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#157 この笛が目に入らぬか! 兄さんそれ売って?




 これからの予定を整理してみよう。


・Eランクギルドに昇格する。(試験を受ける)

・〈付喪の竹林ダンジョン〉のレアボス素材を納品する。


 とりあえず近日中に終わらせたいのがこの2つだ。

 2つともやるなら早いほうが良い。


 Eランクになればメンバー補充。新しく4人がギルドに加わり、まず一斉にレベル上げを手伝う事になるだろう。早く中級に上がって楽しみたいし、全員が職業(ジョブ)LV40に到るまでガンガン育てるつもりだ。


 レアボス素材納品も早いほうが良い。何しろ〈乗り物〉が解禁されればボスまで一直線だ。つまりレベル上げが(はかど)る。

 今回、〈姫職〉組の〈スキル〉〈魔法〉が3段階目ツリーに到った事で、俺じゃなくてもボスをリポップさせられるだけの威力を手に入れた。

 ボス周回には俺が付いていかなくても良くなったので後続メンバーたちの育成が(はかど)るだろう。


 うーむ。どちらを先に優先するか。


 ダンジョン週間が終わって数日もすれば、待っているのは授業のある学園生活。

 つまりはダンジョンに行く時間が限られてしまう。授業の終わりからダンジョンに突入してもあまり成果は出ないからな。行ける階層も限られてくる。


 まあ、今までが異常だっただけで、本来学生は徐々に探索階層を広げつつ、週末やダンジョン週間を使ってダンジョンを攻略するのが普通なのだ。

 しかし俺たちは毎日がダンジョン攻略だったので微妙に感じるわけだな。毎日ダンジョンに突入したい。〈ダン活〉の授業も楽しみだけど。



 さて、ここは〈乗り物〉を優先しとくか。

 やはり、授業ある学園生活に突入する前に素材を確保しに行かないと、というのが大きい。

 学園生活が始まれば最奥に行くのが時間的に厳しくなってくる。各課によって授業のコマも変わってくる可能性があるからメンバーが集まれない事もあるかも知れない。


 それにコレを1日で終わらせれば、授業が行われる日までに新メンバーを職業(ジョブ)LV30くらいまで育成出来るだろう。


 よし、方針はこんなところで。

 マリー先輩にも言っておく。


「明日取ってくるから、そうガント先輩に伝えてもらえるか?」


「普通レアボス素材を寄越せとか鼻で笑う所なんやけどなぁ。兄さんやからなぁ」


 マリー先輩がため息を吐いてやれやれと首を振る。


「別に特殊な事をするわけじゃないぞ。コレを使うだけだ」


 そう言って〈空間収納鞄(アイテムバッグ)(容量:少量)〉から笛を取り出す。

 そしてこの笛が目に入らぬか、と言うように〈レアモンの笛(ボス用)〉を見せるとマリー先輩が食いついた。


「あ、〈ボス笛〉やん! なんやそんな良い物持ってたんならはよ言ってや! なんなん兄さん? なんでこんなすごいアイテム仰山(ぎょうさん)持ってるん? というか売って?」


「ダメ」


 マリー先輩が食いつくのも非常に良く分かる。

 実はこの〈レアモンの笛(ボス用)〉。レアボスの〈金箱〉産なんです。

 もう一度言う。レアボスから出た〈金箱〉のドロップなんです!


 一緒に出た〈幸猫様〉の影響と、笛がダブった事で価値が微妙な事になっているこの〈レアモンの笛(ボス用)〉ですが、れっきとした激レアアイテム。

 マリー先輩が「売って?」と首を傾げてウルッとした視線で見上げて誘惑しに掛かってくるほどには激レアのアイテムなのだ。

 まあ断るが。


 ダブってるんだから1つくらい、という気持ちではいけない。

 何しろ回数が5回しか使えないアイテムなのだ。最後の1回を使わずに修理すればまた5回使えるようになるという破格の性能を持ってはいるが、逆に言えば一回のダンジョンアタックで4回しか使用出来ないという意味でもある。

 笛が2本あれば倍使え、最大8回レアボスを呼び出せるかもしれないのだ。売るなんてとんでもない事である。


「まあ、そうやろなぁ」


 ダメ元のつもりだったのだろう。

 マリー先輩も俺がノーを示した途端誘惑を打ち切った。ああ、勿体ない。もう少しだけ見ていたかった。


「それでマリー先輩、こいつを修理出来る職人に心当たりあります?」


「もちろんおるで。別のギルドになるけどなぁ」


 さすがマリー先輩。〈レアモンの笛(ボス用)〉が修理可能だという事はしっかりご存じだったようだ。

 また、職人さんの仲介も頼んでおいた。


 〈ワッペンシールステッカー〉は防具系の生産ギルド。その辺は手広くやっているみたいだが、アイテム系生産職となると毛色がまったく異なる。

 あっちはさらに種類が多いからなぁ。

 それぞれ〈薬〉〈爆弾〉〈料理〉〈雑貨〉エトセトラと、その手の専門のギルドが立ち並ぶほどだ。

 さすがのマリー先輩もアイテムまでは手が回らない模様。


 とりあえず〈レアモンの笛(ボス用)〉は残り7回使えるのでまだ修理に出さなくても良いだろう。

 明日〈付喪の竹林ダンジョン〉に行ってくるとマリー先輩に伝え、その時最後の1回を残して全て使い切ってくるので修理の職人さんの仲介を頼むと依頼をしておいた。仲介料はギルドの予算から支払う。


「ほな、まいどあり〜」


「おう。また明日頼むぜマリー先輩」


 マリー先輩に別れの挨拶をして自分の部屋に帰った。

 明日はちょっと戻って〈付喪の竹林ダンジョン〉のレアボス周回だな。





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