#1338 ゼフィルス、相手の陣地の奥へ食い込め作戦!
「甘いなリーナ! これでチェックだぜ!」
〈中央東巨城〉、白チーム取得。
本拠地に近い巨城だからといって後回しにするとこういうことが起こる。
故に初動ではどの巨城を最初に狙うのか、その取っていく順番、優先順位をとても考える必要がある。
普通ならばセオリー通りに動けば問題ないと思うだろうが、それは思考が固まりすぎている。リーナにはもっと柔らかい思考で物事を考えてほしい!
ということで手加減はしない。全力で行くぜ!
南側を見ればレグラムとオリヒメさんの騎兵が東へと進んでいるのが目に入った。
それも、〈南巨城〉|へ行く通り道を塞ぎながら《・・・・・・・・・・・・》である。
そして赤チームの部隊、〈南巨城〉を攻略していた部隊は完全に閉じ込められてしまっていた。
この〈双三つ又〉フィールドの南北は三つ又の矛の形をしており、槍の先端部分に巨城が建っている。
つまり、袋小路になっているのだ。
出入りできるのは一方向のみで、保護期間で線を敷いてしまえば入ってくることも出ることもできない状況が完成する。
それを利用し、赤チームは〈南巨城〉への通路を保護期間で塞ぎながら〈南西巨城〉を取らんとした。だが今度は逆に、赤チームが〈南巨城〉を確保しているうちにレグラムたちによって通路を全てひっくり返され、出られなくなってしまったのである。
向こうは今しまったなんて思っているだろう。
普通はすぐ気付けるものだが、その間に俺たちが〈中央東巨城〉を取る動きをしていたことで意識をこっちに持ってこさせたのだ。
「〈南巨城〉は大丈夫、もう赤チームのものだ」と思わせることで警戒心を和らげ、俺たちの真の目的である、赤チームの部隊を南に閉じ込める作戦を成功させたのである。
レグラムたちには「赤チームが〈南巨城〉の攻略に入ったところで閉じ込めてくれ」と指示していたのだが、見事に決まったな。
これで〈南巨城〉攻略部隊はほんの少しの間ではあるが足止めされてしまった。
このほんの少しの時間が明暗を分ける。
「ほ、ほんとに成功した。じゃあ?」
「おう。このまま赤本拠地を素通りし、〈南東巨城〉を狙うぞ!」
ミジュが目を見開いて驚く。作戦は確かに聞いていたけど、本当に成功するのかと半信半疑だったのかもしれない。
だが、リーナを相手にここまで大成功。これこそが狙い。
俺たちは〈中央東巨城〉だけでは満足せず、さらにその先、赤チームの救済巨城である〈南東巨城〉をも取ってしまおうという作戦だ!
ここは超特殊フィールド。
〈救済巨城〉が絶対狙われないなんてことはないのだぜリーナ!
頼みの綱である〈南巨城〉攻略部隊は保護期間によって阻まれ完全に出遅れている。
俺たちが〈南東巨城〉を落とす障害は後はラナとリーナの遠距離攻撃くらいだが、これも保護期間があれば防げてしまう。
ならば〈南巨城〉攻略部隊を白の本拠地へ向かわせてはどうか?
目には目を、攻められたら攻め返す案だ。
しかし残念、白本拠地にはすでにA班であるセレスタン、シエラ、ノエル、ラクリッテ、トモヨが戻りつつある。ほとんどがタンクのガチ守りメンバーだ。
A班は〈北巨城〉陥落後、まっすぐ白の救済巨城である〈北西巨城〉を獲得して本拠地の守りについたのだ。これを抜くのは難しいぜ?
さらにC班で〈南西巨城〉を攻略していたアリス、キキョウ、ヴァン、ナキキ、シュミネも攻略終了後はマス取りをしながら白本拠地に戻るよう指示してあった。
すでに守りは万全。
白の本拠地を攻められても問題ない状況が完成している。
こうして俺たちは悠々と〈南東巨城〉も獲得した。
合計6つめの巨城確保だーー!!
リーナが今何を思っているか少し気になるところ!
「うわ、本当に取っちゃった」
「だから行けるって言っただろ? ――さーてみんな、次は脱出だ! 赤チームが集まってくる前にここを出る! 付いてきてくれ!」
「袋小路、逃げ場はない」
「おう。スピードが命だぜ」
赤チームの救済巨城までゲットしてしまったが、ここは赤のテリトリー。
俺は急いで指示を出しながら走り出す。
リーナはおそらく俺たちに攻撃をしかけてくるだろう。
俺たちのE班は現在南東の袋小路にいる。
保護期間を上手く使えば逃がさずに対人戦に持ち込める。
〈北東巨城〉攻略部隊もルキアのデバフが切れれば戻ってこれるから、そうなると二方向から俺たちを包囲でき、赤チーム22人全員で俺たちを囲える。十分撃破できると考えるだろう。
だがここで活躍するのもまた、レグラムたちだ。
レグラムとオリヒメさんの騎兵は〈南東巨城〉の攻略には、実は参加していないのだ。
理由は脱出経路の確保。
この〈双三つ又〉フィールドは基本袋小路だらけのフィールド。
しっかり脱出経路を確保していないと巨城の獲得すら危うい環境なのだ。
「巨城を確保したぜ」と思ったら包囲されてたなんてことが頻繁に発生する。
レグラムたちには「赤マスをひっくり返しながら北へ脱出経路を構築する」と通達してあった。
ここがポイント。
なぜ空白マスではなく、わざわざ相手が取っている赤マスをひっくり返すのか。
それは赤マスがもう相手が確保出来ないマスだからだ。つまり保護期間が使えない、進路の妨害ができないのである。
脱出するとき、一番されたくないのは通路を塞がれること。
それが出来ないのがひっくり返しである。
この赤マスだけは非常に有用な安全な道になり得るのだ。
「脱出ー! 急げー!」
「うい!」
俺は〈南東巨城〉獲得後、喜びのハイタッチも省略して脱出を急がせる。
すでにレグラムが先行して保護期間の道が形成されているが、時間制限がある。悠長に喜んでいる時間は無い。
俺、ミジュ、シェリア、ルル、エリサ、フィナ、サチ、エミ、ユウカ、がすぐに保護期間を進んで脱出を図った。
おおー、逃がさないとばかりに保護期間の向こうではエステル号が併走している。恐ろしい。
撒いてあげよう。
「ゼフィルス殿、エステル号がぴったり張り付いてきていますが!?」
「エステルお姉ちゃんたちなのです!」
「なぁに問題は無いさシェリア、ルル。ほら、正面を見よ」
「あ、〈中央東巨城〉!」
「このままじゃぶつかっちゃうよ! エステル号が」
「そして私たちはその脇を通り過ぎると」
俺がみんなを促してエステル号の先を指さすと、サチ、エミ、ユウカがノリよくコメントしてくれた。
まさにその通り。
併走する時、どっちかの正面に障害物があった場合、不可能になるよね。
俺たちは〈中央東巨城〉の真隣を通るルートで北上しているので、隣を併走するエステル号にとっては行き止まりだ。
「あ、ああ~」
「さようならエステル号のみなさん」
エリサとフィナも呆気にとられたような表情で巨城の前で止まったエステル号のみんなを見送っていた。
巨城などの障害物を使って相手を撒く小技だ。これも成功だな。
さぁてここからが本番だ。
俺の予想では、この先、レグラムたちは足止めを食らっていると見ているが、どうかな?
あ、やっぱり赤チームの〈北東巨城〉攻略メンバーに見事に囲まれてるな。
相手は9人、メルト、ミサト、アイギス、カタリナ、フラーミナ、ロゼッタ、アルテ、サーシャ、カグヤの姿が見える。
対しこっちはレグラムとオリヒメさんを入れれば11人だ。
俺、ミジュ、シェリア、ルル、エリサ、フィナ、サチ、エミ、ユウカ、レグラム、オリヒメさん。
ふむ、相手は新メンバーも3人いるのね。こっちは1人だ。戦力差はわかったな。
よし、突っ込もう!
このままいけば対人戦だが、リーナはどう出るかな?
引くか、受けて立つか。エステル号が追いついてくるまで粘ってくるか。




