#1292 調査団の調査記録。階層門が2つある!?
1層は第一問をクリアすれば2層への階層門のある部屋へ通じていたので、俺たちはそのまま2層へ突入した。
「確認したわ。ここは1層と同じ大部屋みたいね。でも、コンソールは2つあるみたいよ」
「2つですか」
ユミキ先輩の調査によって、2層は1層と同じく巨大な箱部屋だったが、コンソールは2台あることが判明。
再び検証の結果、2台とも1層のコンソールと同じ仕掛けだと判明し両方とも「正解」を押して次の部屋へ。
すると片方は3層への階層門が、もう片方はとある小部屋、つまりは行き止まりへ通じる道が開かれたのだ。しかもその小部屋にあったのが。
「道が2つ現れました! その内1つは階層門、もう1つの先には、宝箱、それも〈金箱〉がありました!」
「なに! 続けー!」
「「「おおー!(なのです!)」」」
「こら、みんな、おおーじゃないでしょ! ゼフィルス止まりなさい」
「ふふ、〈エデン〉のノリは変わらないわね」
これにはみんな沸いたなぁ。
シエラに止められなければそのままノリで突撃していたよ。
タバサ先生にまで温かい目で見られてしまったぜ。
まあ結局みんなで集まったんだけどな。
小部屋には中央に〈金箱〉が鎮座しており罠が仕掛けられていた。
「あの宝箱、罠があるわね」
「上級中位ダンジョンの罠ですか」
「ここは〈エデン〉に任せていただきましょう! カイリ! セレスタン! シズ!」
「腕が鳴っちゃうかも!」
「承知いたしました」
「お任せください」
「〈エデン〉は本当に様々な人材がいて羨ましい限りです。では〈エデン〉にお任せいたしましょう」
シグマ大隊長からもオーケーをもらい、〈エデン〉が〈金箱〉の罠を解除することになった。
これで開けさせてもらえるかもしれない!
「『罠なぞ恐れるに足りません』!」
「う~んこれがこうだから、こうかな? ――『罠解除』!」
「見事でしたカイリさん。解除完了しました」
「よくやってくれたな!」
「みんな、でかしたわ!」
「え? もう終わったんですか? これ上級中位級の罠のはずなのですが……」
そして10秒くらいで解除。〈エデン〉の人材が最高です。
シズの報告に俺とラナが賞賛した。
シグマ大隊長が目を点にしていたが、なに〈金箱〉の罠だ。なら〈エデン〉ではこれくらい朝飯前である(?)。
「では早速開けましょう! 代表として、ここは俺が」
「ちょっとゼフィルス待ちなさい。私が開けてあげるわ! だからゼフィルスは指揮に集中して頂戴!」
「落ち着きなさい2人とも、言い争うなら無しにするわよ」
「「これは違うんだ(のよ)シエラ!」」
〈エデン〉を代表してギルドマスターの俺が開けようとしたらラナ参戦。しかしシエラが2人とも無し宣言をしたことで本当に2人とも無しになってしまった。グスン。
結局〈金箱〉は調査団の代表ということで〈救護委員会〉の大隊長、シグマ大隊長が開けることになった。
「これは、まさか探知機、ですか?」
「すぐに調べましょう!」
中身は、なんとコンソールの場所が分かるアイテム〈謎の探知機〉が鎮座していた。
レシピではなく実物だ。これは上級中位ダンジョンの〈謎ダン〉専用アイテムだ!
ダンジョン専用アイテム。
同じカテゴリーの救済アイテムは上級下位にしか存在しない。
上級中位では存在しないのだ。その代わり専用アイテムなどが存在し、攻略のアシストをしてくれたりするのが上級中位だ。
〈木箱〉や〈金箱〉などで手に入り、〈木箱〉は基本的に使い捨て。〈銀箱〉や〈金箱〉には使い回し可能なアイテムが入っている。
これはありがたく使わせてもらった。
これが出てから調査がグッと加速したんだ。
2層はもう何も無かったので3層への階層門に入る。
3層も1層と同じ箱部屋だった。〈謎の探知機〉を使えば3つのコンソールが確認出来た。
この時点でシグマ大隊長とユミキ先輩が微妙な表情をしていたのが印象的だったな。
コンソールは階層数と同じ数が配置されるのでは? そんなことを思ったことだろう。
また、〈謎の探知機〉のおかげでユミキ先輩の立場がピンチに!? なんてことはなく〈謎の探知機〉を持つチームとユミキ先輩のチーム、二手に分かれて探索することになった。
上級中位は70階層。
今後はこのコンソール以外にもいろんな謎解き要素がある!
十分活躍の場があるのでユミキ先輩は安心してほしい!
しかし開発陣はよくこんなに謎解きを用意したよ。攻略サイトでは「ここを読むよりも『謎解き』系スキル持ちを連れていった方が早い」とやり方だけが書かれていたっけ。
選択肢の正解が書かれていないサイトとか新し過ぎだよ。
それもこれも問題数が無駄に多いのがいけない。
それから様々な検証を行なった。
上層にはコンソールしかないのでまだ楽な部分。
問題には「正解」「不正解」「大不正解」の3種類がある。
「大不正解」の場合はエリアボス戦。
エリアボスを探さなくても自分たちで呼び出して撃破できるとあって、レベリングやドロップ狙いに使えるのでは? と期待されていたが、俺は腹筋がピンチになった。
シグマ大隊長が真剣な顔をして「マッスルポーズを取る」とか「マッスル改造ダンベル」とか「マッチョであれ」とかのボタンを押すんだぞ! 「大不正解!」と表示される度に笑いを堪えるのが大変だった。あれ、もしかして俺試されているんじゃないかと思ったほどである。あと、筋肉系問題がやたら多いぞ! どうなってんだ!
「不正解」の場合は「大不正解」ほど大きくはないが、モンスター戦や状態異常の付与、HPやMPへの強制ダメージや罠発動などのペナルティが起こることが判明する。
そして「正解」を選ぶと、コンソールのあった壁が開き、奥へ進めるようになる。
その場合コンソールは動かなくなりエリアボスとは戦えなくなるので注意だ。
なお、これは翌日になると扉が閉まり、コンソールも復活すると後で判明する。
また、起動キーになるのは召喚盤だけではなく、様々なものが要求された。
例えば剣とかお肉とか、宝石類やぬいぐるみなんてのもあった。コンソールによって様々なものを要求してくるのでこれが割と大変なんだよな。全部持ってたけど。
またシエラにジト目で見られてしまったぜ。ひゃっほー!
あと剣を要求されたとき武器を突き刺してエリアボスを呼ぶと、コンソールから剣が抜けなくなって、リアル抜けない剣が誕生するので気をつけろ。これは武器が無くて泣く人を量産したとんでもないコンソールなんだ。
なお反対にこれを利用し、ゲーム時代はこれで聖なる剣を突き刺して聖剣ごっこしていた動画も多かった。そして聖剣が抜けず、番人に食われてジ・エンドが定番だったな。懐かしい。
ちなみにお肉とぬいぐるみは持ってかれて帰ってこなかった。たまにこういうこともあるから気をつけろ。ルルたちには代わりのぬいぐるみを差し上げて事なきを得たぜ。こっちも気をつけなければ。
あと正解で一度開いた壁は1日そのままで、コンソールは機能停止し、再度動かすには翌日を待つ必要がある。ただ、これはコンソールを復活させる専用アイテムが〈木箱〉産から産出したことでその日のうちに再度使用可能だと判明した。
5層では階層門のある部屋にしっかり守護型ボスも配置されていた。
そこにいたのは無機物の像、〈美しき囚われのナルシスト〉というとんでもないネーミングの男像だった。鏡の盾を使って魔法を反射させてくる中々のボスだ。
物理に弱いので美しいとかいう顔をボコボコにしてやるといいぞ。
ということで〈エデン〉が立候補した。
〈エデン〉はほとんどが物理構成だからな。ラナには『光の刃』で反射だけ試してもらって、どういう敵なのか周知してからボコボコにしてやったよ。
イケメンをブサメンにしてやるぜぜぜぜ!! はっ! ゲーム時代の記憶が!
「魔法反射を使うボスですか!? 5層のボスでこんな強敵が現れるとは」
「でも〈エデン〉がとても優勢ね」
「ゼフィルスさんだもん」
「ふむ。タバサ先生の言葉に謎の説得力があるな」
外野でシグマ大隊長が顔に緊張を浮かべているが、ユミキ先輩もタバサ先生もキリちゃん先生もなぜかのほほんと観戦していたよ。
まあな!
魔法反射さえ気をつけていればたかだか5層のボスである。余裕で〈エデン〉は勝利した。
「も、もう終わったのですか? まだ10分も経っていませんが?」
「さすがはゼフィルス君率いる〈エデン〉ね」
シグマ大隊長とユミキ先輩の賞賛の声が気持ちいい。
もちろんラナに『プレイア・ゴッドブレス』を掛けてもらっていたので、出たのは――。
「〈金箱〉キターー!!」
「〈金箱〉よーー!!」
〈金箱〉キターーー!!
しかしテンションは控えめに。シエラが見てる!
俺とラナはお互いアイコンタクトで会話しあい、平和的にまず俺から開けることになったのだった。もちろん次はラナである。平和って素敵だね!
お祈りをして、いざオープン!
そして中に入っていたのは――〈上級転職チケット〉だった。
って上級転職チケットだとおおおおお!? ハズレじゃねぇか!
しまった。雑念が入ったか!?
「「「「おおー!」」」」
しかし周りは沸いた。
結局この〈上級転職チケット〉は〈救護委員会〉に渡ることになった。
その代わり、次に来る〈金箱〉は〈エデン〉のものということになったぜ!
ラナが大変満足そうでいらっしゃいました。
10層の守護型ボスはタバサ先生たち〈攻略先生委員会〉が戦って勝利。タバサ先生、素晴らしいです!
なぜか一番に俺の方に来てハイタッチしてくれました!
もちろんその後は〈エデン〉のメンバー全員とタッチです。
一瞬シエラとラナの方向からなにやら波動を感じた気がしたが、すぐに感じなくなったし、おそらく気のせいだろう?
11層に突入すると大部屋の中に罠が配置されるようになった。難易度上昇だ。
これにはシズを始めとする罠に対抗するために集められたメンバーが「ようやく出番ですね」とばかりに張り切った。
今までは罠が仕掛けられてもいないのに「不正解」するといきなり罠発動だったからな。解除もできなかったのだ。
罠外しメンバーが生き生きと罠を解除し回収していく光景を見つめる。
あ、あの先生罠に引っかかった。なんだかトオル先輩を思い出すなぁ。
そんなこんなで20層に到着したとき、ダンジョン週間のうち3日が過ぎていたのだった。
「思った以上に、順調ですね」
「ええ。いくら優秀なメンバーが大人数とはいえ4日目の時点で20層だなんて」
「ああ。やはり探索に時間が掛かっていないのが大きいな」
「上級下位に比べてフィールドがかなり狭いみたいですからね」
「でも面白いものがたくさん見られて楽しいわ。調査団ってこんなに楽しいものだったのね」
シグマ大隊長、タバサ先生、アーロン先輩、俺、ユミキ先輩が集まり、現状の確認を含む話し合いを実行していた。
もちろん調査内容についてだ。
4日で20層って早い? と思うかもしれないが普通に早い。
上級下位を最初に攻略しようとした〈キングアブソリュート〉が30層にたどり着くのに1ヶ月半を要したというのだから、比べればその進行速度が如何に早いかが分かるだろう。
理由は1つ。ここ、探索ポイントが限定されていて非常にスマートなのだ。
例えば採集。採取、伐採、発掘、釣り。これができる場所もコンソールで正解した先にしかない。
コンソールは増えに増えて1層で20個も配置されていて、1つが階層門に繋がって、他のコンソールは別のところに繋がっている。
モンスター部屋に繋がっていることもあれば採集部屋に繋がっていることもあるが、狭い。中に入ると行き止まりだと分かるレベルで。
故に探索時間を大幅カットし、まずはユミキ先輩の輪で中を確認。安全を確認して突入し、後は人海戦術で◯層には◯◯部屋があった(記録)。だけで済んでしまうのだ。地図がほとんど用を為していない。
一応採集部屋の採集ポイントは毎日復活し、豊かな資源や素材を提供してくれるとは判明しているが、部屋自体がそんなに大きくないため採集もすぐに済んでしまう。人海戦術恐るべし。
採集は専門職はいないものの、〈激しい木槌〉などの激しいシリーズを使うことで上級中位ダンジョンからじゃないとゲットできない素材も確保出来ていたりする。〈アダマンタイト鉱石〉とかな。まあ激レア系はさすがに無理だけどな。
あまりに調べる物がすぐ終わるためユミキ先輩がピクニック気分だ。俺と一緒だな!
とはいえそれもここまでだ。
「ですが、そう言っていられるのも終わりですね」
「あんなものが出てきてしまいましたからね」
シグマ大隊長の言葉にタバサ先生が頷く。
そう20層のコンソールは全部で20個あった。
そしてそれを全て正解にしたとき、とんでもないものが出てきてしまったのである。
「まさか、21層への階層門が2つもあるとは思いませんでした」
階層門が増えた。
そう、シグマ大隊長の言うとおり、今まで次の階層への門は1つだけだったが、それが2つもあったのだ。
しかも同型の守護型ボスも2体おり、同じように門を守っている。もちろんショートカット転移陣も2つあった。
そう、俺たちギルドマスターや隊長格が顔をつきあわせているのはそれが理由だ。
「どちらか一方を調査するか二手に分かれるか、いずれにせよ上級中位ダンジョンの本番はこれからということですね」
シグマ大隊長の言葉に俺たちは揃って頷いた。




