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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十三章 〈エデン〉新たな仲間と2回目学園祭!

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#1514 〈エデン〉でドーン!ゼルレカデバフ重ね掛け!!




 ゼルレカの職業(ジョブ)は【怠惰】。

 これは自分が怠惰になるんじゃなくて、相手をどんどん怠惰にさせていくという【大罪】職だ。

 本来〈ダン活〉では1回までしか掛けられないバフ・デバフを、【怠惰】はデバフ方面にだけ重ね掛けすることができる!


 その能力の骨子は【怠惰】のユニークスキル『あなたが怠惰で溶けるまで』。

 効果は、〈放蕩獣鉄剣〉を装備している時、【怠惰】の使用するデバフ効果が重ね掛け可能になるというパッシブスキル。なんと『スキルLV10』の時点で5掛けが可能というとんでもないユニークスキルである。


 もちろんすでにユニークスキルはLV10だ。


 つまり、ゼルレカがデバフを使えば使うほど、相手はどんどん弱体化していくという意味。

 これ、弱体化(デバフ攻撃)が〈VIT300低下〉とかじゃなくて、〈VITを20%低下〉とかなので、これを5回繰り返すと、敵の残りVITが32%くらいになってしまうのだ。

 32%? ヤバくね?


 まあこれは分かりやすいよう単純計算したもので、本当はもっと複雑な計算式があるのだが、【怠惰】がどれほど罪深いかは理解を得られたと思う。

 さ、さすがは【大罪】職。

 あまりにも罪深すぎる……!


 ちなみにここには多くの人が居て、多くのデバフが飛び交っているが、この重ね掛け(・・・・)上書き(・・・)できるのはゼルレカだけなので、重ね掛け部分が消えることはない。安心してほしい。


 どういうことかと言うと、普通のデバフが①、重ね掛けがデバフ②③④⑤だとすると、ゼルレカ以外の人たちはこのデバフ①を得るために争い合っているという構図。

 そしてゼルレカがデバフ②③④⑤を司っているので、普通の人はタッチできないし、上書きすることもできない、という訳だ。

 デバフを解除する『クリア』系などを使われるとデバフ②③④⑤も解除されてしまうけどな。まあ、上書きはゼルレカにしかできないと思っておけばオーケーだ。


 つまり、ゼルレカには出来るだけ多くのデバフを叩き込んでほしいということだな!


「エステル、〈イブキ〉を寄せてくれ、あそこだ」


「了解です!!」


「な、なんて迷いのない指示しやがるんだゼフィルス先輩は」


「う、うん。それを即実行するエステルさんも相当なんだけど!」


「憧れる」


「いよいよ出番なんですね。なんだかドキドキしてきました」


「そう言いつつも前向きなマシロンに私は戦慄を隠せないよ! え、この子まだ1年生だよね?」


「シヅキの1年生の頃とは大違い」


「な、なにおう!?」


 俺がいつも通り指差し指示で〈イブキ〉を誘導していると、それをイブキの手すりに掴まりながら見ていたゼルレカ、シヅキ、エフィ、マシロの感想が聞こえて来た。

 お? ゼルレカ震えているな。武者震いか?

 分かるぜ。この瞬間が楽しいよな!(勘違いです)


「よーし、突っ込むぞー! 全員下車準備、合図で飛び降りろ! ――エステルは30秒後に拾いに来てくれ!」


「了解です!」


「だああああ! やってやるよ! 見てろよアリス、キキョウ! あと危ないから下がってろよ!」


「ゼルレカがんばれー」


「応援してますよー!」


 おっと、ここでアリスとキキョウの応援が届く。ゼルレカもなんか吹っ切れた様子だ。

 大丈夫だ。トモヨとキキョウが付いているからな!


〈イブキ〉が〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉の足下に近づいた瞬間、カタリナやヒーラーを〈イブキ〉に残した総勢35人のメンバーが一斉に飛び降りる。


「攻撃開始だ!」


 エステル号、アイギス号、アルテ号はすり抜けながら立ち去り、俺たちは〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉のマントの内側に難なく入り込むことに成功。


 ホネの足やホネのボディに向けて攻撃を連発しまくった。

 俺は後方から付いてきているゼルレカに指示を出す。


「ゼルレカ、やれ!」


「うおおおりゃあああ! 『怠慢と堕落の剣』! 『惰性と堕弱の一撃』! 『脆弱と漫然の一閃』! 『怠慢落とし』! 『堕落の(つるぎ)』! 『惰性(だせい)駄制(だせい)』! 『堕弱の刻印』!」


 おうおう、いいね! なかなか思いきりのいい攻撃だぜ!

 ゼルレカが大剣を振るえば振るうほどデバフが蓄積されていく。

 ちなみに『怠慢』系が攻撃力デバフ、『堕落』系が防御力デバフ、『惰性』が素早さデバフ、『堕弱』が魔防力デバフだ。


 他には『脆弱』が魔法力デバフ、『漫然』が器用さデバフなんだが、基本的にゼルレカのデバフは剣でぶった斬ったもの限定なので、遠距離系を司る『脆弱(INT)』や『漫然(DEX)』デバフスキルはあまり取得させていなかったりする。近づくのキツいしな。


 これで攻、防、速、防魔が2段階(②③)、魔と器用が1()階デバフが付いた。

 ゼルレカのスキルがクールタイムに突入したので一旦仕切り直し。

 ちょうど〈イブキ〉たちも来たしな。


「爆発来るよ! 『絶対ガブリエル頑強盾』!」


「はい! 『吸属封印盾』!」


 トモヨの『攻撃予測』に(かん)あり!

 これ、以前に聞いたら攻撃が来る範囲が目で見えるんだそうだ。

 ゲームなんかによくある範囲攻撃が来る場所をあらかじめ色違いで教えてくれる感じのあれかな?

 それすっごく便利なんだが、欲しい!


 なんて言っている場合じゃないな。俺の『直感』も騒いでいる。

 瞬間、トモヨの〈五ツリ〉最強盾が顕現。

 これがとんでもない盾で『防御破壊無効』、『貫通無効』、『衝撃無効』、『フィードバック無効』を内包する、恐ろしいほど対策された絶対の盾なのだ。

 破壊するには単純に威力で上回る〈六ツリ〉かユニークスキルなどをぶつけるしかないとも言われている。


 神々しいガブリエルの盾が現れた瞬間、光が広がり、例の爆発から俺たちを守ってくれた。

 しかも、同時にキキョウが〈五ツリ〉の『吸属封印盾』を出してる。これは〈四ツリ〉の『吸魔封印盾』と同系統。つまり、属性攻撃限定だが、盾で受けた攻撃を封印することができる。

 これで3分間、あの爆発はできなくなったな。


「みなさん、乗ってください!」


「おう!」


 そこへエステルたちの〈イブキ〉が滑り込む。

 あまり長い時間一箇所に留まらないことが鉄則だ。


 特に1度爆発で狙われているからな。

 さすがの〈エデン〉でも、まだ連続して攻撃されたら防ぎ切れないかもしれない、かもしれない。


 カタリナが張っていた結界が一時的に解除され、一瞬で〈イブキ〉に乗り込むと、再度結界を展開しながらそのまま離脱。流れるようなスムーズな離脱だった。


「おかえりなさいませ。みなさん、回復しましょうか?」


「ただいまマシロン」


「俺たちはダメージを受けていないので大丈夫だ」


〈イブキ〉に乗っていたマシロがすぐに俺たちの所へ駆けつけてくれる。

 エフィがちょっとドヤッと胸を張りながらマシロにただいまする。ポヨンとリーナくらいはあるだろう大きな胸部装甲が揺れたような気がしたが、意識して見ないように努めて俺も応えた。


「〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉の状況は?」


「相変わらず特大の範囲攻撃を放ちまくってます。HPは現在1つ目のバーが30%削れた程度。犠牲はすでに400人超え。ですが、デバフが入った影響か、防衛者側の攻撃は徐々に効いています」


 俺の問いに答えてくれたのは、双眼鏡で戦況を確認していたシヅキだ。シヅキは〈イブキ〉に残り、召喚獣と自分の目で状況を俺に報告してくれる。

 なかなか堂に入った、良い報告だった。


「ほう。シヅキ、いいな!」


「え? そう? えへへ~照れちゃうな~。これでも〈秩序風紀委員会〉では通信副隊長やってたからね! 報告は任せてよ~。あ、黒衣は30人にまで減っています」


「了解だ」


 報告の時は丁寧な口調になるシヅキがちょっと面白い。

 やっぱシヅキをメンバーに入れたのは正解だった。

 職業(ジョブ)こそ【ルシファー】に変わったものの、やっていることは〈秩序風紀委員会〉時代と変わらないようで、とても優秀だ。


 召喚獣もデカくて強力なものから、小さくて斥候向きの子もいて、手際よく操っている。

 こっちではなく、別の方へ向いているとなればもう一度突撃できるな!


「ゼルレカ、そろそろクールタイム明けるよな! 第2弾いくぞ!」


「ちょ、ゼフィルス先輩は自分のでもないクールタイムも計ってんのか!?」


「それがゼフィルスよ。そんなことに驚いていたら、この先もっと驚くことになるわよ」


 シエラの言葉に引きつった顔をしたゼルレカの額に冷や汗が流れる。


「マジかよ。というか今日はすでに驚きっぱなしなんだが、というかアリスとキキョウはよくこんなギルドで続けられるな!?」


「え~? みんな強いよ~?」


「はい。先輩方は頼りになります。もっといろんなことを教えてほしいくらいです」


「うわ、アリスとキキョウが教育済みになってんじゃねぇか……」


 アリスとキキョウと実戦することになったゼルレカがなにか大変なことに気付いてしまった様子だが、きっと気のせいだと思うぞ? うん。気のせい気のせい!


 とここでとある事態が発生する。


「! 〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉が浮きました!」


「『リッチ特性』の『浮遊』か!」


 シヅキの報告に視線を向ければ、なんと〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉があの図体で浮遊し始めているところだった。

〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉はその名の通り〈リッチ〉系統。

 当然『リッチ特性』のスキルも覚えている。

 浮遊して魔法連打とかエグすぎる! しかし、問題は無い。


「『羨ましいからそれ禁止』!」


「ってなあ!? 墜落しました! 〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉墜落!」


「ゼフィルス、今の現象、私見たことあるわ!」


 なんと突如カタカタ笑いながら宙に浮いた〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉が墜落したのだ。なぜか見慣れた光景だった気がする不思議。


「ホシ先輩がやってくれたな! チャンスだ行くぞ! エステル、オバドラゴー!」


「はい! 『オーバードライブ』!」


「第2弾いくぞー!!」


 そう、これは『リッチ特性』を禁止しちゃった時の現象。

 もう1人の【嫉妬】職、〈吸星のホシ〉先輩とさっき打ち合わせしておいたんだよね。

 道理で見慣れていると思ったよ!

 俺たちも〈リッチ〉によくやったもん!(←リッチの悲劇)


 大チャンスだな!

 エステルに指示を出しながら一気に行く! 


〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉はレイドボスの矜持かこれだけではダウンならず。

 ここはゼルレカのデバフだけじゃない。ダウンも狙う!


「ゼルレカ、いけ!!」


「うおおおおお!!」


 またもや〈イブキ〉から〈エデン〉メンバーが飛び降り、落下で(めく)り上がったマントの内側に背後から入り込み、足を狙う。ゼルレカにはデバフをモリモリにしてもらい、その間に俺たちはタイミングを見て一斉攻撃だ。


「今だ! 合わせろ! 『フィニッシュ・セイバー』!」


「くらいなさいよ! 『レクイエム』!」


「関節を狙う! 『時空斬・一閃』!」


「イグニス様! テネブレア様! お願いいたします! 『ハイエレメントバースト』!」


「とう! 『ヒーロー・バスター』!」


「弱点は、そこです! 『不動高遠爆』!」


「『忍法・影分身雷竜落とし』デース!」


「崩れなさい――『フェニックスショット』!」


「『決戦兵砲・ノヴァブレイカー』ですわ!」


「これで抜くぞ――『アポカリプス』!」


「食らうがいい――『天剣』!」


「「「いっけー『神気開砲撃』!」」」


「膝かっくんです! 『グローリーバニッシュ』!」


「はあああ!! 『獣王烈震(れっしん)咆哮牙(ほうこうが)』!」


「そこですわーー! 『アグニ』!」


「ぶった切ります。――『合天(がってん)千剣・破斬(はざん)』!」


「いっくよー『サンダーバスター』!」


「『フリーズドバスター』ですのー!!」


「『幽霊は皆クラッシャー』っすーー!!」


「クマクマの熊掌――『クマンパンチ・ストレート』!!」


「転んでー! 『必殺・大閃刹那落とし』!」


「『フォトン・エルソード』!」


 ズッッッッッッッッッドオオオオオン!!!!

 凄まじい衝撃が〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉の足にヒットする。


 しかも一方向、ほぼ真後ろからの攻撃により、〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉の体がガクンと崩れる。

 なんとあまりの威力に片足がドデカいノックバックをして宙へ振り上がってしまったのだ。


「退避ーーーーー!!」


 おかげで体が後ろに傾いた〈ヘルズノート・バベルガリッチ〉は、3人ほどポカンとしている黒衣の上に転んでしまい、黒衣の人たちは巻き込まれて退場してしまう。無念。


「ダウンだーーー!!」


「〈エデン〉がやりやがったぞーーー!!」


「今だ! 総攻撃だーーーー!」


 瞬間、凄まじい轟音と共に選手たちの攻撃がズドドドドドンと突き刺さった。

 今回の攻撃でゼルレカの防御・魔防力デバフは②③④⑤が掛かってる。


 凄まじいダメージが入ったな!!




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
リッチ「私は強いボスなんだが、膝にエデン(の集中砲火)を受けてしまってな…」
大罪職凄いわぁ。 ゲームの時は貴人職含めてここまで揃えられないんだよね? でもこのリッチには勝てるんだよな。
楽しそう
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