#1345 王や武将の精鋭5人VSロリレンジャー大集結!
シエラが盾で防ぎ、キキョウとアリスがサポートしつつも、リカ、ラウ、ノーア、クラリス、さらにエステル、シズ、カイリの攻撃にさらされていたとき。
第二拠点に変化が訪れる。
「「「あ!」」」
誰もが唖然とする中、第二拠点が消えてしまったのである。
全員の援護で内部にただ1人突入できたクイナダが、ヴァンを撃破したのだ。
「やった!」
「次は本拠地だ!」
これにより、目標を達成したことで戦況に変化が生まれ、ラウを始めとした数人が白本拠地へ向かわんとした。しかし――そこへヒーローが到着する。
「そこまでなのです!」
「そ、その声は!」
その登場の第一声がまさにヒーロー。
こんなかっこいいセリフを言うのは〈エデン〉といえど、1人しかいない。
「とう!」
「む! 狙いは俺か!」
小さな影が素早く飛び掛かる。その先に居たのは――ラウだ。
ヒーローの剣と獣王の右拳からスキルエフェクトがあふれ出る。そして――。
「『ヒーローバスター』!」
「『エンペラーバスター』!」
ズドンと衝撃、2つの強力な〈五ツリ〉がゼロ距離で激突する。
凄まじい衝撃が周囲に轟いた。相殺かと思われたが――まだ終わらない。
「まだまだなのです! 『ヒーローバスター』!!」
「ぐ、う、う、うおおおおおおお!?」
2回攻撃。
ズドドオオオンという衝撃と共に吹っ飛んだのはラウの方だった。
そして赤チームの行く手を塞ぐようにしてシュピンとポーズを決める幼女。
その正体は〈エデン〉の最強ヒーロー幼女――ルルだ。
「ヒーローは必ず勝つのです!」
決まった。
これには赤チームも止まらざるを得ない。
ルルの『ヒーローバスター』はゼロ距離で攻撃した場合、クールタイムを無視してもう1回だけ撃てるスキル。そこに剣スキルの回転率を約2倍にする『真・小回り剣技』が組み合わされ、ラウは2つ目の攻撃を防ぐことが出来ず直撃したのだ。
これぞ貴族系職業の中で最強と言われた【プリンセスヒーロー】の力である。
一瞬で吹っ飛んだ【獣王】を見て観客席のとある獣人集団が唖然騒然大騒ぎとなっていたが、それは今は置いておく。
「ルルさんですわ!」
「お嬢様は警戒を」
「! クラリス、空ですわ!」
「!!」
「気が付きましたか。ですが、遅いです。――『天罰』!」
「『剣閃』――きゃあああ!」
「クラリス!?」
当然ルルがソロな訳がない。
誰もが颯爽と登場しラウをぶっ飛ばしたルルに注目していたところに空から奇襲を仕掛ける者がいた。その正体は――フィナだ。
上空から勢いよく落下しながら攻撃し、落下の速度が速いほど威力の増す『天罰』でノーアの従者兼護衛であるクラリスを狙ったのだ。
しかし、これにはノーアの直感スキル『革命勘』で気付かれてしまう。
だが、クラリスの迎撃はスキル発動の直後だったこともあり、勢いが乗る前にぶつかり、結果フィナの大勝利。クラリスは大ダメージを受けて吹き飛んでしまう。
「今です姉さま」
「フィ、フィナちゃんは姉使いが荒すぎる!? 『ナイトメア・大睡吸』!」
「! エリサさん!? いったいどこから、いえそんなことよりも、させませんわ――『投擲必中』!」
「私はタンクですよ? 『ミカエル加護大結界』!」
「防がれました!? 必中攻撃なのに!?」
「姉さまを守るのは、私の仕事です」
いつの間にかエリサがいた。というか空中から降ってきた。
そう、実はフィナが空中から接近したとき、エリサを一緒に運んでいたのである。ゲーム時代はシステム上そんなことはできなかったが、リアルであれば荷物扱いにして1人、子どもくらいであればフィナは空を飛びながら運ぶことが可能なのだ。
しかしエリサを持っていては剣が振れない。
ということでフィナは空中にエリサを置き去りにしてチャンスをものにしたのである。
代償にエリサが空から降ってきたが、HPバリアのおかげで怪我は無しである。
これに対し、ノーアが防御スキルすら躱して目標へ向かう必中攻撃で対応。
しかし、本職のタンクであるフィナがエリサに強力な全方位加護結界を纏わせたことで防がれてしまう。これにはノーアもとても驚いた。たとえ必中攻撃と言えど全方位結界を抜くことはさすがに無理だった模様。
「ぐっ、不覚です……」
「クラリス!?」
そしてレジストに失敗し、クラリスに〈睡眠〉が付与されてしまう。
しかし。
「そうはさせん――『一刀斬・対壊』!」
「げっ! リカちゃん!?」
そこでエリサに飛び込んだのが、先程までシエラの盾の相手をしていたリカだ。
当然『明鏡止水』にて〈睡眠〉を解除してあり、防御破壊スキル『一刀斬・対壊』で『ミカエル加護大結界』を破壊したのだ。
しかも、『一刀斬・対壊』にはさらに続きがある。
スキルの終わりにチャキンと納刀。瞬間。
「『抜刀術・閃光』!」
「ふびゃま!?」
「あ、姉さま!」
閃光の一撃で刀が振られ、エリサを一閃したのだ。
本来ならタンクの防御スキルを破壊し、続けざまの閃光の一撃でダウンを捥ぎ取るタンク崩しのコンボである。
しかし、今回防御スキルを付与したのはフィナだったため、エリサは魔法が失敗するだけでダウンはせず、吹っ飛んだだけだった。
「えーい『雷雷サンダー』!」
「む、『制空権・先流』!」
「逃がさないのですよ! とう! 『インフィニティソード』!」
「切り抜ける!」
「にゅ!?」
そこへアリスの強力な螺旋の雷がリカを襲うが、これをリカは流れに逆らわず、攻撃を流しながら相手の懐に飛び込むスキル『制空権・先流』で受けつつ、反撃しようとした。
そこをルルが超威力の攻撃で強襲したが、リカは狙いをアリスからルルに変更して刀を振るって相殺。
そのまま距離を取ったのだ。
「ノーア、クラリスは?」
「起きましたわ。助太刀感謝します」
「助かりましたお嬢様」
「ぐ、ぐぬぬ~、睡眠が甘かったか~」
せっかく〈睡眠〉状態になったクラリスだったが、これはノーアに起こされてしまった。同時にエリサの杖の効果、『眠りを妨げる者には呪いを』が発動するもノーアはレジストに成功。なんとかエリサの状態異常の罠から脱出することに成功する。
戦力が3人になったことでルルも無闇に突っ込むことはせず、フィナたちと合流を優先した。
ノーアがリカに状況を聞く。
「シエラさんは?」
「今は復活したエステルとシズとカイリが相手をしている。クイナダはヴァンの撃破に成功したまではよかったが、今はキキョウとアリスに追いかけられているぞ」
シエラを封じるためエステルが参戦していた。
アクセ装備を〈イグニッションローラー〉に変更してシエラに接近戦を挑んでいる。そこへ援護射撃も加わり、シエラを足止めしていた。
そして見事シュミネとヴァンを撃破したクイナダはというと、アリスとキキョウに追いかけ回されているが――クイナダの方が足が速いので全然大丈夫そうだった。
しかし、クイナダがリカたちの方向に駆けてくるのが問題だ。
正面のルル、フィナ、エリサ。後方からはアリスとキキョウが迫ってきていたからだ。
このままでは以前ゼフィルスがロリレンジャーと呼んでいた5人が大集結してしまう。
「このままでは、挟まれます。お嬢様」
「仕掛けますわ! 目標は本拠地の陥落、第二拠点の破壊を達成した今、本拠地攻略班のC班に合流、ないしサポートするのが最善ですわ」
「それにはエリサを撃破しなくてはならない。睡眠魔法を使われたら一気に全滅だ。〈身代わりのペンダント〉は装備してきているが、〈睡眠〉だけでも戦局を左右してしまう」
「ならば、やるしかありませんわ! 即で倒し、本拠地攻略中のC班に合流することを目的とします!」
「畏まりましたお嬢様」
「させません。『天盾飛翔突撃』!」
「とう! 『フォースバーストブレイカー』!!」
「秘技――『制空権・乱れ椿』!」
「あら? 私を放置していいの? 『スリーピング・シンドローム』!」
「狙いはエリサ様、一点集中です『ソニックダブルソード』!」
「『ソニックアタック』ですわ!」
こちらではリカ、ノーア、クラリスVSルル、フィナ、エリサの戦いが勃発した。
強力なシールドバッシュを放つフィナ。ルルの強力な四連続斬り攻撃に対してタンクでもあるリカは刀の範囲内に入り込んだものを全て斬り落とす『制空権・乱れ椿』で対応する。
しかし、タンクのフィナとサブタンクでもあるルルは、これだけの対処では不十分だった。
さらにフィナとルルが突撃した瞬間、エリサが睡眠魔法を発動。
クラリスとノーアが『ソニック』系を使って素早く移動して狩ろうとする。エリサの『スリーピング・シンドローム』よりも後出しにしたにもかかわらず、エリサの発動よりも早く攻撃が届く、かに思われた。
「『ミカエルの聖法』!」
「な!」
「きゃ!」
しかし、フィナの使う防御スキルは結界系である事が多い。しかも指定場所が自分ではなく味方にも使用できるタイプだ。
故に、少し離れていたとしても、エリサを防御することなんて朝飯前である。
攻撃を防げてしまえば続いてやってくるのはエリサの睡眠魔法だ。
エリサがメトロノームのようなものを呼び出し、それがチクタク奏でれば、相手は睡眠を付与されてしまう。しかし、そこに割り込む者がいた。
「『獣王ハウリング』! ウオオオオオオオオ!」
「うるさい!?」
ラウだ。ルルの強力な攻撃で吹き飛んでダウンしていたが無事に復帰。合流したのである。
ラウの『獣王ハウリング』は周囲に大声で攻撃し、周りに迫ってきている者や魔法なども吹き飛ばすスキル。これにより、睡眠魔法の奏でる音を打ち消してしまったのである。近くにいたノーアとクラリスもこれには助けられ〈睡眠〉を食らうことがなかった。
ノーアとクラリスがそこでさらなる追撃を行なわんとするが、そこに戻ってきたのはフィナ。
「姉さまはやらせはしません!」
「フィナちゃん!」
フィナの言葉にエリサが感激とばかりに目をキラキラさせた。
「ノーアさん、クラリスさん、まだあのメトロノームを破壊出来ていない! 狙うんだ!」
「狙わせません!」
ラウの咆哮はメトロノームが奏でる音は誤魔化したが、破壊には至っていない。
そしてエリサの 『スリーピング・シンドローム』は数回に渡って眠りを与える魔法。一度レジれたとしても2回目3回目で食らう可能性があった。
故に、ラウは早期メトロノームの破壊を呼びかけるが、それを許すフィナではない。
ノーアはカウンター重視であるので攻撃しなければデカい攻撃は来ない。
いや、普通の攻撃でも十分にデカいのだが、カウンターを取られるとダウン率が増す。今フィナがダウンを取られれば最後、簡単に形勢は赤チームに傾いてしまうため、フィナはノーアには防御で対処、クラリスには攻撃で対処することにした。
カウンターが強力だと知られているノーアは、さっきから攻撃されずスルーされ続けている。
そこへとうとうクイナダとアリス、キキョウが到着した。
「無双系大技――『大軍無双乱舞粉砕』!」
「にゅ!?」
「クイナダ、ストップだ!」
クイナダの〈四ツリ〉スキル。無双する超攻撃スキル。
モンスター、それも眷属などが相手の時はバッタバッタなぎ倒しながら進む無双将軍を彷彿とさせるスキルではあるが、これはいわゆる雑魚を相手にするときにその強さを発揮するスキル。
ここにいるロリたちは、むっちゃ強い。リカが止めるがもう遅い。
「『ディストラクションブレイカー』!」
これはルルのブレイクスキル。
それにより、クイナダの強力なスキルはいとも簡単に破壊されてしまう。しかも、すでにルルの2回目の攻撃が即で襲わんと構えられていた。あまりにも速い追撃にクイナダの目が点になる。
「――へ?」
「ここなのです! 『デュプレックスソード』!」
「え、わ、きゃああああ!?」
はやぶさのような2連斬り。
しかも〈五ツリ〉スキルである。
これがルルの得意にしてとんでも技。スキルを2倍速で放てるルルがブレイク系を放ったら、もう最強。
問答無用でスキルは相殺され、ノーガードなところへ追撃されて大ダメージを負うのだ。防御スキルはほぼ間に合わないと言っていい。
もちろんリカがすぐに割って入ろうとするが、それを防いだのは、キキョウだった。
「『残像双・一太刀』!」
「『封印の門』!」
「くっ!?」
リカの神速の飛び込みの進行方向に現れたのは、とある門。それは開きっぱなしで、人が容易に入ってしまうような門だった。
リカはスキル中で進路変更が不可能。仕方なく門をぶった切った。
すると門は閉まる。
「封印完了です!」
キキョウのこの魔法は封印系。攻撃されたスキルを封印し、使えなくしてしまう強力なスキルだ。これにより、リカは『残像双・一太刀』が封印され、クールタイムが減らなくなってしまう。解放するには門を破壊する必要がある。
とはいえこれは副次効果。
本当の狙いはリカをルルに近づけさせないことだった。
これによりクイナダはルルによって手痛いダメージを受け、そこへアリスが攻撃をぶっ放す。
「いっけー『かみなりさま』!」
それはアリスのユニークスキルだった。
後書き失礼いたします。お知らせ!
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書き下ろしには、本編に書かれなかったラナやシエラの帰省話もあるよ!
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