#1209 新入生歓迎会!ロリレンジャーを撮っちゃった
Sランクギルド〈エデン〉の店舗――〈エデン店〉。
〈ワッペンシールステッカー〉で色々鍛えたんだから〈エデン店〉も鍛えないとね?
そんな思いで帰還したのだが、どうやら俺の出番は無いらしかった。
「いいですか? 〈エデン〉が集めてくる素材は貴重かつ希少。その目利きが正確に出来なければここではやってはいけません。なにより〈エデン〉の特徴はその量です。希少な素材を山ほど持って帰還します。これを正確に、より短時間で仕分けし、査定する必要があります。みなさんが今までどれだけの知識を学園から得てきたのかは分かりませんが、〈エデン〉ではその知識は通用しないと思ってください。〈エデン〉こそが最先端です」
「「「「は、はい!!」」」」
〈エデン店〉の片側、〈1号店〉と呼んでいるエリアではセラミロさんによる鬼の指導が始まっていた。
〈商業課〉の学生の中でもとびきり優秀な人材を雇った的なことを言っていた気もするが、鍛え直しするしかなかった模様。マジかぁ。
しかし〈商業課〉の学生も負けてはいない。
腰にぶら下げているツールポーチから素早く〈解るクン〉などの鑑定系アイテムを取り出し高速で素材を査定していく様は熟練を思わせる。――しかし。
「こ、この素材LV7でも解析出来ないのですが!?」
「それはレアボスドロップです。LV8以上でないと解析不可能ですね」
「ひゃぁ!?」
「レアボスの素材が普通に混じってるんだけど!?!?」
「だ、誰かLV8持っている人!?」
まあ、色々と予想外なこともある。
これからのことを考えれば〈解るクン〉をスキルLV10にしてもいいくらいだ。
なおスキルLV7なら上級下位級が、LV8なら上級中位級が、LV9なら上級上位級が、そしてLV10なら最上級が『解析』できるぞ。
〈ダン活〉はLV1で『解析』できる初級下位級から最上級まで10段階で構成されてるんだ。
続いてハンナたちが作ってくる消耗品が運ばれてきた。
とはいえハンナの作った物は量産品なので解析は簡単。
問題なのはアルストリアさんやシレイアさんが作ったアイテムや武器だな。
「こ、この爆弾、威力の幅が大きすぎるよ~」
「こ、これ全部鑑定書発行しなきゃいけないの!?」
基本的に付属効果の違うアイテムというのは別々で値段が付く。
当り前だが。同じ値段なのに効果に強弱があったら強しか売れないからな。
また、買い手側が効果を知るためには別々の鑑定書の発行が必須、つまり効果がバラバラだと全部に鑑定書を発行しなくてはならないのだ。
まあ大変な作業だよなぁ。
俺はこれが大変だと分かっていたのでハンナにはまったく同じ効果の量産品を作ることをお勧めしてきたんだ。そしてハンナが作った爆弾は売りに出さなかった。
でも、〈商業課〉の学生も来てくれたし、もう爆弾を売っても大丈夫だよね?
今までこれらの鑑定作業はマリアやメリーナ先輩、サトルの仕事だったのだが、さすがに仕事量が増えすぎて人を増やして欲しいと頼まれていたので丁度良かった。
〈商業課〉の人たちよ、頑張ってほしい。
さてそんなわけで〈エデン店〉の方は任せても良さそうなので、そうなると俺の次の仕事はダンジョンとなる!
ついにこの時が来たのだ。場所は変わってギルドハウス!
「アルテって言います! アイギス姉さまがいつもお世話になっています!」
「不束な妹で迷惑を掛けるかもしれませんが、その、よくしてあげてください」
「ちょ、不束ってどういうこと!?」
そう、アルテがこの度入学手続きを終え、正式に〈エデン〉に加入したのだ。
その職業は言わずもがな、【姫騎士】である。
ちなみにたまにアイギスのことを「アイギスお姉さま」と呼んでいたアルテだが、普段は「アイギス姉さま」呼びだそうで、今後は普段呼びでいくとのことだ。
「クワァ!」
「うん! ゼニちゃんもよろしくねぇ!」
ギルドハウスの窓の外からこっちを覗くゼニスにも元気良く挨拶するアルテ。
Sランクギルドハウスの改造が終わり、現在引っ越しの最中の俺たち。
巨大な庭が手に入ったのでちょっとゼニスを呼び出してみたのだが、ゼニスはこうして窓から俺たちを覗くのがお気に入りの様子だ。
「ようこそ〈エデン〉へ、歓迎するわアルテ」
「シエラ先輩! よろしくお願いします!」
今日はちょっとした歓迎会を開催することにしていた。
新入生の加入歓迎会と言い換えても良い。
あと引っ越し祝いも兼ねて。新居で新メンバーの歓迎会だな!
え? カグヤたちが入った時もやった?
細かいことはいいんだよ! 歓迎会はメンバーが入る度にやってもいいのだ!
「よーし、一通り挨拶が済んだところで乾杯するぞー! みんなジョッキは持ったかー!? 新入生組は分からなかったら近くの先輩に聞いてくれ。――よーし、みんな持ったな? じゃあ、新入生組の〈エデン〉加入とSランクギルドハウスの引っ越しを祝って――かんぱーい!」
「「「「かんぱーい!!」」」」
新入生組8人の自己紹介が終わるとジョッキを持って乾杯だ。
今日は新入生組といっぱい交流するぜ!
まずはノーアの所からだ。と思ったらアルテに先を越されていた。
「アルテさんですわね。私はヴィレルノーアと申します。どうぞノーアと呼んでくださいまし」
「私はノーアお嬢様の従者でクラリスと申します。よろしくお願いいたします」
「わぁ! ノーアさんにクラリスさんですね! 髪の艶がとても綺麗です!」
「お分かりになりますか!? 実はこれはうちの領で取れました素材を使って作った特産品を使っていましてね――」
おっとアルテが一瞬でノーアを陥落させたぞ。
ノーアの金髪は見事な輝きだからな。どうやらノーアにとって自慢の髪の様子だ。
言われるまでもなく交流しているとは、とても良き。
クラリスとは「姉が有名人だとお互い大変ですね」みたいな会話をしていたよ。
後で聞いたのだが、なんとクラリスは〈秩序風紀委員会〉の前ギルドマスターだったメシリア隊長の妹さんなんだとか。初めて聞いたときは驚いたものだ。
クラリスってあの男装の麗人、メシリア隊長の妹さんだったのか! 確かに、スラッとした体型とかとてもそっくりだ。髪の色がちょっと違うのは、クラリスは母親似で、メシリア隊長が父親の色が色濃く出たかららしい。なるほど~。
ちなみにノーアが金髪なのは母親譲りだそうだ。姉のヴィアラン会長は黒髪なのは父親譲りらしい。こんな感じで、この世界では髪の色の違う姉妹は結構いるらしい。カイリとユミキ先輩が同じ紫だから油断していたぜ。
じゃあ、俺はヴァンの所にでも行こうか。
「ヴァン、あなたはなんで女子に免疫がないクセにカグヤは大丈夫なんですの?」
「分かりません!」
「嘘ですの! きっとカグヤのことを女の子として見ていないんですの!」
「ブーメランだよ! 今サーシャにもブーメラン入った! だってヴァンはサーシャにも動揺してないもん!」
「それを言ってはいけませんの!」
こちらではヴァン、サーシャ、カグヤが集まっていた。
この3人はパーティを組んでいる。
【賢国守】のヴァンがタンク、【氷姫】のサーシャがアタッカー、【巫女狐】のカグヤがヒーラーだ。
とてもバランスの良いパーティだ。
真面目のヴァン、ツッコミのサーシャ、ボケも出来るカグヤとバランスがいいのも良き。なお、サーシャとカグヤの役はスイッチ可能。
ヴァンは前にメルトが初心だと言っていたように女子に免疫がない。
とはいえ完全にないわけではなかった。どうやら女子と意識すると上がってしまうらしい。つまり女子と意識しなければ問題無いわけで、そのことに気が付いてしまったサーシャとカグヤからプンスコ攻撃を食らっていた。なお、タンクなのでまったく効いていない。
サーシャとカグヤは小柄だからな。どうやらヴァンの守備範囲外の模様だ。
良いことだ、ということにしておこう。
さて、こちらも忙しそうなので次へと向かう。
「良いですか? よく見ておくのです。――とう! こうやって敵に飛び込むのです! 思い切りが大事なのです!」
「「おお~」」
「ルルお姉ちゃん、かっこいい」
「ルルもこれからはアリスたちのお姉ちゃんなのです! ビシバシ鍛えちゃうのですよ!」
こっちではなぜかルル先輩が後輩のキキョウとアリス相手に何かを教えていた。懐の潜り方かな? 必殺のおでこアタックが引き継がれないことを祈る。
ちなみにルルが飛び込んだのはいつの間にか設置されていたぬいぐるみの山だ。ルルは一気に踏み込んでその中でも大きなぬいぐるみへと抱きついていた。
それにアリスも真似をする。
「アリス、行くよ。ふおーー(ぽふん)」
「ぐっ、和み動画にしか見えなかった」
珍しく気合い十分な表情のアリスが走って行って、そのままぬいぐるみの山に埋もれて消えた。俺は口を押さえることしか出来なかったよ。少ししてスクショ取り忘れたことをとても後悔した。あとでもう1回やってもらおう。
「アリス、今の凄く良かったのです! ――次はキキョウもやるのです!」
「わ、私もですか? わ、わかりました。――とーう!(ぽふん)」
よし、今度はスクショが取れたぞ! なお、アリスもキキョウも懐に飛び込むと言うよりただぬいぐるみに抱きついただけだったのはご愛敬。
しかし、ぬいぐるみ愛好家のルルはうんうんと頷くだけだった。
途中でルルにもう一度見本を見せてもらい、アリスにも挑んでもらってスクショを増やすことに成功すると、なんだなんだとエリサとフィナも集まって来てさあ大変。
「ちょっとそこの5人のロ――じゃなくて少女たちよ、そのぬいぐるみの前に並んでくれ。そうV字隊列で、そうそう。スクショ撮るぞー」
「「「「「ピース(なのです)!!」」」」」
パシャリ。
やっべぇ。なんか図らずもロリレンジャーみたいなスクショが撮れてしまった。
今度は装備姿の時にもう一度お願いしようと決める。
もちろん後ろから迫ってきているシェリアの分も忘れてはならない。
こうして歓迎会は進行していったのだった。




