#1253 『お宝レーダー』に反応あり!屋敷は宝の山!
〈雷ダン〉の攻略は順調に進んだ。
2層に入るとそこにあったのは再び雷の庭だ。奥に屋敷が見えるのも第1層と同じだな。
1層と同じように〈雷止め〉を使いただの庭にしてしまう。
それを見てエステルが興味深そうに納得した。
「1層と同じような作りなのですね。雷の庭を突破し屋敷内に入り階層門を探す、というわけですか」
「お屋敷の中は部屋がたくさんあったけれど、庭はどんな感じかしら?」
「お、興味あるかラナ? じゃあちょっと探索してみるか」
庭は雷さえ消えてしまえば普通のガーデンだ。
あの電撃が蔓延る庭でどう形成されているのか、とても整った庭が広がっていた。
どう見ても綺麗にカットされていますね。ほんと、誰がどうやって管理しているのか不思議なんだぜ。あと植物はあの雷に耐えられるんだからヤバいよね。
「あ、この木は〈雷属性〉を帯びているわよ! 伐採したら〈六雷樹〉みたいな木材が出るのかしら?」
「あ~懐かしいな。ラナと一緒に斧を振る練習した時を思い出すぜ。『伐採』は可能な樹木みたいだから1回樵ってみるか」
庭に生える木は中級下位にあった〈六森の雷木ダンジョン〉と同じく〈雷属性〉を帯びている木だった。
これを『伐採』すれば、上級〈雷属性〉の木材が手に入る。
樵ってみたときビリッとくるのも懐かしいなぁ。
「ここはなんなのです? 小屋なのです!」
「鍵が掛かっていて開けませんね」
「ゼフィルスお兄様~、ここを開けるにはどうしたらいいのです?」
「ふっふっふ、良い質問だルル。それにはこの〈隠し扉の万能鍵(金)〉を使うといい! ということでガチャリ」
「開いたのです!」
何しろ、〈万能鍵〉の金である。
実はここのダンジョン、割りと鍵が掛かっている場所が多いのだ。
しかし、〈万能鍵〉の金では全ての扉が開錠可能なのである。ヤバ!!
さすがは金! 金様さすが! 〈万能鍵(金)〉をゲットしただけで勝ち組だぜ!
ちなみに上級下位の隠し扉なら開錠可能な〈万能鍵(銀)〉だと半分くらいしか開けられない。
だが、このダンジョンでしか使えない〈お屋敷の鍵〉なるものも手に入るので、開けられなかった扉でもそれで開錠することが可能だったりする。
階層門のある部屋が鍵掛かっているなんて階層もあるのだ。
ギミックだな。
なお、〈万能鍵(金)〉さえあればそんなギミックは軽々突破できるのだから、〈万能鍵(金)〉がどれほどヤバいかがわかるだろうか?
ルルが見つけた小屋の中には〈銀箱〉が2つ置いてあった。
2つとも『雷属性耐性』のついた防具だったな。使わないけどありがたくもらっておこう。
庭の探索はそんな感じだ。
続いて屋敷へと入る。今回は〈イブキ〉を使って2階のバルコニーからの侵入だ。
「なんかこんなところからお屋敷に侵入するなんて、少しワクワクするデース」
「それちょっと分かる~。ね、メルト様!」
「まあ、ちょっとだけな」
うむ、大きなお屋敷にバルコニーから侵入する。
なんか物語の怪盗っぽくて心躍るよね!
無事3層への階層門も見つけて順調に進んだ。
そして5層に到着。
初の守護型ボスは、〈サンダーハイコーモリ〉というコウモリ型。大きさは翼を広げて6メートルくらい。階層門のある部屋はなかなか広いホールのような部屋だった。
羽ばたきの度に周りへ放電し、超音波の代わりに雷撃をぶっ放す飛行型、という厄介な性質のボスだが、普通にフィナが盾で防御しながら突っ込んで叩き落としていた。悪いな、〈エデン〉はそれくらいじゃ止まらないんだ。
地面に落ちればもうこっちのもので、多少のダメージなんてなんのその。
総攻撃を繰り返し、軽く撃破していたよ。
そうして1日目で15層まで攻略し、放課後も集まれれば〈エデン〉の上級職メンバー全員で出発し、土曜日にはみんな慣れてきたのか50層まで進むことができた。
そして日曜日には最奥ボスまで到達できそうなところへ来ていた。
みんな進むの早っ!
これは〈氷ダン〉で俺が居なかった時の経験が活かされているね!
途中、見つけた鍵の掛かった部屋は全部開錠して進んできたよ。
鍵だけじゃなく、謎解きギミックやショートカット部屋なるものもあった。
隠し通路だな。
4階まであるはずなのに3階に上へ昇る階段が無いというミステリー。
答えは1階のとある部屋から伸びる隠し通路。ここから4階まで直通の階段があって、4階は宝の山なんてボーナスステージだ。〈銀箱〉産の〈乗り物〉レシピなんかを含む8個もの宝箱が置いてあり、ニーコの『お宝レーダーLV10』がバンバン反応したので1階の隠し通路は俺が指示するまでもなく発見できていたな。
ニーコが珍しく「こんなお宝の反応は感じたことがないよ、うおおおおお!」と駆けて行ったのでみんな何事!? ってびっくりしていたのが面白かった。
全部確保してしまったよ。なお、その階層の階層門は2階にあったぞ。
というかこの屋敷、お宝や隠し通路がいっぱいなのでニーコの『お宝レーダー』やカイリの『隠し通路発見』がそこら中に反応しまくってヤバかった。
またとある部屋では〈金箱〉が落ちていたことがあったんだが、ニーコとカイリがなんの反応も示さなくて怪しさマックス。斬ってみたらミミック系のエリアボスだった、なんてこともあった。あの時はプチッときたね。「〈金箱〉に擬態するなんて不届き千万! 俺がぶった斬ってくれるー!」って飛び出して行ってしまったよ。
あのボスを見るといつも体が動いてしまう。不思議だ。
なお、倒したら本物の〈金箱〉をドロップしたのでチャラにしてあげたけどな。
しかもそのドロップがまたヤバかった、その名も〈羨望取消書〉、という本系の武器。
これがドロップした瞬間、俺は二度見どころか五度見した。
え? マジで? ってなった。
理由はまた今度説明するな。
そうか……これがドロップするのか……ふむ。
そんなこんなあって現在は最後の階層、59層を攻略中である。
実はここ、〈氷ダン〉と同じ迷宮通路型の階層なんだ。
「ここを突破すれば後は最奥まで直通だ! みんな頑張れ!」
「…………」
俺が後ろを歩くみんなに発破を掛けるとシエラが無言でこっちを見てきた。ジト目だ!
俺のテンションは上がる。もうこんな屋敷型迷路なんて突破したも同然だぜ!
「なんで、このダンジョンにも、〈氷ダン〉みたいな迷路があるの、かしら?」
「それは知らない。だが上級下位の後半〈35エリア〉から出始めたから、その辺が鍵なんじゃないか?」
「それは?」
お屋敷の中がなぜ迷路になっているのか? ここ絶対人が住む気ないだろう!
いや忍者ならあるいは? 冗談だ。
現在俺たちは〈氷ダン〉でもあった迷路のような所を歩いていた。
そう、徒歩である。
通路には時々狭いところがあって〈イブキ〉が通れないところがあるっていうのが辛いところだな。
それと、もう1つ理由がある。
迷路の中でも大きな広場のある空間に出たときのことだった。
カルアとカイリが反応する。
「! 見っけた!」
「徘徊型ボスの反応あり! 来るよ!」
「よーしよしよし、ボス戦メンバーよ前に出てくれ!」
この迷路では、なんと徘徊型が襲ってくるからである。
〈雷ダン〉の徘徊型ボスは特殊で、ここ59層にしか出没しない。理由はこの迷宮型のフィールドにあった。
〈イブキ〉に乗っていると、不意の行き止まりに引っかかれば全員が参戦してしまい、ボスのハンディパワーアップがとんでもないことになるのでこうして歩いていたというわけだ。
狭い場所で奇襲とか、やってくれるぜ!
まず先行していたカルアのエージェント猫が発見し、続いてカイリが捉えてみんなに通達する。
〈雷ダン〉の徘徊型ボスは〈ビリビルクマサブロー〉。
あの〈六森の雷木ダンジョン〉に登場した徘徊型ボス〈ビビルクマジロー〉の進化系列だ。
ってまたクマかよ! とツッコミはさておきこれがとんでもないのだ。その大きさが。
なんと、この通路の横幅、ほぼいっぱいいっぱいの体格をしているのだ。さらに〈ビビルクマジロー〉の時と同じく、体を丸めて回転して迫ってくるのだからとんでもない。これが迷宮型のここのフィールドと超マッチしているんだ。
それは超巨大ボウリングのような姿で回転しながらやってきた。
球体の姿で迷路が塞がれるレベルのボス。こんなの狭い通路に解き放つなし!
通路では回避は不可能なのでこうして広間で出会えたのはラッキーだったな。
いや、実は偶然じゃないんだけど。
うむ、ここの迷路は〈狭い通路〉〈普通の通路〉〈広場〉に分かれている。
そしてこの〈ビリビルクマサブロー〉は〈狭い通路〉だと追ってこられないのだ。
故に〈イブキ〉を降りてでも広場に出るまでは〈狭い通路〉を進む必要があったというわけだな。〈普通の通路〉だと横幅いっぱいのこいつがローリングして迫ってくるだけで全滅のリスクすらある。ボスが迷路で有名な岩コロがしトラップになってやがるぜ。
故に〈広場〉で迎え撃ちたかった形だな。
また、俺たちがこの〈ビリビルクマサブロー〉に出会ったのは実はこれが初めてではない。
これまでに2度ほど遭遇し、〈狭い通路〉に入ってこられずにそのまま〈普通の通路〉沿いに転がって消えていったことがあったのだ。
すぐに通り過ぎていくものだから攻撃も満足にできなかったが、それもここまでだ。
「シャロンとシエラが受け止めたら一気に攻撃するぞ! 準備はいいな!」
「「「「うん!」」」」
「「「はい!」」」
こうして10人2パーティで待ち構えていると、ゴロゴロという音が次第に大きくなり、とうとう広場に入ってきた。
〈雷ダン〉徘徊型ボス――〈ビリビルクマサブロー〉だ!




