#1279 上級職ランクアップ! アルテ編!
「それじゃあ続いて、アルテ行こうか!」
いよいよ、今回の目的。アルテの番である!
「ついに私ですね! もしかして私たち忘れられてるんじゃないかと思いました!」
「もう、ゼフィルス君たちノリが良すぎるよ!」
「あはははは!」
「おほほほほ!」
「…………(じーっ)」
アルテとトモヨの言葉をノーアと一緒に笑って誤魔化した。
おう。クラリスもなぜかじーっと見つめてきているぞ。なんだろう? これ以上俺のテンションを上げてどうしようというのかね!?
しかしそちらはノーアに任せ、俺はアルテを呼び寄せる。
「アルテ、準備は良いか? アルテに就いてほしいのは前に約束したとおり、【聖乗の姫騎士】だ。ポジションはヒーラーになる。だが、ポジションとは名ばかりで結構いろんなことをしてもらうぞ」
「ガッテンです! 任せてください! ゼフィルス先輩がお勧めする新しい戦術は私が叶えます!」
「頼もしい!」
「はい!」
アルテが拳を胸の前に出しやる気を見せる。
なんて頼もしい姿なんだ。
そう、前からアルテに言っていた通り、アルテに就いてもらうのは【聖乗の姫騎士】だ。
そしてそのポジションはまさかのヒーラー。
「騎士爵」のポジションは基本的にアタッカーかタンクなので、ヒーラーというのは結構特殊な例だ。
特に【聖乗の姫騎士】自体アタッカーにも素質があり、タンクもそこそこできてしまうため、敢えて下級職時代まったくできなかったヒーラーポジションになろうとは普通思わない。
実は【姫騎士】は回復魔法を覚えないのだ。
故に、ヒーラーになれるのは【聖乗の姫騎士】になってから。
だからこそ、今まで【聖乗の姫騎士】のヒーラーメインとはまったくと言っていいほど存在していないらしい。多少回復魔法を使えるアタッカーという認識だったようだ。それをヒーラーを主軸にしたアタッカー&タンクにするのが俺の考えだ。
騎乗して走り回り、味方を回復しながら時にアタッカーとなり、時に味方を乗せて避けタンクも可能。アルテが盾を持てば味方への攻撃に割り込んで受けタンクも可能という万能さ。
さらに危険な場所にいる仲間を安全なところへ連れていくなど、ユニット移動系のスキルで味方を優位にする。非常に強力な職業だ。
この新しい戦法。アルテは姉のアイギス同様、職業の先駆者になれることを非常に喜んでいる様子だ。
アイギスは元【ナイト】だった影響でそのプレッシャーに挫けそうになったこともあるが、アルテはとてもやる気満々だった。問題無さそうに見える。
ならば、そのやる気に応えてあげるのがギルドマスターというものだ!
「では、まずは恒例の〈宝玉〉だが、【聖乗の姫騎士】には必要ない」
「あ、必要ないんだ!」
【聖乗の姫騎士】は【姫騎士】の通常ルートなので〈宝玉〉はいらない形だな。
「まず1つ目の条件は〈聖属性の武器でモンスター300体倒す〉だ。これはアルテの〈ホーリーランス〉でたくさん倒してきたし、達成はできているだろう」
「はい!」
「続いて〈特殊血統のモンスターをテイムしている〉。これはヒナが該当する」
「はい!」
聖属性の武器は最初から槍に慣らすために与えていたので何も問題無くクリア。
続いて難易度が高いのが〈特殊血統〉のモンスター。これはつまり、普通にテイムでゲットできるモンスターではなく、モンスター同士で生ませた卵、それも特殊進化ルートに進化させたモンスターのことだ。
本来はこれを用意するのが結構大変なのだが……これはすでに〈集え・テイマーサモナー〉からもらったヒナが該当しているのでクリアである。
ヒナがアルテにもらわれマスコットの地位を返上したときは一悶着どころじゃない騒ぎがあったっけ。あれはまだアルテがLV20になったくらいのとき、Sランクギルドハウスに引っ越しした頃のことだ。
それまでフラーミナ預かりになっていてギルドのマスコット枠だった、当時〈ヒナミュー〉だったヒナが脱走――もといギルドハウス大冒険に出てしまったのだ。
Sランクギルドハウスはとても広く、引っ越したばかりということでまだ完全に把握してなかった当時、ヒナ探しはなかなかに難航した。
そこで一番に見つけたのがアルテで、ヒナはアルテにすっかり懐いてしまったのだ。
さらには大冒険した理由が「ぼくにもたたかわせろー」みたいなことだったため、テイム契約をフラーミナからアルテに移譲し、晴れてヒナはマスコット枠から脱却、どんどん進化していき――〈エデン〉の女子の少なくないメンバーが涙したのだった。
じゃなくて――現在は3回の進化を遂げ〈戦車鳥ピュイチ〉となり逞しくなっている。
「ヒナちゃんにはいつもお世話になってます!」
「あとはステータスも満たしているし、特にやることはないな!」
「何もしなくてもいいんですか!?」
「おう。アルテは全部満たしてるぜ。じゃあここで登場。〈上級転職チケット〉だ!」
俺はアルテの前に〈上級転職チケット〉をペラリと見せる。
〈上級姫職〉とはいえ通常ルートだ。特殊条件の特殊血統があればあとは楽。
特に追加で条件を満たすこともなく〈上級転職チケット〉を使えば【聖乗の姫騎士】に就ける状態だ。
そのままアルテが恭しく両手を揃えて前に持って来たのでチケットを置いたのだった。
「ありがとうございます! アルテ、いっきまーす!」
「おう。間違えないようにな!」
どうやら緊張している様子のアルテだが、それを無理矢理払うかのように明るい声を出し、〈竜の像〉へとタッチする。
現れたジョブ一覧には、確かに【聖乗の姫騎士】が載っていた。
「タッチ!!」
そしてアルテが勢いに乗ってタッチ。
【聖乗の姫騎士】がアルテの上に輝いた。
思い切りがいい!!
そして続いて来たのは――覚醒の光。
「わわ。来ました! 私にも覚醒の光来ました!」
「そりゃ来るさ。最高峰の職業だからな!」
〈上級姫職〉は覚醒の光(演出)は絶対。
これお約束。パシャパシャ。
ここでもスクショの手が止まらないぜ!
「ふわぁ、これって結構気持ちいいんですね~」
「う~ん、アルテのそのリラックスした表情もグッド! あ、目線はこっちな!」
「はい~」
さっきまで緊張していたためか、はたまた覚醒の光が気持ちいいのか、覚醒の光が出て気が抜けたのか、アルテがむっちゃ気持ちよさそうな表情だった。無論スクショに収める。あとでアイギスにも見せよう。
そんなことをしていると、次第に光が収まっていく。
地に足を着けたアルテの頬は上気し、ふわふわした表情だった。
「おめでとうアルテ。これでアルテも【聖乗の姫騎士】だ」
「ふわ!? は、はい! ありがとうございます! ゼフィルス先輩、次はSP振りの伝授もお願いします!」
「任せろ! だがそれは、トモヨが終わってからだな」
アルテには後で〈イブキ〉を渡し、練習をしてもらおう。
やることはまだまだあるぞ。
だがその前に、最後の1人の〈上級転職〉だな。
「お待たせ。次はトモヨの番だ」
「よろしくお願いいたしますゼフィルス君!」
後書き失礼いたします。
スクショの回数を心配する声が多かったので補足です!
スクショの撮影自体は回数は消費しません。
回数を消費するのは現像の時だけですね!
連写、激写、全然OKです!




