#1249 〈ジュラパ〉ではレアモンのお肉を持ち帰る!
「一撃で4体をまとめて屠るとかクイナダさんはお強いですの!」
「えへへ。これでもLVはカンストしているからね。あ、今は上級職だった」
「ゼフィルス先輩で見慣れてるけれど、上級職って反則的な強さだよね」
「なぁに、カグヤたちもすぐに追いつくさ。1ヶ月ちょいで半分のLV40を超えただろ? あと1ヶ月もすればカンストさ!」
「2ヶ月でカンストする気ですの!?」
「自分は十分に進歩を感じて嬉しいでありますな! ゼフィルス先輩の下で修業すればいずれ上級職に就けるのであります。自分たちもあの強さを身に着けられるのだと思うと腕が鳴りますな」
「ヴァンはなんでそれで腕が鳴るんですの?」
和気藹々。
最初の戦闘が終わり、みんなの戦闘力でもこのダンジョンは十分戦えると分かって余裕ができたようだ。
人数的には俺を抜いて4人だが、クイナダが上級職なので2人以上の働きをする。
もちろん積極的に攻勢に出てヴァンたちの役目を奪うこともせず、ちゃんとアタッカーとしての役割を全うしてくれるのでありがたい。
クイナダが本気出すと、無双しちゃうからね。
さすがは留学生に選ばれた人材だ。必要な時に必要な分だけ力を出す能力が高い。
「じゃあ早速索敵しちゃうね――『警戒網』!」
クイナダがスキルを使うと周囲をキョロキョロ見渡した。
『警戒網』は自分を中心とした索敵範囲を広げ、そこに入った敵を感知するというスキルだったはずだが、クイナダ曰く、目で遠くを見渡すとその索敵範囲が広がるらしい。
リアル特有の使い方だな。
「うーん、向こうに3体、あっちに5体の群がいる。こっちには気が付いてないね」
「丘の向こうか。だが、視界に入ればすぐに襲ってくるぞ。あいつらは目がいいし足も速い」
「なるほど~。罠が無い代わりにモンスターのパーソナルスペースが広いんだね。あ、罠も1箇所だけあったよ。回収する?」
「いや、そういうのは〈罠外課〉の収入源だからな。特にどうしてもその道を通りたいというわけでもお金が無いわけでもないならスルーしよう」
「はーい!」
『警戒網』は罠の発見も出来る〈四ツリ〉スキルだ。
マジ優秀。
中級ダンジョンに入ると急に罠が増えるのだが、〈ジュラパ〉は罠よりもモンスターの戦闘力にビルドを振っている、自分の強さに自信があるのなら比較的やりやすいダンジョンだ。
罠の発見などは少しずつ練習し、罠を発見するというルーチンを養いながら先へと進んで行く。
モンスターの戦闘力が高いため、ここで重要なのはやはりタンクなのだが、ヴァンのタンクはかなり安定している。
新しく〈エデン〉に加わったメンバーの中でも一番の盾の使い手だろう。
覚えてからまだ間もない三段階目ツリーの使い方も、だんだんと慣れていってるのが雰囲気から伝わってくるな。
俺たちはそのまま10層へと真っ直ぐに向かった。
ここに居るのは初の守護型フィールドボス――〈ジュラ・サウガス〉だ。
突進力と防御力に優れるモンスターだが、ヴァンたちのパーティにとって相性がとても良かった。
ヴァンは突進を受け止められるだけの強力な職業持ちだし、いくら防御力が高くてもクイナダにはなすすべが無い。
万が一やられそうになれば俺だって参加する予定。
メインはヴァン、サーシャ、カグヤの3人による戦闘だが、結局大きな被害も無いまま戦闘は終了した。
「…………道中でも思ったけど、本校の1年生ってこんなに強いの?」
宝箱の前で喜ぶカグヤと、それを見て微笑むサーシャ、そして表情を緩ませているヴァンを見てクイナダが言う。
何か思うところがある様子だ。
「クイナダがいた分校では違うのか?」
「そりゃね!? 高位職が生まれるなんてほんの一握りだし、そこから成功する者なんてもっと稀。中級ダンジョンなんて2年生でようやくたどり着けるか否かが平均なんだよ!? 少なくとも、1年生のこの時期に中級のボスを楽勝っていうのは私がいた〈第Ⅱ分校〉ではほんの僅かしかいなかったんだよ!」
ちなみに、クイナダがそんなほんの僅か組だというのはすでに見抜いている。
ふっふっふ。俺の目はごまかせないんだぜ。
「まあ、本校でもこれほどのスピードで突き進む1年生はほんの僅かだろうさ。というか今の所ヴァンたちがトップだからな。周りを見渡しても他に1年生なんていないだろ?」
「あ、そうか。ここって3万人以上も学生がいるのよね。10個しかない中級下位ダンジョンなら普通に他の学生とも遭遇するんだ」
「そうそう。それで、まだダンジョンで他の1年生に出会ってないだろ? ヴァンたちがトップを独走中という訳だ」
とはいえ、ここは不人気ダンジョンだから他に学生を見かけないという理由もあるが、それを言うと話がややこしくなるので言わないでおいた。
スタートダッシュは大事。
やはり〈公式裏技戦術ボス周回〉をやりたいからな。
最奥で他の人が居るとできないならトップを独走すれば良いじゃない。という理屈だ。
他の1年生に追いつかれるとボス周回ができなくなってしまうため、トップを走るしかないんだ。これは仕方のないことなんだ! うむ。
これだけはまだ学園にも教えられないな。他のことはだいぶ教えたけど。
また、研究所はこの前俺が語った〈スラリポマラソン〉のことでてんやわんやらしい。
落ち着くまでそっとしておこう。
「さーて、そろそろ慣れた頃合いだろう。ここら辺で〈オカリナ〉を吹きます!」
「「「おおー」」」
「レアモンのお肉だね!」
「その通りだ! 〈幸猫様〉のお供えにも最適なんだぜ?」
今日の目的の1つ。〈ゴールデントプル〉のお肉を持ち帰ろうぜ作戦!
〈ジュラパ〉に来たら〈ゴールデントプル〉のお肉は欠かせない。
なにしろこのレアドロップ肉は〈幸猫様〉の大好物なんだ!(←ゼフィルスが勝手にそう思ってる)
今後の〈金箱〉に備え、たくさん持って帰ろうぜ!
そうみんなに伝える。
「〈幸猫様〉に好物とかあったんですの!? ぬいぐるみですわよね?」
「ふっ、サーシャ。〈幸猫様〉を甘く見てはいけないぜ。統計したところ、〈幸猫様〉にお供えするものが良いお肉の時ほど、その後のドロップが良くなるという結果が出ているんだ」
「ええ!? そうなんですの!?!?」
「そうなの!?」
サーシャとクイナダがこれでもかと驚く傍らで俺は腕を組み「うむ」と頷く。
良いお肉を用意すれば〈幸猫様〉は応えてくれると〈エデン〉の2年生メンバーなら誰でも知っている。じゃなければお供え物なんて適当でいいじゃんと思われてしまうだろう。
しかし、そうじゃないのだ。お供え物のグレードが上がるほど、〈幸猫様〉はそれに応えてくれる。だからみんな良いものたくさんお供えしているのだ。特にお肉が良き。
ちなみに統計は別に取ってない、けど感覚で分かるので取っていると言っても過言じゃないよね?
「レアモンスターは逃げる。サーシャが頼りだ。〈ゴールデントプル〉が出てきたら氷の壁で逃げ道を塞いでくれ」
「わ、わかりましたわ! 責任重大ですの!」
今回のレアモンスター撃破作戦はサーシャの物理的遮断逃がさない魔法に掛かっている。
城主系に連なる壁造りを篤と見せてやるがいい!
〈オカリナ〉をカグヤに吹いてもらうと、早速レアモンスター、〈ゴールデントプル〉が現れた。
「今だサーシャ!」
「『クリエイトフリズドウォール』!」
「―――!?」
「クイナダ!」
「はい! 『戟・凸転撃破』!」
「ギャ!?」
作戦通り〈ゴールデントプル〉の周囲を氷の壁で囲んで逃げられなくすると、クイナダが突撃。かなり突進力のある素早いスキルだ。
ほほう、なかなかかっこいい技を選択する!
薙刀の持ち手を脇に抱える突きの姿勢で凸。
ここからがこのスキルの面白い所で、普通の突攻撃ならズドンと入ったところでスキルは終了するものだが、『戟・凸転撃破』はそのまま敵の横を無理矢理走り抜けるのだ。相手に突き刺したまま。
するとモンスターは引っ張られてぐりんと半回転してしまう。
前を向いていた状態から後ろを向いた状態へと、強制回転させてしまうのである。
本来ならそんな隙だらけな体勢に攻撃を加えてボコボコにするスキルだ。
相手が範囲攻撃を放とうとしていたら無理矢理方向を変えて外してやることもできる。面白いスキルである。
まあ、今回はレアモンスターのHPが極端に少ないのでこれだけで光に還っていったんだけどな。
残されたのは〈ゴールデントプルのお肉〉。
ふふふ、〈幸猫様〉〈仔猫様〉待っていてください! 今美味しいお肉お持ちしまーす!
だから〈金箱〉もお願いしますね!
なお、走り抜けたクイナダがサーシャの氷に激突してすっころんだのは余談である。
今度は別のスキルで仕留めような。
後書き失礼いたします! お知らせ!
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ご予約してくださった方、ありがとうございます!
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