#1465 ゼフィルス次のターゲット決定! プランFだ!
〈1組〉の北部隊、俺、エステル、リカ、セレスタン、シェリア、ルル、アイギス、ノエル、ラクリッテ、ルキア、ラムダ、レグラム、オリヒメさん、ミューは、あっさり〈6組〉の拠点を落とすと、〈1組〉拠点には帰らず、そのまま東へ行くことにした。
「まずは1つ! まだ同盟が集まるまでに時間があるだろうし、このまま2つ目も落としちゃうぞーーーー!」
「大丈夫か? さすがにノリで突き進むには危険だと思うが」
「なぁに大丈夫だリカ。俺には秘策がある。ルキア、出番だ!」
「はいはーい!」
リカの言うこともごもっとも。
〈6組〉の東にある拠点はかなり遠い。フィールドの北北東にある。
つまりは東側だ。
俺たちの拠点があるのは西側。
東に食い込むということは、東側のクラスの懐に入り込むという意味でもあった。どんな罠が待ち受けているか分からない。戻るのにも少し時間が掛かるだろう。
だが、俺としてはだからこそ今行かなければならないと思っている。
初動で〈6組〉を倒した。
本来であればそれなりに時間が掛かると思っていたので、〈1組〉拠点に引き上げるつもりだったんだ。だがなぜか〈6組〉が大混乱していてさほど消耗せず、またかなりの速攻で倒してしまったのだ。これは、チャンスである。
きっと〈幸猫様〉が俺に隣の拠点もついでに倒せと言ってるに違いない!
上空にはスクリーンがある。
これにはまだ〈6組〉陥落の情報は書かれていない。
途中経過が表示されるのは10分毎だからだ。
だが、まだ試合開始から3分程度しか経っていない。
……3分で落としてしまったのか。〈6組〉すまん。これも時の運ということでどうか1つ。
こほん。要は最初のスクリーン更新まで、俺たちがどう攻めているか分からないのだ。
まあ、見通しのいいフィールドのせいで、双眼鏡でもあれば他の拠点の情報も分かるだろう。カルアの『ピーピング』でも分かるはずだ。
だが、それさえ打ち消してしまえば、俺たちがどこにいて、なにをしているのか相手に知られることなく行動してしまえるのである。
もちろんこれには妨害スキルが必要だ。
妨害前提。ただ、その妨害が効かないのがスクリーンなので、スクリーンが最初に更新されるまでの10分が非常に重要となる。
〈6組〉を落とした段階でまだ7分近く残っている。他のクラスを攻めるのに絶好の機会だ。
何しろ、妨害スキルが成功していれば、相手のクラスは俺たちの状況を掴めない。
スクリーンに表示されるまで分からないのだから、スクリーンが更新されるまでの時間がマジ重要となる。
「時間が無い。次のスクリーン更新までにもう1個落とすぞ!」
「行くよ! 『妨害タイム』! 『索敵フリーズ』!」
「全員、ルキアの周りに固まれ! アイギスは一旦ゼニスを戻してくれ!」
「は、はい!」
ルキアに頼んでスキルを発動してもらう。
『妨害タイム』は一定時間、これから発動する妨害系スキルの効果を上昇させるとんでもスキルだ。これを、なんとLV10まで育てている。
続いて使うのがこの作戦の要、『索敵フリーズ』だ。
これは文字通り索敵をフリーズさせるスキル。モニター画面などで画面が固まることをフリーズと言うが、そのフリーズだ。凍らせるという意味ではないぞ。
つまり、タイムストップ。
相手が見ている情報はフリーズした情報になるというスキルだ。俺たちが自由に動いていても相手は知ることができなくなる。これもLV10まで育てているぞ。
さらに加えて。
「ラクリッテは『蜃気楼』だ!」
「は、はい! ポン! 歪みのオアシス『蜃気楼』!」
ラクリッテの『蜃気楼』は視覚を誤魔化すスキル。
ただかなり不完全で、完全に透明になるのではなく空間を歪ませてしまうため近くで視認すればすぐにバレてしまうようなスキルだ。
しかし、遠目なら割と分からない。
去年のクラス対抗戦でもラクリッテが使っていた戦法だ。
これで視覚も誤魔化し、索敵も妨害するとんでもない状況でエステル号に乗り込んで出発。俺たちは東へと突き進んだ。
「『ゼフィルスさん、よろしいですか』」
「おう、リーナ丁度良かった。俺たちはプランFに移る」
プランF、これはゼフィルス部隊は拠点に戻らず先に進むという意味だ。
「『やはりですか。フィールドの北北東にある拠点ですか?』」
「さすがだな。10分のスクリーンの更新で俺たちの行動がバレる前に一当てしたい」
「『承知いたしましたわ。では現在のフィールドの状況を。現在〈2組〉が周囲のクラスへ伝令を向かわせて集合を呼びかけていますわ――』」
リーナからの通信。
色々と省いて端的に現在の状況を共有する。
「『こんな感じですわ。それと今判明しました。北北東拠点は〈留学生1組〉ですわ』」
「! クイナダのクラスか。それは丁度良かったな」
「『また、カルアさんの反応もあります』」
「カルアもか! ここで仕留めておきたいところだな」
「『はい。カルアさんとクイナダさんには気の毒ですが、仕方ありませんわね。ゼフィルスさん、ご武運を。通信終わります』」
「おう」
さすがはリーナ。いつもリーナは有益な情報をくれる。
どうやら俺たちが今向かっているクラスはクイナダが所属する〈留学生1組〉らしい。こことはちょっと戦ってみたかったんだ。
何しろ分校の1組である。分校の中でも、さらに選ばれし1組メンバーズ。それこそ〈留学生1組〉だ。正直、興味ありまくりである。
ちょうど良いよ!
しかも伝令でカルアまで居るというのだからすげぇタイミングだ。このチャンス、活かしたいところ!
「! ゼフィルス殿、右側、フィールドの中央に人が」
「あれは〈2組〉のメンバーだ」
リーナからも連絡があり、今東側は非常に活発に動いているとのことをメンバーに伝える。
もちろん中央にラウやレイテル他、見覚えのあるメンバーが多数集結しているのも見えている。まだ〈2組〉だけらしいので、こっちに一当てするのもいいのだが、相手はラウたちだ。手痛い反撃を受ける可能性もある。それに、〈2組〉とは満を持して決着を付けたい。
ここで決着を付けてしまうのはまだ早いのだ。
俺は双眼鏡で〈2組〉の状況を覗くが、こちらヘは視線を向けていないと思う。
遠すぎるのでさすがに分かりづらいが。
逆に言えば、向こうからしても双眼鏡を使ってもこっちは分からないということ。
『蜃気楼』を見破るのは困難だろう。
「ゼフィルス様、そろそろ到着の模様です」
セレスタンの報告に俺は全員の士気を高める。
「よーし、相手は〈留学生1組〉! つまり分校で一番強い人たちの集まりだ! 俺たち本校〈1組〉との直接対戦! どっちが強いのか、明らかにしてやるぞ!」
「「「「おおー!」」」」
こっちは14人。
向こうはリーナの報告ではフル。さらに今は〈2組〉の伝令であるカルアを含めた2名が合流しているため計32人らしい。
索敵が効かないからかまだこっちには気が付いていないな。
〈留学生1組〉は凹型の池の中心地にある。
陸地が北マス。他の7マスは水路に囲まれている地形だ。
本来なら北から進入するしかない水に囲まれた浮城。
そこへ、俺たちは西側からエステル号で突撃した。




