#1486 新しいメンバーを入れよう! 3人目の候補!
マリアから1人おすすめの子がいると紹介された。
シエラとリーナ的にはどうだろう?
「私はいいと思うわ。今やるべきことは新メンバーを上級中位ダンジョンに慣れさせ、〈謎ダン〉〈守氷ダン〉〈聖ダン〉の攻略者の証を取らせることよね? それならゼフィルスの力を必ずしも借りる必要はないもの。スカウトと育成のタイミング的には悪くないと思うわ」
「わたくしも同感ですわね。ゼルレカさんだけではコスト的にも効率的に見ても勿体ないですし、もう何人か増やしても良いと思いますわ」
「俺も2人に同意見だ。それじゃあ探してみるか」
シエラとリーナの言うことも俺の考えと同じだったので、ゼルレカとマシロを含め、複数人の新しいメンバーを入れるということで決まったのだった。
しかしそうなると、現在のノーアたち〈新メンバー組〉の呼称を変えないといけないな。
もう加入して結構経つし、そろそろ変えないとな~と思っていたところだ。
上級中位ダンジョンには入っているんだし、もうレギュラーメンバーと言ってもいいかもしれない。ゼルレカたちの加入を機に呼称を検討するとしよう。
「マリア、他に候補はいるか」
「うう~ん。そうですね。逆にゼフィルスさんはどんな子が欲しいですか?」
「そうだな~」
せっかくなら本来なら入れることができない職業がいいよなぁ~。
となると、「貴人」系か、「天使」「悪魔」系か、【大罪】系も良いよな。
だが「貴人」系はすでに大体仲間になっているし、【大罪】系は専用武器が無い。
消去法で「天使」と「悪魔」かな? 〈天魔のぬいぐるみ〉は〈聖ダン〉のレアイベントボスを毎日のように狩っていたので結構在庫あるし。なんだったらこっそりルルたちに隠している物もあったりする。そろそろ使おうか。
「うん、せっかく〈転職制度〉が目の前にあるんだ。【天使】と【悪魔】系の職業とかいいんじゃないか?」
「〈天魔のぬいぐるみ〉を使うのね。……ルルたちがまた泣くわよ?」
「安心してくれ。こんなこともあろうかと、すでにルルに知られることなく3つのぬいぐるみを確保してあるんだ」
「え? いったいいつの間にですの!?」
「筋肉ギルド経由だな」
例の〈夜ダン〉のレアイベントボス、〈ホネデス〉に挑戦していたアランと遭遇してからというもの、実はあの後何回か個人宛に『また〈天魔のぬいぐるみ〉が出たんだ。交換しないか?』という連絡が来てたんだよ。断る理由も無いのでもちろん交換しておいたのさ。
ちなみに〈天魔のぬいぐるみ〉を隠していることを知っているのはセレスタンとハンナだけだ。
ということを説明する。
「私にも内緒なんて。ゼフィルス、他に内緒にしていることは? 全部言いなさい」
いかん、藪を突いてしまった予感!
もちろん俺は首を横に振って全力で否定する。
「そ、そんなものないさ。俺がシエラに隠し事をするなんてこと、あるわけないだろ?」
「たった今隠し事が出てきたばかりなのだけど? やっぱりいくつかありそうね」
なぜか疑惑の方が膨れ上がってしまった。
ここは話題を変えようと思う。
「こほん。さっきの話に戻るが、マリアの話を聞く限りマシロには【ラファエル】に就いてもらうのが良いんじゃないかと思っている。回復特化型の【天使】だ。まあどうなるかは実際会ってみてだけどな。もしこれが無事に進むのなら、【ウリエル】も入れたいと考えている。こちらは攻撃特化型の天使だな。これで4種の天使が全部揃うぞ!」
「…………」
シエラがすっごいジト目で見てきます。
ありがとうございます!
「アタッカーですわね。しかも〈転職〉希望でも受け付ける。ですが、ゼルレカさんと育成を平行するためにも早めに追いついてもらわないと困りますわよね。となると、1年生より上級生を〈転職〉させたほうがよろしいかもしれませんわ」
「なるほど、それはいいな。よしリーナの案で行こうか」
俺はまだリアルのことについてそんなに詳しくはない。日々勉強中だ。
ずっと1年生を〈転職〉させることを考えていたが、攻略を早めるために、すでにプレイヤースキルを身につけている上級生に狙いを定めるのは悪くない。
マシロは1年生だが、マリアから見てプレイヤースキルはかなり高いらしいし、こちらは問題は無いかな?
残り2人は上級生を〈転職〉させる方向で考えようと思う。
もちろん、プレイヤースキルが上級ダンジョンでも付いてこられるほど高いのが最低条件だ。
「【悪魔】系はそうだな。【サタン】は「男」限定だし、【メドゥーサ】も捨てがたいが、すでに【睡魔女王】がいるんだ。ここはやはり【ルシファー】でいくべきか」
そう、俺は考える。
サタンとルシファーは同一人物とされているが、やはりというか〈ダン活〉では分けて使われる。
【サタン】はタンク系であり、【ナイトメア】からも【アークデーモン】という【デーモン】系の下級職、高の上からも〈上級転職〉できる非常に強力な存在だ。しかし、「男」限定となっている。まあ、肉壁要員とも言われていたからな。
【ルシファー】の場合は召喚系。〈傲慢〉を司ると言われている【ルシファー】はやはりテイマー系の能力を持たせるべきだ、という意見から強力な召喚能力を得ているとのことらしい。なんと個人でスキル『召喚盤起動』を持っているのである。やばいぞ。さすがは【悪魔】系最強。
さらに自ら戦ってもかなり強く、非常に強力な職業だった。
ちなみに、こっちは性別は関係無く就ける不思議。ただ、就くための難易度は高めに設定されていた。
【メドゥーサ】は文字通り〈石化〉使いだ。【睡魔女王】とは別の意味でやべぇ状態異常使いである。なお、こちらは「女」限定。
こちらも十分強いのだが、【睡魔女王】と役割が結構被るので、ここは召喚系を使ってみたい所存。
「うん。やっぱり【ルシファー】だな」
「…………」
「その【ルシファー】ってどんな能力なんですか?」
「うむ。【ルシファー】はな――」
シエラのジト目がどんどん強くなっていく感覚がする!
心の中で密かにテンションを上げながらマリアの質問に軽く発現条件も付け加えて答えると、マリアはそれを聞いて少し首を捻ったのちこう言った。
「うーん、それならもしかして私の知り合いにぴったりな子いるかも」
「え、本当か!?」
「うん。2年生の女子なんですけどね。最近まで闇落ちしかけてて」
「闇落ちしかける!? それいったいどういう意味!?」
【ルシファー】だからって本当に闇落ちする必要はないよ!?
ただ発現条件に〈戦闘不能回数が10回以上〉というとんでもないものがあるので、これはクリアしてもらっていたいところ。
これ、その人が強いとそもそも戦闘不能にならないし、普通は弱い人が戦闘不能になるものだから〈エデン〉には加えられない。そのせいで今まで【ルシファー】って選択肢に浮かばなかったんだよなぁ。わざと戦闘不能にさせるのはさすがに嫌だし。
しかしマリア曰く、その子はなんと〈戦闘課2年3組〉所属の上級職。
兵士系の【伏兵通信士】であり、プレイヤースキル的に結構強い女子らしい。
ただ、とあることが切っ掛けで何度も高ランクダンジョンに挑み、そしてなんども戦闘不能になったことがあって、それが10回を軽く超えている、とのことだ。
「〈3組〉の【伏兵通信士】? ああ、あの子か! クラス対抗戦の時に良い活躍してた子で、よく覚えてるよ。隠れてたから顔は分からなかったけど」
「おう。……女兵ちゃんがんばれー。でも覚えられていたことは立派ですね」
「……なるほど、実力はありそうね。でもマリア、その子の精神面はどうなの? 大丈夫なのかしら?」
「えーっと、大丈夫だと思いますよ? その子が闇落ちしかけたの、自分だけ〈エデン〉の大面接に落ちて、次の面接がもう開催されないと知ってショックを受けたからですし。〈エデン〉に入れば気分も向上するはずですよ。それに最近は回復して調子いいみたいですし」
「え? そうだったんですの? ですが面接に落ちたのですか、セレスタンさんに資料を見せてもらわないといけませんわね。「不合格」の場合は加入はできませんもの」
「あ、それじゃあ直接見に行きますか? 確か今の時間なら〈秩序風紀委員会〉の本部にいるはずですよ」
「あら、〈秩序風紀委員会〉所属ですのね。それなら「不合格」ということも無さそうですわね」
確かに。秩序風紀委員が「不合格」とか秩序と風紀が乱れすぎている。
〈秩序風紀委員会〉所属というのはそれだけ信用に値するポイントだった。
まず、間違いなく「合格」だろう。不採用になったのは、単純に実力不足だったのかな?
「それじゃあ俺もマリアに付いていくぜ。ついでにあと1人、【ウリエル】に就いてくれる子を見つけてくる!」
「待ちなさいゼフィルス。私も行くわ。あなたを野放しにしたら、とんでもないことが起こりそうだもの」
「俺は時限爆弾かなにかかな?」
シエラの言葉に微妙に納得できないなにかがあったような気がしたものの、気のせいということにして俺はシエラとマリアの3人でまず、〈秩序風紀委員会〉へ向かうことにしたのだった。