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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十三章 〈エデン〉新たな仲間と2回目学園祭!

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#1510 大捕物イベント!〈特定班〉100人を捕まえろ!




「なぁリーナ、これやっちゃっていいのか? なんか一般人風の人が多く見られるんだが」


「『もちろんですわ。これは無駄に有名人の情報を広めた人がちゃんとしょっ引かれているのを見せるという意味もこもっていますの。面白半分に大きな騒動を引き起こそうとすればどうなるのか、しっかり分からせる必要がありますわ』」


「分からせちゃうか~。よし、そういうことならリーナに任せる。アイギスは?」


「『アイギスさんはいつでも突入準備が出来ております。そろそろ作戦開始ですわ』」


 リーナと『ギルドコネクト』で会話していると、ついにそれは起こった。

 どうやら無事〈勇者特定班〉なる存在を逆探知したらしい〈秩序風紀委員会〉が、ついに動いたのだ。


「シエラ、ラナ、エステル」


「「「!」」」


 ガードの3人の名前を呼ぶ。

 それだけで、すでに少なくない時間を一緒に過ごしてきた3人には伝わったようだ。

 シエラとラナとエステルが即で大きな横断幕のようなものを広げる。

 そこには――「~〈秩序風紀委員会〉の突発犯人捜しイベント~」と、とても甘っちょろい字で書かれていたのだった。


 同時に〈秩序風紀委員会〉の方も動く。


「こちら〈秩序風紀委員会〉だ! 有名人の情報を〈学生手帳〉などの端末を使って拡散する行為は取り締まりを強化中である! 問題行動を引き起こしている人たちはご同行願おう!」


「げ! 〈秩序風紀委員会〉だ!」


「え、なになに? なにかのイベント?」


「あ、あそこに〈秩序風紀委員会〉による犯人探しイベントを開催すると書かれているぞ」


「じゃあなにかのイベントか~」


「え? この周囲に犯人がいるの!?」


「混沌!」


 学園祭期間中なのでもちろん一般人にも配慮を忘れない。

 そう、この学園祭を逆に利用して、イベントということにして乗り切ろう作戦だ!

 さくらも配置して、これはイベントだよという雰囲気を押し出し、一気に、そして短時間で終わらせる狙い。


「ロックオン完了!」


「続けーーー!」


「確保ーー!」


「に、逃げろーー!」


「やっべ! 全方向から腕章付きの〈秩序風紀委員会〉が来てる!!」


「か、囲まれた!?」


「うひゃー凄い、何これ!」


「本格的だね~」


「ちょっと、今回私は無関係よ! 無関係だったら!」


「セルマが逃げたぞ!」


「この包囲網を突破するだと!?」


「あの〈脱兎のセルマ〉に続け! 逃げるぞー!」


「ええい、抵抗をしなければ手荒な真似はしない!!」


「あびゃびゃびゃびゃびゃ!?」


「あばばばばばば!?」


「言ってることとやってることが違うぞ!?」


「混沌!」


「混沌さんが居るっす!?」


「こいつは息吸ってるだけだからセーフらしい」


 おかしいな。なんか今セルマさんらしき人が見えた気がしたが、いやきっと気のせいだろう。

 俺たちを中心にしてドーナツ型に集まっていたらしき〈勇者特定班〉のみなさまは、無事その外側から包囲された〈秩序風紀委員会〉によって連れて行かれてしまった。


 中には抵抗を試みて〈スタンロッドアウト〉の餌食になった人も居たみたいだが、多くはそのまま制圧されて連れて行かれてしまったようだ。


「え、もう終わり?」


「すっごい。大捕物(おおとりもの)だったね!」


「うん! すごい迫力だった! 犯人()の人たち思ったよりもすごく多かったし、真に迫ってたよ!」


「あれほどの数が相手でも即で制圧しちゃう〈秩序風紀委員会〉ってとんでもないね!」


「こちら〈秩序風紀委員会〉だ! お騒がせしたね。これにて〈秩序風紀委員会〉の突発犯人捜しイベントは終了だ。〈秩序風紀委員会〉は常に問題解決のために動いているよ!」


「「「「わああああああ!」」」」


「「「「うおおおおおお!」」」」


「いいぞ〈秩序風紀委員会〉! これからも学園の平和を守ってくれよ!」


「〈秩序風紀委員会〉、凄かったぞ!」


「またやってーー!」


 本当に迅速にイベント(?)も終わって、最後にカンナ先輩が出てきて締めの言葉を告げると周囲は大きく盛り上がった。

 最初はビックリしていた来園者の方々も今では完全にイベントだと思い込んだのか、拍手喝采している。〈秩序風紀委員会〉のパフォーマンスと完全に思い込んだ様子だ。


「さすがの手腕ね!」


「はい。私たちも必要があればと〈スタンロッドアウト〉を用意していましたが、必要ありませんでした」


「アイギスは凄いわね。何人も引っ捕らえていたわ」


「だな。後でたくさん褒めてあげなくちゃいけないな!」


「「…………」」


 アイギスの迫力は凄かった。真っ先に突入。一番前を走ってたからな。

〈スタンロッドアウト〉を片手にその高いAGIをフルに使って制圧しまくってた。

 特に密集地に突っ込んで6人を一気に制圧するところなんて手に汗握ったぜ。

 さすがは実働隊。


 今回の〈勇者特定班〉制圧で一番活躍したのは、間違いなくアイギスだろう。

 問答無用が多かった気もしなくもないが、実際に問題解決に駆り出されていたメンバーの1人だからこれはしかたあるまい。


 だが、そんなアイギスを後で褒めようと言ったらシエラとラナから無言のプレッシャーが!?

 な、なにごとだ!?


「あ、ゼフィルスさーん」


「アイギス!」


 救世主来たる!

 なぜか『直感』さんが警報を鳴らしていたが、俺にはアイギスが救世主に見えたんだぜ。


「ゼフィルスさん、ご無事でしたか? なるべく対象者が暴れないうちに制圧しましたが」


「こっちは大丈夫よアイギス」


「そうよ。ゼフィルスはこうして私たちがガードしていたもの、一分の隙もないわ」


 おっと俺が答えるより早くシエラとラナが!

 エステルに視線を向けると、なぜか目を瞑ってらっしゃった。起きてエステル!


「そうですか。ゼフィルスさん、他に何か気になったこととかありますか? これでゼフィルスさんを狙う不届きな拡散者は減ると思いますが」


 しかし、アイギスはあくまで俺の言葉で聞きたいらしく、さらに俺に聞いてくる。

 もちろん俺はシエラたちが答えてしまう前に答えるのだ。


「ありがとなアイギス。よく頑張ってくれた。アイギスのおかげもあって周りにも被害はなかったし、パーフェクトな動きだったと思うぞ。これで俺も安心して学園祭を楽しめる」


「! 良かったです」


 これは本当だ。アイギスが一番槍(?)を決めて逃げそうな輩や集団で居た輩を即で制圧したからこそ、被害も無しに終わったんだと思われる。

 アイギスは大活躍だったな。俺は褒めた。とても褒めた。『直感』さんがなぜか鳴り止まないけど、ここは褒めるのが正解なんだぜ。


 するとクルッと俺の方を向いたラナが至近距離から訴えてきた。


「ゼフィルス? 私たちもガードしてたじゃない。私たちにはないの? 何かないの?」


『直感』さんの警報が大きく!

 な、なんか危険地帯に足を踏み入れてしまった予感。

 ここはラナのことも褒めてあげれば収拾つきますか『直感』さん!?

 はっ!? シエラにも反応している予感!

 ここは2人も褒める場面! いやエステルも含めて3人だ!(起きてエステル!)


「もちろん、3人とも素晴らしいガードだったぞ! おかげで昨日と比べても人に囲まれずに済んだ。それに作戦行動中、しっかり気を張って周りを警戒してくれただろ? 俺はとても安心したよ。シエラもラナもエステルもお疲れ様。ありがとな。助かったよ」


「ふふん! いいわ、もっと褒めてもいいのよ!」


「ええ。また何かあれば言って頂戴。ゼフィルスは私が守るわ」


 お、おお! 『直感』さんがおとなしくなってきたぞ。

 ラナはちょっとドヤ顔で可愛いし、シエラはキュンとときめくほどかっこいいし。

 ふう。俺も満足です。


「むむ。やはり今は不利のようです……」


 すると今度はアイギスの様子が……。

 だが、ここでエステルから発言が。


「みなさま、そろそろ移動いたしましょう。かなり注目を集めております」


「あ、エステルが起きた」


 遅いぞ!? もう終わったぞエステル!? 寝ている場合じゃないよ!?


 だが、〈秩序風紀委員会〉も去り、ヒソヒソと周囲の人から注目されつつある俺たち。エステルの言うことも分かる。

 エステルの提案で〈秩序風紀委員会〉の本部(ギルドハウス)へ急ぎ帰還することになった。


「お疲れ様。ボーイズ&ガールズ」


「あれ、ラダベナ先生?」


 本部にはラダベナ先生がいた。その隣にはカンナ先輩もいて。並んでいるとより似てると感じる。さすがは親子だなぁ。


「この子が本部を離れている間、ここで臨時に司令官の役割を代わっていただけさね。カンナ、報告しな」


「はいよ。今の所別働隊も含め拘束したのは89人。包囲網を形成していたおかげで1人を除き全員を確保することに成功した。掛かった時間は大体1分半。また、逃げた1名についても勇者ファンの協力で接触に成功、今は任意で事情を聞いているところさ」


「ほう。カンナも手際が良くなってきたね」


「後輩の前でやめてくれよ母さん」


 親子の会話を挟みつつ報告された話によれば、〈勇者特定班〉なる存在はなんと90人も居たという。

 無害で、むしろ〈秩序風紀委員会〉の手助けをすることもある〈勇者ファン〉なる存在などとは違い、〈勇者特定班〉は無秩序に勇者の居場所をばらまく存在なので、混乱や問題を生むとして早期に対処した形。


「どうやら専用のグループチャットが存在するらしくてね。今はそっちを探らせてる。あと10人ほど残っているようなんだ」


「それが終われば?」


「ああ。ひとまずこの学園祭期間では同じような問題は起こらないだろうね。すでに〈勇者特定班〉なるやからが〈秩序風紀委員会〉の手によって引っ捕らえられたというニュースは各地で取り上げられているからね」


 どうやらニュースなどの手回しなどもすでに終わっていたらしい。

 さすがの手腕だ。

 ちなみに捕まった人たちは、学園祭が終わるまで〈秩序風紀委員会〉の方々からきつ~~~いお説教とためになる話を詰め込まれたのち、解放されるとのことだ。

 例の〈秩序風紀委員会〉特製、性格がグルリと変わって良い子になって帰ってくると恐れられている、あのフルコースが待っているらしい。恐ろしや。

 いったいなにが待っているのか、考えてはいけない。


 そんなカンナ先輩に満足したのか、ラダベナ先生も用事があると言って退出していってしまった。


 これにて作戦は終了。

 俺の居場所を拡散されることもなくなり、2日目の俺たちは問題が起こることもなく、いくつかの場所で待機という名の休憩や、警邏の仕事をこなすことができたのだった。


 そうして3日目が始まる。

 今日はいよいよ、〈迷宮防衛大戦〉だ。




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
《脱兎》さん、相変わらず逃げ足が速いね。 ジョブというよりはプレイヤーズスキルかな?
セルマさんのギルドバトル……ぜひとも見てみたい
何で逃げ切れるんだろう、セルマさん………。 育成計画のままに割り振りしてるだろうから、逃走系にポイントを使う余裕はないはすなのに。
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