#1287 調査団結成! 〈エデン〉参加者10名選抜!
ついに待ちわびた上級中位ダンジョンの調査団に〈エデン〉が加わることになった。
上級中位ダンジョンは公式記録ではマジ未踏のダンジョン。
その内容はほとんど不明だ。だからこそここから登場してくる竜の存在を誰も知らない。
アイギスの【竜騎姫】が伝説と言われていた理由だな。
とはいえ今回調査に行くのは竜種が出てくる高ランクダンジョンではなく、上級中位ダンジョンで最も難度が低いとされるランク1――〈謎室の古跡ダンジョン〉、通称〈謎ダン〉だ。
ここは上級中位ダンジョンの始まりのダンジョンとしても扱われるため、これまで攻略してきた下位との違いを教えてくれるダンジョンとなっている。
次のダンジョン週間ではまず調査団が第一陣として未知の上級中位ダンジョンへと進入。
目的は上級中位ダンジョンがどういう所なのかを知り、安全性や難易度、学生に攻略させていいのか、どこまで強くなれば攻略できるのかを図るのである。
う~ん、ここは上級中位ダンジョンも攻略可能なダンジョンであると示さなくてはいけないですね~。
その調査団の第一陣に〈エデン〉が選ばれたのは僥倖だった。
ミストン所長から話があったあと、俺はすぐギルドに戻りシエラたちにそれを通達。
緊急会議を開いた。
「――ついにこの時が来たぞ! 〈エデン〉はこの調査団に参加する!」
調査団に参加することは決定だ。俺はシエラ、セレスタン、リーナの前でそう告げた。
この日のために頑張ってきたのだから参加しないなんて選択肢はない。
「いよいよですね。腕が鳴ります」
「上級中位ダンジョンの調査団に加わるなんて、名誉なことですわ」
「もちろん構わないわゼフィルス。参加人数や参加ギルドなど、教えてくれるかしら」
「おう! 参加できる人数は10人まで。参加するギルドは〈エデン〉〈救護委員会〉〈ハンター委員会〉と他に1名。そして最後に〈攻略先生委員会〉だ」
「ん? ちょっと待ってゼフィルス、最後のは何?」
シエラに言われたことを改めて通達すると、シエラから疑問の声が上がる。
見ればリーナも同じ顔だ。
おっとそうだった。これはまだ発足していないギルドだったな。
「〈攻略先生委員会〉はそのまま、学園の先生が所属するギルドだ。高位指導者を育成し、学生の模範となり、上級ダンジョンに入ダンすることができる先生が居ることを内外に示すことを目的としているらしい。俺もさっきミストン所長から聞いたばかりでまだ正式には発足していないんだけどな。上級中位ダンジョンの調査団を作る過程で、実は公式ギルドが1つ増えることになったようだ」
「公式ギルドが1つ増えるんですの!? それは結構大事ですわよ?」
「学園も先生方の力が相対的に弱まっている、いえ、学生に劣ってきていることを危惧している、というわけね」
俺はシエラの言葉に頷く。
学園公式ギルド、そこに新たに先生のみが所属する〈攻略先生委員会〉の発足が検討されているのだ。というかほぼ決定している。
これは今後のことも踏まえ、まず「所属を明らかにする」というのがある。
要は「本校所属の先生」だけでは範囲が広すぎるのだ。
本校の先生方は上級中位ダンジョンにも入れる実力がある、という実績は学園の名声を高めるが、それだと誰が偉業を為しているのかわからない。
そのため「本校の先生、その中でも〈攻略先生委員会〉所属の先生こそ上級中位ダンジョンの入ダン者」という、分かりやすい象徴がいる。
学生の尊敬を集め、自分もいつかこうなりたいと思う大きな象徴が。
これにより学生は上には上が居ることを知り、大人の言うことをしっかり聞かせ管理しようという試みだ。
また、〈ギルド設置アイテム〉の恩恵を得るためにもギルドの発足が必要だった。
ギルドがなければ〈ギルド設置アイテム〉は発動しない。つまりは〈幸猫様〉の恩恵を受けられないのだ! これは大きな問題だ。
むしろこれだけでも〈攻略先生委員会〉を作る理由に足りると思う。
実は〈幸猫様〉は、俺が先生方に教えてからすでにいくつかドロップが出ているらしく、現在は〈救護委員会〉や〈ハンター委員会〉のギルドハウスに飾られその恩恵を与えておられるとのことだ。
というわけで今回の上級中位ダンジョンの調査を機に〈攻略先生委員会〉の発足が決まったというわけである。
セレスタンはさすが、すでに知っていたようだが、シエラとリーナには改めて説明した。
「なるほどね。こんな短期間に2つ目の公式ギルドが発足されるなんて……」
「ずいぶん環境が様変わりしましたわね。前の公式ギルドが発表された時もとんでもない騒ぎでしたのに」
なぜかシエラとリーナの視線が俺に向く。なぜだろう?
ちなみにシエラが言っているのは〈ハンター委員会〉のことだ。
学園が創立してからずっと三大ギルドでやってきたのに、2つ目の公式ギルドが増えようとしている。うん、俺だって驚いてるよ。
「でも公式ギルド以外で参加するのは〈エデン〉だけなの? 他のギルドは?」
「他のギルドはまだ〈35エリア〉を攻略できてないからな」
「そういえばそうでしたわね」
というより、そもそもは学生が入ダンしても大丈夫なのか? という確認のための調査団なので〈エデン〉が参加出来ているのがおかしいんだけどな。
まあ、そこは努力の賜物さ! 俺が先生だからかもしれないけど!
「というわけで上級中位ダンジョンに入ダンするメンバーを選抜したいんだ。立候補を募る。人数は2パーティ10名。厳選していくぞ!」
「了解したわ」
「承知いたしました」
「早速行動に移りますわ」
さすが、〈エデン〉の幹部たちの動きは早かった。
すぐに募集を掛け、立候補者を募る。もちろん上級中位ダンジョンに入ダンできる条件を満たしているのが前提だ。
〈エデン〉のメンバーは新メンバー以外条件を満たしている件。
「ゼフィルス、集まったわよ」
「早っ!」
「だってほぼ全員立候補したのだもの」
そしてその日の夕方には立候補者のリストができていた。仕事が早い。
シエラからもらったリストにはほぼ全員の名前が書いてあった。あれ? ニーコはどこいった? ニーコの名前が無いぞ! どういうことだ!
いや、今回は調査団だからな、うん。周回ではないのだ。
さて、この中から厳選するのが俺の仕事だ。
とりあえず俺は確定。後はカイリだな。
何しろこれから行くのは〈謎ダン〉。カイリの『リドル・イリュージョン』が光るダンジョンだ。
後、初見であればリーナも『フルマッピング』要員で連れて行きたいところではあるが、今回は〈謎ダン〉ということで見送るしかない。〈謎ダン〉は謎力が強力。『フルマッピング』ですら全体が見通せないのである。いや、全体を見通せたとしてもあまり意味がないダンジョンなのだ。
続いて重要なのが、パーティの要であるタンク。
これはシエラが確定。サブマスターだからな。
もう1人受けタンクが欲しいところ。これはラクリッテかフィナを検討。トモヨはレベルが低いから育ったらお願いしよう。
続いてヒーラーはラナが確定で、他にエリサを入れたいところ。〈良い夢をごちそう様〉戦法は使いたい。
そしてアタッカーだが、ここは物理に弱いダンジョンなので物理型のアタッカーが欲しいところだ。
ということでエステル、カルア、リカ、ルル、シズ、パメラ、アイギス、レグラム、フィナ、セレスタン、ラウ辺りが候補になる。
調査目的なので〈イブキ〉は今回あまり使えないだろう。エステルとアイギスはお留守番にしておこうか?
斥候も欲しいとなればカルアかセレスタン、シズ、パメラの中から1、2名は欲しいか。
万能型のフィナが居てくれると非常に助かるな。やはりフィナは確定で。
サブタンクにリカを連れていくのも良いだろう。
攻撃力重視でルルかラウに入ってもらうのも有りだ。
そんな感じで悩みながら選抜していき、結果。
ゼフィルス【救世之勇者】、シエラ【操聖の盾姫】、ラナ【大聖女】、ルル【プリンセスヒーロー】、シズ【戦場冥王】、セレスタン【闘神執事】、ラクリッテ【ラクシル・ファントム】、フィナ【ミカエル】、エリサ【睡魔女王】、カイリ【ダンジョンインストラクター】。
以上の10名に決まったのだった。




