#1210 装備支給! なんか大試着大会になってる!
「今日はみんなに装備を支給するぞ」
「「「「わー!」」」」
歓迎会が終われば、次はもちろん新入生のレベル上げだ。
テンポ良く行きたいと思う。
まずは装備品の支給からだ。
実家から全身装備を持って来ているのはノーア、クラリス、ヴァン、サーシャの4人。
キキョウ、アリス、カグヤ、アルテは装備を持ってはきているものの、一部であったり、あまり性能が良くなかったりしたのでチェンジである。
「これは、上級の装備、ですか!?」
「キキョウの言うとおりだ。とはいえあまり強すぎても成長の弊害になるから〈木箱〉産だけどな」
「い、いえ、十分過ぎますよ!」
「これ、シンプルで可愛いよキキョウ」
「そうですねアリス。これはアリスに似合うと思います」
「うん。着てみるね」
ということで大試着大会が始まった。
俺はこれをちょっと舐めてたよ。いつも装備は専用装備だったから、渡して装備して終了だった。しかし、上級の〈木箱〉産の装備はすでに500種類を超えている。この春休み中、周回しまくって気が付いたらこんな数になってたんだ。
それに以前から新入生用に、どんな職業持ちが仲間になっても装備を整えてあげられるように貯めていた分もあって、なかなか膨大な量になってしまったのだ。
当然、それだけあれば選ぶのに時間が掛かる。
全員が選び終わった頃には俺は謎の気疲れで椅子に座って真っ白になってたよ。
実家からもらった装備を持っているはずのノーアやクラリス、サーシャまで参加していたからな。おかしい、君たちは選ばなくてもいいんだよ?
そう、思わず言ってしまったのだが。
「まあ、ゼフィルス様、これだけの装備を前にしてジッとしているなんて本校の学生ではありませんわ! 見たこともない装備も多いんですわよ? とても好奇心を刺激されてしまいますもの」
とノーアに返されて納得してしまい、それからはもう好きに選んでもらったよ。
未知の装備ってテンション上がるのよく分かる! 存分に見てくれ!
ふぅ……。
ちなみにノーアの装備は〈逆転姫装備シリーズ〉という前衛向けの装備だった。
昔のリーナに近い偉い貴族様という雰囲気を出しつつも、どこか騎士の正装のような煌びやかさもあり、それでいて動きやすそうなイメージ。色は青系をベースにしている。
武器は、なんと大剣だ。ちなみにまだ1本な。今は両手装備だがレベルが上がれば片手で装備できるようになる。そうしたら2本使えるぞ。
戦う姿を練習場で見せてもらったが、もう豪快。
なんというか、パワーと迫力のある一撃だった。〈エデン〉で初の大剣使いだな。
クラリスは剣士系装備で〈麗人剣士装備シリーズ〉という薄い黄色をベースにした装備だったのだが、かなりデザインが改造されていた。
本来なら下は長いスカート姿なのだが、スカートを短くしてパリッとした長ズボンを着用、さすがはメシリア先輩の妹といったスラッとした出で立ちとなっている。
上は貴族剣士的な、男装のような姿。
護衛です。お嬢様がどっか走って行っても追いついてみせますというような格好だ。
装備は片手直剣の二剣使い。これは白系の直剣だった。
ヴァンはザ・タンクと分かるガッチガチの鎧装備だ。
装備を着ているとかなり硬そうに見える。武器は右手に片手杖、左手に大盾を持ち、防御しながらも魔法での攻撃を得意とする。
ただ凄いのは成長するとこの武器のワンランク上の物を使えるようになることだろう。つまり右手に両手杖、左手に両手盾を装備できるのだ!
もう見た目がガッチガチの要塞のような姿になる。見るのが楽しみだぜ。
サーシャは氷系の魔法使いらしく、水色のドレス系装備をしていた。〈氷姫装備シリーズ〉だ。これを送り出してくるというところが氷属性の名家らしい。
武器は両手杖。ステッキ系で1メートルくらいの長さ。杖の先には雪結晶の形の水晶が浮いている。
「ねぇねぇお兄ちゃん。アリスの服、どうかな?」
「あの、ゼフィルス先輩。見てもらっても良いですか? おかしな所とかないですか?」
そう言って装備姿を見せに来たのはアリスとキキョウだった。
なにこのロリ2人、可愛いんだけど。
アリスとキキョウの装備は〈木箱〉産なのでシンプルだった。
シンプルだけど可愛い。凝った装飾が無いからこそ可愛さが際立つ。
アリスは前衛と後衛、どちらも担当するよという動きやすそうな装備だった。
黄色と白をベースにしたワンピースに同色の上着、スカートは短く、オーバーニーハイソックスを履いている。
武器は両手で装備する本。エミのような、ロッドの先に本が搭載されている杖本みたいな装備だ。
もちろんアリスは後衛オンリーなので前線には行かせません。
キキョウはタンクだが、〈ダン活〉の鎧はほとんど軽装なので鎧という感じがしない装備を身に着けていた。
襟の付いたシャツに金属のベルトが肩からズボンに向けて2本掛かっており、ズボンはショートパンツとカボチャパンツの中間みたいな感じで、腰にはアーマーが付いていた。肩にも本当に少しだけ肩当てっぽい金属が付いていてギリギリ鎧かなと判別できる感じ。
色は白と紫がベースで、武器は大盾と片手杖だ。大盾はラクリッテの盾と同じく小さくなって腕にくっついている。展開すると大きくなるぞ。
俺は一目でその姿を気に入って親指を立てた。
「2人ともよく似合ってるな。可愛くて強そうだぞ」
「やったー」
「あ、ありがとうございます。その、大切にしますね」
アリスが無邪気に笑い、キキョウが照れながらお礼を言う。
素晴らしい。スクショを撮らせてもらおう。パシャパシャ。
「あ、ゼフィルス先輩がまたスクショを撮ってる~!」
「それがスクショですか? あの王太子殿下に直接渡されたという、ひぇ~恐れが多っ!!」
「おおカグヤ、それにアルテも」
続いて来たのはカグヤとアルテ。
アルテは恐れ多いとでも言おうとしたのかな?
カグヤは【巫女狐】らしく、ザ・巫女さんという装備だった。思わず「1枚いいですか~?」と言ってしまった俺は悪くないだろう。
「もう、しょうがないな~ゼフィルス先輩は。仕方ないので良いよ。綺麗に撮ってね?」
「おっしゃ任せろー(パシャパシャ)」
うーん、小悪魔系巫女狐、良いじゃないか。というか〈木箱〉にこんな巫女服があったとかさすがは上級。ナイス開発陣!
アルテはドレスアーマーだ。これだけは実家から持って来た物で、アイギスから絶対に持って来なさいと厳命されていたためこれだけは持って来たとのこと。
まあ【姫騎士】の発現条件に必要な物だからな。そりゃ厳命されるんだぜ。
だが腕、足、頭に付いている装備は〈木箱〉産で、シンプルすぎてちょっと浮いてるな。あとで〈デザインペイント変更〉してコーディネートしてもらうとしよう。
武器は一応片手槍と小盾。アイギスと同じスタイルのようだ。
そんな感じで8人の装備選びが終わったのだった。
これでようやくダンジョン攻略に進めるな。まさか放課後の時間丸々使うとは思わなかったぜ。




