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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十九章 ギルドバトル勃発――〈エデン〉VS〈エデン〉!?

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#1323 〈中上ダン〉のざわめき無視して出発でーす!




 無事ヴァン、カグヤ、サーシャの〈上級転職(ランクアップ)〉が終わる。

 3人とも上級職になってテンションが上がっている様子だ。

 いいね。


 そのままクイナダを誘い、〈中上ダン〉へと向かったのだった。

 何をするのかって? もちろんレベル上げである!

 練習も込みで!


「うわぁ~。人がいっぱいだ~」


「なんだかギラギラしている人が多いですの」


「な、何事かな!?」


「クイナダ、その正体を教えてやろう。この雰囲気の正体は――テスト明けだ!」


「テスト明けのテンションってやつでありますか!」


 中級中位ダンジョンもいつの間にか突破し、上級職に就いたことで初の中級上位ダンジョンに挑戦! と来たら学生がギラギラしていた。

 うむうむ。この雰囲気、覚えがありますね。

 俺も長くダンジョンが封じられると禁断症状が出るからな! 分かる分かる。

 特にテスト期間は2週間もダンジョンに入れないのだ、もう尖りまくりさ!


「む? お、おい、あれを見ろ!」


「なんだぁ? って勇者さんがいる!?」


「ケヒヒヒヒ――へっ? 勇者さんですって!?」


「なんでこんなところに勇者さんが!?」


「ついにテストが嵩んで幻影を見始めたか」


「え? じゃああれは幻!? 俺の名が赤点一覧にあったのも幻!?」


「それは違う。貴様は赤点だ!!」


「ぶふうわぁぁぁぁ!?」


「しかしここは〈中上ダン〉だぞ。勇者さんがいったい何をしに??」


「お、おいその隣を見ろ! あれは1年生だ!!」


「いっっっっっっちねんせぇぇぇぇっ!!!!」


「1年生がもうこんな所まで来てんの!? まだ7月になったばかりだぞ!! もう軽く10人を超えてる!」


「あれは、〈エデン〉メンバーだ。俺、去年も経験した。去年の勇者も同じくらいに〈中上ダン〉に来ていたんだ!」


「この方、1年以上も〈中上ダン〉の常連!?」


「つまり〈エデン〉ではあれくらい普通ってこと!?」


「勇者さんが直々のキャリーですって!? 羨ましい! 羨ましくって鼻血が出そうだわ!」


「お、落ち着け!? 早まるんじゃない!」


 おや?

 さっきまでのギラギラした雰囲気がざわざわした空気に変わってきたぞ?

 どうしたのかな?


「さ、さすがはゼフィルス先輩。居るだけで場の空気を変えてしまう。そこに痺れる憧れる!」


「大注目ですの。しかもゼフィルス先輩、それをまったく気にしておりませんの」


「見習いたいでありますな」


「ふぇ~。なんでこんなに注目されているのに涼しい顔してるの~??」


 なんだかカグヤ、サーシャ、ヴァン、クイナダが集まってこそこそ俺の方見て呟いているな。

 いったい何を話しているのか。作戦会議かな?


「あ、あの! 〈エデン〉の勇者さんですよね! あの俺たちまだジュース5本しか集められてなくて」


「チケットはまだありますか!?」


 おっと、カグヤたちのことを気にしていたら2年生(同級生)が話しかけてきたな。なぜか距離がかなり遠いが。

 ここ〈中上ダン〉にはランク4〈芳醇の林檎ダンジョン〉のダンジョン門がある。

〈エデン〉で交換するため用のジュースを採りに行く者も多いのだろう。

 思わずニヤけてしまうな!


 おっと、彼ら彼女らはどうやら〈エデン〉のチケットの在庫が心配らしい。

 これはいけない。不安を取り除き、安心させ、〈エデン〉はいつでもウェルカムだというところをアピールしておかなければ!


「安心してほしい。〈エデン〉の〈リンゴとチケット交換店〉はいつでもウェルカムだ! 実は今日も3枚ほどこの子たちに使ったが、まだまだ在庫は豊富にあるから安心してほしい!」


「豊富にあるんですか!?」


「3人に使ったばかり!? えっ、今日だけで3人も〈上級転職(ランクアップ)〉したの!?」


「混沌!」


 ざわざわ、ざわざわ。

 なんだかむちゃくちゃびっくりしていたが、俺のアピールは彼ら彼女に通じただろう。

〈エデン〉の〈上級転職チケット〉なんてまだまだ余ってる。

 むしろ交換で放出する量を上回る勢いでドロップしているので在庫はまだまだ増え続けているのだ。遠慮なんかしないでどんどん来て良いぞ!


 あと今から集めても間に合わないみたいに諦めなくてもいいぞ!

 むしろ今からでも遅くはない。ジュース集めの旅に出るんだ!

 そう、心の中で叫んでおいた。


「さて、サーシャ、クイナダ、カグヤ、ヴァン。受付したらダンジョンに潜ろうか」


「このギルドマスター、この状況で平然と入ダンを促したですの!?」


「このざわめきを引き起こしておいて微動だにしてないよ!?」


「これがゼフィルス先輩だぁ!」


 なにやらサーシャとクイナダとカグヤが叫んでいた気がしたが、俺は特に気にせず受付を済ませ、そのままランク2、〈角兎の庭園ダンジョン〉へと潜ったのだった。

 潜る直前、ランク4〈芳醇の林檎ダンジョン〉へ潜る人たちがかなり増加していたのがとても印象的だった。


 ◇


「えーっと、なんだか心が付いていかないうちにダンジョンですの!」


「人が少なくなったのはありがたいよぉ」


「ほぉらクイナダ先輩はしっかり。索敵頑張って」


「自分は前に出るであります!」


「ヴァン、階層門はこっちの道な」


 なぜかダンジョンに入ダンするだけで2名ほどお疲れの状態だ。

〈中上ダン〉はテスト明けで人が多かったからね。

 サーシャもクイナダもきっと人酔いでもしたのだろう。


 カグヤに励まされてクイナダもなんとか復活。

『警戒網』で索敵しつつ階層を進め、道中で登場する中級上位(チュウジョウ)級のウサギを相手に上級職の新スキルと魔法を練習していった。


「あ、モンスター接近だよ!」


「よーし切り替えていくですの! 新技ですの!」


「今回はヴァンたちが新しい職業(ジョブ)についたその試運転だ! 新しく使えるようになった四段階目ツリーをメインに使ってくれ」


「あいあいさー!」


 今回は練習。

 前回ノーアたちを練習させたときは中級中位(チュウチュウ)でボス周回をやったが。今回はじっくりと練習させたいので中級上位(チュウジョウ)の通常モンスターを相手取る。

 オーバーキルです! とても安心だね!


「キー!」


「ではまず自分から。『ここから先は何人たりとも通さない』!」


 ウサギ型モンスターの頭に反りの深い刀を生やした〈ブレイドラビット〉がヴァンに飛び込むと、ヴァンは防御スキルを発動しながらそれを防御した。

『ここから先は何人たりとも通さない』は防御スキルでありながら挑発スキルでもある。相手の攻撃を防御すると挑発効果が乗る特殊な防御スキルだ。


 ガツンとブレイドがヴァンの盾にぶつかるが、逆に弾かれたのはウサギの方だ。

 もう完全にオーバーキルというか、オーバー防御でダメージがほぼ通っていない。


「これ、回復が試せないんじゃない? ヴァンにはわざと食らってもらうしか」


 それを見てカグヤがとんでもないことを呟いていたが、気のせいということにしておいた。後でボス戦もやろうな。


「では次は私の番ですの! 『一面氷土(いちめんひょうど)』! 『聖操氷層(せいそうひょうそう)』!」


 続いてアタッカーのサーシャが『一面氷土』で地面を凍らせたかと思うと、〈四ツリ〉の『聖操氷層』を発動する。

『一面氷土』は『氷の大地』の上位ツリー。文字通り簡単には破壊できない氷の地面を作り出す。


『聖操氷層』は発動中の氷を操作するスキル。変化系。

【氷姫】の頃からこの職業(ジョブ)は『氷の大地』から派生するコンボが多かったが、それは【氷帝姫】になった今でも継続だ。

 凍った氷土が動き出し、その姿を変化させる。大地から出てきたのは柱だった。

 それが4本。空中に浮かぶ。地面は凍ったままなので上下からくる氷の囲いだ。

 そして氷の柱が落ちる。


「キー!?」


 うち1本が『一面氷土』で滑って転けた〈ブレイドラビット〉を直撃した。

 だが他の3本は外してしまう。


「む、むむむ。これ操作が難しいですの」


「最初は1本から始めようかサーシャ。それができるようになってから数を増やすといい。シエラの自在盾もそうだった」


「わ、わかりましたの。わわ、地面も移動できるですのこれ」


 サーシャの『聖操氷層』はかなり自由度が高い。自在氷、とでも言おうか。

 発動中の氷を浮かべ、移動するというだけだが、これが高速化してくると自在盾、自在剣としても使えるし、今のように質量を相手の上に落とすことも可能になる。

 さらには足下の氷を移動させれば乗って移動も可能だ。

〈四ツリ〉では複雑な形には変化させられないが、それでも有用な魔法である。

 最初は柱を1本だけ操り、ブンブン振り回しながら活躍してもらった。


 これが形になれば、滑った敵は容赦無くサーシャに駆逐されるだろう。

 恐ろしい!

 まだ1本しかまともに操れないが、4本以上操れる日が楽しみだ。


 懐かしい、シエラも最初は……あれ? シエラは最初から自在盾を操ってブルオークをフルボッコにしていた気がする。いや、きっと気のせいだろう。


「やっぱり回復の手が無くても大丈夫っぽい。じゃあ私は召喚かな――『お稲荷召喚・カンザシとモミジ』!」


「シー!」「コン!」


 カグヤが〈四ツリ〉の召喚術を発動する。

 登場したのは、シマエナガのような美しく綺麗な白い小鳥、そしてそれを頭に乗せる大きな狐だった。狐は首の周りに狐火のようなものが2つ飛んでいる。

 それがカグヤの周りに守るように真横に顕現する。


「うわ、何これもっふもふだよ!」


「ちょ、カグヤ何それかわいいですの!?」


「シー!」「コン!」


「【神使の巫女狐】は鳥と狐を召喚して守り、反撃する職業(ジョブ)だ。その小鳥さんが結界を張ってカグヤを守ってくれるぞ」


「それヴァンがいるし意味なーい――でもなーいかな、これもっふもふだよ! 鳥さんも可愛い~」


 カグヤが狐の腹に体を埋めて吸っていた。狐の方は堂々としていてとても誇らしそうである。頭の上の小鳥も同様だ。


「ちょっと、それ、気になって集中できませんの!」


「まあ最初だしこんなもんだろうな、クイナダ。そろそろ締めちゃってくれ」


「分かったよ。じゃあ大技で行くよー! 『大軍無双乱舞粉砕』!」


 サーシャがもふもふに気を取られて氷の柱があっち行ったりこっち行ったりし始めたので締める。

 残り3羽のウサギに向かってクイナダが無双スキル、『大軍無双乱舞粉砕』を発動した。

 それ、大軍相手でも無双できるやつ!

 パワーアップしたクイナダは「はあああああ!」と叫びながら薙刀をぶん回して突っ込み、3羽のウサギを巻き込んで無双。


 武将がウサギを相手に本気で薙刀をぶん回す!


 その結果。

 クイナダの通った後には何も残らない。

 3羽のウサギはひとたまりもなく光に還ったのだった。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[良い点] ブレイドラビット「もう少し手心とか…ね?」
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