギス号自体が捕まると、乗っている人全員連れて行かれてしまうという特大のハイリスクも持っているからだ。


「タイミングを計る、少し左に向けてくれ」


「はい!」


「―――――――――よし、今だ! ―――『フルライトニング・スプライト』! 『英勇転移(ブレイブポート)』! ―――ハンナたちの特製爆弾をくらええええ!」


 俺は迫り来る黒の手と〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉の攻撃のタイミングを計り、火魔法が命中して無効化された瞬間に一瞬で下車。魔法が使えるようになったため黒の手に魔法をぶっ放して送り返したところで〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉の攻撃が来る前に転移で門の前へ移動、そして大量の爆弾を門の中にばらまいた。


 これはさっきの〈レッツ・投げナイフ爆弾(特)〉ではなく、普通の火属性爆弾〈上級中位級(レガドラシルム)火爆弾(ファウム)〉だ!

 上級中位(ジョーチュー)級なので凄まじい威力を持っている。これを門に大放出だ! どんどん持っていけー!


 おっと黒の手が来た!

 この黒の手は城すら持っていく。

 これを利用して樽型爆弾を持っていかせるという〈爆弾攫ってどうするの?〉戦法というものがあったのだが、樽型爆弾のレシピが手に入らなかったので仕方ない。

 代わりに〈上級中位級(レガドラシルム)火爆弾(ファウム)〉で代用だな!


「即離脱! 『テンペストセイバー』!」


 そしてソニック系の上位ツリーを回避に使い、門から一気に距離を取る。

 瞬間、後ろで「ボオオオオオオオオンッ」と大爆発が起こった。

 門内部で〈上級中位級(レガドラシルム)火爆弾(ファウム)〉が爆発!


「カカカカカカカカ!?」


 その衝撃は凄まじく、なんと門が壊れたようにバチバチいって、黒の手が生み出されなくなってしまったのである。

 なお、〈敗者のお部屋〉までは衝撃はいかないので安心してほしい。城や爆弾などは〈敗者のお部屋〉にはいかず、門の中でストップしているのだ!

 ここで爆弾を爆発させれば、門自体にダメージを与えられるという寸法!


「おっしゃ成功!! 黒の手が出てこなくなったぞ!」


「な、なんだそれはゼフィルス氏!? 初めての戦法だぞ!」


「はーっはっはっは!」


 なんとかアイギス号に帰還してガッツポーズを取ると、遠くからインサー先輩の叫びが聞こえてきた気がした。

 ふはははははは!

 そう、実はあの門、破壊可能だったりする!


 外からだと凄まじく攻撃を叩き込まなければいけないし、スケルトンは常に生み続けているし、黒の手が常に襲ってくるので容易にはいかないが、内部からだとかなり楽に壊せたりする。

 そこで取り出したのはハンナたちのお手製爆弾。

 爆弾は黒の手にも使えるが、門の破壊にも有効だ!

 一気に上級中位(ジョーチュー)級の爆弾が大量爆発したことで、一瞬で破壊まで持っていったのである。


 いけるかどうかは賭けだったが、結果はこの通り。

 これで門が自動修復されるまでのしばらくの間、黒の手もスケルトンも出なくなる。


「大成功だったな!」


「す、すげぇなゼフィルス先輩は!? これを狙ってたのかよ!」


 俺が無事やり遂げたことを見てゼルレカが驚愕の表情で激しくビビっていた。


「驚いている場合じゃないぞ? 次はゼルレカの番だ。そろそろデバフを入れるぞ」


「ええ!? お、おう! やってやるぜ!」


 次はゼルレカの番。

 ゼルレカの役割はデバフの重ね掛けが切れないよう維持すること。

 実はすでに1度維持のために攻撃しているのだが、その時ゼルレカに範囲攻撃の火魔法が掠り、7割以上ものダメージを受けたのだ。


 ゼルレカはとあるスキルを活かすためにVITとRESをかなり低く育成している。

 直撃していたら一撃で〈敗者のお部屋〉へ一直線だっただろうに、その目には怖じ気づいた様子は欠片も無かった。〈エデン〉に来た当時は自信喪失していた様子だったのに、どうやら完全に持ち直したようだな。


 だが、そのタイミングを計っている最中にそれは起きた。

 思っていた以上にギルドが集まって来て攻撃を繰り返し、〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉の3本目のHPバーが50%を切ったのだ。


 そして攻撃パターンが変わる。


「カカカカカカカカカカカ!!!!!!」


「うわ、あれはマズいよ!」


 ゼルレカが慌てた声を出した。おそらく『直感』スキルが警報を鳴らしているのだろう。俺の『直感』さんの警報も鳴ってるからな。

〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉はこれまでのエグいくらい放ちまくってた火魔法をやめ、杖を掲げて何やらエネルギーを溜めだしたのだ。


 徐々に杖が光りだし、威力が増幅していく様子がうかがえる。

 しかもその色は、さっきの〈火属性〉の赤とは違い、青。つまりは〈氷属性〉だった。


 ここに来てまさかの〈氷属性〉! 〈火属性〉対策だけではこれは防げない。さすがはレイドボス。


 アイギス号の疑似タンクは〈火属性〉だからこそ成立するので、〈氷属性〉なんて放たれたらとんでもないことになるだろう。しかも普通の範囲攻撃でも威力がヤバいのに、溜めていらっしゃる! アカン!


 だが、安心してほしい。

 こっちには頼りになるタンクがいる!


「シエラ、いけるか!」


「! 任せて!」


 俺が声を掛けるまでもなくすでにアイギス号から飛び降りる寸前だったシエラ。

 この魔法は全体攻撃魔法。放っておけば大被害が出ることは明らかだ。

 故に俺はシエラにこう指示を出す。


「スキルは『フリーズガード』と『インダクション・フォートレスカバー』だ!」


「!! 『フリーズガード』! ――『インダクション・フォートレスカバー』!」


『フリーズガード』なんて〈二ツリ〉で覚えてからあまり使ってはいなかったが、これが凄まじく有用なんだ。

 これの効果は『全体に〈氷属性ダメージ20%カット〉を付与する』だ。

 さすがは【盾姫】のスキル。かなり強い。


 そしてシエラの装備は〈氷生頑守手甲〉〈氷生頑守の脚装〉にそれぞれ〈氷属性ダメージ40%カット〉が付いている、合計で常時80%カット。そこへ20%カットを足すと――〈氷属性ダメージ100%カット〉が実現するのだ。


 さらにここで発動する『インダクション・フォートレスカバー』は全体攻撃をも自分に誘導する究極のカバースキルの1つ。これにより。


「カカカカカカカカカカカ!!!!!!」


「無駄よ」


 うっ、かっこいい!! シエラのセリフがすごくかっこいい!!


 この広大な第一アリーナを全て氷河期にするレベルで埋め尽くすスキル。

 ―――『地獄の氷界』。

 もしぶっ放されてまともに防御もしなければ、アリーナのどこに居てもカチンコチンにされて大ダメージ&退場してしまう、とんでもない全体魔法だ。


 しかし、〈氷属性ダメージ100%カット〉したシエラの『インダクション・フォートレスカバー』はこれに耐えきり、全体攻撃を全て自分に集め防ぎきったのである。


 ダメージは――当然ゼロだ。


「カカカカカカカァ…………カ?」


 おっとここでさすがの〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉も「あれ?」ってなったぞ!

 ―――よし、今だ!


「いくぞーーーー!! 全員下車ーーー、総攻撃だーーー!!」


「「「「「おおー!!」」」」」


 もちろんこんな致命的な隙になにもしない〈エデン〉ではない。

 アイギス号に乗っていた近接系のメンバー全員が飛び出し〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉の足へ強力な攻撃を仕掛けて行く。


「うおりゃーー『メタルインパクト・クラッシャー』っすーーー!!」


 ズッッッドン!!


「カカカ!?」


「股が裂けそうなくらい開いた!?」


「もっと開けろーー! I字にしてやれー!」


「吹っ飛べ! 『二刀斬・氷雪月下』!」


「あの足をもっと開かせて上げればいいのですね――『波動剛歩爆(ごうふばく)』!」


「今までの鬱憤。ここで晴らす! 『獣王烈震(れっしん)咆哮牙(ほうこうが)』!」


「とう! 『ヒーローバスター』! もいっちょなのです――『ヒーローバスター』!」


 ナキキを筆頭に、なぜか〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉の片足を広げる活動が勃発! なんかノリでI字バランスにしてやろうと言ったらこうなった。理由はわからん!(←原因)

 骨が股関節の限界に挑み、〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉が「無理無理、これ以上開かないから」と悲鳴を上げているような表情(?)にお構いなく、さらに攻撃を叩き込む。


「んーみゅー! 『クマンネイル・アッパーカット』!」


「ほらデバフ延長だーー! 『惰性と堕弱の一撃』!!」


「上へ、撥ねます! 『天盾飛翔突撃』!!」


「これでトドメだーー! 『勇者の剣(ブレイブスラッシュ)』!」


 ボキンッ!!!!


「ア!?」


 なんとここで悲劇発生。

 股の関節から脚脱臼! ちょ、〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉の骨、破壊可能だったのかよ!

 なんかノリで指示したらゲームには無い破壊箇所がぶっ壊れてとんでもないことになった!


 そのまま片足では支えきれずバランスを崩してガッシャーンと倒れる。

 壁を背にし、見た目は朽ち果てた屍と変わらなくなる〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉。


 これがリッチ最終形態の末路か!! 盛大なダウンだ!!


「今だーーー!! 総攻撃ーーーーー!!」


「「「「「おおおおおおおおお!!!!」」」」」


「「「「『姫騎士覚醒』!!」」」」


 アリーナ全体に届くよう声を張って総攻撃宣言!! ここで決める!!

 もちろんこんな大チャンスを上級ダンジョンまで行ける学生たちが逃すはずもなく、総攻撃が放たれたのだった!


「カカカカカカ――カカ―――カ…………」


 途中で門が復活し、黒い手が接近してきたが、カルアやパメラ、〈集え・テイマーサモナー〉や〈ギルバドヨッシャー〉を初めとした参加者の爆弾投げナイフで全ての黒の手を蹴散らした。

 おかげで被害無しで攻撃することができ、この総攻撃により、とうとう〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉のHPバーがゼロになる。


 そして〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉は膨大なエフェクトに包まれていった。


「おっ」


「おおお!!」


「「「「「うおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」


 会場に大歓声が轟いた。




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
おお、ついに………! なんか終わり方が怪しんでしまいそうなんだが、決着とあるから決着はつくんだろう、多分。
<羨ましいからそれ禁止>の解除&再装填の時間によっては 形態変化の間などを利用して <リッチ特性>禁止解除→浮遊して攻撃してくる→禁止でダメージ入れる という戦法も採れそう
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