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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十七章 〈35エリア〉攻略しながら上級中位を準備中!

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#1251 〈救護委員会〉で交渉。調査が終わった暁には




「上級下位ダンジョンの攻略が順調なら、次は上級中位ダンジョンじゃろう?」


「ごもっとも!!」


 ケルばあさんの答えは単純にして明解だった。

 ステップアップ大事! これまでの常識なんて塗り替えろなんだぜ!


「わたしゃもう引退かと思っておったんじゃがねぇ。最近の学園全体の動きが活発すぎて、おちおち引退もできやせんさ、ひっひっひ」


「いや~、マジ助かります!」


 どうやら学園全体の動きも、これからのこともケルばあさんにはお見通しだったようだ。

 さすがは年の功。

 確かに上級下位ダンジョンを攻略したら次は上級中位ダンジョンだもんね。簡単な計算だよ!


 もちろん、足りないものはまだまだある。

 ケルばあさんからも色々とやるべきことの助言をいただいたよ。

 やはりというか、ネックは〈救護委員会〉と学園の先生方の実力だ。


〈転移水晶〉とレンカ先輩が作り出した〈煙玉・特級爆〉のおかげで上級ダンジョンの安全性は格段に上がってはいるが、それでも万が一の時に実力不足で助けにいけないというのは学園の沽券に関わる。

 学生だけを先に進ませるのは色々と難しい。

 これをどうにかしなければ上級中位ダンジョンの解放は絶対に無いとのことだった。


 とはいえそれも時間の問題。

〈救護委員会〉の方は〈ハンター委員会〉から供給される〈上級転職チケット〉がどんどん増えていて、確実にその実力を高めている。

 その精鋭、シグマ大隊長の部隊はすでにランク6〈岩ダン〉を攻略済みらしい。


 先生方はこの前からランク5〈夜ダン〉でレベル上げに勤しんでおり、LV30に至る先生も増えてきているとのことだ。

 とはいえ先生方の仕事は学生の教師なので、ランク7への挑戦はまだ掛かるらしいが、もうちょっとだな。


 となると次の狙い――じゃなくてやるべきことはやはり〈救護委員会〉だろう。

 早速〈氷ダン〉の地図の詳細やら出てくるモンスターの情報やらを纏めたものを持っていかないと!


 というわけで思い立ったら即行動、〈救護委員会〉のギルドへやって来ました!


「突然の訪問なのに温かく迎えてくださってありがとうございます!」


「うふふ。ゼフィルスさんでしたらいつでも来てくださって構いませんよ。ノーアの件もずっとお礼を言いたかったもの」


 俺はすぐに会長室へと案内されていた。

 目の前に居るのは学園長の直系のお孫さんというヴィアラン会長だった。

 ノーアのお姉さんでもある。


 会長のフットワークが軽い! いやありがたい。〈救護委員会〉の実力を高めてもらい、上級中位ダンジョンでも活躍できるようになるには、現場の人の実力もそうだがトップの人の方針決定も非常に重要だ。

 最初はシグマ大隊長やラムダたちに話をと思っていたが、一足飛びで会長に話ができるのはとてもありがたい。


「それで今日訪問した理由なのですが」


「ええ。上級中位ダンジョンを解放したいのですってね」


 なんと! 情報が早い!

 ケルばあさん、もう根回ししたの? 

 なお、わりとこういうことはよくある。

 先生方は割と綿密に情報をやり取りしているようなのだ。

 話が早いと助かるぜ。


「そうなんです! 〈エデン〉は〈氷ダン〉を攻略しましたし、上級中位ダンジョンの攻略も視野に入れています。そこでダンジョン門を解放してもらいたいと参上しました!」


「ふう」


 おや? 俺が説明するとなぜか息を吐かれた。

 溜め息というよりも深呼吸みたいな感じだった。あれ? 頭を抑えてどうしたのだろう?


「そうね……。私も話に聞いただけですが、上級中位ダンジョンというのは魔窟とも言われているらしいです」


「魔窟だろうが攻略してやりますとも!」


「……それができそうだから困ってしまいますわ」


 いやいや、何も困りません!

 上級中位ダンジョンを攻略しても誰も困りませんとも!

 何が困るというのかね?

 なぜか頭を抱える学園長の姿を幻視した気がしたが、きっと気のせいだ!


 ということで話を進める。


「こちら〈エデン〉で攻略しました〈氷ダン〉の救済アイテムと地図です。地図にはボス情報とか色々書いておきました!」


「……これはご丁寧に」


 救済アイテム〈転ばない火の杖〉と夜なべして作った〈氷ダン〉の地図情報の書類を渡しておく。

 ちなみにこの地図はカイリのスキル『地図作製』を使い、地図系アイテムに映し出したものに、さらに【司書】系の職業(ジョブ)スキル『複写』をしたものだ。


 別の紙に『複写』すると色々と注意事項やらなんやら書き足せるのが良き。

 ボス情報はもちろん、罠の情報や階層門への最短ルートの矢印などなど、色々書き足しておいたよ。これで迷わず最奥まで最短距離で進めるはずだ。


 軽くペラペラ紙をめくって中身を見るヴィアラン会長は、なぜか目頭を揉んだり目を擦ったりしていた。目がお疲れなのかもしれない。会長職も大変そうだ。

 一通り目を通したのか、書類をデスクに置き一息ついた後感想を言ってくれた。


「これは凄まじいものですわね。通常、安全なルートさえ分かればありがたいのに、徘徊型の対策から〈フルート〉で効率的にレベル上げができる階層とポイントまで書いてあります」


 ふ、当然だ。俺に抜かりはないぜ!


「これでLV34まで上げられますよ! そしたら上級中位ダンジョンだって入ダン出来ます!」


「確かに……上級中位ダンジョンに〈エデン〉が潜ったとして、LV的に〈救護委員会〉は助けに行けますね。ですが、それにはやはり詳細な地図や情報が欲しいです。調査団も結成しなければなりませんね」


「〈エデン〉は全力で協力します! むしろ調査は〈エデン〉がします!」


「いえ、協力だけで十分ですよ?」


 うむ。上級中位ダンジョンに潜ったはいいが、遭難した場合その遭難者がどこに居るのか不明というのは救出に行く意味が薄い。地図は絶対に必要だ。


「もちろん、毎日地図情報は提出しますよ!」


「それは、ありがたいですね……」


 つまり上級中位ダンジョンへ潜るときはその日の活動を地図にしたためて、自分たちの居場所を毎日報告してほしいということだろう。それくらいわけはないさ!


 その後も上級中位ダンジョンの解放条件や対策の話し合いは続く。

 とにかくヴィアラン会長に「うん」と言わせないと上級中位ダンジョンの解放はできないので、俺も惜しまず協力する構えだ。

 必ず「うん」と言わせてやんよ!


「じょ、条件はまだありますわ。しばらくは少しずつ攻略することです。いきなり50層、60層なんて行かれても救出にいけませんからね?」


「ごもっともです! そこら辺も足並み揃えましょう!」


 上級中位ダンジョン解放に必要ならばもちろんやるぞ。元々やるつもりだったしな。渡りに船だ!

 あまり突出すると後ろがついて来れない。これは安全性にもかかわる問題だ。

 安全性を上げ、ダンジョンを攻略するためにはこれは必要不可欠だろう。

 いくら上級中位ダンジョンの知識を持っているからと言って、万が一はある。無いとか言わない。


 その時に助けがあるというのは非常に重要なのだ。

 俺もゲーム時代、分かっていたはずなのにやられてしまい〈救難報告〉を上げなくちゃいけなかったことが何度もあった。ここはリアル。それが起こらない保証なんて無い。

 先へ進むのと安全性を上げるのは同時並行。これは絶対だ!

 学園も学生の命に関わる問題ということで全力で望む様子である。


 そうして話は纏まる。


「……では、〈救護委員会〉のメンバーがLV34に届き、〈氷ダン〉を攻略した暁には……上級中位ダンジョンへ調査団を送ることをお約束いたします」


「ありがとうございます! その時にはもちろん〈エデン〉も協力します!」


 やったぞ!

 条件をすり合わせまくったのち、俺はついにヴィアラン会長に「うん」と――は言わせることはできなかったが、しっかりと調査を行った後ならば上級中位ダンジョンを解放すると約束をしてもらったのだった。


 約束は取り付けたぜ!

 すでに〈岩ダン〉も攻略しているらしいので、そんなに待つこともないだろう。


 その間、俺は上級下位(ジョーカー)のランク8以降や、新メンバーのレベル上げをしながら待つとしようと決めたのだった。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[気になる点] ファンタジー世界なのに安全管理がキビシイな。 まあ、中世ヨーロッパにはなかった学校っていうシステムを組み込めばそうなってしまうのか。 師弟制度ならもっとファジーになるんだが。
[一言] ゼフィルス: 別に、上級中位ダンジョンをうっかり攻略しても 構わんのだろう?(とある弓兵風)
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