#1346 ルル強。ロリレンジャーVS精鋭5人戦決着。
【雷子姫】のユニークスキル『かみなりさま』は〈雷属性〉の純粋な攻撃魔法。
しかも単体攻撃で、その威力は下級職の魔法の中ではトップクラスに君臨する。
雷の子がパパ頼みをするとパパンが天空から強力な天の雷を叩き落としてくれるのだ。
それって雷神――げふんげふん。
要はとんでもない威力だということだ。
アリスが新武器〈雷王書・超杖〉を掲げてユニークスキルを発動。
そしてINT計1700超えのアリスがRES130のクイナダに使うと――こうなる。
「ひゃあああああ!?」
強力な雷が落っこちてクイナダに直撃し、クイナダのHPは一瞬で全損した。
そのまま敗者のお部屋へ直行する。
「クイナダ!」
「行かせませんよリカ先輩、あなたの相手は私が務めます! 『大お社様ご光臨』!」
シュミネやヴァンの戦いで消耗していたクイナダがここで退場。
しかし戦いはまだ終わってはいない。続いてアリスを守るために立ちはだかったキキョウが発動したのは【神社の守護者】のユニークスキル、『大お社様ご光臨』。
その言葉に呼ばれ、巨大な社が地面から現れる。社の扉は開かれており、まるで異空間に繋がっているかのような渦巻く光が存在していた。
これはメルトも使っているブラックホールのホワイト版。
攻撃をガンガン吸収し、その後威力をマシマシでお返しする反撃スキルだ。
物理攻撃だろうがなんだろうがダメージを蓄積し、時間が経つと問答無用で相手にダメージが直撃するというとんでもないものである。
とはいえこれには弱点もある。一定時間までに想定以上のダメージを食らうと崩壊してしまうのと――。
「くっ、挑戦してみたくはあるが、ここは退かせてもらおう!」
「あ!」
攻撃されないと『大お社様』はただの置物になってしまうところだ。
リカはもちろんこれが何か知っていたため攻撃はせず、そのまま退くことを選択した。
「先輩方!」
「キキョウ! アリス! 大丈夫なのです?」
「うん! ルルお姉ちゃんたちのおかげだよ」
そしてロリメンバー集合。
ゼフィルスが密かにロリレンジャーと命名していたルル、フィナ、エリサ、アリス、キキョウが揃ったのだった。なおシェリアはゼフィルスが連れて行っていてここにはいない。
「みんな、退くぞ!」
「これは手強いですわ」
「お嬢様、一旦立て直しましょう」
対してリカが選択したのは撤退だった。
ルルたちがここにいる。ならゼフィルスだって来ていないはずがない。
これは私たちの足止めの可能性が高いとリカは瞬時に判断したのだった。
それに、エリサの〈睡眠〉はやはり強く、フィナが守っているために速攻で退場させることができない。さらに能力で言えば赤チームの面々に勝るとも劣らないルル、強力な魔法攻撃を持つアリス、そして【大罪】職持ちのキキョウはクラリスの千剣やリカのスキルを封印することだって可能。特にクラリスは千剣を封じられると千剣を軸にしたスキルも全て封じられてしまうため相性が最悪だった。
ロリレンジャーはアタッカーからタンク、ヒーラーにデバッファー、物理使いに魔法使いなどバランスが良く、集合されると非常に手強い。
手をこまねけばエリサにやられて全滅する。リカ以外は状態異常に掛かると回復手段に乏しいため時間が掛けられない。
エリサの真上でチクタクしているメトロノームも、遠距離攻撃に乏しいこのメンバーでは破壊出来ない。
故に、一旦体勢を立て直すべきだと判断したのである。ヴァンは倒したので目的は達成しているとも言えた。
これにはノーアたちも同じ結論だった。それくらいロリレンジャーは強い。
「俺が時間を稼ごう――『破獣王咆哮』!」
「それさっきよりうるさいやつです! 防御します!」
「逃がさないわよ! 『ダークバインド』! 『闇の檻』!」
「いっけー『雷道』!」
「ウオオオオオオオオ!」
「なー!?」
「にゅ!?」
「エリサ先輩の状態異常攻撃に地面を雷の道に変えるアリスの『雷道』まで防がれてしまいました!?」
追撃しようとするロリレンジャーだが、そこに立ちはだかるのはラウ。
ラウの〈五ツリ〉、先程の『獣王ハウリング』の上位ツリー『破獣王咆哮』は攻防を兼ね備え、周りに迫ってきている者や魔法なども吹き飛ばす。
これによりキキョウの言ったとおりエリサとアリスの攻撃は弾かれてしまう。さすがは【獣王】。だが、それを上回る者が居るのも、またロリレンジャーなのだ。
「とう! 『ローリングソード』!」
「なにぃ!」
そこへ飛び込んだのはもちろんルルだ。
空中でクルクルでんぐり返ししながらラウを飛び越え、そのままノーアに斬り込んだのである。
これには頭上を越えられたラウも驚きの声を上げるしかない。『破獣王咆哮』を転がるようにして逃れられてしまったのだ。
「お嬢様!」
「お任せなさいなクラリス――『カウンタープロミネンス』!」
しかしさすがはノーア、撤退中でもしっかり後方は意識していたようでルルの斬り込みにも気付いていた。
ノーアはカウンター使い。ラウを飛び越えながら攻撃してくるという見え見えで予想も容易い攻撃はカウンターの格好の的だ。
ノーアはしっかりと引きつけたうえでカウンターを取った。
それは『カウンタープロミネンス』。火属性の強力な〈四ツリ〉スキルを相手に叩き込む強力な技だ。いくらノックバック耐性があろうとも、カウンターを入れられれば大ダメージは免れない。
だが、それはカウンターを入れられたら、だ。
ルルの攻撃がノーアに直撃、しそうなタイミングでノーアの剣がルルの攻撃を弾き、火属性の強力なカウンターを叩き込まんとする。
「『フォースバーストブレイカー』!」
「なぁ!?」
しかしそこでまさかの事態。本来ならスキルは使用直後に硬直状態になる。
だが、ルルの場合はスキル速度が約2倍だ。
硬直もほとんど起こらず、ノーアのカウンターに対して普通にスキルを合わせてきたのである。
そしてこれが激突。破壊。
『フォースバーストブレイカー』はブレイク系の4連続攻撃。カウンターに対して非常に相性の良いスキルだ。
まさかカウンターを取った後に後出しでブレイク系を合わせられるなんて夢にも思ってなかったノーアに残りの三撃が直撃する。
「つっよいですわ!」
「『Wスラッシュ』!」
「にゅ!?」
そこへクラリスがWの字型に斬る『Wスラッシュ』で割り込んでルルを攻撃。少々のダメージを与えてノーアから距離を取らせることに成功する。
「クラリスも速いのです!」
「千剣だけが私の持ち味ではありませんので――お嬢様は退避を!」
「ルルさんと戦いたいですのにー」
「でしたら隣マスでしてください。ここでは眠らされますよ! 私たちではいつまでもレジれません!」
クラリスはパッシブスキル『高速戦』のおかげでスピード戦闘が得意だ。
千剣だけではなく、ちゃんと二剣使いとしても強いのである。
ノーアはルルとやりたがったがエリサと同じマスにいれば眠らされてしまうので、ラウがまだ防いでいるうちに泣く泣く撤退を決めたようだ。
だが、ルルから逃れようとすると、そこに不可視の斬撃が刻まれる。
「逃がさないのですよ! 『斬空逃罰』なのです!」
「! そこですわ」
それは逃げる相手に対して威力の上がる攻撃スキル。離れていても斬る、ルルの超強力なスキルである。これにやられた者は多い。
しかし、直感系の『革命勘』を持つノーアはすぐに対処。こういう系の攻撃はノーアには効かない。
防御しながら回避し、ダメージを受けつつも隣マスへ移動を成功させてしまう。
「うみゅ~。参ったのです」
ルル必殺の『斬空逃罰』でも仕留めきれなかったため、おとなしくラウに標的を変える。
「仕方ないのです! お命頂戴なのです!」
「それはパメラさんのスキルじゃないか!?」
ラウがツッコミを入れながら撤退しようとするが、ルルに背中を取られた状態では厳しい。何しろ現在ラウは、フィナ、アリス、キキョウ、エリサ、の足止めをしながら後方にルルがいて囲まれた状態だった。
しかも前方からはじゃんじゃんアリスの雷撃が飛んでくるし、ラウと拮抗するレベルのフィナが猛攻を仕掛けてくるし、エリサが隙あらば状態異常にしようとしてくるのだ。
だが、行くしかない。
「『獣速牙狼』!」
ブリッツ系の〈五ツリ〉を発動しルルを狙いつつ、実はすり抜けて撤退する作戦。
ルルを突破しノーアたちに合流しようというのがラウの考えだった。
だが、ここには【嫉妬】のキキョウがいる。
「『羨望の取消』!」
「うおお!?」
【嫉妬】の前ではスキルや魔法は消されてしまう。
ラウの『獣速牙狼』が失敗してしまった。
これによって急に効果が切れたラウがつんのめった。
そこへ前方からルル、後方からフィナが迫る。
ラウの『直感』が盛大に警報を鳴らした。
「隙有りなのです!」
「逃がしませんよ!」
「くっ!」
「『デュプレックスソード』!」
「『ミカエルラッシュ』!」
「『高速移動』!」
ラウはすぐに体勢を立て直しルルとフィナの攻撃に対し回避に集中する。
そしてギリギリで全ての攻撃の回避に成功。さすがは【獣王】だ。
しかし残念なお知らせ。ここでエリサのユニークスキルのクールタイムが終わってしまう。
「はーいこれでチェックだよ――『ナイトメア・大睡吸』!」
もちろんエリサはユニークスキルを即発動。睡眠が貫通して襲いかかる。結果。
「ぐっ、マジかぁ……」
ラウのHPバーにピコンと〈睡眠〉アイコンが現れ、ラウはついに〈睡眠〉状態になってしまう。
「じゃあ『睡魔の砂時計』を出して! フィナちゃんに『MP譲渡』! 減ったMPを『MP大睡吸』! うん、全回復! ということでばいばい――総攻撃よ!」
「「「おおー(なのです)!」」」
チェックメイト。
いくら【獣王】と言えどロリレンジャー全員を相手に敵いっこなかった。
眠らされたラウはエリサにMPを絞りつくされた後、総攻撃を受けて〈敗者のお部屋〉へと飛ばされてしまうのだった。
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