#1252 〈雷ダン〉攻略開始。初の屋敷侵入イベント!
〈救護委員会〉や先生方が〈氷ダン〉を攻略するまでの間、とりあえず1週間はランク8の上級下位ダンジョンへ向かうことにした。
ここは名称――〈雷庭の屋敷ダンジョン〉、通称〈雷ダン〉だ。
その名の通り雷の庭のあるお屋敷が舞台という、とても変わったダンジョンである。
というわけでギルドメンバーを連れて早速入ダンだ!
「なに、ここ?」
「お庭にビリビリがいっぱいなのです! 通れないのです!」
「奥には屋敷でしょうか?」
「ごくり……なんか、出そうな雰囲気だね」
「ちょっとやめてよニーコ」
ここも非常に特殊で、屋敷の攻略が主になるダンジョンだ。なお、幽霊は出ないのでニーコとシエラは安心してほしい。
攻略の仕方も特殊で、超巨大お屋敷の門扉に階層門の入口があり、まずはそこら中で雷が這っているような雷の庭を歩き、屋敷へと進入。『空間拡張』がLV突破しているような巨大な屋敷内フィールドのどこかにある次の階層門を目指す、というダンジョンだ。
屋敷は各階層同じなのに内装は別もの、毎層違う内装が整えられている他、深層へ潜れば潜るほど屋敷内がでっかくなって入り組み、大変な仕様だった。
また、屋敷でダンジョンと言えば、夜やおどろおどろしいものを感じざるを得ないところだが、この〈雷ダン〉は全くの逆だ。むしろむちゃくちゃ眩しい。
稲光がそこら中で起こっていて、このギミックにやられると〈盲目〉状態になってしまうというとんでもない環境だ。
さらに雷庭では雷に直撃すればダメージを受けるのはもちろん〈麻痺〉状態になってしまうこともある厄介さだ。庭を歩いているだけで全滅の危険性すらある。
「なぁにみんな、安心してほしい。今回も救済アイテムを用意しているさ! これでこの雷の這う庭を通行できるようになるだろう!」
「……準備いいわねゼフィルス?」
「まあな!! ということでお披露目、これがランク8〈雷ダン〉の救済アイテム――その名も〈雷止め〉だー」
俺が取り出したのはピンポン球くらいの球。
透明な水晶玉みたいなもので、中に雷のマークが見える。大きなビー玉に近いな。これは消耗品、ランク2で使った〈霧払い玉〉みたいなものだな。
俺がそれを投げると、稲光を放ちながら庭に蔓延っていた雷が消える。
「わ! 雷が消えたのです!」
「通れるようになりましたね」
そう、ルルとシェリアの言うように救済アイテムの〈雷止め〉を使えば庭はスルーできるのだ。
とはいえ無くても進む事自体は可能だけどな。
スリップダメージを軽減させる装備を着用したり、ちょっと浮くアイテムや装備、職業を用意したり、盾持ちで方円陣形を組んで運んだり、『雷耐性』『麻痺耐性』を上げまくって庭を無理矢理に突破するなんて手もある。
庭さえ突破してしまえば屋敷内は〈盲目〉の稲光だけなのでヒーラーが回復すればなんとかなるし、この稲光に対しても〈雷止め〉を使っておけば有効範囲内の雷は無効化され、ただの超広いお屋敷ダンジョンになる。
そんなダンジョンだ。
ハンナに大量に作ってもらったので救済アイテムはたっぷりあるぞ!
「でもこれって〈イブキ〉に乗ったら突破出来そうじゃないかしら?」
「いや、こればっかりは〈イブキ〉でも難しいな。〈イブキ〉は地面から20センチまでしか浮けない。おそらく通行すれば普通にビリッとやられるぞ」
「つまり〈雷止め〉を使った上で〈イブキ〉を使うわけですわね。〈霧ダン〉と似た感じで突破できそうですわ」
「だな! 早速〈イブキ〉に乗ってあの屋敷に近づこう!」
ラナとリーナの言葉に補足する形で攻略の方針を立てる。
実はこのダンジョン、〈イブキ〉がとても活躍するダンジョンなのだ。
「あの屋敷ね? いかにも何かありそうだわ」
「ああ、俺の直感がびんびん反応している。あそこに階層門が隠されているとな!」
「そういうことね!」
「…………」
極々自然を装ってまだ見ぬ階層門の場所をメンバーに知らせる巧みなテクニック。
ふふふ、また話術の腕が上がってしまったようだぜ。
シエラもジト目でサービスしてくれてありがとうございます!!
早速〈イブキ〉を出してお屋敷へ向かった。
道中の雷の無くなった庭にはモンスターは発生せず、とてもスムーズに向かうことができたな。
すぐに屋敷へと到着。さて、ここからがポイントだ。
「これは、玄関から入るべきですの?」
「でも向こうにもドアがあるよ?」
「あそこ、窓が開いてる。あそこからも入れそう」
「へ? 入れる箇所がたくさんあるってことかい?」
実はこのダンジョン、お屋敷に入る場所によって攻略難易度が変わるのだ。
本来なら屋敷の出入り口は正面玄関や勝手口、離れの小屋から入る地下通路、裏口などだ。
この屋敷に侵入した場所が結構重要で、屋敷内に『空間拡張』LV突破が掛かっているものだからちょっと入る場所がズレるだけでもかなり遠くの場所に出てしまうのである。
その辺、超大型フィールドダンジョンである上級ということだな。
理想は次の階層門に一番近い侵入ルートから屋敷に入り、ほぼ最短距離で突き進むこと。
〈イブキ〉なら屋上やバルコニーなどからも入る事が出来るために大活躍できるのである!
ショートカットが素晴らしい!
「『直感』が囁いた! あそこから入るべきだってな!」
「む? あっちは裏手じゃないかね?」
「ゼフィルス殿が言うのです。きっと何かあるのでしょう。向かってみますね」
「…………」
俺が指差しながら言えばニーコがすぐにそれを確認して首を傾げた。だが初めてのダンジョン、探索は必須だということでエステルが進んで向かってくれたよ。ありがたい。
「これは、勝手口かな?」
「いやデカすぎだろこのドア。〈イブキ〉が入れそうじゃないか」
「わ、開いちゃった」
「は、はわわ!」
ミサトの言うとおり、裏手に回ると勝手口があった。しかし、デカい。
誰が出入りするのを想定していたのかというとんでもない作りをしていた。メルトがツッコむのも分かるな。しかも驚くのはまだ早いと言わんばかりに、近づくとドアが勝手に開いた。
これにはノエルとラクリッテがびっくりして抱き合っていた。ノエルは楽しそうだったが。
まあ、実を言えばここは〈イブキ〉を含む〈乗り物〉でも入れる出入り口だな。
そういうところがいくつかあって、〈乗り物〉に乗ったまま入れて便利なんだ。
「ここに入ればよろしいのでしょうか?」
「よろしい! エステル、入ってくれ」
「承知しました」
とうとう屋敷の中に侵入。
中は外から見たよりも明らかに大きなフィールドが広がっていた。
廊下なんて〈イブキ〉がすれ違ってあまりあるほど広い。
戦闘も難なく行けそうだな。
「よし、あっちだエステル」
「はい!」
先導はエステル号。
それにアイギス号とロゼッタ号が続く形で進む。
すると、すぐに第一モンスターを発見!
「モンスターです! いかがしますか?」
「よーし、下車して戦闘準備だ!」
「「「「おおー!」」」」
屋敷内のモンスターは、なぜか室内だというのに飛行型が多い。コウモリ型やムササビ型、鳥型モンスターからなぜか浮遊する植物まで色々出る。
そしてそのほぼ全てが〈雷属性〉を纏っていた。
ここは雷属性特化型ダンジョンでもあるんだ。雷属性にマイナス耐性つけてちゃ突破はできないぜ?
ここを攻略したければ〈霧ダン〉で手に入る雷属性に耐性を持つ装備で揃えてくるのがセオリーだな。
道中は屋敷の中でも窓から入り込む稲光や、なぜか壁を伝う雷の光で〈盲目〉にされてしまうのだが、カイリの『ミュート』で音と光を遮断したので問題無し。
救済アイテムの出番は無いんだぜ。こういうこともある。
「1層のモンスターだからでしょうか? 飛んでいること以外は大したことありませんでしたね」
「余裕だったわ!」
「お疲れ様」
無事第一モンスターを撃破したエステルやラナたちが帰還した。
そりゃ1層のモンスターなんてラナたちからすれば余裕だろうさ。
「モンスターに慣れてきたら〈イブキ〉でぐんぐん行こう! 初めて戦うモンスターの場合は戦闘だ!」
「〈氷ダン〉の時と同じね。了解よ」
学園に色々情報提供しなくちゃいけないからな!
本当は戦闘なんてしなくても余裕で提供できるが、メンバーにいろんなモンスターとの戦闘経験も積んでほしいのでこうしている。
〈雷属性〉の飛行型モンスターが相手だ。いい経験になるだろう!
「このお屋敷、本当に大きいわね」
「廊下の奥が見えないデス」
「わりと扉もあって入り組んでいますね。探索が大変そうです」
また、屋敷の中は広いのだが、扉が途中いくつもあって〈イブキ〉では探索することができないため徒歩で進むことになった。
「こっちは宝箱がありました。〈木箱〉です」
「こっちの部屋は行き止まりデース」
「部屋にモンスターが居たわ! 戦闘準備よ!」
扉を開ければ1つの部屋になっており、大体は行き止まりでたまに宝箱がある。
モンスターは、結構多くいるな。
こうして一部屋一部屋パーティの人海戦術で探っていると、それは現れた。
「あったわ! 2層への階層門よ!」
それは、2層への階層門だった。




