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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十三章 〈エデン〉新たな仲間と2回目学園祭!

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1702/2111

#1487 〈秩序風紀委員会〉の超エリート、シヅキ!!




「ゼフィルス、他に当てはあるの?」


 シエラが言っているのは、【ウリエル】候補のことだ。【ルシファー】候補はこれから会いに行く。となると次は【ウリエル】になるからな。


「いやぁ、こればっかりは実はさっぱりでな。〈秩序風紀委員会〉にいい人がいれば引き抜きたい、いや、うちのギルドと掛け持ちしてもらいたいと思ってる」


「〈秩序風紀委員会〉所属となれば腕は確かですよね」


「さすがに〈秩序風紀委員会〉から引き抜くのは申し訳ないから、掛け持ちになるでしょうね。そのマリアが勧める子も掛け持ちなのでしょ?」


「おそらく? でも【伏兵通信士】なので、〈転職〉させるなら〈秩序風紀委員会〉を脱退する可能性もあるかもです。今の仕事出来なくなるわけだし?」


「なるほど、いずれにせよその子の意思と〈秩序風紀委員会〉次第ということだな。おっと、そういえば名前を聞いていなかったな」


「そうでした。その子はシヅキちゃんっていいます!」


「シヅキ、シヅキね。よし! 覚えた」


 現在俺たちは俺、シエラ、マリアで早速〈秩序風紀委員会〉へ向かっているところだ。

 今の話は、要するにシヅキは〈秩序風紀委員会〉で通信の仕事をこなしているというわけだ。そりゃあ〈転職〉させたら今の仕事はできなくなるな。


「しかし、他のメンバーは大丈夫かな、〈謎ダン〉はまだ未知の問題(なぞなぞ)が出るだろ?」


「道は短いのだし、少なくとも迷うことはないわ。私たちが居なくても大丈夫だから安心して良いと思うわよ。装備も少しずつ更新しているって話だし」


 シエラがそう言うのなら安心だ。更新した装備は、少し見てみたくあるが、本格的なレシピがドロップするまでの繋ぎみたいなものだ。

 上級中位(ジョーチュー)の後半でレシピをゲットしたら上級上位ダンジョンに向けた装備に全取っ替えするので、それまでの繋ぎだな。


 あ、実は現在ここにいないメンバーはみんな〈謎ダン〉に向かっていたりする。

 順調に攻略中らしい。

 アリスとキキョウもゼルレカにギルドハウスを案内した後別れ、〈謎ダン〉に向かっていったからな。


 ゼルレカの方は、やっぱり引っ越しというか、ギルドを変えるのだから色々やることがあるらしく、戻ってきたセレスタンとその手続きへ向かっている。


〈謎ダン〉攻略メンバーに俺とシエラが入っていないのはちょっと心配なところもあるが、最奥ボスに挑戦するわけでもないし、道中ならなんとかなるか? なるな!

 そんな柔な育て方をした覚えはない! なんちゃって。


 そんな話をしていると、俺たちは目的の場所にたどり着く。


「こんにちは~」


「いらっしゃい。今日はどんな用件でしょうか?」


 ギルドは〈救護委員会〉と同じく、〈S等地〉の一角にドデカい〈秩序風紀委員会〉の本部があり、俺はそこの受付にやって来ていた。

 挨拶しながら入れば、受付に座るお姉さんがにこやかに応えてくれたよ。

 良いギルドだな~。


「ちょっと人に会いたくてきました。これ、〈学生手帳〉です」


「拝見いたします。そちらにスキャンしてくださいね」


 まずは自己紹介。前にクラス替えの時に導入されていた〈学生手帳〉をスキャンする道具があり、そこに自分の〈学生手帳〉をスキャンすることでデータを受付の人が見ることが出来る仕組みだ。


「Sランクギルド〈エデン〉のギルドマスター、ゼフィルス様ですね。お会いできて光栄です」


「いえいえ~」


「私もいいかしら?」


 受付さんが立ち上がって握手を求めてきたので応じると、後ろからジト目のシエラが同じく〈学生手帳〉をスキャンしてきた。


「はい。〈エデン〉のサブマスター、シエラ様ですね。お会いできて光栄です」


「ええ」


 同じくシエラとも握手をする受付の女性スタッフさん。多分3年生? 制服じゃないので学年は分からないが、ここは学生が管理する場所なので、学生のはずだ。

 ほんわかした人である。


 続いてマリアもスキャンして「〈ダンジョン商委員会〉の隊長、マリア様ですね。お会いできて光栄です」と言って握手していた。

 もしかしてマニュアルなのかもしれない?


「それで会いたい人とは、伺ってもよろしいでしょうか?」


「はい、ここに〈戦闘課2年3組〉のシヅキさんという方がいらっしゃいませんか?」


「はい。シヅキ通信副隊長なら今日は非番ですが、休憩室に控えていますね。声を掛けてみますので少々お待ちください」


「ありがとうございます!」


 マリアが交渉を進め、受付さんがメッセージを送ると、ものの数分でドタドタドタドタという駆け足の音が響き、バタンと奥への扉が開かれた。


「勇者君が私に会いに来てるって!?」


「シヅキ通信副隊長、もう少しお淑やかにしてください」


「そうですよ女兵ちゃん。本物のゼフィルスさんがいらしているんですよ?」


「な! 商人ちゃん、それに、勇者君本人!?」


「当たりでーす♪」


 クラス対抗戦では隠れながら攪乱してきたからよく分からなかったが、どんな人かと思ったら、なかなかにパワフルな感じだったんだぜ。


 少し青みがかった銀髪のボブヘアーに、これまた青みがかったホワイト系の瞳。

 黒い棒状のヘアピンを7つも使って前髪を止めているのが結構似合っている。

 さらに一部赤い髪も混じっていて「おお、ちょっとダークっぽい」みたいな感想を抱いてしまった。はて、あんな目立つ髪の子が大面接に来ていたっけな?


 あとマリアとは結構仲が良いらしい。女兵(じょへい)ちゃん? 商人ちゃん?

 そしてマリアはノリノリで俺を紹介してくるなぁ。それを見てシヅキが口がガクンと開くほど衝撃を受けていらっしゃる。


 こういうリアクション、嫌いじゃない。


 俺は勇者顔をキリッと決めて胸を張った。


 なぜかシエラはその一連の光景をジト目で見ていたよ。


 そして、シヅキの行動は早かった。


「ちょっと商人ちゃん、こっち来て!」


「ふみゅぶ!?」


 一瞬でダッシュしてマリアの首に腕を回したかと思うとそのまま回収。

 部屋の隅で内緒話を始めたのだ。

 でも今のあれ、マリア大丈夫か? 首絞まってなかった?

 しかし、そんな心配はいらないように普通にこしょこしょ話だし。

 次の瞬間にはシヅキはマリアに抱きついていた。


「マリアちゃん大好き! ありがとうありがとう! ほんっっっっっとうにありがとう! 大好き!」


「お、おお!? シエラ、これは見ちゃいけないものなのでは!?」


「放っておきなさい。女子の間ではこういうことも起こりえるのよ」


「そうなの!?」


 まさか、と思ったが、ただのスキンシップだった模様。

 え? シエラ詳しくね? シエラもしたことあるのだろうか? ちょっとその辺気になった。


 受付の女子も手を頬に添えてあらあら~としか見てないし、問題無いのかもしれない。

 そうこうしているうちにスキンシップも無事に終わったのか、マリアとシヅキがこっちへ来る。


「大っっっっ変失礼いたしました! 実際に言葉を交わし合うのは初めまして? 〈秩序風紀委員会〉の通信部、副隊長を任されています! 〈戦闘課2年3組〉所属、シヅキと申しまするです!」


「シヅキちゃん、今テンパってるから大目に見てあげてください~」


「オーケー。前に大面接に来てくれたらしいが改めて自己紹介させてくれ、俺はゼフィルス。Sランクギルド〈エデン〉のギルドマスターで、〈戦闘課2年1組〉所属だ。こちらはサブマスターのシエラで同じく〈戦闘課2年1組〉に所属している」


「シエラよ、今日はよろしくね」


「き、〈今日から〉じゃなくて〈今日は〉!? マリアちゃん!?」


「だからまずは適性を見るための面接みたいなものだって言ったじゃないですか」


「私を〈エデン〉に紹介してくれたの部分しか記憶に残ってなかった」


「大丈夫かしらこの通信士さん」


 い、いかん。シエラが(いぶか)しんでおられる!

 俺はマリアに素早くアイコンタクトを送った。


「もう、シヅキちゃん落ち着いて落ち着いてください。ほら深呼吸。吸って吸って、息吸って」


「はっ!? うん! す~~~」


 シヅキもシエラの訝しんでいる眼に気が付いたのか、マリアに促されて深呼吸を開始。


「吸って吸って、もっと吸って~」


「ってこれ以上吸えるかー!! いつまで吸わせる気よ!?」


 んお!? 良いツッコミ!

 マリアがいつまでも吸わせ続けるもんだからシヅキが掌の裏でツッコミを入れていた。なんて良いツッコミなんだ。

 これはうちに必要な人材かもしれない。


「シエラ、この子、良いかもしれない」


「なんで今ので好感度上がってるのよ」


 シエラにこっそり感想を吐露してみたらジト目が返ってきた。

 なんか知らんがやったぜ!


「ふう。その失礼しました! 落ち着きました!」


「ほんとに?」


「大丈夫ですよシエラさん。ちょっと取り乱していましたが、これでも通信副隊長を任されていますからね。シヅキちゃんは冷静になる術を心得ていますよ!」


「それにしては先程から騒がしかったような気がするけど」


 いかん! もっとシヅキの良いところを引き出してシエラを納得させなければ加入は難しいかもしれない!


「それじゃあいくつか質問とかしてもいいか? あとその前にシヅキと呼んでも?」


「はい! もちろん! 光栄です!」


「そう硬くならなくてもいいぜ。気を抜きすぎなければ問題無い」


「はい」


 ようやく面談だな。先程来たセレスタンのメッセージによれば、シヅキは「合格」だそうだ。ちなみに第二回大面接に落ちた理由は、高位職で発現しているのが【魔法兵】だったかららしい。

 確かに、【魔法兵】は〈エデン〉にはいらないなぁ。エミとかなり被ってるし。


 さらにメッセージには経歴も書いてあった。

 第二回大面接で落ちてしまったシヅキだったが、当時下級職、中の中【回復兵】で、高位職、高の下である【魔法兵】が発現していたが、なんと下級職、中の上だった【通信兵】も発現していた。〈転職制度〉の時にそれを当時〈秩序風紀委員会〉の隊長だったメシリア先輩がたまたま見つけたことでスカウトを受けたとのことだ。

 通信できる存在はどこも欲していたということだな。


 そこからシヅキの躍進(やくしん)が始まる。

〈秩序風紀委員会〉が全力でバックアップするという契約の元、中位職の【通信兵】に〈転職〉し〈秩序風紀委員会〉の通信部に加入。

 当時の「上級ダンジョンでは支援職こそが重要だ」という風潮の波に乗り、2年生へ進級する前には〈秩序風紀委員会〉からの供与で上級職、中の上、【伏兵通信士】へ〈上級転職(ランクアップ)〉を果たし、〈戦闘課2年3組〉へ所属したとのことだ。


 そこからさらに活躍し、現在は〈秩序風紀委員会〉の通信部、その副隊長を任されるまでになっているエリートさんとのことである。


 凄い経歴だなぁと思う。

 これ、〈秩序風紀委員会〉に多大な恩があるパターンだ。

 普通は無理じゃない? と思うかもしれないが、マリアに事前に聞いていた限りだと、本人的には〈エデン〉に加入するのは全然良いとのこと。

 本当かな?


「まず〈エデン〉はシヅキにスカウトを考えている」


「光栄です!」


 ……それなら問題は職業(ジョブ)だけだ。

 これが難しい問題だな。


「だが今の職業(ジョブ)では難しくてな。うちは今、【悪魔】系職業(ジョブ)、【ルシファー】を求めているんだ。もしシヅキが加入するのであれば〈下級転職(ランクダウン)〉をしてもらわなくちゃ――」


「〈下級転職(ランクダウン)〉します!」


「早っ!? 待て待て、よく考えて!?」


 提案したら食い気味にOKされた。え、本当にいいの??

 この子って〈秩序風紀委員会〉の通信副隊長という地位にいる。副隊長なんて地位になるには並の話では難しいだろう。そしてその前提として今の職業(ジョブ)【伏兵通信士】に就いていないと仕事ができないはずだ。

下級転職(ランクダウン)〉なんてしようものなら今の地位も無くしてしまうことになる。そんな決断を即決なんてちょっとタンマ。もうちょっと考えよう!?


 気が付けば俺が止める側になっている不思議!


「大丈夫です! 〈エデン〉に入ることができるのなら、〈秩序風紀委員会〉だって辞めても全然構いません!」


 言い切った!

 しかし、ここで待ったが掛かる。


「それは困るね。その話、ちょっと待ってはくれないかい?」


「げっ!? 総隊長!?」


 やってきたのは美しい赤髪を背中まで伸ばした女子。

〈秩序風紀委員会〉のギルドマスターにして総隊長と呼ばれる。〈秩序風紀委員会〉の現在のトップの女子だった。




 あとがき失礼いたします!


 本日〈ダン活〉小説11巻とコミックス4巻が発売です!


 小説11巻には冒険者が書き下ろしで登場ですよー!


 こちらも是非お手にとってください!


 よろしくお願いいたします!




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
いや~、この子、ぐいぐいくるなぁ。 面白いわ~。 だが、そんな彼女の行く手を阻むのはかつて(?)の上司だったのだ! ババァァァァァァァン!!
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