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#1245 シュミネ、ナキキ、ミジュと初級上位へゴー!




 ついにスラリポマラソンを公開した翌日、土曜日。

〈ハンマーバトルロイヤル〉がランク落ちしていた。

 どうやら〈新緑の里〉が勝ち、再びAランクに返り咲いたらしい。早っ!?


 例の〈学園春風大戦〉から約1ヶ月、正確には4週間が経過し防衛実績が解除されたため、そこら中でランク戦ギルドバトルが激化している模様だ。

 防衛実績は本来1ヶ月で切れるが、〈学園春風大戦〉の場合4週間で切れる。これは多くのギルドがギルドバトルを申し込むために土日を活用したいという学園の配慮と都合だ。

 もう一気に申し込みが来るからな、平日の放課後に限定すればアリーナの予約を取ることすら難しくなってしまう。


「おお~、学園の勢力図が変わっていく~」


「ギルドバトルとは、ここまで激化するものなのですね」


「やっべぇっすね。今はどこのギルドもギラギラしてるっす!」


「そっとしておくに限る」


 現在午後3時。

 俺、シュミネ、ナキキ、ミジュは、学園ニュースで現在の情勢を確認していた。

 これも1年生たちに〈学生手帳(スマホ)〉に慣れさせるための一環だ。


 まだまだ拙いが、着実に〈学生手帳(スマホ)〉の操作を吸収していくシュミネがいくつものニュースをサーフィンしながら述べ、〈学生手帳(スマホ)〉の操作をすでにマスターしたナキキが手を頭の後ろで組んで言い、〈学生手帳(スマホ)〉をポチポチ高速連打しながらミジュが関わり合いたくないと首を振る。


 今日はこの子たち、新メンバーの3人に俺が付きっきりで色々と教えていた。

 クイナダはリカに取られた。ぐすん。

 どうやら新たな武将という職業(ジョブ)がリカのツボに入った様子だ。

 あとで返してね?


 それはともかくだ。意外だったのは、エルフで頭が良さそうなシュミネがこの中で一番〈学生手帳(スマホ)〉の習熟が遅かったことだろうか。

 いや、十分早いほうなのかもしれないが、他の2人がむちゃくちゃ早すぎたのだ。


 ドワーフのナキキは、種族故かこういう物の使い方の習熟が早いらしく、この中で最初に〈学生手帳(スマホ)〉を使いこなしていた。


 熊人のミジュは、なんというか、普段大人しい子が物にハマるとこうなるんだという典型を見た感じ。今、凄く〈学生手帳(スマホ)〉の操作が楽しいらしい。

 依存症にならないか見張っておかないといけないかもしれない。まあ冗談だ。


「ゼフィルス様、毎年5月はこうなのですか?」


学生手帳(スマホ)〉をいじるのをやめ、俺の方へ顔を上げて聞いてくるシュミネの質問に答える。


「らしいな。聞いた話だと、この5月が真にギルドバトルが激化する時期なんだそうだ。3月に卒業でギルドの戦力が大きく変わり、4月で出来た空席を取り合い、力を蓄えて、5月に一気に放出するらしいぞ。この激化した期間を抜けると今年の勢力図が明確化してきてだいぶ落ち着くらしい」


「なるほどです。4月に行なった〈学園春風大戦〉は〈拠点落とし〉。つまりバトルロイヤル形式で2つ以上のギルドが組むことが可能だった。それ故に真の強者の芽が摘まれることも多かったでしょう。ですが、それがここでしっかりと芽吹き、今まで我慢していた分一気に成長して周りを抜いていくのですね」


「その認識で間違ってないな」


 シュミネの認識の仕方は独特だな。植物に当てはめて考えているのかな。


「防衛側とてしっかりと備えてきたはずなのに、割と入れ替わりが激しいっすね!」


「単純に備えが足りてないところを突いているだけ」


「はは、ミジュが正解だな。基本的に勝てる見込みがあるから仕掛けるのであって、負けそうな相手にわざわざランク戦を仕掛けるギルドはいない、ということだな。まあ、中にはリベンジに燃えてギルドバトルを仕掛けるギルドもあるが」


〈拠点落とし〉だと、そのバトルロイヤルの形式上、集団戦になる。

 集団戦では弱いギルドでも、1対1なら強いというギルドは割と多い。

 というより、強いギルドは〈拠点落とし〉では狙われやすく、落とされやすいと言うべきか。

 むしろ弱小ギルドは生き残るために集まる傾向があり、強いギルドは組まない、もしくは組めない傾向があるため〈拠点落とし〉と〈城取り〉ではまったく別の結果になることは多いのだ。


「なるほどっす。勉強になるっす!」


「それじゃ、そろそろダンジョンに行くか」


「「「はい(っす)!」」」


〈学生手帳〉講座も終わりにし、俺たちは初級上位ダンジョンの1つ、〈孤島の花畑ダンジョン〉へと向かう。

 実はシュミネたちは初級上位ダンジョンを攻略していなかった。まあ3人だったからな。難しかった模様だ。ということで今日は初級上位ダンジョン突破の巻である。


 メンバーは俺、シュミネ、ナキキ、ミジュ、カイリ。

 基本的に3人でボスに挑んでもらい、俺たちは難しいようだったらサポートという感じだ。

 しかし、俺的には3人でも攻略は可能だと思っている。


 この3人は〈エデン店〉の売り子時代から仲が良かった影響か、その連携力には目を見張るものがある。個々の実力も高い。

 まあ、俺たち〈エデン〉のメンバーが空いた時間に教えまくってたからな。


 ナキキはこの後輩キャラの特性を十全に活かし、シエラやリカ、俺やフィナなど様々なタンクメンバーに教えを請うては色々と吸収していたからな。

 大盾を持つナキキは基本的に受けタンクだが、巨大なハンマーも持っているために攻撃にも参加が可能な特性を持っている。

 攻撃によるヘイト稼ぎと、相手を怯ませ自分たちを有利にする行動は非常に重要だ。

 このまま育てば、ナキキは良いタンクに成長するだろうな。


 シュミネはヒーラーではあるが、結界も使えるためミサトやカタリナの指導をよく受けていた。「ヒーラーとは回復だけにあらず、味方をどうやったら生かせるかを考えなくてはいけない」というのが彼女の持論で、結界による防御で援護する戦術を多く使う戦法を獲得していた。


 ミジュは拳系アタッカーなので、当然のようにラウやセレスタンに師事していた。

 口調はめんどくさがりというか、あまり動きたくない的な感じにもかかわらず、やれと言われたらやるし練習にも強制参加させればちゃんとやるというあまのじゃく系なので、誰か強引にでも引っ張って行くメンバーが近くにいればミジュはどんどん強くなっていくだろう。


 ラウやセレスタンは割と指導に厳しいのだが、普通についていっているからなミジュは。

 大人しい子ほど強いとか、ちょっとロマンだぜ。


 一度ギルドに戻ってカイリと合流すると、久しぶりに〈からくり馬車〉を出してもらった。

 実はカイリも『乗物騎乗』スキルを持ち、攻撃こそできないものの運搬だけなら可能なんだ。

 モンスターが進行方向に出てこなければ〈ダンジョン馬車〉での高速移動が可能なので、だだっ広いフィールドである〈孤島の花畑ダンジョン〉は最適だった。


「悪いなカイリ」


「なに、私だって〈馬車〉協力したかったし。これくらいむしろドンと来いだよ」


「頼もしいな! ――みんな聞いたか? こちらが〈救護委員会〉で期待の星と言われ、今の〈救護委員会〉の構築に多大な貢献をした2年のカイリ先輩だ!」


「「「カイリ先輩! よろしくお願いします(っす)」」」


「ちょ、そういう持ち上げ方は慣れていないんだけど!?」


 カイリは頼られるのに慣れてはいるが、持ち上げられるのはちょっと苦手らしい。

 しかし、道中は〈からくり馬車〉のサンダージャベリン号を操縦しつつナキキやシュミネとおしゃべりをして楽しんでいたので、後輩との付き合いは楽しんでいる模様だ。


〈ダンジョン馬車〉走行中、カイリは『安全ルート探知』を使用することができる。

 これは文字通りモンスターの居ない安全なルートが分かるスキルなので道中は凄く安心。

 しかも地図系の『立体地図レーダー完備』まであって、地図アイテムと合わせれば移動ルートはもう完璧。


 たまにモンスターからどうしても捕捉されてしまう場所を通るときも『好奇心誘導』スキルにより、モンスターの興味を他に移して通過するなど俺が指示しなくてもまったく問題ないので超楽だった。


 カイリの〈馬車〉も五段階目ツリーが開放されてむちゃくちゃ良くなったな! 馬車に乗っていてもこういうスキルが使えるというのがもうやべぇ。

 さすがは【ダンジョンインストラクター】だ。


「ああ~、久しぶりに馬車に揺られてのんびりできるぜ~」


 俺はいつも馬車の助手席などに座って道を指示する役目だったのでそれから解放されてすごく快適だった。隣ではミジュが窓の外を眺めて唸っている。


「これが〈ダンジョン馬車〉、ふぉぉぉ」


「ミジュはなんだ。見た目によらず好奇心旺盛だよな」


「誰が子どもだー!」


「いや、言ってねぇし!?」


 ミジュは子ども体型にコンプレックスがある様子だ。

 ミジュはなぜか俺の側に居ることが多く、今回も俺の側にいたのだが、振り返ると同時に躍りかかってきた。勘違いだよ!?


 そんな感じにドタバタしていると、割とあっという間に最奥に到着したのだった。





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