表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十八章 〈ダン活〉上級中位ダンジョン大調査団結成編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1467/2111

#1282 新メンバーの上級職4人が揃ってボス戦へ!




 ボス戦は非常に順調に進んだ。

 何しろ何度も周回したことのあるボスだからな。


 その名は――〈バトルウルフ(第三形態)〉。


 弱くはないはずなのに、〈ダン活〉プレイヤーからは慣れと親しみで狩られまくった、〈ダン活〉の顔的なボスモンスターだ。

 うん、〈ダン活〉の顔とも言われているボスだからね、弱いはずないんだよ。

 でも周回と聞くと真っ先に〈バトルウルフ〉系が思い浮かんでしまうのはどうしてだろう?


 ボス部屋の門を潜ると、それまで上がっていた尻尾が俺たちを見た瞬間ゆっくり下がっていくように見えるのは気のせいかな? 若干その迫力にも陰りが見える気がするが、きっとどちらも気のせいだろう。


 そうして周回していると、夕方にはついにその時が来る。


「や、やった! やりました! LVが75、カンストになりました!」


「アリスも!」


「「「「おめでとう~!」」」」


 そうキキョウとアリスがLVカンストしたのだ。

 めでたい! とてもめでたい!

 元々もうすぐでカンストするというLVだったからな、周回してればこの通りだぜ!


「みんな、ありがとう~!」


「あ、ありがとうございます!」


 お祝いの言葉を贈ればアリスはもう「にへら~」みたいな緩んだ笑顔を振りまきみんなの心を悶えさせ、キキョウも照れたような顔で狐耳をピコピコ揺らしながら微笑んだ。

 凄く良い。


 思わず2人とも抱っこしたくなってしまう。

 しかし俺は紳士。もちろんそんなことはしない。

 え? 「できない」の間違いじゃないかって? そ、そんなことはないよ!?

 でも、言えば抱っこさせてくれるのではなかろうか?


 ぴょんぴょんジャンプし、最後はノーアの胸、ではなくお腹にダイブしたアリスを見てそう思う。う、羨ましい。


「じーっ」


「はっ! な、なんだねクラリス君?」


「別に、ただ私が見ていることだけ覚えていていただければと」


「そ、そうだな。クラリスはよく見ているな!」


 ふう、危なかったぜ。言わなくて良かった!


 もう日もだいぶ傾いており良い時間だ。

 ロゼッタから〈イブキ〉を引き継いだアルテもだいぶ運転に慣れてきたようだし、そろそろ帰ろうと思う。


「アルテ、〈イブキ〉の運転の調子はどうだった?」


「最強です!」


「だろうな!!」


 だが、それは当り前のことである、俺はそっとロゼッタの方に視線を向けた。

 ロゼッタはちゃんと俺の意を()んで語ってくれた。


「アイギスさんが騎乗に関しては姉妹でトップだとおっしゃっていましたが、その意味がよく分かりました。素晴らしい上達速度ですね」


「え? 本当ですか! えへへ~。ありがとうございますロゼッタ先輩。でもロゼッタ先輩の教え方もとても上手でした。それに、ロゼッタ先輩から引き継いだ〈イブキ〉をしっかり運転したかったんです」


「良い子ですね。アイギスさんが羨ましいです」


「私もロゼッタ先輩みたいなお姉ちゃんが欲しかったですよ~」


 良い話だな~! アイギスが聞いたら「それはどういう意味か気になりますね?」とか言ってアルテを連れて行きそうなセリフだけど。


「じゃあ、良い時間だし、そろそろ帰るか?」


「え! ちょっと待ってくださいゼフィルス先輩! 私も一戦くらいやりたいです」


 おっとここでアルテから待ったが掛かる。

 そういえばここで運転に慣れてからは、ずっと〈イブキ〉の練習がてら階層巡りをしていたアルテはボス戦をしていなかったと思い至る。


「おっと、悪い悪い。じゃあアルテを入れてやるか。メンバーは」


「わ、私とアリスはもう十分やりましたから大丈夫です」


「うん。たくさん遊んだもんね」


「そうか~」


 アリスの遊んだ発言に和み度が止まらない。〈バトルウルフ〉も遊んでくれてありがとう!

 先ほどまでキキョウとアリスのレベル上げの名目で周回していたので、2人とも交代は無かったのだ。ということで2人は今回お留守番をするらしい。


「私は〈イブキ〉の最終チェックをしていますので、ゼフィルスさんが入っていただければ」


「了解だ。じゃあメンバーはトモヨがタンク、ノーアとクラリスがアタッカーで、俺とアルテは遊撃で入ろうか。アルテには【聖乗の姫騎士】の動きを教える。こんな感じでいいか?」


「「「「はい! お願いします(わ)!」」」」


 ということでボス部屋の門を5人で潜る。

 図らずも全員が上級職だった。俺以外は成り立ててでLVもゼロだけどな。

 とりあえず、必要なSPは振ってあるので問題は無い。


 ボス部屋の中には〈バトルウルフ(第三形態)〉とお供が4体。

 全員俺たちの姿を見た瞬間「グルルルル!」だったのが「キュルルルル~」みたいなうなり声(?)になった気がしたが、きっと気のせいだろう。


「ウ、ウォン!!」


「「「「ウォーン!」」」」


 しかしボスの矜持がそうさせるのか、ボスが発破を掛けるように吠えると残りのお供4体も同調して一斉に駆けてくる。

 向かう先は、トモヨだ。


「わー、メインタンクなんて久しぶりかも、しっかり慣らしていかないとね。まずは『敵対予告』!」


「「「「ウォン!」」」」


「『終わりの予告』! 『始まりの予告』!」


『敵対予告』と『終わりの予告』は挑発スキルだ。

 特に『終わりの予告』は挑発効果が『敵対予告』より低いものの、相手の攻撃力と魔法力に弱体化(デバフ)を与える効果を持つ。

『始まりの予告』はバフ。味方の防御力と魔防力を強化(バフ)する効果。


 終わりと始まりのコンボが強力だ。

 この2つを最初に掛けておくのが【ガブリエル】タンクのセオリーだな。

 硬いぞ~。


 そういえばさっきまでずっとキキョウがメインタンクだったからトモヨは【ガブリエル】になってメインタンク初か?

 一応スキルの回し方は伝えてあるし大丈夫だとは思うが、もしヤバそうなら俺が割って入るだけだ。アルテでもいいな。


 アルテが使える『モンスターカバー』はカバー系の防御スキル。騎乗モンスターに乗りながら攻撃に割り込んで味方をかばうことができるのだ。そのまま連れ去ることも可能な優秀なスキルだな。

 それで俺がスイッチする。この戦法もアルテに教えておこう。


 4体のお供が駆けてくるが、トモヨは冷静に2枚の盾で捌いた。

『大天使の盾技』のパッシブスキルに加え、〈四ツリ〉パッシブスキルの『攻撃予測』が優秀。ゲーム時代は回避力上昇効果だったが、今はおそらく『直感』系に分類されていると思われる。回避と受け、両方をこなせる優秀なスキルだ。


 おかげで4体が相手でも余裕を持って対応。


 そこへヒナに騎乗したアルテが迫った。

 今回はアタッカーバージョン。


「行くよヒナ。『スターストライクノヴァ』!」


「ピー!!」


 現在のヒナの姿は〈戦車鳥ピュイチ〉。

 あの可愛かったヒナが勇ましい鳥型戦車へと進化していた。


「ウォン!?」


 そのまま強烈な蹴り(キック)。1体のお供を蹴り飛ばし、さらに1体を踏み潰したかと思うと、クチバシがギラリと光った。スキルが乗ったのだろう。


「ピュイー!!」


「ウォーン!?」


 そして足でグワシと捕まえたお供にクチバシの連打。お供は逃げられず大ダメージを負った。おおう、凄い攻撃だ。

 さらに攻撃は続き、ヒナはお供を足から解放すると、その足を振り子のように振りかぶった。あ、あのダイナミックな振りかぶりは!?


「ピー!!」


「ウォーン――――!?」


「「ウォン!?」」


 ゴーーーーール!!

 なんとウルフを蹴ってシュート! 2体のお供を巻き込んでゴールした(光になった)

 なんというシュート力! これは拍手喝采だー!


「いやぁ、いつ見てもピュイチは迫力あるわぁ」


 さらに生き残ったお供たちに飛び掛かるヒナを見て俺はしみじみそう呟く。

〈戦車鳥ピュイチ〉。これはモンスターじゃない。戦車なんだよ。

 前蹴りや足刀(そくとう)でお供を吹き飛ばしながら蹂躙するヒナを見て、俺は改めて〈ピュイチ〉が戦車だと実感した。

 ヒナよ、こんなに逞しくなっちまって……中級中位(チュウチュウ)ボスのお供が相手になってないぞ!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[一言] バトルウルフ(遊んだ?! 遊び?!)
[良い点] ウルフを相手のウルフに向かってシュゥゥゥゥーッ! 超!エキサイティンッ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ