#1232 〈氷ダン〉最奥周回! 日曜日の面接者!
「おっしゃー!!」
「勝ったー!!」
「おおおー!!」
俺、トモヨ、ラウが勝利に叫んだ。
さすがは〈35エリア〉のボス。マジ上級。
しかし、今回はトモヨのユニークが対抗手段としてガッチリ嵌ったな。
あの巨大氷を真っ二つに割っちまったラウはマジ【獣王】、超かっこよかった。
あれ、俺もやってみたい。
ノエルはなんか歌対決してて楽しそうだったなぁ。
まさかのリアル効果、ダメージは防げたのにうるさい音は防げない!? でも近くでノエルが歌ってくれたおかげで〈ジャイアン〉の声が届かなくなったのだ。あれがマジ助かった。う~む、こんな弊害があろうとは。
これは音対策もしなくちゃダメかもしれないな。結界系や歌で防ぐか?
ミサトもヒーラーとデバッファーとしてよく活躍してくれた。
特に今回は相手はノエルと同じ歌使い、デバフをよく使うために対デバフ系が充実しているミサトは大活躍だった。
クジとかで決めたパーティメンバーだったが、偶然にもかなりガッチリ嵌ってたな。
「攻略者の証ゲーット!!」
「イエーイ!」
「イエーイ!」
「イエーイ!!」
テンションの高いノエルとミサトが攻略者の証を掲げながら駆けてきたのでハイタッチ!
みんなテンションが高い。
そしてボス部屋の扉が開くと、ラナたちが入って来た。
「宝箱は!?」
「おいラナ!? まず他に聞くことがあるんじゃないか!?」
いつもどおりの反応でなにより?
ラナにとっては俺たちが勝利するのなんか当然で、気になるのは〈35エリア〉の最奥の宝箱の方なのだろう。
「もう冗談よ。ゼフィルス、ミサト、ノエル、トモヨ、ラウ。〈氷ダン〉の攻略、おめでとう」
「おう、ありがとよラナ」
素直になって祝ってくれたラナに俺も笑顔で返して手を上げてハイタッチ。
さらにやってくるメンバー全員ともハイタッチした。
「それで宝箱だが」
「〈銀箱〉ね」
「むー残念」
まあ、こういうこともある。
お祈りしてギルドマスターの俺が代表で開けると、出てきたのはなんとウォーターサーバー型アイテム〈上水泉のケトル〉だった。
ここに水を入れると、〈純化水〉や〈地下清水〉など、ダンジョンで手に入る各種〈水素材〉にランダムで変換してくれるギルド設置型アイテムだ。大当たりすれば上級の〈水素材〉を生み出してくれるところがちょっとロマン。
これは間違いなくハンナ行きだな。
「次は私ね! 〈金箱〉を当ててやるわ!」
「はっはっは、そんな簡単に当たるわけ――いや、ラナはマジ当てるんだよなぁこういうとき……」
摩訶不思議なラナのあれだ。クジ運はそんなよくないのに宝箱は当てる。それがラナだ。
「『プレイア・ゴッドブレス』!」
ボス情報を渡してラナを主力としたパーティを組んで2陣目が攻略に挑む。今度は音対策にカタリナに行ってもらった。
そして普通に勝った上で――〈金箱〉当ててきた。しかも2つも!!
くそう! これだからラナは持ってんだ!
「ふふふふん! どうゼフィルス! これが王女の力よ!」
「くぅ、しかしマジで羨ましいな!」
超ドヤ顔で胸を張るラナ。ドヤるのも分かるぜ。何しろ〈金箱〉が2つだ!(2回)
とりあえず2陣メンバーの攻略にお祝いの言葉を贈りハイタッチする。
ちなみに中身は〈氷属性〉の威力が強くなる〈氷界のカチューシャ〉で頭装備。
〈氷属性〉特化型の職業にはかなり有用な装備だった。
これが出たときは思わず「おお~!」と叫んでしまったぜ。これ、結構いい装備なんだよ。
〈氷属性〉と言えば最初に思い浮かぶのは【氷姫】のサーシャだ。上級職に就いたら渡そうと取っておく。
そしてもう1つが――〈歌姫の♡マイク〉という武器のレシピだった。
マジか! 確かにこの〈ジャイアン〉は歌使いという特性上、楽器系武器のかなり強力な物をドロップする。
だがまさかラナが当てるとは! これがラナの力なのか!?
これは〈彫金ノ技工士〉に2つ作ってもらってノエルとオリヒメさん行き決定だな!
「私の新しい武器~!」
「良かったなノエル」
「「イエーイ!」」
今日のノエルはテンションが高いぜ!
「ゼフィルスは、よくあんなものに初見で勝てたな。正直、私は情報無しに突破は出来なかっただろう」
「そうか? リカなら範囲攻撃連発で〈ミニジャイアン〉打っ飛ばすなんてすぐ思いつくだろう?」
「それはそうかもしれないが、何度も復活する眷属の撃破方法ばかり考えてしまいそうでな」
「ですがゼフィルスさんのアドバイス通りにすれば眷属は楽でしたね。『交わらない漆黒結界』で隔離してしまえばこちらへの被害はほとんどありませんでしたし」
2陣目のタンクはリカとカタリナだった。
基本的には物理型のボスだったしな。音による攻撃はカタリナが結界で味方を囲って防いだりすることで対策して乗り切ったのだ。第三形態の突撃ペンギンモードなんてリカのユニークスキル『双・燕桜』の格好の的なので弾き返してダウンさせて総攻撃、それを2回繰り返したところで勝ったらしい。
ラウが割ったあの氷塊もリカがぶった斬ったとのことだ。見てみたかったなぁ。
ラナ曰く、「超かっこよかったわー!」とのこと。そうだろうそうだろう。ラナならこのロマンが分かると思った。
しかし、それは俺たちの情報があってのことで、自分たちだけではあの永久復活の第二形態眷属で大きな苦戦をしただろうというのがリカの見解のようだった。
なお実際はカタリナの〈五ツリ〉『交わらない漆黒結界』によって阻まれた黒い結界により眷属は隔離されて迷子。ボスに集中できたことで第二形態も楽勝だったらしい。
あの第二形態、10体のモンスターが一気に群がってくるものだから逃げ遅れると一瞬でやられるというゲームでは割と難関扱いだったんだがな。
いいペースだったのでその調子で3陣目も送り出す。
これはしっかりボスの対策を練ってオリヒメさんを入れてパーティを組んでいたため勝利。やはり近くで歌えば相手の歌は聞こえなくなると判明する。
だが4陣目からは残りのメンバー的に歌対策が取れないため、攻略済みのメンバーからノエル、カタリナ、オリヒメさんの誰かに参加してもらい、全員が攻略者の証をゲットするまで周回した。
一部、相手が歌い出した瞬間『カウンターノヴァ』で物理的にペンギンたちを吹き飛ばして強制キャンセルさせる人も居たが、それは例外である。基本音対策は必須!
1戦で20分から長ければ30分も掛かるので、ちょっと延長。
学園の夕食を取る予定のメンバーや、早めに帰りたいメンバーは優先して攻略者の証をゲットして帰還し、長くダンジョンに居ても良いというメンバーは残った。
全員が攻略者の証をゲットしたときには21時を過ぎていたが、なんとか今日中に回収出来たぜ。
そして翌日。今日は日曜日。
昨日珍しく攻略時間を延長したのは、少しノっていたのと今日予定があって〈氷ダン〉へ行けなかったからだ。
シエラと共にとある人物たちと面接が入っていた。
そしてギルドハウスには今、俺とシエラの他に3人の新メンバー候補が並んでいる。
「約1ヶ月ぶりだな、シュミネ、ナキキ、ミジュ。元気そうでなによりだ」
「こんにちはゼフィルス様、私たちの我儘を聞いてくださり、本当に感謝しております」
「お久しぶりっす先輩! 今日は貴重な時間をいただいてありがとうございまっす!」
「うん」
丁寧な言葉で話すのはエルフのシュミネ。実はこの名は愛称で、本当はハイシュミネというのだが、俺たちは全員愛称で呼んでいる。
この2人を統べるリーダーで、面倒見の良い性格だ。前になんかお母さんとか呼ばれているのを目撃したことがある。その時は思わず呼んでしまったナキキにチョップをお見舞いしていたよ。
今は丁寧な言葉遣いだが、〈エデン店〉で客の多い時間帯の時はカグヤと一緒に指揮を執りガンガン指示を飛ばしていたりする。後輩の中でも頼りになる子だ。
髪はシェリアに近い黄緑色で後ろに1本結んで背中まで流されており、髪と同色の瞳を持っている。
続いて語尾に「っす」が付いている後輩系がドワーフのナキキ。職業は【武装鋼ドワーフ】でタンク系にビルドを振っている。
髪は赤毛混じりの茶髪で、三つ編みを二つ、背中まで足らしているロリだ。身長はアルルより若干低い。前にアルルと身長比べして、僅差でアルルが勝利し勝ち鬨を上げていたシーンを目撃してしまったことがある。ちなみにその時ナキキはOrzってた。
最後に「うん」しか言わなかったのは熊人のミジュ。雰囲気はニーコに似ていてやや足取り重そうというか、動くの面倒そうという雰囲気を出しているが、割と活発に動く。まあ、割と「やだ」と言って断ってくることもあるが、俺が「ダメ」と強制してしまえば「ガーン」と口で言いつつも動いてくれる子だ。身長はラナと同じくらい。ブラウン系の髪と瞳を持ち髪は背中に流されているものの首下で大きくカールして毛先が上を向いている。
今日はこの子たち、元〈エデン店〉の売り子メンバーの正式加入の話をするために来てもらっていた。




