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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二十七章 〈35エリア〉攻略しながら上級中位を準備中!

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#1238 〈世界の熊〉、予想を遥かに上回る結果。




「〈エデン〉にギルドバトルを申し込んだ理由はみんな分かっているな! 全員! しっかり学び取れよ!」


「「「「おおおおおお!!」」」」


「「「「クマーーーー!!」」」」


 こちらは〈世界の熊〉ギルド。


 ガロウザスの声に気合いを入れて奮起するのは熊人のメンバーとその騎乗モンスターの熊たちだった。

 全員の士気は高い。負ける可能性が高いと分かってはいるが、それでもいささかも(おく)している者は居なかった。


 熊人は勇猛で有名だ。

 熊人は男子であっても女子であっても勇敢であり、たとえ強大な敵であろうが勇ましく立ち向かう。

 これまで何度もAランクギルドになろうと奮起しては敗北してきた〈世界の熊〉が、それでも挫けずずっと前を向き続けてこられたのは、種族的な意味も大きかった。


 要は向上心が高ければガンガン前に進んで行くのが熊人だ。

 身体能力系に優れる職業(ジョブ)の影響か、やや猪突猛進気味なところはあるものの、この折れぬ挫けぬ精神力と士気はギルドバトルではかなり有利に働いている。

 まあ、それを逆に利用され〈学園出世大戦〉でカイエンにされたように罠に掛かって敗北することもまた多いのだが……。


 それをなんとかするため、頭の良いアディにも声を掛けたのだが「アホバカマヌケの面倒は嫌じゃー」の一言で粉砕された過去があったりする。

 なお、そのアディは現在ギルドマスターとして〈ハンマーバトルロイヤル〉の面倒を見なくてはならなくなって嘆いていたりするがそれはさておき。


 ガロウザスはさらなる向上・成長のため、敢えて強力なギルドに教えを請い、粉砕されることで学ぼうという道を選んだのだった。

 そう決断したのには理由があった。


 つい先月のことだ。

〈世界の熊〉はついに念願叶い、Aランクギルドに昇格した。

 それも〈学園春風大戦〉という25のBランク戦闘ギルドのぶつかり合いでの勝利だ。

 これは、〈学園出世大戦〉の少し前に導入した熊騎兵が猛威を振るった結果だった。

〈世界の熊〉は実に8つのギルドを倒し、優勝を勝ち取ったのである。


 これは〈学園出世大戦〉の時にカイエンによって戦うまでもなく蹴散らされたことで学びを得た結果だった。

 今までも敗北することで学びを得ていたが、〈テンプルセイバー〉の戦法を見て熊騎兵を導入してから、〈世界の熊〉の成長は顕著だった。

 その成長力はノリに乗っていると言っていい。その結果が〈学園春風大戦〉の優勝だった。


 だが、この大きな結果を手にし、今まで目標だったギルド〈カオスアビス〉とランクが並んだことで〈世界の熊〉は目的を見失いかけてしまう。

 このままではせっかくの成長力がここで止まってしまうことを鑑みたガロウザスは、ここで学園最強ギルドと名高い〈エデン〉とギルドバトルをして気を引き締め直そうと考えたのだ。


 上には上が居る。Aランク戦〈学園春風大戦〉で優勝してもSランクには勝てないのだと、もっと上を目指せるのだと体で分からせようという判断だった。

 そのためならば今まで〈世界の熊〉が集めたレシピの多くを手放しても痛くはない。


「全員、全力で当たれよ! 〈エデン〉との戦力差は明らかだ! 全力で向かい、ようやく爪痕を残せるかどうかということを忘れるな! 我らがどれだけ成長し、今どの位置にいるのかをよく確かめろ!」


「「「「おおおおお!!」」」」


「「「「クマーーー!!」」」」


 多分負けるだろうが全力でやれ。

 そんな意味の言葉を投げられても誰も怯む様子も無く、士気が落ち込む様子も無い。

 熊人はこれくらいでは恐れないし折れないのだ。


 こうして気合い十分で挑んだ試合は、初めからとんでもないの一言だった。


「な!! 速い!」


「熊騎兵よりも断然速いだと!?」


「〈北巨城〉から東に侵入されたわ!」


「追え追え! 〈中央東巨城〉は我らの本拠地寄りの巨城だぞ!! 明け渡すな!」


「ガロウザス! 〈エデン〉の〈イブキ〉だ!」


「!! ふっ、さすがは〈エデン〉。最初から本気とはこうなるのか!!」


 それはまるで疾風のようだった。

 あれほどの速度、どれほどのステータスとバフを積めば良いのか、即座には見当も付かないほどの速さ。

 移動速度を限りなく高めてくれる優秀な騎乗のスキルを使わず、ガロウザスたちにかなりの差をつけて〈北巨城〉へとたどり着き、そのまま東側に侵入してきたのはカルアとレグラムのツーマンセルだ。


 しかも東西を結ぶ4つマス(図VとW()15と16)のうち3つを塗り替えていく徹底ぶりで、ガロウザスたちは保護期間により2分間、西へ侵攻することが出来なくなった。


 辛うじて〈北巨城〉を囲まれること無く隣接を確保出来た時には、〈エデン〉の〈乗り物〉として有名な〈イブキ〉が勢いよく東へ侵入してきていたのだ。

 そう、〈エデン〉の狙いは〈中央東巨城〉。

 東と名の付いているとおり、少し東側に位置した巨城で、東側に本拠地がある〈世界の熊〉が有利に確保できるはずの巨城だった。


 西に行けない以上〈中央西巨城〉への最短距離は封じられ、自分たち側の巨城まで狙われる。

 この〈ハート〉フィールドは速さを競うフィールドだと言われていたわけがようやく身に染みて分かってきた〈世界の熊〉のメンバーたち。

 そして自分たちは熊騎兵を手に入れ〈学園春風大戦〉では速度でも他のギルドを圧倒していたが、それにも上には上がいると思い知らされる。


 しかし、このまま巨城を取らせてはなるものかと〈世界の熊〉は奮起する。


〈北巨城〉と部隊を分け南下。

〈中央東巨城〉、〈中央南巨城〉、〈南巨城〉を狙い、熊騎兵を全力で走らせる。――だが。


「くっ、あの〈イブキ〉も相当速いぞ!」


「追えるのは3人か!」


「先行しろ!」


「「「おう!!」」」


〈イブキ〉アイギス号の速度は並では無い。

 そのAGIは合計で700を優に超え、ノエルとラナのバフによってさらに速度が増し、さらにここに来て『オーバードライブ』でさらに速度が増した。

 その速度は身体能力に優れバフで強化し、さらに熊に騎乗して移動速度が増している〈世界の熊〉でも3人しかまともに追える者がいなかったほどだ。


 その3人こそ〈世界の熊〉の切り札的存在であり、その移動速度を持って様々な戦法やファインプレーを起こしてきた。そんな移動速度の持ち主が、追いつくどころか追いかけることしか出来ない。否、少しずつ離されていた。

 先頭を走るカルアとレグラムのツーマンセルなど、すでに彼方に走り去っている。


「これが、速度の差か!」


 これほどまでに速度に差があると、当り前だが初動の保護期間の道を自由に決めることが出来る。それは新雪を踏むが如く、誰も取っていないマスを最初にゲットできるのだ。そして保護期間を張ることで2分間敵の侵攻を阻むことができる。

 先ほどの東西の通り道を潰した件も含め、巨城を囲って敵の侵入を完全に防ぐこともできれば、フィールドを大きく横断して行く手を完璧にブロックすることも出来る。


 特にこの〈ハート〉フィールドでは障害物の配置の位置が絶妙で、足が極端に速ければ完全に行く手を阻むことが出来てしまうのだ。

 さらには大人数を運搬する〈イブキ〉がそれを補強する。


〈中央東巨城〉へ最初に到着したのは〈イブキ〉だった。

 瞬間、一斉に〈イブキ〉から飛び降りる〈エデン〉メンバーたち。


「「「「なっ!」」」」


 それは一瞬の出来事。

〈イブキ〉から飛び降りたたくさんのメンバーたちが〈中央東巨城〉の周りのマスを次々と確保し、〈世界の熊〉が到着する前に隣接マスを全て確保されてしまったのだ。

 つまり2分間、〈世界の熊〉は〈中央東巨城〉の周りには入れない。


「ガ、ガロウザス、東側が!」


 さらに事態はこれだけにとどまらない。

 ガロウザスたちが必死に追いかけてきた〈イブキ〉、それすらも置き去りにして先行していた存在、カルア&レグラムのツーマンセル。

 その2人が敷いた道を見てガロウザスは完全に悟った。

 

「まさか……〈エデン〉との差がここまでとは」


 カルア&レグラムのツーマンセルは〈中央東巨城〉から〈東巨城〉まで、まっすぐに保護期間を形成していたのである。それは南北を分断し、通過させないのと同義だった。


〈世界の熊〉はこれ以上南側に行けなくなったのだ。


 つまり――〈中央東巨城〉、〈中央南巨城〉、〈南巨城〉、そしてあろうことか〈東巨城〉に行くルートさえ無くなってしまうのだった。





後書き失礼いたします。


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よろしくお願いします!


挿絵(By みてみん)

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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
これはひどい
[気になる点] アリス辺りに「くまさん?」とか言われ、世界の熊がメロメロになったりはしないのかな。
[一言] カルア&レグラムのツーマンセルが、斜め移動後に東の方向へ直進、 <イブキ>組が斜め部分の隙を埋める戦法なのか。
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