#1453 〈戦闘課2年生〉準決勝戦第一試合。半分退場?
「さーやって参りました! クラス対抗戦も今日で4日目! 大注目の〈戦闘課2年1組〉が出場する〈戦闘課2年生〉の部、第五十六ブロックの試合が始まりまーす! 実況はこのキャスとーー!!」
「スティーブンの2人でお送りさせていただきます。ゲストは無しですね」
「スティーブン君スティーブン君! ゲスト無しで実況者私たちだけとか、〈1組〉の動きを全部解説しきれるかな!? なんでユミキさんを呼んでくれないの!?」
「やることがたくさんあるそうなので、準決勝では呼ぶのは無理でした。僕たちでやるしかありません」
「むずい! 今まで試合で数々の熱い実況をお届けしてきたけども、最近は〈1組〉とか〈エデン〉とか力を付けすぎて私たちでは力不足感が出てきてるんだよ!」
「こほん、それはともかくです。〈1組〉ばかりに注目してはいられません。この準決勝では、勝ち上がってきたクラスが他に7クラスもいるのですから」
「こほんこほん! とりみだしちゃったね! それじゃあ準決勝戦五十六ブロックの出場クラスを紹介するよーー!! 出場するのはこちら、〈1組〉〈5組〉〈6組〉〈14組〉〈留学生2組〉〈留学生7組〉〈留学生11組〉〈留学生16組〉の8クラスだーーーー!」
「うち〈1組〉だけがシードです」
「留学生組が4クラスも上がってきてるんだけど! これはすごいことだよ!」
「ええ、すごいことですね。本校組も半分上がってきていますから現在の実力は互角という見方がされています」
「スティーブン君はどこが勝ち上がると思う!? 留学生組がずいぶん力を付けてきているけれど、2位は留学生のクラスが滑り込むのかな!?」
「さて、どうでしょう。去年の〈1組〉の動きや作戦をその目で見ている本校生と、今年初めて恐怖の〈1組〉と戦うことになった留学生。この差は果たして明暗を分けるのか。注目したいところです」
「あ、なんかそれ聞くと留学生組がすっごく不利に感じるよ!?」
「留学生さん方。どうか〈1組〉とぶつかっても、心折れないでくださいと願います」
◇ ◇ ◇
〈戦闘課2年生〉準決勝戦第一試合。
第五十六ブロック。
〈1組〉〈5組〉〈6組〉〈14組〉〈留学生2組〉〈留学生7組〉〈留学生11組〉〈留学生16組〉の試合が始まった。
注目したいのはやはり留学生組。
ここまでの試合経過で本校組VS留学生組という、妙な対立構造が出来てしまった影響で、なんと留学生組の4クラスが早々に手を組んだのだ。
そこにはしゃいだ俺たち〈1組〉が突撃しちゃったから試合開始早々から大変なことになった。しかもこれは連鎖的に爆発(?)してそれはそれは大変な被害を相手にもたらすことになったのだ。
順を追って説明しよう。
まず俺たちは攻撃部隊16人を編成し、リーナの指示に従いながらまず〈留学生2組〉の部隊を強襲したのだ。
本来、リーナの『フルマッピング』みたいなフィールドを丸裸にするスキルは五段階目ツリーや六段階目ツリーで覚えるようなもの。
故にまずクラス対抗戦では地図を広めるという作業をする必要がある。
これができれば他の職業でも、リーナみたいな俯瞰して指示を飛ばす行為が疑似的に可能だ。
その効力はリーナを見れば分かるだろう。
まさにクラス対抗戦では非常に猛威を振るう力だ。本来なら。
だが、まだ『フルマッピング』を覚えていないなら、まずはマッピングをしなければならず。危険を冒さなければならない。
まさにその部分を狙ったリーナの各個撃破術である。昔俺もクラス対抗戦でやったなぁ。
相手も隠蔽したり、ハイド系を使ったりして隠れながら行動しているのだが、リーナにことごとく看破されてしまうのだ。
さすがはリーナ。相手がどういう行動に出たがっているのかをよく分かってる。
ある程度斥候を潰して相手が浮き足立ったら突撃。
まず向かったのは〈留学生2組〉の拠点!
え!? いきなり一番強そうなクラスへ行っちゃっていいの? と思うだろ?
むしろ逆だ。
うむ。夏休み中、ずっとギルドバトルできなかったからな。
少しウォーミングアップの意味も込めて、大きく暴れたかったんだよなぁ。
それで手応えのありそうなところへ一当て、いや威力偵察? うん、そんな感じでぶつかりたかったんだよ。
そしてさすがは〈留学生2組〉。しっかり防壁のようなものを作って守りを強化していたのだが、こっちにはセレスタンがいた。
あとラナとエステルとアイギスとノエルとフィナとエリサと…………うん! 防壁なんて怖くないな!
一応攻勢メンバーがこちら。
俺、ラナ、エステル、リカ、セレスタン、シズ、パメラ、メルト、ミサト、アイギス、ノエル、エリサ、フィナ、ルキア、ラムダ、ハクの16人だ。
防衛モンスターもしっかりいただいてポイントを増やし、防衛する人たちを蹴散らしていったよ。そしてノエルの強化を得たセレスタンがちゅどーんと防壁を壊してしまったのだ。
向こう側は軽く阿鼻叫喚になってたな。そこからは一方的な……いや、最初から一方的な展開だった気もする。
やっぱり相手のリーダーを真っ先にやっちゃったのがまずかった模様。
いや、リーダーって普通一番強いからさ。勝負を挑んだんだよ。
リーダー君は五段階目ツリーを開放していた方だったのだが、割とあっさり退場してしまって「アレ?」ってなったのは秘密。
「もっとラムダの時みたいにドンパチできると思ったのに」
「いや、あの時もゼフィルス1人に対して3対1だったからな? 1対1に持ち込まれた時点で無理だと思うぞ?」
横でラムダが苦笑してる。
去年ラムダとは一騎打ちした記憶が鮮明に残っているのだが、そういえばあれって最初3対1だったっけ?
今回、他の敵さんはラムダやリカ、エリサにパメラが蹴散らしてくれたおかげでほぼ素通りでリーダー君を狙えたのだが、どうやら崩しすぎた模様だ。
しかしそこからが面白い展開。
おそらく〈留学生2組〉を助けようとしたのだろう。なんと〈留学生7組〉〈留学生11組〉〈留学生16組〉が駆けつけたのだ!
でもこっちにはノエルとラナが居てさ。
「それじゃあ『リ・エール』行くよー!」
「ここは私の出番よね! 『大聖光の十宝剣』!」
戦場に無慈悲な光の剣が降り注いだんだ。
おかげで〈留学生11組〉が被害甚大で後退。
〈留学生16組〉の目の前には天使と悪魔が舞い降りてな。
「姉さま、ここで落としますよ」
「ちょっと待ってよフィナちゃん!? ここで降ろすじゃなくて落とすって言った!?」
「では、ご武運を」
「フィナちゃ~~~~~~ん!?」
いや、舞い降りたのは悪魔だけだったわ。
よほど意表を突かれたのだろう。
ロリッ子が空から落ちてくるとなればそれも仕方ない。
空中でフィナに手を離されたエリサはそのまま落下。
落下中、〈留学生16組〉が攻撃を放つどころか唖然と見る中、ユニークスキル『ナイトメア・大睡吸』が炸裂。
エリサは頑張った。
そのまま地面に着地。
あっかんべーして『夢楽園』を発動、10人以上を屠ってしまったのだ。
かなりのロマンでかっこよかった。フィナは〈エリサ爆撃戦法〉とか言っていたが、もう少しお姉さんに優しい戦法を考えてあげて?
反撃が来る前にフィナが再びエリサを攫って飛び立ち被害も無し。
残る〈留学生7組〉だが、ここが一番不幸だったかもしれない。
射線的にラナに狙われることもなく、無事に〈留学生2組〉の拠点にたどり着いちゃったのだ。
そこには俺たちが待ち受けていた!
〈留学生2組〉の拠点が〈留学生7組〉の到着とほぼ同時に陥落してしまったので、〈留学生7組〉としては間に合わなかった+〈1組〉と野戦とかいうとんでもない状況になってしまったのだ。
しかも〈留学生11組〉と〈留学生16組〉は被害が大きすぎて拠点にたどり着けなかったものだから、普通に〈1組〉VS〈留学生7組〉戦がファイトした。
軽くエステル号とゼニスに乗ったアイギスによって追い立てられ、逃げようにもルキアが『索敵フリーズ』や『時奪取』などで妨害するものだから逃げられず。そこへメルトとハクがデカい五段階目ツリーをたたき込みまくって――。そこへ俺やセレスタン、リカやラムダが突撃した。
いや〈留学生7組〉も頑張ったんだ。
最後はルキアを戦闘不能寸前まで追い詰めてなんとか逃げたんだ。
ルキアも自己回復出来なければやられていたな。
それで自分の拠点に逃げ込む〈留学生7組〉に付いて行く形で拠点を強襲。
ここには防壁なんてなかったので、クールタイムの明けたセレスタンの『突貫』で即陥落。
正直、〈留学生2組〉よりも楽しめてしまった。
続いてそのまま〈留学生11組〉の拠点へ向かおうとしたところ、今度は〈留学生11組〉と〈留学生16組〉がほとんど全ての人員を出して俺たちに挑んできたのだ。
あれは熱かった。
ここでガチバトルが炸裂。
リーナから2拠点陥落の大チャンスだからと戦力を増強してもらい、〈1組〉の拠点からも、シェリア、ルル、レグラム、オリヒメさん、ミュー、ロゼッタが応援として〈ブオール〉で駆けつけてくれて、本格的な野戦になったんだ。
〈1組〉本気モードになった俺たちが即〈留学生11組〉のリーダーちゃんを見つけてルルとレグラムと俺で一緒に強襲して撃破。(悲劇)
〈留学生16組〉のリーダーはハクとメルトとミサトの活躍の最中にうっかり〈敗者のお部屋〉へ送られてしまったらしく、かなり甚大な動揺が〈留学生16組〉に広がったんだ。(悲劇2)
そこへ続きと言わんばかりにエリサが眠らせて、〈即死〉コンボで屠ってしまった。あれは半端ない光景だった。
フィナは〈留学生11組〉を担当。
集団の外側はエステルやアイギスたちが削りまくり、内側からは潜り込んだ俺、リカ、セレスタン、ルル、レグラム、フィナが無双して崩しまくって圧倒していたら、いつの間にか誰も居なくなっていた。逃げたのではなく、みんな〈敗者のお部屋〉へ向かったとのことだ。
なんと清々しい(?)。
ちなみに〈留学生16組〉は4人ほど逃げたとのことで、先に無人となってしまった〈留学生11組〉の拠点をそのまま流れで陥落させた。
続いて〈留学生16組〉拠点へ向かい、最後の力を振り絞るような猛攻を受けたが、これもロゼッタやミサト、フィナ、ルキア、ラムダが防ぎまくり、攻撃担当が一斉攻撃を仕掛けて拠点が陥落してしまう。
こうして留学生組の拠点が全て陥落してしまったのだった。
それに気が付いた時にはすでに手遅れだったよ。
「あ、つい全部落としちゃった」
「いいじゃないの! 私とても楽しかったわ! それに向こうが仕掛けてきたんだもの。それなら返り討ちにしちゃってもいいじゃない!」
「いや、元はと言えば俺たちが〈留学生2組〉へアタックを仕掛けたのが原因だけどな」
ラナがウキウキしながら話すが、俺の記憶と若干違う気がしたんだぜ。
「ま、やってしまったものは仕方ない! 留学生組、結構強かったよ。うん。こっちも何人か退場寸前までいったからな。まあ、最終的に退場者はでなかったんだけどさ」
「たはは~。向こうからしたら泣いていいね! 留学生120人退場で〈1組〉被害ゼロって」
「結局、本校組は欠片も動かなかったけどな」
「『連絡ですわ。他の3拠点の方も変わりない様子ですわ』」
いつの間にかミサトとメルトが居た。
メルトの言うとおりあれだけ留学生組を相手にドンパチやり、〈1組〉の拠点もかなり防衛陣がいなくなったのに、本校組の動きは無しだった。
リーナからの通信も、手薄の〈1組〉にアタックしてきたなんて情報もない。
「『これは、完全に亀さん作戦ですわね』」
「中に入ったまま出てこない気か」
「どうするゼフィルス?」
「ふ、そんなものやることは決まってる! 出てこないなら、建物ごと撃破してしまえばいいじゃない、だ!」
「それ作戦じゃなーい!」
「しかし、相手が沈黙している以上、俺たちが仕掛けないと始まらないだろ?」
「だな。ということで、まずは〈5組〉へ行ってみよー。ここから一番近いしな!」
「ああ、見える。阿鼻叫喚な〈5組〉が見えるようだよ」
「ここから一番近いのが〈5組〉。そんな理由で狙われてしまった〈5組〉に幸あれだ」
ミサトとメルトと相談して方針決定。
ということで〈1組〉の次の相手は〈5組〉で決定した。




